共生型サービスとは

共生型サービスとは

共生型サービスは、2018年4月に創設された介護保険と障害者総合支援法の双方の指定を受けやすくする特例制度。対象サービス、報酬、65歳の壁問題への対応を解説します。

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この記事のポイント

共生型サービスとは、2018年4月の介護保険法・障害者総合支援法の改正で創設された、同一事業所が介護保険と障害福祉の両制度の指定を受けやすくする特例制度です。対象はホームヘルプ・デイサービス・ショートステイの3類型で、高齢者と障害者が同じ事業所で同種のサービスを利用できます。

目次

共生型サービスの位置づけと創設経緯

共生型サービスは、介護保険法と障害者総合支援法の双方に基づく指定を、従来より簡便な手続きで取得できるようにした「指定特例」の総称です。2017年の通常国会で成立した「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」により、2018年4月から施行されました。

これまで介護保険事業所と障害福祉事業所は、それぞれ別個の指定基準(人員配置・設備・運営)を満たす必要があり、両方の指定を取得するには二重の手続き・コストが発生していました。共生型サービスでは、片方の制度の指定を受けている事業所がもう一方の指定を受ける際、人員・設備基準の一部を緩和し、既存の体制のまま両制度の利用者を受け入れられるようにしています。

この仕組みの背景には、厚生労働省が打ち出した「地域共生社会」の理念があります。高齢者・障害者・児童といった対象者ごとに縦割りで整備されてきた福祉サービスを、地域単位で横断的に提供する方向への転換点として位置づけられています。

対象となる3類型

共生型サービスとして指定を受けられるのは、介護保険と障害福祉で内容が近似する以下のサービスです。

  • ホームヘルプ(訪問介護/居宅介護・重度訪問介護):自宅での身体介護・生活援助
  • デイサービス(通所介護/生活介護・自立訓練・児童発達支援・放課後等デイサービス):日中通所での介護・訓練
  • ショートステイ(短期入所生活介護/短期入所):短期間の宿泊を伴う介護

2021年度の介護報酬改定で「看護小規模多機能型居宅介護」も対象拡大の議論がありましたが、本記事執筆時点では上記3類型が中心です。

65歳の壁問題と共生型サービスのねらい

共生型サービス創設の最大の動機の一つは、「65歳の壁」と呼ばれる構造的な問題への対応です。障害福祉サービスを利用してきた人が65歳に達すると、介護保険優先の原則により、原則として介護保険サービスに移行することになります。これに伴い、以下のような不利益が発生していました。

  • 事業所の変更を強いられる:通い慣れた障害福祉事業所が介護保険指定を持たない場合、別の事業所へ転所が必要になる
  • 支援者・支援内容の断絶:信頼関係を築いた職員と離れ、生活パターンの再構築を強いられる
  • 自己負担の発生:障害福祉サービスは原則無料・低額だが、介護保険は1〜3割の自己負担が発生する
  • サービス内容の質的変化:障害特性に応じた専門的支援から、加齢を前提とした介護中心の支援へ転換

共生型サービスは、片方の指定を取得済みの事業所がもう一方の指定を取りやすくすることで、利用者が65歳到達後も同じ事業所・同じ職員から継続的に支援を受けられる環境整備をねらいとしています。

通常の介護保険サービスとの違い

共生型サービスは、独立した新しいサービス類型ではなく、既存の介護保険・障害福祉サービスに付与される「指定特例」です。通常の指定との主な違いを整理します。

項目通常の指定共生型サービスの指定
対象利用者介護保険または障害福祉の片方のみ両制度の利用者を同一事業所で受入可
人員・設備基準制度ごとの完全な基準を満たす必要既存指定の基準を活用、追加要件は緩和
申請窓口制度ごとに別途申請追加指定として手続きを簡略化
介護報酬・障害報酬本来の単位数原則として通常より低めに設定(共生型加算で一部補完)
従事者の資格要件制度ごとに必要な資格を整備既存職員のままで対応可(研修等で補強)

報酬が通常より低く設定されている点は注意が必要です。これは、人員・設備基準が緩和されている分の調整であり、純粋な不利益ではありません。基準を満たして加算(共生型サービス体制強化加算など)を取得すれば、報酬水準を一定程度回復させることができます。

共生型サービスの指定を受ける流れ

既に介護保険または障害福祉のいずれかの指定を受けている事業所が、共生型サービスとしてもう一方の指定を取得するまでの基本的な流れは以下のとおりです。

  1. 事業所内での検討・体制整備:受入対象(高齢者/障害者/障害児)を絞り込み、現行のスペース・職員配置で対応可能か確認します。
  2. 所管自治体への事前相談:都道府県・指定都市・中核市の福祉指導課に共生型指定の意向を伝え、施設基準の差分を確認します。
  3. 必要書類の準備:定款変更、運営規程の整備、職員研修記録、利用契約書(両制度版)等を整えます。
  4. 指定申請:通常の指定申請と同様の様式で、共生型である旨を明記して提出します。
  5. 現地確認・指定:自治体による書類審査・現地確認を経て指定通知書が交付されます。
  6. 運営開始・実地指導対応:両制度の利用者を受け入れ、両制度の運営基準・記録要件に対応します。

手続き自体は通常の指定と同様ですが、既存指定と重複する部分(人員・設備)は書類を省略できる自治体が多く、申請負担は通常より軽くなります。

現場視点でのメリットと留意点

事業所・職員にとってのメリット

  • 稼働率の向上:高齢者と障害者の双方を受け入れることで、空き時間枠を埋めやすくなります。
  • 採用面の魅力:多様な利用者への支援経験を積めるため、若手職員・介護福祉士・社会福祉士のキャリア形成にプラスに働きます。
  • 収益源の分散:介護保険と障害福祉の両方から報酬を得ることで、制度改定リスクを分散できます。

運営上の留意点

  • 記録・請求の二重化:介護保険レセプトと障害福祉国保連請求は様式が異なるため、事務負担が増えます。
  • 利用者間のニーズ差:高齢者の身体介護中心の支援と、障害者の活動支援・社会参加支援では目標設定が異なります。アセスメントと個別支援計画の作成スキルが問われます。
  • 職員研修の追加:障害特性(知的・精神・身体・発達)への基礎知識、行動障害への対応、医療的ケアの理解など、介護現場では馴染みの薄い分野の学習が必要になります。
  • 報酬の低さ:通常指定より単価が低いため、加算(共生型サービス体制強化加算など)の取得を前提とした収支計画を立てる必要があります。

介護職として共生型サービス事業所で働く場合、障害福祉領域の知識が広がるため、将来的に相談支援専門員・サービス管理責任者・社会福祉士などへのキャリアチェンジにも有利に働きます。

共生型サービスに関するよくある質問

Q1. 共生型サービスは利用者から見ても新しいサービスですか?

サービス内容自体は通常のホームヘルプ・デイサービス・ショートステイと同じです。違いは、同一事業所で介護保険と障害福祉の両方の利用者を受け入れている点にあります。利用者・家族にとっては、サービスメニューが大きく変わるわけではありません。

Q2. 65歳になった障害福祉サービス利用者は必ず介護保険に切り替わりますか?

介護保険優先の原則に従い、介護保険でカバーできるサービスは介護保険が優先されます。ただし、障害福祉固有のサービス(同行援護・行動援護・自立訓練など)は引き続き障害福祉から受けられます。共生型サービス事業所であれば、介護保険に切り替わっても通い慣れた事業所を継続利用できる可能性が高まります。

Q3. 報酬が低めとのことですが、事業所側に経営的なメリットはありますか?

新規に両方の指定を取り直すよりも、初期投資・人件費の追加負担を抑えられる点が最大のメリットです。また、利用者層を広げることで稼働率を底上げでき、結果として収益安定化に寄与するケースが多く報告されています。

Q4. 介護職員に追加の資格は必要ですか?

共生型サービスの指定取得自体に追加資格は必須ではありませんが、障害特性に応じた支援を行うため、強度行動障害支援者養成研修、サービス管理責任者研修、相談支援従事者研修などを段階的に受講することが推奨されます。

Q5. 介護保険サービスの利用料は障害者でも1〜3割負担になりますか?

介護保険サービスとして利用する場合は介護保険のルール(原則1〜3割負担)が適用されます。ただし、低所得者向けの新高額障害福祉サービス等給付費など、自己負担を軽減する経過措置が設けられています。詳細は市町村の障害福祉窓口で確認してください。

出典・参考資料

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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