
インフォーマルサービスとは
インフォーマルサービスとは、家族・近隣・ボランティア・NPOなど制度に基づかない非公的な支援。フォーマルサービスとの違い、具体例、地域包括ケアでの『互助』の位置づけ、ケアプラン第2表/第3表での記載、メリット・限界を解説します。
この記事のポイント
インフォーマルサービスとは、介護保険などの公的制度に基づかない非公的な支援の総称です。家族・親族・近隣住民・友人・民生委員・ボランティア・NPO・宗教団体・互助会・自治会・サロンなどが担い手となり、見守り・買い物・配食・話し相手・送迎などを提供します。フォーマルサービス(公的制度サービス)と対比される概念で、地域包括ケアシステムでは「互助」「自助」の領域に位置づけられます。
目次
インフォーマルサービスの定義と全体像
インフォーマル(informal)とは「非公式」「制度化されていない」を意味する語で、介護分野では介護保険法・障害者総合支援法・医療保険法などの公的制度に基づかない支援を指します。担い手は家族・親族から地域住民、民間ボランティア、NPO法人、社会福祉協議会の住民組織、互助会、宗教団体、企業の見守り活動まで多岐にわたり、提供形態も無償から低額有償まで幅広く分布します。
厚生労働省が推進する地域包括ケアシステムでは、高齢者の生活を支える4つの力として「自助・互助・共助・公助」が示されています。このうちインフォーマルサービスは主に「互助」(家族・友人・地域住民が個人的関係性のなかで支え合う力)と「自助」(自身や家族による解決)の領域を担います。「共助」(介護保険・医療保険など制度化された相互扶助)と「公助」(生活保護など公的制度)にあたるフォーマルサービスを補完し、両者の組み合わせで生活全体を支える設計です。
介護保険サービスは利用区分・支給限度額・専門職配置・運営基準などが厳格に定められている一方、インフォーマルサービスは制度的枠組みを持たないため柔軟性が高い反面、安定性・継続性・専門性に課題を抱えます。ケアマネジャーはアセスメントで本人を取り巻く社会資源を把握し、フォーマルとインフォーマルを適切に組み合わせたケアプランを設計することが求められます。
2025年以降、団塊世代が後期高齢者となり要支援・軽度要介護者が急増する見込みで、介護給付費の伸びを抑制しつつ生活の質を維持するため、インフォーマルサービスの開発・コーディネートを担う生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)の配置が市町村ごとに進められています。
インフォーマルサービスの具体例
担い手別に主な支援内容を整理します。同じ「見守り」でも、家族による日常的見守りと、民生委員による定期訪問、企業の宅配時声かけサービスでは性質が異なります。
家族・親族による支援
- 家族介護:食事介助、入浴介助、排泄介助、移動介助など日常生活全般
- 服薬管理、通院付き添い、金銭管理
- 緊急時対応、医療機関との連絡調整
近隣・友人による支援
- 毎朝のカーテン確認・新聞回収など見守り活動
- 買い物代行、ゴミ出し、雪かき
- 話し相手、外出付き添い
ボランティア・NPOによる支援
- 配食ボランティア(社協・NPOによる週1〜数回の弁当配達と安否確認)
- 傾聴ボランティア、サロン運営、認知症カフェ
- 移送サービス(福祉有償運送等)、ペットシッター、買い物バス
地域組織による支援
- サロン・通いの場(社協・自治会主催の体操・趣味活動)
- 民生委員・児童委員による独居高齢者訪問
- 老人クラブ、女性会、自主防災組織
宗教団体・互助会・企業による支援
- 寺院・教会・神社の檀信徒見守り、葬祭・法要支援
- 町内会・自治会の互助会、共済組合
- 新聞販売店・郵便局・コンビニ・電力会社の見守り協定事業
- シルバー人材センターによる軽作業(家事援助・庭木剪定等)
フォーマルサービスとの対比
フォーマル/インフォーマルは「どちらが優れている」ではなく、役割分担と相互補完の関係にあります。両者の特徴を整理すると次のとおり。
| 観点 | フォーマルサービス | インフォーマルサービス |
|---|---|---|
| 法的基盤 | 介護保険法・医療保険法等の公的制度 | 制度に基づかない(任意・自発的) |
| 担い手 | 介護福祉士・看護師等の専門職 | 家族・近隣・ボランティア・NPO等 |
| 費用 | 1〜3割の自己負担+保険給付 | 無償または低額(実費・謝礼程度) |
| 専門性 | 高い(資格・研修・運営基準) | 幅広い(専門外〜経験者) |
| 柔軟性 | 制度の枠内で限定的 | 本人ニーズに合わせ自由 |
| 継続性 | 制度上は安定 | 提供者の都合で変動 |
| 地域差 | 全国一律基準(地域区分のみ差) | 地域資源量により大きく差 |
| 地域包括ケアでの位置 | 共助・公助 | 自助・互助 |
例えば「週2回の入浴」は訪問入浴介護(フォーマル)で確実に確保し、「日中の話し相手」は近隣ボランティアやサロン(インフォーマル)で補うといった組み合わせがケアプランの基本設計になります。インフォーマルだけでは専門的医療・介護に対応できず、フォーマルだけでは生活の楽しみや孤独感の解消が手薄になりがちで、両者の組み合わせが不可欠です。
ケアプラン第2表・第3表での記載のポイント
居宅サービス計画書では、フォーマルサービスだけでなくインフォーマルサービスも明記することが推奨されます。第2表(居宅サービス計画書(2))には目標達成のための「サービス内容」「サービス種別」「事業所名等」を記載する欄があり、ここに家族・ボランティア等のインフォーマル支援を組み込みます。第3表(週間サービス計画表)では1週間のタイムスケジュール上に位置づけ、フォーマル/インフォーマルの組み合わせが視覚的にわかるようにします。
記載例(第2表)
- サービス内容:「買い物代行・安否確認」/サービス種別:「近隣ボランティア(民生委員)」/事業所名等:「△△地区民生委員 ○○氏」/頻度:「週2回1時間」/費用:無料
- サービス内容:「配食・声かけ」/サービス種別:「配食ボランティア」/事業所名等:「□□社会福祉協議会」/頻度:「週3回」/費用:「1食500円(実費)」
- サービス内容:「日中の話し相手」/サービス種別:「家族(長女)」/頻度:「土日終日」
記載時の実務ポイント
- 本人・家族の同意を得る:インフォーマル支援者の氏名や活動団体名を計画書に記載するには関係者の合意が必要
- 過度な負担を避ける:家族の負担が大きい場合は短期入所・レスパイト等のフォーマルで補完
- 代替プランを準備:ボランティアの体調不良など継続性リスクに備え、代替手段を想定
- 定期的な評価:モニタリングでインフォーマル支援者の負担感を確認し、必要に応じて見直す
- 個人情報の取扱い:第三者であるボランティアと共有する情報は本人の同意範囲内に限定
よくある質問
Q1. インフォーマルサービスはケアプランに書けますか?
A. はい。居宅サービス計画書第2表の「支援内容」、第3表の週間サービス計画表で、家族・近隣・ボランティアによる支援を明記できます。むしろ書き込むことで、フォーマルサービスとの役割分担が明確になり、地域包括ケアの実現に近づきます。
Q2. どこで地域のインフォーマル資源を調べられますか?
A. 地域包括支援センターと生活支援コーディネーターが、地域の介護予防サロン・住民主体の通いの場・配食ボランティアなどの情報を把握しています。ケアマネは積極的に連携を取りましょう。
Q3. 介護家族の負担にならないですか?
A. インフォーマルサービスを家族に過度に期待すると介護離職や介護うつにつながります。家族の限界を見極め、フォーマルサービスとレスパイトケアでバランスを取ることが重要です。
参考文献
- 厚生労働省「地域包括ケアシステムの構築に向けて」
- 厚生労働省「生活支援体制整備事業」通知
- 厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン」
- 全国社会福祉協議会「地域における福祉サービスのあり方」
- 日本ケアマネジメント学会「ケアマネジメントの基礎」
まとめ
インフォーマルサービスは、家族・近隣・ボランティア・NPOなど制度外の主体が提供する支援。地域包括ケアシステムの「自助・互助」を担い、フォーマル(共助・公助)とセットで利用者の生活を支える。ケアプラン第2表・第3表に明記し、生活支援コーディネーターと連携して地域資源を活用することで、利用者主体の在宅介護を実現できる。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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