構造化面接とは
介護職向け

構造化面接とは

構造化面接とは、評価項目・質問内容・順序・評価基準を事前に定め、全候補者に同じ手順で行う面接手法です。面接官による評価のばらつきを抑えます。厚生労働省が公正な採用選考で求める「質問項目と評価基準の事前決定」とも一致します。

ポイント

この記事のポイント

構造化面接とは、評価する項目・質問内容・質問の順序・評価基準をあらかじめ定め、すべての候補者に同じ手順で実施する面接手法です。面接官の裁量で話題が変わる非構造化面接(自由面接)と対になる考え方で、候補者どうしの比較可能性を高め、面接官による評価のばらつきを抑えることを狙います。厚生労働省も公正な採用選考の観点から、面接に先立って質問項目と評価基準を決めておくよう求めています。

目次

構造化面接の定義と3つの型

面接は、事前にどこまで型を決めるかによって3つに整理できます。

質問項目評価基準特徴
構造化面接事前に確定し、全候補者に同一事前に確定比較可能性が高い。その場での深掘りの自由度は低い
半構造化面接共通の必須質問に面接官の追加質問を足す事前に確定比較可能性と個別性を両立する折衷型
非構造化面接(自由面接)面接官が任意に決める面接官の裁量面接官ごとに評価が割れやすい

労働政策研究・研修機構の記事では、構造化面接を「社内の採用基準を統一したうえで、基準に沿って受検者にみな同じように質問をしていく」やり方として説明しています。介護のように現場の管理者やユニットリーダーが面接官を兼ねる職場では、面接官によって見ている点がそもそも違うことが起きやすいため、この統一が実際的な意味を持ちます。

石川労働局の公正な採用選考ハンドブックも、面接試験を取り入れる場合は評定しようとする要素を明らかにし、それに応じた質問内容と評定基準・評定方法をあらかじめ定めて統一しておかなければならないとしています。構造化面接は、この手続きを制度として固定したものと言えます。

介護の離職理由から評価軸を逆算する

構造化面接で最初に決めるのは質問文ではなく評価軸です。介護では、入職後に何が原因で辞めているかを起点に軸を組み立てると、面接で見るべき点が具体化します。

令和7年度介護労働実態調査によると、直前の仕事が介護関係だった中途採用者が前職を辞めた理由は「職場の人間関係に問題があったため」が27.3%で最も高くなっています。さらにその内訳では「上司や先輩からの指導や言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった」が45.8%と約半数を占めます。一方、介護労働者が現在の法人に就職した理由は「通勤に便利だから」が51.8%、「職場の人間関係がよさそうだったため」が35.1%、「自分のやりたい介護ができそうだったため」が34.2%の順です。

入る理由も辞める理由も人間関係とケア観に集中しているため、評価軸は次のような対人行動と価値観の領域に置くと、離職リスクの読み取りにつながります。

  • チーム内での対人行動(意見が食い違ったときに実際にとった行動)
  • 指導する側・される側の経験(後輩へどう伝えたか、指摘をどう受け止めたか)
  • ケアの方針や理念への向き合い方(施設の方針と自分の考えが違ったときの対処)
  • 変化への適応(人員配置やシフトが急に変わった場面での動き方)
  • 身体的・時間的な勤務条件への適合(夜勤や交替制勤務に対応できるか)

いずれも「どう思うか」ではなく「過去に実際にどうしたか」を、状況・課題・とった行動・結果の順で聞き取る形にすると、回答が具体化して評価者間で照合しやすくなります。

構造化面接と公正な採用選考の関係

厚生労働省は公正な採用選考の基本として、面接を行う場合も職務遂行のために必要となる適性・能力を評価する観点から、あらかじめ質問項目や評価基準を決めておき、適性と能力に関係のない事項を尋ねないよう留意するとしています。構造化面接は、この要請をそのまま運用に落とし込んだ形です。

質問を事前に固定しておくと、就職差別につながるおそれのある14事項(本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境、思想信条など)が場当たり的に飛び出す余地が減ります。厚生労働省の特設サイトでは、応募者から適性・能力以外の事項を把握されたと指摘があったもののうち「家族に関すること」の質問が多くを占め、面接の空気を和らげるために聞いてしまうケースが多いと注意を促しています。

介護の面接では、勤務条件の確認から家庭の事情に話が及びやすいという固有の事情があります。夜勤や早番に対応できるかという勤務条件そのものの確認は、職務遂行に必要な事項として行えます。しかしその理由として家族構成や同居者の状況を尋ねると、配慮すべき事項に踏み込みます。アイスブレイクを含めて質問文を書き出しておくことが、この境界を守る最も確実な方法です。

構造化面接に関するよくある質問

Q. 全員に同じ質問をすると個性が見えなくなりませんか

必須質問を全員共通にしたうえで、回答に対する掘り下げを面接官に許す半構造化の形をとれば、比較可能性と個別性は両立できます。掘り下げの観点(状況・課題・行動・結果)まで決めておくと、深さのばらつきも抑えられます。

Q. 面接官が1人しかいない事業所でも意味がありますか

あります。同じ面接官でも、日や候補者によって聞く内容が変われば比較ができません。ただし石川労働局のハンドブックは、面接資料を整備して面接担当者全員が所持して臨むこと、複数の担当者で評価することを求めており、可能であれば複数人で臨む形が望ましいとされています。

Q. 評価は何段階にすべきですか

公的に定まった段階数はありません。石川労働局のハンドブックでは、段階別(3段階、5段階など)に評定し、その結果を総合的に判断する方法が例示されています。

Q. 中途採用でも使えますか

使えます。むしろ職務経験のある中途採用のほうが過去の具体的な行動を聞き取りやすく、構造化と相性がよい面があります。介護は中途採用が中心のため、実務上は中途向けの設計から着手することになります。

構造化面接の参考資料

構造化面接のまとめ

構造化面接は、評価項目・質問・順序・評価基準を事前に定め、全候補者に同じ手順で行う面接手法です。面接官ごとに見る点が変わる状態を解消し、候補者を同じ物差しで比較できるようにします。

介護でこの手法が効くのは、離職理由が人間関係とケア観に集中しているからです。令和7年度介護労働実態調査では、介護関係の前職を辞めた理由の27.3%が「職場の人間関係に問題があったため」で、その約半数が上司や先輩からの指導・言動に関するものでした。評価軸をこの領域に置き、過去の行動を状況・課題・行動・結果の順で聞き取る設計にすると、面接の精度が上がります。さらに、質問を事前に固定しておくことは、就職差別につながるおそれのある14事項を避けるうえでも有効です。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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