
介護予防ケアマネジメントとは
介護予防ケアマネジメントは、要支援1・2や事業対象者に対して地域包括支援センターが中心となって行うケアマネジメント。介護予防支援との違いやA・B・C類型を解説します。
この記事のポイント
介護予防ケアマネジメントとは、要支援1・2の認定者や基本チェックリストで判定された事業対象者に対し、地域包括支援センター(または委託先の指定居宅介護支援事業所)が介護予防・日常生活支援総合事業の利用計画を作成・モニタリングする仕組みです。要介護者向けのケアマネジメントとは別建てで、自立支援と重度化防止を目的に「A・B・C」の3類型で実施されます。
目次
介護予防ケアマネジメントの位置づけと法的根拠
介護予防ケアマネジメント(第1号介護予防支援事業)は、2015年度の介護保険法改正で創設された介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)に位置づけられる事業です。介護保険法第115条の45第1項に基づき、市町村が実施主体となり、地域包括支援センターが中心的な役割を担います。
従来は要支援1・2の方に対する「介護予防訪問介護」「介護予防通所介護」が予防給付として提供されていましたが、2017年度末までに段階的に総合事業へ移行しました。これに伴い、要支援者および基本チェックリストで事業対象者と判断された高齢者に対し、自立支援・重度化防止を目的としたケアマネジメントが必要となり、介護予防ケアマネジメントが整備されました。
制度上、ケアマネジメントには2系統があります。介護予防支援(介護保険法第58条)は予防給付(介護予防訪問看護・介護予防通所リハビリなど)を利用する要支援1・2の方が対象で、ケアプラン作成と給付管理を行います。一方、介護予防ケアマネジメントは総合事業のみを利用する方が対象で、利用者の状態や利用サービスに応じてA・B・Cの3類型を使い分けます。両者を併用する場合は介護予防支援が優先されます。
A・B・Cの3類型
介護予防ケアマネジメントA・B・C 3類型の使い分け
利用者の状態とサービス内容に応じて、ケアマネジメントは3つの類型に分かれます。原則として給付管理が必要かどうかで類型が決まります。
- ケアマネジメントA(原則型):従来の介護予防支援と同等のフルプロセス。アセスメント→ケアプラン原案作成→サービス担当者会議→月1回以上のモニタリングを実施。「給付管理を要する」サービス(訪問型・通所型サービスの第1号事業)を利用する場合に適用されます。
- ケアマネジメントB(簡略化型):Aから一部プロセスを簡略化。サービス担当者会議を省略でき、モニタリングも事案ごとに頻度を設定可能。短期集中型サービス(C型・リハ職派遣など)を利用する場合に多く採用されます。
- ケアマネジメントC(初回のみ型):初回のみケアマネジメントを実施し、その後はセルフマネジメントへ移行。住民主体サービス(B型)など給付管理を要さない事業のみを利用する場合の類型です。
類型は市町村ごとに運用が異なるため、配属先の包括支援センターまたは事業所が所在する自治体の「総合事業の手引き」を確認することが実務上の必須事項です。
介護予防支援との違い
介護予防支援との違い(対象・サービス・委託の可否)
「介護予防支援」と「介護予防ケアマネジメント」は混同されやすいですが、対象者・利用できるサービス・実施主体の3点で明確に区別されます。
| 項目 | 介護予防支援 | 介護予防ケアマネジメント |
|---|---|---|
| 根拠法 | 介護保険法第58条 | 介護保険法第115条の45第1項 |
| 対象者 | 要支援1・2で予防給付を利用する方 | 要支援1・2または事業対象者で総合事業のみを利用する方 |
| 利用できるサービス | 予防給付(介護予防訪問看護・介護予防通所リハビリ等)+総合事業 | 総合事業(訪問型・通所型サービス、住民主体サービス等)のみ |
| 実施主体 | 地域包括支援センター(2024年度改定で指定居宅介護支援事業所も指定可) | 地域包括支援センター/委託先の指定居宅介護支援事業所 |
| 給付管理 | 必要 | 類型A・Bは必要、Cは不要 |
両者を併用する場合(予防給付+総合事業)は介護予防支援に一本化され、ケアプランは1本にまとめます。2024年度改定で指定居宅介護支援事業所が介護予防支援の指定を直接受けられるようになり、地域包括支援センターからの再委託に依存しない運用が可能になりました。
ケアマネジメントの流れ
介護予防ケアマネジメントの実施プロセス(A類型を例に)
A類型(原則型)では、要介護者向けケアマネジメントとほぼ同様の8段階プロセスを踏みます。実施期間は概ね6カ月で、有効期間内に評価・更新が必要です。
- 相談受付・基本チェックリスト実施:地域包括支援センターで相談を受け、要介護認定申請または基本チェックリストで対象者判定
- アセスメント:利用者の心身状態・生活状況・生活機能の課題を把握。「運動・栄養・口腔・閉じこもり・認知機能・うつ」など項目別に分析
- ケアプラン原案の作成:自立支援の視点で生活目標を設定し、達成に必要な総合事業サービスを組み合わせる
- サービス担当者会議:利用者本人・家族・サービス事業者を集めて原案を検討(B・C類型では省略可)
- ケアプラン確定・交付:利用者の同意を得て確定し、関係事業者に交付
- サービス利用開始:事業所がサービスを提供
- モニタリング:原則月1回(電話可月もあり)、目標達成度と心身状態の変化を確認
- 評価・再アセスメント:有効期間(おおむね6カ月)の終わりに評価。状態変化があれば要介護認定の再申請やケアプラン見直しを行う
事業対象者の場合は基本チェックリストの実施が要介護認定申請の代替となり、認定調査が不要なため、相談から利用開始までのリードタイムが短いのが特徴です。
現場での運用ポイント
介護予防ケアマネジメントを担当する際の実務ポイント
地域包括支援センターの主任介護支援専門員や、委託先の居宅介護支援事業所で担当する介護支援専門員が押さえておきたい運用ポイントを整理します。
- 報酬単価が低い:2024年度報酬改定で介護予防ケアマネジメントA(Ⅰ)は442単位/月、A(Ⅱ)は472単位/月。要介護者向け居宅介護支援費(要介護1・2で1,086単位など)と比べて約3〜4割低く、件数を積みづらい構造があるため、A・B・Cの類型振り分けと業務効率化が経営上の鍵になります。
- 委託件数の上限緩和:従来は介護支援専門員1人あたり要支援者の受託件数に上限がありましたが、2024年度改定で居宅介護支援費の取扱件数計算から除外され、実質的に受託拡大が可能になりました。
- 委託連携加算300単位:地域包括支援センターが居宅介護支援事業所に委託する際の初回限定加算。月1回・利用者1人につき1回限度。情報連携の手間を評価する加算です。
- 自立支援志向のケアプラン:要介護化を防ぐ視点が問われるため、「できること・したいこと」を起点に短期目標を設定し、サービス卒業を意識した計画立案が求められます。
- 地域ケア会議との接続:困難事例や地域課題は地域ケア会議(個別/圏域)に上げ、地域資源の発掘と連動させることで、住民主体B型サービスへの送り出しがスムーズになります。
よくある質問
介護予防ケアマネジメントに関するよくある質問
- Q1. 要支援1ですが、介護予防ケアマネジメントを受けると料金はかかりますか?
- A. 介護予防ケアマネジメント自体の利用者負担はありません(10割が保険給付・公費)。総合事業のサービス利用料は所得に応じて1〜3割の自己負担が発生します。
- Q2. 介護予防支援と介護予防ケアマネジメントを両方使うことはできますか?
- A. 予防給付と総合事業を併用する場合は介護予防支援に一本化されます。ケアプランも1本にまとめます。総合事業のみを利用する場合に介護予防ケアマネジメントが適用されます。
- Q3. 介護予防ケアマネジメントを担当できるのは誰ですか?
- A. 地域包括支援センターに配置される3職種(保健師等・社会福祉士・主任介護支援専門員)と、委託を受けた指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員です。
- Q4. ケアプランの有効期間はどのくらいですか?
- A. 介護予防サービス計画の標準的な有効期間は、状態が安定している場合でおおむね6カ月。期間終了時に評価と必要に応じた更新を行います。
- Q5. 居宅介護支援事業所として委託を受けるメリットは何ですか?
- A. 2024年度改定で取扱件数のカウント除外と委託連携加算300単位の創設により、要介護者の依頼が少ない時期の収益補填や、地域の支援者として包括支援センターとの連携深化を図れます。
参考資料
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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