
車椅子の種類とは
車椅子の主な種類(自走式・介助式・電動・リクライニング・ティルト・モジュラー)の違いをJIS T9201規格と介護保険福祉用具貸与の枠組みから整理。要介護度・体格・使用場面で迷わない選び方を解説します。
この記事のポイント
車椅子の種類は大きく分けて自走式・介助式・電動式の3系統で、さらに姿勢保持の必要度に応じてリクライニング式・ティルト式・モジュラー式が派生します。JIS T9201:2016では手動車椅子を「自走用標準形・自走用座位変換形・介助用標準形・介助用座位変換形」の4区分に整理しており、介護保険では原則要介護2以上の方が福祉用具貸与で借りられます。
目次
車椅子の種類を分類する3つの軸
車椅子の種類は次の3軸で整理すると理解しやすくなります。第一は駆動方法で、利用者自身がハンドリムを回す「自走式」、介助者が押す「介助式」、モーターで動く「電動式」に分かれます。第二は姿勢変換機能で、座位姿勢を維持できる方向けの「標準形」と、長時間離床する方や体幹保持が難しい方向けに背もたれや座面を傾けられる「座位変換形(リクライニング・ティルト)」に分類されます。第三は個別調整の度合いで、規格品の「標準形」に対し、シート幅・座面高・アームサポート位置などを使う人の体格に合わせて細かく組み替えられる「モジュラー型」が存在します。
規格面ではJIS T9201:2016「手動車椅子」が自走用・介助用の標準形と座位変換形を、JIS T9203:2016「電動車椅子」が自操用・介助用の電動車椅子を規定しています。介護保険制度では車椅子は福祉用具貸与(レンタル)の対象種目で、原則として要介護2以上が給付対象です。要支援1・2、要介護1の軽度者は原則対象外ですが、疾病や状態により例外給付が認められるケースもあります。
車椅子の種類別の特徴
主要な6種類について、駆動方法・適応者像・JIS区分・使い分けのポイントを整理します。
- 自走式(自走用標準形):後輪が大径(22〜24インチが一般的)でハンドリムが付き、利用者自身で駆動できる。上肢機能と認知機能が保たれている方が対象。前輪はキャスター、4輪構成。
- 介助式(介助用標準形):後輪が中径(12〜20インチ程度)でハンドリムがなく、介助者の手押しハンドルとブレーキが操作の中心。コンパクトで折りたたみやすく、外出付き添いや施設内移動に適する。
- 電動式(自操用・介助用電動車椅子):JIS T9203:2016で規定。ジョイスティック型・ハンドル型などがあり、上肢の力が弱くても自走できる。屋外移動が多い方や長距離移動が必要な方に向く。
- リクライニング式(自走用・介助用座位変換形):背もたれを倒して姿勢を変えられる。長時間の座位保持が難しい方、食後の休憩を車椅子上で取りたい方に。
- ティルト式(座位変換形):背もたれと座面の角度関係を保ったまま全体を後傾できる。骨盤の前ずれを防ぎ、体圧分散により褥瘡リスクを下げる。重度の体幹保持困難な方に。
- モジュラー型:シート幅・奥行き・座面高・バックサポート角度・アームサポートを部品単位で組み替えられる調整自在型。体格が標準から外れる方、長時間使用する方、姿勢崩れを起こしやすい方に最適。
車椅子の選び方|3つの軸で絞り込む
- 要介護度と駆動能力で「自走・介助・電動」を選ぶ:上肢機能と認知機能が保たれていれば自立を促す自走式が第一選択。自力駆動が困難なら介助式、自力操作したいが体力が乏しければ電動式を検討します。
- 体格と座位耐久性で「標準形・座位変換形・モジュラー型」を選ぶ:身長・座幅・坐骨間距離を計測し、シート幅は坐骨間距離+2〜4cmが目安。長時間の座位保持が難しい場合や体幹が崩れやすい場合はリクライニング・ティルト・モジュラー型を検討します。
- 使用場面(屋内・屋外・施設内)で機種を絞る:屋内中心なら小回り重視のコンパクト介助式、屋外移動が多いなら大径後輪の自走式か電動式、段差や坂が多い環境なら走破性の高いタイヤ径と駆動力が必要です。
福祉用具専門相談員やケアマネジャー、看護師・リハビリ職と相談しながら、複数機種を試乗して決めるのが望ましい流れです。
レンタル vs 購入の判断軸
介護保険下では車椅子は福祉用具貸与(レンタル)が原則で、月額自己負担は1〜3割(標準形で月数百円〜千数百円程度のケースが多い)。状態変化に合わせて機種を変更できるのが利点です。一方、長期的に同一機種を使う見通しがあり、自分の体格に合わせて細かく調整したモジュラー型を所有したい場合は購入も選択肢になります。
- レンタルが向くケース:状態が変化する可能性がある/短期的な利用/複数機種を試したい/メンテナンスを業者に任せたい
- 購入が向くケース:長期に同一機種を使う見通し/体格にフィットしたモジュラー型を所有したい/介護保険対象外の機種(スポーツ用・特注品)
2024年4月から一部の固定用具で「貸与と購入の選択制」が導入されましたが、車椅子本体は引き続き貸与中心です。判断はケアマネジャーと福祉用具専門相談員に相談してください。
よくある質問
Q1. 自走式と介助式の見分け方は?
後輪のサイズとハンドリムの有無で見分けます。自走用標準形は後輪が22〜24インチの大径でハンドリム付き、介助用標準形は後輪が12〜20インチでハンドリムなし、押し手側にブレーキが配置されています。
Q2. JIS規格に適合した車椅子を選ぶメリットは?
JIS T9201(手動車椅子)・JIS T9203(電動車椅子)は寸法・強度・耐久性・安全性の基準を定めており、JISマーク表示品は一定の品質保証があります。介護保険貸与品の多くがJIS規格適合品です。
Q3. 身体寸法はどこを測ればよいですか?
シート幅は坐骨間距離、シート奥行きは膝窩から臀部までの長さ、座面高は膝窩から足底までの長さが基本計測点です。アームサポート高は座面から肘までを測ります。福祉用具専門相談員が同行して計測するのが一般的です。
Q4. 要介護1でも車椅子をレンタルできますか?
原則として要介護2以上が対象です。要支援1・2、要介護1の方は原則対象外ですが、疾病や状態によって市町村が認めた場合(例外給付)にはレンタル可能なケースがあります。ケアマネジャーに相談してください。
Q5. リクライニングとティルトの違いは?
リクライニングは背もたれだけが倒れて股関節の角度が開く動き。ティルトは背もたれと座面の角度関係を保ったまま全体が後傾し、骨盤の前ずれを防ぎながら体圧分散できる動きです。重度の姿勢保持困難な方ほどティルト併用が有効です。
参考資料
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まとめ
車椅子の種類は駆動方法・姿勢変換機能・個別調整度の3軸で整理でき、自走式・介助式・電動式・リクライニング式・ティルト式・モジュラー型が代表的な6カテゴリです。要介護度・体格・使用場面の3つで絞り込み、JIS T9201/9203適合品から選ぶのが基本です。介護保険下では原則要介護2以上が福祉用具貸与の対象で、ケアマネジャー・福祉用具専門相談員・看護師・リハビリ職と相談しながら試乗して決めてください。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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