応募が来る介護求人票の書き方|法定明示11項目を欄ごとにチェックする
介護職向け

応募が来る介護求人票の書き方|法定明示11項目を欄ごとにチェックする

介護施設の採用担当者向けに、応募が集まる求人票の書き方を解説。職業安定法が定める法定明示11項目と2024年4月追加の「変更の範囲」を求人票の欄ごとに対応づけ、夜勤・処遇改善加算・送迎など介護特有の誤解を生む欄をNG例と修正例で整理します。

ポイント

この記事のポイント

介護施設の求人票は、職業安定法第5条の3と同法施行規則第4条の2第3項が定める11項目の明示から組み立てます。2024年4月からは「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準(更新上限を含む)」の3項目が追加されました。介護では、夜勤の回数と手当の内訳、処遇改善加算を含んだ賃金の見せ方、送迎業務の有無を書き分けることが、応募数と入職後のミスマッチ離職の両方を左右します。

目次

求人を出しても応募が来ない。ようやく採用できても数か月で辞めてしまう。介護の採用担当者からよく聞くこの2つの悩みは、実は同じ書類から生まれていることが少なくありません。求人票です。

求人票は「募集を告知する紙」ではなく、労働条件を法的に明示する書面であり、同時に求職者が数十件を並べて比べる比較資料でもあります。法令が求める最低限を満たしていない求人票は、公開停止や指導の対象になるだけでなく、入職後の「聞いていた話と違う」を生み、早期離職に直結します。逆に、法令が求める項目をていねいに書き切った求人票は、それだけで情報量が競合を上回り、応募のハードルを下げます。

この記事は、介護施設や事業所で求人を出す側の方に向けて、求人票の各欄を「法令が何を求めているか」と「介護の現場で何を書けば伝わるか」の2軸で整理します。求職者向けの読み方の記事ではありません。書く側が手元に置いて、公開前に1欄ずつ潰していけるチェックリストとして使える構成にしています。

書き直す前に確認したい前提|「人が来ない」の中身はサービス種別で違う

求人票の文面に手を入れる前に、自分の事業所が採用のどこでつまずいているのかを切り分けておくと、直す欄が決まります。公益財団法人介護労働安定センターの『令和7年度介護労働実態調査』(事業所調査)は、その切り分けに使える公表値をいくつも持っています。

全体像:不足感は上昇、採用率の回復はごくわずか

同調査によると、従業員が不足していると回答した事業所(「大いに不足」「不足」「やや不足」の合計)は65.8%で、前年度の65.2%から上昇しています。訪問介護員は82.9%と7職種のなかで最も高い水準です。一方、訪問介護員と介護職員を合わせた2職種の採用率は14.6%で2年ぶりに上昇したものの、上昇幅は0.3ポイントにとどまり、低い水準が続いています。離職率は12.4%で横ばい、29歳以下に限ると17.3%と他の年齢層より高く、若年層の定着が課題になっています。

「人数」の問題か「質」の問題かで、直す欄が変わる

同調査の「採用した従業員の人数や質の評価」(n=7,170)は、求人票の課題を切り分けるうえで特に有用です。全体では次の分布になっています。

評価全体
人数・質ともに確保できていない30.6%
質には満足だが、人数は確保できていない27.6%
人数は確保できているが、質には満足していない22.2%
人数・質ともに確保できている19.7%

この分布はサービス種別で大きく異なります。「人数・質ともに確保できていない」の割合は、施設系(入所型)で42.0%、居住系で38.6%と高く、訪問系29.2%、施設系(通所型)25.4%、居宅介護支援16.0%と続きます。

ここから読めることは単純です。「人数が足りない」が主訴の事業所は、まず求人票が検索結果で開かれているか、開かれた後に条件で落とされていないかを疑います。直す欄は職種名、賃金、就業時間、休日です。一方「質に満足していない」が主訴なら、応募自体は来ているのに求める人物像が伝わっていない可能性が高く、直す欄は仕事の内容、必要な免許・資格、応募要件の書き分けになります。同じ「求人票を直す」でも、触る欄はまったく別です。

求人票の文面は、ハローワーク以外にも効く

「うちはハローワーク経由の採用が中心ではないから」と求人票を軽視するのは早計です。同調査で労働者が現在の法人に就職した主な経路は、「友人・知人からの紹介」が33.8%で最も高く、次いで「ハローワーク」が19.4%です。勤続1年未満に限ると、1位は同じく「友人・知人からの紹介」(29.3%)ですが、2位は「求人情報サイト」(21.3%)に入れ替わります。

ハローワークの求人申込書に書いた仕事の内容や賃金の内訳は、そのまま自社サイトの募集要項や求人情報サイトの原稿にも転記されるのが一般的です。法令が求める明示事項を最初に求人申込書で整理しておけば、どの媒体に出すときも土台を使い回せます。チャネルごとの効果の違いは介護の採用チャネル別「効果率」で詳しく比較しています。

【逐条チェックリスト】職業安定法が求める法定明示11項目と介護での書き方

労働者を募集する者は、職業安定法第5条の3第1項により、従事すべき業務の内容および賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません。その具体的な中身は同法施行規則第4条の2第3項に列挙されており、次の11項目です。うち3項目(★印)は2024年4月に追加されたものです。

#法定明示事項介護求人票での書き方の要点
1従事すべき業務の内容(★業務の変更の範囲を含む)身体介護・生活援助の別、対象となる利用者像、担当フロアやユニットの規模、送迎や記録などの付随業務まで具体化する
2労働契約の期間期間の定めの有無。定めありなら開始日と終了日を明記する
3試みの使用期間(試用期間)期間の長さ。期間中の労働条件が異なる場合は、その条件も別に明示する(施行規則第4条の2第6項)
4★有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)「勤務成績、態度により判断する」など具体的に。上限があるなら「通算契約期間は4年を上限とする」等を明記する
5就業の場所(★就業場所の変更の範囲を含む)雇入れ直後の事業所名と、法人内の他事業所やサテライトへの異動見込みの範囲
6始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日交替制なら全シフトのパターン。夜勤は回数と仮眠の有無まで書く
7賃金(臨時に支払われる賃金・賞与等を除く)の額基本給と定額的に支払われる手当を分けて記載。固定残業代がある場合は後述の3点セットを必ず添える
8健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険の適用加入保険を列挙する。「社会保険完備」だけで済ませない
9労働者を雇用しようとする者の氏名または名称実際に雇用契約を結ぶ法人名。運営ブランド名だけにしない
10派遣労働者として雇用しようとする旨該当する場合のみ。「雇用形態:派遣労働者」と明示する
11就業の場所における受動喫煙を防止するための措置「屋内禁煙」「屋内原則禁煙(喫煙専用室あり)」など、実態に合う区分を選ぶ

すべてを求人票に書き切れないときの扱い

厚生労働省のリーフレットは、求人広告のスペースが足りないなどやむを得ない場合には「詳細は面談時にお伝えします」と付したうえで、労働条件の一部を別のタイミングで明示することも可能としています。ただしその場合でも、原則として面接などで求職者と最初に接触する時点までに、すべての労働条件を明示する必要があります。「面接で説明するから求人票では省く」を常態化させると、応募検討の段階で比較材料が不足し、そもそも応募に至りません。

明示した内容は記録して保存する

見落とされがちですが、施行規則第4条の2第7項は、明示した従事すべき業務の内容等に関する記録を、当該募集が終了する日(その後に労働契約を締結しようとする者については契約締結日)までの間保存することを求めています。求人原稿は媒体側で差し替わっていくため、公開のたびに原稿のコピーを日付付きで残す運用にしておくと、後日の照会にも耐えられます。

2024年4月に追加された3項目|介護の職種で「変更の範囲」をどう書くか

2024年4月1日施行の改正職業安定法施行規則で、募集時に明示すべき労働条件に3項目が追加されました。厚生労働省のリーフレットは「変更の範囲」を、雇入れ直後にとどまらず、将来の配置転換など今後の見込みも含めた、締結する労働契約の期間中における変更の範囲と定義しています。介護は法人内に複数の事業所とサービス種別を抱えることが多く、この欄の書き方が実務上いちばん悩ましいところです。

① 従事すべき業務の変更の範囲

厚生労働省の記載例は「(雇入れ直後)一般事務 (変更の範囲)●●事務」という形式です。介護に置き換えると、次のような書き分けになります。

  • 変更の予定がない場合:「(雇入れ直後)特別養護老人ホームでの介護業務 (変更の範囲)変更なし」
  • 同一法人内で職種が変わりうる場合:「(雇入れ直後)施設内での介護業務 (変更の範囲)当法人が運営する介護保険サービスに係る業務全般(訪問介護、通所介護を含む)」
  • 役割の広がりが見込まれる場合:「(雇入れ直後)介護職員 (変更の範囲)介護職員およびユニットリーダー等の管理業務」

訪問介護と施設内介護は、身体的負担も1日の動き方も大きく違います。将来的に訪問へ回る可能性があるのに「変更なし」と書くと、明示義務違反のリスクに加えて、異動を打診した時点での離職を招きます。逆に、可能性が低いのに範囲を広く取りすぎると、応募者にとっては「何をやらされるか分からない求人」に見えて敬遠されます。実際の人事運用に即した範囲を書くのが結局いちばん応募に効きます。

② 就業場所の変更の範囲

厚生労働省の記載例は「(雇入れ直後)大阪支社 (変更の範囲)本社および全国の支社、営業所」「(雇入れ直後)渋谷営業所 (変更の範囲)都内23区内の営業所」といった形です。介護では次のように書きます。

  • 「(雇入れ直後)特別養護老人ホーム○○ (変更の範囲)当法人が○○市内に運営する事業所」
  • 「(雇入れ直後)訪問介護事業所○○ (変更の範囲)変更なし(サテライト事業所を含む)」

介護職の応募者は通勤時間を重視します。「全国の事業所」とだけ書かれた求人票は、地域限定で働きたい人を最初の段階でふるい落とします。地域限定の運用をしているなら、そのことをこの欄で明言するほうが応募は増えます。

③ 有期労働契約を更新する場合の基準

更新の有無、判断基準、そして通算契約期間または更新回数に上限がある場合はその上限までを書きます。厚生労働省は「諸般の事情を総合的に考慮したうえで判断する」といった抽象的な表現ではなく、「勤務成績、態度により判断する」「会社の経営状況により判断する」など具体的に記載することが望ましいとしています。記載例は次のとおりです。

  • 「契約の更新 有(契約期間満了時の業務量、勤務成績により判断)/通算契約期間は4年を上限とする。」
  • 「契約の更新 有(自動的に更新する)/契約の更新回数は3回を上限とする。」

介護では、定年後再雇用や登録ヘルパーを有期契約で運用している事業所が多く、この欄が空欄のまま公開されているケースが目立ちます。上限の有無は無期転換の見通しに直結する情報であり、書いていないこと自体が不信の材料になります。

面接の途中で条件が変わったら、その都度明示する

職業安定法第5条の3第3項は、当初明示した労働条件を変更する場合に加え、施行規則第4条の2第1項が定める「明示した範囲内で特定する場合」「明示した内容を削除する場合」「内容を追加する場合」にも、変更明示を求めています。選考の過程で勤務地を1か所に絞った、夜勤なしの条件を追加した、といった調整はすべて対象です。厚生労働省はこの明示を速やかに行うよう求めています。

介護求人票で誤解を生みやすい6つの欄|NG記載例と修正例

ハローワークに寄せられる「求人票の記載内容と実際の労働条件が違う」という申出・苦情のうち、最も多い内容は賃金に関すること(固定残業代を含む)です。介護でも事情は同じで、そこにシフトと業務範囲の特殊性が加わります。ここでは実務でつまずきやすい6欄を、NG記載例と修正例の形で整理します。

① 賃金欄:処遇改善加算を含めた「高見せ」

NG例:「月給28万円以上(処遇改善加算含む)」

修正例:「基本給18万5,000円/職務手当2万円/処遇改善手当2万5,000円(介護職員等処遇改善加算の算定に基づき支給。加算区分の変更により改定する場合があります)/夜勤手当1回7,000円(月4回想定で2万8,000円) 合計25万8,000円(夜勤4回を含む場合)」

介護職員等処遇改善加算は、加算率がサービス種別と算定区分によって異なり、事業所内での配分も柔軟に行える仕組みです。厚生労働省の処遇改善に関する特設ページでは、令和8年6月から加算がさらに拡充されることが案内されています。つまり支給額は制度側でも事業所側でも動きうるため、「加算含む」の一言で総額に溶かし込むと、後の改定時に説明がつかなくなります。手当として切り出し、算定に連動する旨を添えるのが安全です。

また、ハローワークの求人者向け案内は、求人票の「賃金」欄の下限額を「応募基準を最低限満たす人を採用した場合に支払う予定の金額」と定義しています。経験者と未経験者で幅がある場合は、下限額には低いほうの金額を記載したうえで、特記事項欄に経験・資格別の賃金額を書き分けます。

② 夜勤:回数と手当の内訳が書かれていない

NG例:「夜勤あり 夜勤手当支給」

修正例:「夜勤は月4回から5回程度(16時間夜勤、休憩120分・仮眠室あり)。夜勤手当は1回7,000円(深夜割増賃金を含まない額。深夜帯の割増賃金は別途支給)」

労働基準法第37条第4項は、午後10時から午前5時までの労働に対して通常の労働時間の賃金の2割5分以上の割増賃金を支払うことを使用者に義務づけています。夜勤手当がこの深夜割増を含んでいるのか、別枠なのかは求職者が最も知りたい点であり、書いていない求人票は最初に候補から外されます。厚生労働省とハローワークが福祉・介護分野の事業主向けに出している資料も、夜勤がある場合は回数、手当の有無、シフトの体制を記入するよう促しています。

③ 固定残業代:3点セットが揃っていない

NG例:「月給24万円(みなし残業20時間分含む)」

修正例:「基本給21万円(下記手当を除く額)/固定残業手当3万円(時間外労働の有無にかかわらず、20時間分の時間外手当として支給)/20時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給」

厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークの連名リーフレットは、固定残業代制を採用する場合に、次の3点すべてを募集要項や求人票に明示するよう求めています。

  1. 固定残業代を除いた基本給の額
  2. 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
  3. 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨

なお『令和7年度介護労働実態調査』では、1週間の残業時間について「残業時間なし」が56.3%、「5時間未満」が26.7%で、合わせて8割を超えます。残業が実際にはほとんどない事業所が固定残業代で見かけの月給を膨らませるのは、応募後の不信を招くだけで得がありません。残業が少ないなら、それ自体を売りとして書いたほうが強い訴求になります。

④ 人員配置:根拠のない「手厚さ」の主張

NG例:「業界トップクラスの手厚い人員配置」

修正例:「1ユニット9名の入居者を、日勤帯は介護職員2名体制で担当します。夜勤は2ユニット18名を1名で担当し、フロア内に看護職員のオンコール体制があります」

職業安定法第5条の4第1項は、求人に関する情報について虚偽の表示または誤解を生じさせる表示を禁じています。「手厚い」「トップクラス」といった主観的な形容は、比較の基準が示されないかぎり誤解を生じさせる表示になりかねません。数字で書けば誤解も生まれず、しかも読み手には具体的に伝わります。

⑤ 送迎業務:あとから出てくる付随業務

NG例:「デイサービスでの介護業務全般」

修正例:「通所介護での介護業務(入浴介助、機能訓練の補助、記録作成)。送迎業務あり(普通自動車免許・AT限定可、社用車の軽自動車およびワゴン車を使用。週2回程度、朝夕各1時間程度)」

送迎の有無と運転する車種は、応募するかどうかを分ける決定的な条件です。免許はあるが大きな車の運転に不安がある人、送迎を避けたい人は一定数います。募集後に「実は送迎もある」と伝わる形は、選考辞退と早期離職の両方を生みます。付随業務は仕事の内容欄に書き切ってしまうほうが、結果として選考効率が上がります。

⑥ 職種名:サービス種別が入っていない

NG例:「介護職員」

修正例:「介護職員(特別養護老人ホーム)」「介護職員(認知症対応型グループホーム)」「訪問介護員(登録ヘルパー・直行直帰可)」

厚生労働省の求人申込書記入例も、職種欄について「介護職員」だけでは不十分とし、「介護職員(特別養護老人ホーム)」のようにサービス種別まで書くことを求めています。求職者は求人検索の一覧画面で職種名だけを見て開くかどうかを決めます。ここでサービス種別が分からない求人は、勤務形態が想像できないぶん開かれません。

サービス種別ごとに「仕事の内容」欄で書き分ける項目

厚生労働省と都道府県労働局・ハローワークが福祉・介護分野の事業主向けに公表している資料は、仕事の内容欄について、どのような人にどのような介助・支援を行うのか、担当する業務の範囲と求められるスキル・使用用具の種別・責任の度合い、そして学歴や資格が必要不可欠なのか望ましいだけなのかを、できる限り明確に記入するよう求めています。ここではサービス種別ごとに、書き落としやすい項目を挙げます。

特別養護老人ホーム・介護老人保健施設(施設系・入所型)

  • 入居定員と、1人が担当するフロアまたはユニットの規模(例:1フロア10室を複数名のチームで担当)
  • ユニット型か従来型か。ユニット型なら1ユニットの人数
  • 夜勤の回数、1回の勤務時間(16時間夜勤か8時間3交替か)、仮眠室の有無
  • 看取りへの対応の有無と、そのときの体制
  • 医療的ケアの範囲(喀痰吸引等研修修了者の配置状況を含む)

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

  • 1ユニットの入居者数と全室個室かどうか
  • 介護業務に加えて調理・洗濯・買い物などの家事が含まれる旨(含まれるならその範囲)
  • 夜勤は1ユニット1名体制か、複数ユニットの兼務か
  • 入居者の要介護度の分布(例:要支援2から要介護3が中心)

通所介護・通所リハビリテーション(施設系・通所型)

  • 1日の利用者数と職員の配置人数
  • 送迎の有無、運転する車種、担当頻度、免許の条件(AT限定可かどうか)
  • 入浴介助の有無と1日の対応件数
  • レクリエーションや機能訓練の企画を担当するかどうか

訪問介護

  • 訪問エリアの範囲と移動手段(社用車・自転車・公共交通機関)
  • 身体介護と生活援助の比率、対象となる利用者像
  • 登録ヘルパーの場合は、直行直帰の可否、移動時間の取り扱い、キャンセル時の補償
  • 同行研修の期間(例:入職後1か月間は主任介護員が同行)

居宅介護支援(ケアマネジャー)

  • 1人あたりの担当利用者数と、事業所に在籍するケアマネジャーの人数
  • 新規のケアプラン作成が月に何件程度発生するか
  • 要介護認定の申請代行や訪問調査を担当するかどうか、その件数
  • 訪問時の移動手段(社用車の貸与があるか)

これらはいずれも、面接で必ず聞かれる項目です。先に求人票へ書いておけば、面接の時間を相互理解に使えるうえ、条件が合わない応募者が自ら見送るため、選考の空振りが減ります。求人票の文字数が多いほど応募者が多いという調査結果があることも、同資料は紹介しています。

出しっぱなしにしない|「正確かつ最新」に保つ義務と公開後の運用

求人票は公開した時点で仕事が終わるわけではありません。令和4年10月1日に施行された職業安定法第5条の4は、求人等に関する情報の的確な表示を求めており、内容は大きく2つに分かれます。

虚偽の表示・誤解を生じさせる表示の禁止(第1項)

求人または労働者の募集に関する情報を提供するときに、虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならない、という規定です。実在しない好条件を並べる行為はもちろん、実態と乖離した平均値や、条件付きでしか支給されない手当を常時支給のように見せる書き方も、誤解を生じさせる表示に当たり得ます。

正確かつ最新の内容に保つ義務(第2項)

労働者の募集を行う者は、募集に関する情報を正確かつ最新の内容に保たなければならない、と定められています。介護の現場では、次のような「古いまま残っている求人」が起こりがちです。

  • すでに充足した職種の募集が、複数媒体に残ったままになっている
  • 賃金改定や処遇改善加算の区分変更を反映していない金額が掲載され続けている
  • 事業所の移転やサテライトの開設で、就業場所の記載が実態と合わなくなっている
  • 人員体制が変わり、求人票に書いた夜勤の回数と実態がずれている

採用が決まった時点で募集を終了する、賃金改定のたびに全媒体の原稿を洗い替える、という2つの運用を年間のスケジュールに組み込んでおくと、この義務は自然に満たせます。

罰則の対象になる行為

職業安定法第65条は、同条各号に該当する違反行為をした者を6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処すると定めています。求人に関係するのは主に次の2つです。

  • 第9号:虚偽の広告をなし、または虚偽の条件を提示して、労働者の募集等を行ったとき
  • 第10号:虚偽の条件を提示して、公共職業安定所または職業紹介を行う者に求人の申込みを行ったとき

あわせて、厚生労働省の資料によると、ハローワークは求人条件と実際の労働条件が異なるという相談等を受けた場合、全国のハローワークで迅速な事実確認と必要な是正指導を行い、法違反のおそれなどがある場合には当該求人の職業紹介の一時保留や求人の取消を実施することとしています。また選考結果の確認時に求人条件と採用条件に相違がある場合は、具体的な変更点とその理由を確認し、必要に応じて是正指導が行われます。

選考結果の通知と、採否の連絡

公開後の運用でもう1つ抜けがちなのが、応募者への連絡です。ハローワークの求人申込書には選考結果通知の日数を記入する欄があり、応募者にはその日数以内に必ず連絡することが求められます。選考が遅れる場合も、その日数以内に事情を説明し、あわせてハローワークにも連絡します。応募書類は重要な個人情報であり、原則として応募者に返却します。

さらに職業安定法施行規則第4条の2第8項は、公共職業安定所から求職者の紹介を受けた求人者に対し、その者を採用したかどうか、採用しない場合はその理由を、速やかに通知することを求めています。連絡が遅い事業所という評判は、地域の介護業界では想像以上に速く共有されます。求人票の文面をどれだけ磨いても、この運用が崩れていれば応募は戻ってきません。

応募につながる書き方の実務ポイント

賃金欄の下限額は「守れる額」を書く

ハローワークの求人者向け案内は、賃金欄の下限額を「応募基準を最低限満たす人を採用した場合に支払う予定の金額」と説明し、応募者は少なくとも下限額が支払われるものと期待して応募しているため、記載した金額は順守するよう求めています。未経験者と経験者で幅があるなら、下限額は低いほうを書いたうえで、その他の手当等付記事項欄や特記事項欄に経験・資格別の賃金額を詳しく書きます。試用期間中の賃金が異なる場合は、試用期間欄にその条件をできるだけ詳しく書きます。

特記事項欄に「生活が想像できる金額」を足す

ハローワーク求人票の賃金欄は、他の求人と比較しやすいよう「基本給」と「定額的に支払われる手当」の合計を表示し、皆勤手当のように一定の条件を満たした場合にのみ支給される手当は含めない設計になっています。そのため賃金欄だけでは実際の手取り感が伝わりません。厚生労働省の資料は、備考欄や求人条件にかかる特記事項欄に、諸手当を含む総支給額の下限、経験者に対する下限給与額、在職従業員の具体的な賃金例を記入することを勧めています。ただし、過度な残業を行った場合の金額を総支給額として表示するような誇大表現は、削除・訂正の対象になります。

昇給・賞与の欄を空欄にしない

昇給と賞与は前年度の実績額を記入します。実績がなかった場合でも空欄にせず「なし」を選びます。空欄の求人票は求職者に不安を与えるためです。実績があるなら、「資格取得後は資格手当を含めて月額○円程度のベースアップが見込まれます」「当法人の基準による能力・経験の評価に基づく昇給があります」のように、上がり方まで書くと差がつきます。

賃金を上げられないときに書ける項目を先に洗い出す

『令和7年度介護労働実態調査』では、採用に効果があったとする方策のうち最も割合が高いのは「賃金水準の向上」(38.4%)でした。ただし、すぐに賃金を動かせない事業所も多いはずです。同調査では、事業所が実施している方策として「有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」が75.4%で最も高く、「人間関係が良好な職場づくり」が74.2%で続きます。前者は職場定着に効果があったとする割合も57.9%で最も高い項目です。すでに取り組んでいるのに求人票に書いていない項目がないか、公開前に棚卸ししてください。書いていない施策は、応募者にとって存在しないのと同じです。

未経験者の入り口を具体的に書く

厚生労働省の資料は、未経験でも応募可能であれば、現場でどのように仕事を覚えていくかを具体的に書くよう勧めています。「未経験歓迎」だけでは、応募者は自分が続けられるかを判断できません。「初めての方にはスタッフがマンツーマンで指導します」「まずは簡単な生活支援の業務から始め、ベテラン職員の指導により介助業務を少しずつ覚えていただきます」といった記述に置き換えます。同資料は、資格取得支援(費用負担や休暇付与)、院内保育所の完備、最寄り駅からの職員送迎といった条件も、書き落とされやすい項目として挙げています。

離職理由から逆算して書く欄を決める

『令和7年度介護労働実態調査』によると、中途採用の介護労働者が直前の介護関係の仕事を辞めた理由で最も高いのは「職場の人間関係に問題があったため」で27.3%、その具体的な内容としては「上司や先輩からの指導や言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった」が45.8%と約半数を占めます。応募者はこの経験を持ったまま次の職場を探しています。指導体制、相談窓口、面談の頻度、ハラスメント対応の仕組みを会社の特長欄や特記事項欄に具体的に書くことは、賃金以外で選ばれるための現実的な手段です。

写真と紹介制度を組み合わせる

ハローワークでは、求職者が求人を検索する際に写真やパンフレットの画像を求人票とあわせて閲覧できる仕組みがあり、求人申込みの際に施設内外の写真の提供が求められています。文章で伝えきれない職場の雰囲気は画像に任せるのが効率的です。あわせて、職員紹介からの応募が最も多い経路であることを踏まえると、求人票の整備と紹介制度の設計はセットで考える価値があります。制度の作り方は介護のリファラル採用(職員紹介制度)の作り方で、地域ごとの競合環境は介護の「大手法人シェア」都道府県ランキングで扱っています。

よくある質問

Q. 「変更の範囲」は、変更の予定がなくても書く必要がありますか

A. 必要です。2024年4月以降、従事すべき業務の内容と就業の場所については「変更の範囲」を含めて明示することが求められています。変更する予定がない場合も、その欄に「変更なし」と記載します。空欄のままにすると明示していないことになります。

Q. 求人票の文字数制限で全部書けません。どうすればよいですか

A. 厚生労働省のリーフレットは、スペースが足りないなどやむを得ない場合に「詳細は面談時にお伝えします」と付したうえで、労働条件の一部を別のタイミングで明示することを認めています。ただし原則として、面接など求職者と最初に接触する時点までにすべての労働条件を明示する必要があります。優先順位としては、賃金の内訳、夜勤の回数、送迎の有無など、応募判断に直結する項目を求人票側に残します。

Q. 面接で勤務地を1か所に絞り込みました。これも変更明示の対象ですか

A. 対象です。職業安定法施行規則第4条の2第1項は、当初明示した労働条件の範囲内で内容を「特定」する場合も明示の対象としています。ほかに、明示した内容を「削除」する場合、内容を「追加」する場合も同様です。厚生労働省は、この明示を速やかに行うよう求めています。

Q. 処遇改善加算の分は、賃金欄に含めてよいのですか

A. 実際に毎月定額で支給しているなら、定額的に支払われる手当として計上できます。ただし「加算含む」とだけ書いて総額に溶かし込む形は避け、手当として金額を切り出したうえで、加算の算定区分に連動して改定される可能性がある旨を添えるのが安全です。介護職員等処遇改善加算は加算率や区分が制度側で見直されるため、金額を固定的に約束したように読める書き方はトラブルのもとになります。

Q. 夜勤手当に深夜割増賃金は含められますか

A. 労働基準法第37条第4項は、午後10時から午前5時までの労働について、通常の労働時間の賃金の2割5分以上の割増賃金の支払いを義務づけています。夜勤手当がこの割増賃金を兼ねる設計自体は取り得ますが、その場合は割増賃金に相当する部分が判別できる形で示す必要があります。求人票では「夜勤手当1回○円(深夜割増賃金を含む/含まない)」と明記し、含む場合は内訳が分かるようにします。

Q. 応募が来ないので賃金の上限だけ引き上げて掲載してもよいですか

A. 望ましくありません。ハローワークの求人者向け案内は、賃金欄の下限額を「応募基準を最低限満たす人を採用した場合に支払う予定の金額」と定義し、記載額の順守を求めています。上限だけを釣り上げても、応募者が期待するのは下限額であり、面接での提示額とのギャップが辞退につながります。上限に幅を持たせるなら、その額が支払われる条件(保有資格、経験年数、役職)を特記事項欄に明記します。

Q. 求人票に書いた条件を、採用後に変更してもよいですか

A. 求人票に記載された労働条件はそのまま採用後の労働条件となることが期待されており、安易に変更してはならないとされています。やむを得ず変更する場合は、労働契約締結前に変更内容を明示する必要があります。あわせて、労働基準法第15条に基づき、労働契約の締結に際して賃金・労働時間その他の労働条件を書面などで明示する義務があるため、求人票と労働条件通知書の内容に相違がないかを必ず突き合わせます。

参考文献・出典

まとめ

介護の求人票づくりは、法令が求める最低限を満たすことと、応募者に選ばれることが対立しません。むしろ、職業安定法施行規則第4条の2第3項が挙げる11項目をていねいに書き切ろうとすると、業務の範囲、就業場所、シフト、賃金の内訳といった、求職者が最も知りたい情報が自然に埋まります。法定明示を「面倒な義務」ではなく「書くべき項目のチェックリスト」として使うのが、いちばん近道です。

公開前に、次の順で確認してください。第一に、法定明示11項目に空欄がないか。第二に、2024年4月に追加された「業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期契約の更新上限」が、実際の人事運用に即した内容で書かれているか。第三に、夜勤の回数と手当の内訳、固定残業代の3点セット、処遇改善加算の扱い、送迎の有無といった、介護で誤解を生みやすい欄が具体的に書けているか。第四に、「手厚い」「充実」といった主観的な形容を数字に置き換えられていないか。

そして公開後は、職業安定法第5条の4第2項が求めるとおり、情報を正確かつ最新に保ちます。充足した募集は止め、賃金改定と体制変更のたびに全媒体の原稿を洗い替え、応募者への連絡は約束した日数以内に行う。この運用まで含めて初めて、求人票は採用の道具になります。書き終えたら、自分の事業所の職員に読んでもらい、「この求人票の説明と、実際の1日は同じか」を確認してもらうのが、最も確実な最終チェックです。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

続けて読む

このテーマを深掘り

関連トピック

ご家族・ご利用者の視点

同じテーマをご家族・ご利用者の方の視点から書いた記事。視野を広げるためのヒントとして。