自立支援医療とは

自立支援医療とは

自立支援医療は障害者総合支援法に基づき医療費の自己負担を原則1割に軽減する公費負担医療制度。精神通院医療・更生医療・育成医療の3類型と所得区分別の負担上限を解説します。

ポイント

自立支援医療とは(要点)

自立支援医療とは、障害者総合支援法に基づき、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。精神通院医療・更生医療・育成医療の3類型があり、対象となる医療では自己負担が原則1割に軽減され、さらに所得に応じて1か月あたりの負担上限額が設定されます。

目次

自立支援医療の概要と法的位置づけ

自立支援医療制度の概要

自立支援医療は、障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)第58条等に根拠を持つ公費負担医療制度です。障害者(児)が自立した日常生活・社会生活を営むために必要な、心身の障害の状態を軽減するための医療(保険診療に限る)を対象に、その自己負担額を軽減します。

医療保険が優先される「保険優先」の仕組みで、通常は医療保険の自己負担分(3割)と、所得に応じて定められた自己負担上限額との差額分を、自立支援医療費として公費が負担します。これにより、対象医療の患者負担は原則1割まで軽減されます(その月の総医療費の1割が負担上限額に満たない場合は1割負担)。

制度は2006年(平成18年)に、従来の精神通院医療(精神保健福祉法)・更生医療(身体障害者福祉法)・育成医療(児童福祉法)の3つの公費負担医療を、当時の障害者自立支援法のもとで「自立支援医療」として一本化したものです。3類型で対象者や治療内容は異なりますが、利用者負担の枠組みは共通化されています。

実施主体

実施主体(申請・支給認定を行う窓口)は類型によって異なります。

  • 更生医療・育成医療:市町村(窓口は市区町村の障害福祉担当課)
  • 精神通院医療:都道府県・指定都市(窓口は市区町村経由で都道府県へ)

公費の負担割合は、更生医療・育成医療が「国1/2・都道府県1/4・市町村1/4」、精神通院医療が「国1/2・都道府県(指定都市)1/2」です。支給認定の有効期間は原則1年以内で、継続には更新手続きが必要です。

自立支援医療の3類型(精神通院・更生・育成)の違い

自立支援医療の3類型と対象者

自立支援医療は、対象者と医療内容によって次の3類型に分かれます。

類型対象者主な医療・治療例実施主体
精神通院医療統合失調症などの精神疾患を有し、通院による精神医療を継続的に要する者(年齢制限なし)外来通院・外来での投薬・精神科デイケア・訪問看護 等都道府県・指定都市
更生医療身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上で、手術等により確実に障害の軽減効果が期待できる者人工関節置換術(肢体不自由)、水晶体摘出術(白内障)、弁置換術・ペースメーカー埋込術・人工透析・腎移植(内部障害)等市町村
育成医療身体に障害のある18歳未満の児童で、手術等により確実に効果が期待できる者更生医療と同様の手術・治療(小児期の身体障害の軽減)市町村

精神通院医療は入院を伴わない「通院」が対象で、原則として年齢制限がありません。更生医療と育成医療は、対象年齢(18歳以上/18歳未満)が異なるだけで、対象とする身体障害や治療の考え方はおおむね共通しています。

自立支援医療の所得区分別 自己負担上限月額

所得区分別の自己負担上限月額

自立支援医療では、患者負担が過大にならないよう、医療保険の世帯単位の所得区分に応じて1か月あたりの自己負担上限額が設定されています(月額総医療費の1割がこの上限に満たない場合は1割負担)。

所得区分世帯の所得状況の目安更生医療・精神通院医療育成医療重度かつ継続
生活保護生活保護世帯0円0円0円
低所得1市町村民税非課税(本人または障害児の保護者の年収約80万円以下)2,500円2,500円2,500円
低所得2市町村民税非課税(低所得1を除く)5,000円5,000円5,000円
中間所得1市町村民税所得割33,000円未満(年収約290〜400万円未満)総医療費の1割
または高額療養費の自己負担限度額
5,000円5,000円
中間所得2市町村民税所得割33,000円以上235,000円未満(年収約400〜833万円未満)総医療費の1割
または高額療養費の自己負担限度額
10,000円10,000円
一定所得以上市町村民税所得割235,000円以上(年収約833万円以上)対象外(公費負担なし)対象外(公費負担なし)20,000円

表の金額は厚生労働省「自立支援医療の患者負担の基本的な枠組み」に基づく月額の自己負担上限です。低所得1の「年収80万円以下」の基準は、障害基礎年金2級の支給額相当として設定されており、令和7年7月以降は年金支給額の改定にあわせて約80.9万円を基準とする見直しが行われています。

なお、育成医療の中間所得層および「重度かつ継続」の一定所得以上の負担上限額は、令和9年(2027年)3月31日までの経過的特例措置とされています(当初は令和6年3月末まででしたが延長されました)。

自立支援医療の申請手続きの流れ

自立支援医療の申請手続き

自立支援医療を利用するには、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で支給認定の申請を行い、受給者証の交付を受ける必要があります。一般的な流れは次のとおりです。

  1. 窓口で申請:市区町村の障害福祉担当課で申請書を提出(精神通院医療も窓口は市区町村だが、認定は都道府県・指定都市)
  2. 必要書類の提出:医師の診断書(意見書)、医療保険の被保険者証の写し、所得を確認できる書類、マイナンバー関係書類など
  3. 利用する医療機関・薬局の指定:原則として、あらかじめ指定した「指定自立支援医療機関」での受診・調剤が対象
  4. 受給者証の交付:認定されると「自立支援医療受給者証」が交付される
  5. 受診時に提示:医療機関・薬局で受給者証と自己負担上限額管理票を提示し、軽減された自己負担で受診

支給認定の有効期間は原則1年以内で、継続して利用するには有効期間満了前に更新手続き(精神通院医療は2年に1度、診断書の提出が必要となる場合がある)を行います。具体的な必要書類や手続きは自治体によって異なるため、申請前に窓口で確認してください。

自立支援医療の重度かつ継続の補足

「重度かつ継続」とは

自立支援医療には、高額な治療を長期にわたり継続する必要がある人の負担をさらに軽減する「重度かつ継続」の区分があります。これに該当すると、本来は対象外となる「一定所得以上」の人でも月額20,000円を上限に公費負担の対象となり、中間所得層も負担上限が引き下げられます。

  • 更生・育成医療:腎臓機能・小腸機能・免疫機能・心臓機能障害(心臓移植後の抗免疫療法に限る)、肝臓の機能障害(肝臓移植後の抗免疫療法に限る)の人
  • 精神通院医療:統合失調症、躁うつ病・うつ病、てんかん、認知症等の脳機能障害、薬物関連障害(依存症等)の人、または精神医療に一定以上の経験を持つ医師が判断した人
  • 共通:疾病等にかかわらず、医療保険の高額療養費で「多数回該当」となる人

介護・福祉の現場では、利用者が精神疾患の通院を続けているケースや、人工透析・心臓ペースメーカーなど内部障害の治療を受けているケースは少なくありません。自立支援医療の対象になり得るかは、医療費負担の相談・連携の入り口として押さえておくと役立ちます。

自立支援医療のよくある質問

よくある質問

Q. 自立支援医療を使うと自己負担はどのくらい軽くなりますか?

対象となる医療では、医療保険の自己負担(通常3割)が原則1割に軽減されます。さらに所得に応じて1か月あたりの自己負担上限額(生活保護0円〜中間所得層など)が設定され、上限を超えた分は公費が負担します。

Q. 精神科に通院していますが対象になりますか?

統合失調症・うつ病・双極性障害・てんかん・依存症など精神疾患で通院による精神医療を継続的に要する場合、精神通院医療の対象になり得ます。主治医に相談し、診断書をもとに市区町村の窓口で申請します。

Q. 介護保険や障害者手帳とは別の制度ですか?

はい。自立支援医療は「医療費の自己負担を軽減する公費負担医療制度」で、介護保険のサービス費用とは別枠です。また、更生医療の利用には身体障害者手帳が必要ですが、精神通院医療は手帳がなくても申請できます。

Q. どこで申請すればよいですか?

更生医療・育成医療・精神通院医療いずれも、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口が申請の入口です。精神通院医療の支給認定は都道府県・指定都市が行います。

Q. 有効期間はどのくらいですか?

支給認定の有効期間は原則1年以内です。継続して利用する場合は、有効期間満了前に更新手続きが必要です。

自立支援医療の参考資料・出典

自立支援医療のまとめ

まとめ

自立支援医療は、障害者総合支援法に基づき、心身の障害を軽減するための医療費の自己負担を原則1割まで軽減する公費負担医療制度です。精神通院医療・更生医療・育成医療の3類型があり、所得区分に応じて月額の自己負担上限が定められています。精神科通院や人工透析、心臓ペースメーカーなど、介護・医療の現場で出会う利用者が対象になるケースも多く、医療費負担を相談する際の重要な制度として押さえておきましょう。申請はお住まいの市区町村の障害福祉窓口が入口です。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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