
老人クラブとは
老人クラブは、おおむね60歳以上の高齢者が地域を基盤に集う自主組織。健康・友愛・奉仕の活動で介護予防や孤立防止を担う。対象年齢・全国老人クラブ連合会・加入方法・補助を解説します。
老人クラブの定義(直接回答)
老人クラブとは、おおむね60歳以上の高齢者が地域を基盤に自主的につくる組織です。老人福祉法を根拠に戦後から全国へ広がり、健康づくり・友愛(高齢者同士の見守り)・社会奉仕の3つを柱に活動します。介護予防や閉じこもり防止、ひとり暮らし高齢者の孤立防止の担い手として、地域の支え合いを支えています。
目次
老人クラブの概要と法的位置づけ
老人クラブとは何か
老人クラブは、地域を基盤とする高齢者自身の自主的な活動組織です。昭和20年代から各地で自然発生的に始まり、昭和38年に制定された老人福祉法に位置づけられて、同年から国の補助が始まりました。町内会のように身近な地域単位でつくられ、おおむね60歳以上であれば加入できる、ハードルの低い組織であることが特徴です。
厚生労働省と全国老人クラブ連合会の資料によると、全国のクラブ数は8万5,805クラブ、会員数は約438万人(令和4年3月末時点)にのぼります。会員数は60歳以上人口の約1割に相当し、全国規模の民間団体ネットワークとしても有数の規模を持っています。
3層の連合会組織
老人クラブは、地域ごとの「単位老人クラブ」を土台に、市区町村・都道府県(指定都市)・全国の各段階に連合会組織を持つ三層構造です。市区町村老人クラブ連合会はクラブ相互の連絡調整を、都道府県・指定都市の連合会は広域的な事業やリーダー養成を担います。その頂点に立つのが公益財団法人 全国老人クラブ連合会(全老連)で、全国の活動を束ね、高齢者福祉に関する情報発信を行っています。
老人福祉法上の根拠
老人福祉法第13条は、地方公共団体に対して、老人クラブその他の事業を行う者へ適当な援助をするよう努める旨を定めています。また第10条の3では、市町村が介護保険サービスや民生委員、老人クラブなどの活動の連携・調整を図り、地域の実情に応じた体制整備に努めることが求められています。法律上も、地域包括ケアを支える担い手として明確に位置づけられているのです。
老人クラブの活動内容(健康・友愛・奉仕)
老人クラブの活動内容(全国三大運動)
老人クラブの活動は「生活を豊かにする楽しい活動」と「地域を豊かにする社会活動」に大別されますが、全国共通の目標として次の3つ(全国三大運動=健康・友愛・奉仕)を掲げています。英語の頭文字からHealth・Friendship・Volunteerとも呼ばれます。
- 健康(Health):健康学習、クラブ体操、ウォーキング、体力測定、ボッチャ・スポーツ吹矢・フマネットなどのシニアスポーツ。「ねたきりゼロ運動」を掲げ、健康寿命の延伸と介護予防を目指します。
- 友愛(Friendship):高齢者同士の支え合い活動。一人暮らし高齢者などへの友愛訪問(見守り・声かけ・安否確認・話し相手)、ゴミ出しや買い物代行などの生活支援、ふれあいサロンや認知症カフェといった集いの場づくりが含まれます。
- 奉仕(Volunteer):清掃・環境美化、子どもの登下校見守りパトロール、交通安全・防犯啓発、伝統文化の伝承、世代間交流など地域への社会奉仕。毎年9月20日は「社会奉仕の日」として全国一斉に活動します。
全国老人クラブ連合会の実態調査(令和5年)では、単位クラブは平均で約10項目の活動に取り組んでおり、実施率が高いのは清掃活動、地域行事への参加、新年会・忘年会・花見会、スポーツ、安否確認・声かけ活動などでした。会員が特に楽しみにしている活動はスポーツや親睦行事である一方、見守りや友愛訪問といった地域貢献も幅広く担われています。
老人クラブの規模・補助に関するデータ
老人クラブの規模と運営に関するデータ
| 項目 | 数値・内容 |
|---|---|
| 全国のクラブ数 | 8万5,805クラブ(令和4年3月末) |
| 会員数 | 約438万人(4,387,233人/令和4年3月末) |
| 対象年齢 | おおむね60歳以上 |
| 1クラブの平均会員数 | おおむね50人程度 |
| 年会費の目安 | 6割弱のクラブが1,500円未満(1,000〜1,500円未満が43%) |
| 国の補助制度 | 在宅福祉事業費補助金(令和7年度概算要求 約23億円) |
| 補助率 | 国 1/2・1/3・10/10(事業区分による) |
| 1クラブあたり補助の目安 | 50人程度のクラブに月平均で数千円程度 |
補助金は、単位老人クラブ・市区町村連合会・都道府県(指定都市)連合会の三層構造に対して交付されます。財源は国・都道府県・市区町村が分担し、申請や受け取りの窓口は市区町村が担うのが一般的です。会員が支払う年会費は1,500円未満が多く、活動費や運営費に充てられます。
老人クラブと通いの場・サロンとの違い
老人クラブと似た仕組みとの違い
高齢者が集う場には老人クラブのほかにも「通いの場」「ふれあいサロン」などがあり、混同されがちです。違いを整理します。
| 仕組み | 運営の主体 | 性格 |
|---|---|---|
| 老人クラブ | 高齢者自身(自主組織) | 会員制で継続的に活動する組織。健康・友愛・奉仕を年間を通じて展開する。 |
| 通いの場・ふれあいサロン | 住民・ボランティア・社協など | 体操やお茶会など特定の活動のために集まる「場」。誰でも参加しやすいが、組織ではなく活動単位であることが多い。老人クラブが運営することもある。 |
| 介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業) | 市町村 | 介護保険の枠組みで要支援者等を支える事業。老人クラブはその担い手の一つとして参画することがある。 |
老人クラブは「組織」、通いの場やサロンは「活動・場」という違いがあると考えると整理しやすくなります。実際には、老人クラブがふれあいサロンや認知症カフェといった通いの場を運営し、その活動が市町村の総合事業に位置づけられるなど、これらは重なり合いながら地域の支え合いを形づくっています。
老人クラブへの加入方法
老人クラブの加入条件は「おおむね60歳以上であること」だけで、もともと入りやすい組織です。具体的な入会の流れは次のとおりです。
- 身近なクラブを探す:住んでいる地域の町内会・自治会、または市区町村役所の高齢福祉担当課や地域包括支援センター、社会福祉協議会に問い合わせると、近くの単位老人クラブを紹介してもらえます。
- クラブの世話役・会長に連絡する:町内会の回覧や掲示で案内されていることも多く、世話役へ直接声をかけて見学・体験参加できる場合があります。体験型の行事を入会のきっかけにしているクラブも増えています。
- 入会・年会費の支払い:入会の意思を伝え、年会費(多くは1,500円未満)を納めれば会員になれます。例会や総会、体操、サロンなどの活動に参加していきます。
近年は会員の減少が課題となっており、多くのクラブが新たな会員を歓迎しています。一方で、見守りや生活支援といった「助け合い活動」は会員・非会員を問わず地域の高齢者に呼びかけて行われることが多く、会員でなくても活動の恩恵を受けられる場面があります。
老人クラブの介護予防・孤立防止での役割
介護予防と孤立防止での役割
老人クラブは、地域包括ケアシステムを支える「自助・互助」の担い手として近年あらためて注目されています。介護現場やケアに関わる人にとっても、知っておきたい社会資源です。
- 介護予防の入口:クラブ体操やいきいき百歳体操、ウォーキング、体力測定などを通じて、要介護状態になる前の段階から心身の活動を保ちます。外出と交流の機会そのものが、閉じこもりや筋力低下の予防につながります。
- 孤立防止と早期発見:友愛訪問や安否確認は、一人暮らし高齢者の異変に地域が早く気づく仕組みです。地域包括支援センターやケアマネジャー、民生委員、社会福祉協議会と情報を共有し、必要な支援につなぐ橋渡し役を果たすクラブもあります。
- 専門職との連携:自治体や地域包括支援センターの依頼を受けて見守りを担ったり、総合事業のサービス提供者として位置づけられたりするケースがあります。介護職や看護職が地域づくりに関わる際、老人クラブは連携先として有力な存在です。
本人にとっては生きがいづくり、地域にとっては支え合いの基盤、専門職にとっては連携先という、多面的な価値を持つのが老人クラブの強みです。
老人クラブのよくある質問
老人クラブに関するよくある質問
老人クラブは何歳から入れますか?
加入条件は「おおむね60歳以上」とされています。明確な上限はなく、80代・90代まで現役で活動している会員も多くいます。
老人クラブの会費はいくらですか?
クラブによって異なりますが、全国老人クラブ連合会の実態調査では6割弱のクラブが年会費1,500円未満で、1,000〜1,500円未満が最も多い帯です。会費は活動費や運営費に充てられます。
老人クラブと町内会・自治会は何が違いますか?
町内会・自治会は世帯単位で地域全般を扱う組織ですが、老人クラブはおおむね60歳以上の高齢者個人が加入し、健康・友愛・奉仕といった高齢期の活動に特化した組織です。両者は連携して活動することも多くあります。
老人クラブに入らないと見守りなどの支援は受けられませんか?
そんなことはありません。見守りや声かけ、ふれあいサロンなどの助け合い活動は、会員・非会員を問わず地域の高齢者に呼びかけて行われることが多く、会員でなくても参加・利用できる場合があります。
老人クラブは介護保険のサービスですか?
いいえ。老人クラブは老人福祉法に基づく高齢者の自主組織であり、介護保険サービスそのものではありません。ただし介護予防・日常生活支援総合事業の担い手として参画するなど、介護保険制度と連携する場面はあります。
老人クラブの参考資料・出典
- [1]老人クラブの組織と活動(介護予防・日常生活支援総合事業の充実に向けた検討会 資料1-2)- 厚生労働省
老人クラブの定義・対象年齢・クラブ数・会員数・三大運動(健康・友愛・奉仕)の全体像をまとめた公的資料。
- [2]
- [3]
- [4]
- [5]
老人クラブのまとめ
まとめ
老人クラブは、おおむね60歳以上の高齢者が地域を基盤に集う自主組織で、老人福祉法を根拠に全国へ広がりました。健康・友愛・奉仕の三大運動を柱に、体操やサロンでの介護予防、友愛訪問による孤立防止、清掃や見守りなどの社会奉仕を担っています。加入は身近なクラブの世話役や市区町村・地域包括支援センター・社会福祉協議会に問い合わせれば始められ、年会費の負担も小さいのが特徴です。地域包括ケアを支える互助の担い手として、本人の生きがいと地域の支え合いの双方を支える存在です。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
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