在宅リハビリ用具の選び方とは

在宅リハビリ用具の選び方とは

在宅で続けるリハビリに役立つ用具の選び方を解説。セラバンド・バランスクッション・歩行訓練具など主要5種の特徴と、訪問リハ・通所リハと組み合わせた継続のコツを紹介します。

ポイント

この記事のポイント

在宅リハビリ用具とは、訪問リハや通所リハの専門職による訓練に加えて、自宅でも継続できる運動・機能維持を目的とした器具の総称です。セラバンド(弾性チューブ)・バランスクッション・歩行訓練具・握力訓練具・関節可動域訓練具の5種が代表的で、目的(筋力・バランス・歩行・上肢機能)と本人の状態に応じて理学療法士(PT)・作業療法士(OT)が選定します。安全な継続には専門職への相談が前提です。

目次

在宅リハビリ用具とは

在宅リハビリ用具とは、医療機関や介護保険サービスのリハビリ室外、つまり利用者本人の自宅で実施する運動・機能訓練に用いる道具の総称です。訪問リハビリテーション(PT・OT・STが自宅訪問)や通所リハビリテーション(デイケア)で受ける専門職主導の訓練と、本人・家族が日常的に行う自主トレーニングをつなぐ位置づけにあります。

厚生労働省の介護報酬体系では「リハビリテーションマネジメント加算」が導入され、PT・OT・STが在宅生活全般を見据えて運動メニューを設計する流れが進んでいます。訪問・通所リハの時間は週1〜2回・40〜60分程度が一般的なため、機能維持や改善を狙うには合間の自主トレが鍵を握ります。

その自主トレを支えるのが本記事で扱う各種用具で、(1)目的(筋力・バランス・歩行・上肢機能・関節可動域)、(2)本人の身体状態・認知機能、(3)住環境の3点を踏まえて選びます。市販品の多くは1,000〜5,000円台で揃い、デイサービスや介護予防教室でも広く採用されています。一方で、誤った負荷設定や使い方は転倒・関節痛の悪化につながるため、導入時はリハ職に必ず相談するのが原則です。

主要な在宅リハビリ用具5種と使い分け

在宅で広く使われる用具を、目的別に5種類に整理しました。いずれもPT・OTが利用者の状態を評価したうえで負荷・回数・実施頻度を指示するのが安全です。

1. セラバンド(弾性チューブ)— 筋力訓練

ゴム製の伸縮バンドで、両端を持って引く・足で踏んで上げるなどの動作で抵抗負荷をかけます。色で強度が8段階程度に分かれており(一般に黄→赤→緑→青→黒の順で強くなる)、術後や筋力低下が著しい方でも軽い負荷から始められるのが利点です。下肢・上肢いずれにも応用でき、座位でも実施可能なので、立位保持が不安な方にも導入しやすい用具です。

2. バランスクッション/バランスディスク — 体幹・バランス訓練

空気を入れた円形のクッションで、座面や床に置いて不安定な土台を作り、体幹・下肢のバランス機能を高めます。座位で骨盤の前後傾を促す使い方、立位で片脚を乗せて重心移動を練習する使い方など、状態に応じて段階づけできます。必ず壁際や手すり付近で実施し、転倒リスクを下げます。

3. 歩行訓練具(杖・歩行器・平行棒型ハンドル)— 歩行・移動訓練

T字杖・四点杖・歩行器(シルバーカー含む)・室内用平行棒タイプの手すりなど、移動を支える用具群です。介護保険の福祉用具貸与の対象となるものも多く、ケアマネジャーと福祉用具専門相談員が住環境評価のうえで選定します。在宅では家具の配置・段差・床材との相性も重要で、PTによる動作確認が欠かせません。

4. 握力訓練具(ハンドグリッパー・セラパテ)— 上肢機能訓練

握力低下はサルコペニアやフレイル進行の指標とされ、要介護リスクと相関します。ばね式のハンドグリッパーや、粘土状で握り込むセラパテ(パテ粘土)を使い、握る・つまむ動作を反復します。OTがADL(食事・整容など)の動作回復に組み合わせるケースが多い用具です。

5. 関節可動域訓練具(ストレッチポール・タオル・滑車型器具)— 関節可動域維持

長時間座位や臥床で硬くなりがちな肩・股関節・体幹の可動域を保つための用具です。ストレッチポール(円柱型クッション)に背中を乗せて呼吸を整える使い方や、タオルを両手で持って肩を回す簡易ストレッチも含まれます。痛みが出る範囲では絶対に動かさないのが鉄則です。

自宅でリハビリを続けるコツ

用具を揃えても、継続できなければ機能維持にはつながりません。在宅リハの定着に効くポイントを整理します。

  • 「ながら」で組み込む:テレビを見ながら、湯沸かしを待ちながらなど、既存の生活動線に紐づけると習慣化しやすくなります。
  • 1回5〜10分・週3回から:いきなり長時間設定すると挫折します。短時間・低頻度から始め、PTと相談して徐々に増やします。
  • 記録を残す:カレンダーに○をつけるだけでも継続率が上がります。訪問リハの時に見せれば、メニュー調整に役立ちます。
  • 痛みが出たら必ず中止:「痛みを我慢して頑張る」は逆効果。次回の訪問・通所リハで必ず相談してください。
  • 家族が一緒にやる:家族介護者自身の腰痛・体力維持にもなり、見守りも兼ねられます。
  • 用具の保管場所を固定:見える位置に置くと実施率が上がります。クローゼットの奥にしまうと忘れます。

リハビリ栄養の観点では、運動後30分以内のたんぱく質補給(牛乳・ヨーグルト・豆乳など)も筋力維持に効くとされています。

よくある質問

Q1. 在宅リハビリ用具は介護保険でレンタル・購入できますか

歩行器・歩行補助杖・手すりなどは介護保険の福祉用具貸与または特定福祉用具販売の対象になり、ケアマネジャー経由で手配可能です。一方、セラバンドやバランスクッション、握力訓練具は一般に保険対象外で、自己購入になります。価格帯は1,000〜5,000円程度が中心です。

Q2. どの用具から揃えればよいですか

本人の課題で異なります。一般的には、訪問リハや通所リハの担当PT・OTが「今の目標達成に最も効く1〜2種」を提案します。自己判断で複数買い揃える前に、必ず専門職に相談してください。

Q3. 認知症があっても使えますか

使用そのものは可能ですが、使い方を忘れる・誤使用するリスクがあるため、家族の見守り下で実施するのが原則です。歩行訓練具は特に転倒事故につながりやすく、OTによる住環境評価とセットで導入してください。

Q4. 整形外科や内科の疾患があると使えませんか

心疾患・高血圧・関節リウマチ・骨粗鬆症などがある場合、運動の負荷や種類に制限がかかることがあります。主治医とリハ職に必ず相談し、許可された範囲で使ってください。

Q5. 訪問リハと自主トレはどちらが大事ですか

両輪です。訪問・通所リハは週1〜2回しかないため、合間の自主トレで動きの定着・筋力維持を図ります。逆に自主トレだけだと評価とメニュー更新がなく、効果が頭打ちになります。

まとめ

在宅リハビリ用具は、訪問リハ・通所リハの隙間を埋めて機能維持や改善を継続する道具です。セラバンド・バランスクッション・歩行訓練具・握力訓練具・関節可動域訓練具という5種を、目的と本人の状態に合わせて選びます。市販品の多くは数千円で揃いますが、誤った負荷設定や使い方は転倒や関節痛の悪化を招くため、導入時はPT・OTに必ず相談し、痛みが出たら即中止するのが鉄則です。「ながら」習慣で短時間から始め、訪問・通所リハと連動した記録運用にすると継続率が上がります。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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