歩留まりとは
介護職向け

歩留まりとは

採用歩留まりとは、応募から入職までの各段階で候補者がどれだけ残るかを示す通過率です。公的な業界平均統計は存在しないため、自施設の実績値で算出します。介護労働実態調査の採用率とは分母も対象も異なる指標です。

ポイント

この記事のポイント

歩留まりとは、採用の各段階で候補者がどれだけ次の段階に進んだかを示す通過率です。採用歩留まりとも呼びます。応募、書類選考、面接、内定、内定承諾、入職という流れのなかで、どの段階で候補者が抜けているかを数値で把握するために使います。介護分野の歩留まりについて公的な業界平均統計は存在しないため、他施設の数値と比べるものではなく、自施設の実績を継続して測り、前年や前四半期と比較する指標です。

目次

歩留まりの定義と計算式

歩留まりはもともと製造業で、投入量に対する完成品の割合を指す言葉です。採用に転用した場合は、前の段階に到達した人数を分母、次の段階に進んだ人数を分子とした割合になります。

段階別の通過率

段階計算式下がっているときに疑うこと
書類選考通過率書類通過者数 ÷ 応募者数求人票の要件と応募者層のずれ
面接実施率面接実施者数 ÷ 書類通過者数連絡の遅さ、日程調整の柔軟性の不足
内定率内定者数 ÷ 面接実施者数評価基準の不在、面接官による判断のばらつき
内定承諾率内定承諾者数 ÷ 内定者数条件提示の内容、他施設との競合、面接での印象
入職率入職者数 ÷ 内定承諾者数内定から入職までの期間の長さ、フォローの不足

全体歩留まり

応募から入職までを通した全体歩留まりは、入職者数を応募者数で割って求めます。ただし全体の数字だけを見ても打ち手は決まりません。どの段階で落ちているかを分けて見るために、段階別に計測します。

歩留まりに業界平均が存在しない理由と、代わりに使える公的データ

介護分野の採用歩留まりについて、応募から入職までの段階別通過率を継続的に集計した公的統計は確認できません。そのため、外部で見かける「介護の書類通過率は何パーセント」といった数値を自施設の目標値にすることには根拠がありません。歩留まりは自施設の時系列で見る指標です。

採用率とは別の指標

公的データとして参照できるのは、介護労働安定センターの介護労働実態調査が公表している採用率です。ただしこれは歩留まりとは分母も対象も異なります。

歩留まり採用率(介護労働実態調査)
分母前の選考段階に到達した候補者数基準日時点の在籍者数
分子次の段階に進んだ候補者数1年間の採用者数
測るもの選考プロセスの通過効率職員の入れ替わりの規模
集計元自施設の記録のみ全国の事業所調査

令和7年度介護労働実態調査では、訪問介護員と介護職員を合わせた2職種計の採用率は14.6%、離職率は12.4%でした。採用率は2年ぶりの上昇ですが上昇幅は0.3ポイントで、低い水準が続いています。事業所ごとの分布では、採用率10%未満の事業所が50.6%、離職率10%未満の事業所が54.3%と、それぞれ約半数を占めます。

これらは母集団形成の結果を示す数字であり、選考プロセスのどこで候補者を失っているかは示しません。採用率が低い事業所が、応募が来ていないのか、応募はあるが内定辞退されているのかを切り分けるには、自施設で歩留まりを測る以外に方法がありません。

自施設で歩留まりを測る手順

  1. 段階を定義する。応募、書類通過、面接実施、内定、内定承諾、入職の6段階を基本とし、施設見学や職場体験を挟むなら段階として独立させます。
  2. 1人ずつ記録する。応募日、チャネル(ハローワーク、職員紹介、有料職業紹介、求人サイトなど)、各段階の日付、離脱した段階と理由を1行にまとめた表を作ります。
  3. チャネル別に分けて集計する。全体の歩留まりが下がっていても、原因が特定のチャネルに偏っていることがあります。チャネル別に見ないと打ち手を誤ります。
  4. 四半期または半期で比較する。月次では母数が小さすぎて振れます。介護の1事業所あたりの採用人数を考えると、四半期以上の単位で見るのが現実的です。
  5. 離脱理由を言葉で残す。数値だけでは改善点が特定できません。辞退の連絡内容や日程調整が流れた経緯を短くても記録しておきます。

記録を1年続けると、自施設の基準線ができます。以降はその基準線からの変化を見ていくことになります。

歩留まりに関するよくある質問

Q. 何パーセントあれば合格ですか

基準となる公的な数値はありません。自施設の過去の実績と比較するのが唯一の使い方です。他施設の数値を目標に置いても、募集職種・雇用形態・地域の求人倍率が違えば比較になりません。

Q. 応募数が少ないと歩留まりは測れませんか

母数が小さいと1人の増減で率が大きく動くため、率だけでなく実数を併記します。四半期や半期でまとめる、複数の事業所を運営しているなら法人単位で合算するといった調整も有効です。

Q. 歩留まりと定着率の違いは何ですか

歩留まりは入職までのプロセスを測る指標、定着率は入職後に何人残ったかを測る指標です。歩留まりを上げようとして選考を緩めると、定着率が下がることがあります。2つは必ずセットで見ます。

Q. どのチャネルが歩留まりが高いかを知りたい

チャネル別の歩留まりを公的に示したデータはありませんが、令和7年度介護労働実態調査には、採用活動を実施している事業所のうち「採用に効果があった」とする割合が載っています。職員に対する友人・知人の紹介依頼が47.3%、有料職業紹介所の活用が53.4%などです。ただしこれは事業所の主観的な評価であり、歩留まりそのものではありません。

歩留まりの参考資料

歩留まりのまとめ

歩留まり(採用歩留まり)は、応募から入職までの各段階の通過率です。全体の数字ではなく、書類選考、面接実施、内定、内定承諾、入職の段階ごとに分けて測ることで、どこで候補者を失っているかが見えます。

介護分野の段階別通過率について公的な業界平均は存在しません。外部の数値を目標に置くのではなく、自施設の実績を1年記録して基準線をつくり、そこからの変化を見るのが正しい使い方です。介護労働実態調査が公表する採用率(令和7年度で2職種計14.6%)は在籍者数を分母とする別の指標であり、歩留まりの代わりにはなりません。歩留まりを上げる施策が定着率を下げていないかも、あわせて確認してください。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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