
生活支援ハウス(高齢者生活福祉センター)とは
生活支援ハウス(高齢者生活福祉センター)とは、市町村が運営する高齢者向けの施設。60歳以上の独居等の方に住居・相談・緊急時対応・地域交流を提供し、デイサービスを併設します。対象・費用・利用方法を解説。
生活支援ハウスの定義(回答)
生活支援ハウス(高齢者生活福祉センター)とは、市町村が運営主体となり、高齢者に住居・各種相談・緊急時対応・地域住民との交流の場を総合的に提供する施設です。原則60歳以上のひとり暮らしや夫婦のみ世帯などで、自立した生活に不安のある方が対象で、デイサービス(指定通所介護事業所)を併設し、利用料は収入に応じて月額0〜5万円程度です。
目次
生活支援ハウスの概要と制度上の位置づけ
生活支援ハウス(高齢者生活福祉センター)の概要
生活支援ハウスは、正式名称を「高齢者生活福祉センター」といい、厚生労働省(旧厚生省)の「高齢者生活福祉センター運営事業実施要綱」(平成12年9月27日老発第655号、平成13年改正の老発第192号)にもとづいて実施される高齢者福祉の事業です。一般には通称である「生活支援ハウス」の名称で案内されることが多くなっています。
この事業の目的は、高齢者に対して介護支援機能・居住機能・交流機能の3つを総合的に提供し、高齢者が安心して健康で明るい生活を送れるよう支援することにあります。実施主体は市町村で、その責任のもとでサービスが提供されます。市町村は、利用者やサービス内容の決定を除き、運営の一部をデイサービスセンター(指定通所介護事業所)などを経営する事業者に委託できます。
「住む」「相談する」「交流する」が一体になった施設
生活支援ハウスは、指定通所介護事業所となる老人デイサービスセンターなどに居住部門を併設、または隣地に整備した小規模多機能の施設として整備されます。居室で暮らしながら、虚弱化したときには併設のデイサービスや訪問介護などの介護サービスへスムーズにつなげられる点が特徴です。生活援助員が常駐し、各種相談や緊急時の対応を行うため、ひとり暮らしの不安を抱える高齢者の住まいとして機能します。
ケアハウスや養護老人ホームとは別の仕組み
名前が似ている軽費老人ホーム(ケアハウス)や養護老人ホームは、老人福祉法にもとづく「老人福祉施設」です。一方の生活支援ハウスは、施設の種類そのものではなく市町村が行う「運営事業」として位置づけられている点が大きく異なります。実際の建物は特別養護老人ホームやデイサービスセンター、ケアハウスなどと併設された複合施設の一部として整備されている例が多く見られます。
生活支援ハウスの対象者・定員・費用の要点
生活支援ハウスの利用対象・定員・費用
運営事業実施要綱が定める主な基準は次のとおりです(居住部門について)。
- 利用対象者:原則として60歳以上で、ひとり暮らしの方、夫婦のみ世帯の方、家族による援助を受けることが困難な方のうち、高齢などのため独立して生活することに不安のある方(市町村によっては65歳以上とする場合があります)。
- 利用定員:居住部門はおおむね10人程度。ただし20人を限度とします。
- 居室:原則として個室で、1居室18平方メートル以上。居室部門には居室のほか洗面所、便所、収納スペース、調理設備を設けます(原則自炊)。
- 利用料:本人の収入に応じて月額0円〜5万円。これに加えて光熱水費や食費などの実費は本人負担です。
- 職員配置:デイサービス事業の職員のほか、利用人員に応じて生活援助員を配置(5名以下は常勤1名、6〜10名は常勤1名・非常勤1名、11名以上は常勤2名・非常勤1名)。夜間帯は宿直体制をとります。
- 設備:耐火・準耐火建築物とし、居室・相談室・集会室・食堂・浴室・宿直室などを備えます。
生活支援ハウスと類似施設の違い
生活支援ハウスと似た施設との違い
生活支援ハウスは、ケアハウスや養護老人ホームと混同されやすい施設です。位置づけや対象の違いを整理します。
| 項目 | 生活支援ハウス(高齢者生活福祉センター) | ケアハウス(軽費老人ホームC型) | 養護老人ホーム |
|---|---|---|---|
| 制度上の位置づけ | 市町村が行う運営事業(要綱にもとづく) | 老人福祉法の老人福祉施設 | 老人福祉法の老人福祉施設 |
| 主な対象 | 60歳以上で独居・夫婦のみ世帯など、独立生活に不安がある方 | 60歳以上で身体機能の低下などにより自立生活に不安がある方 | 環境上・経済的理由で居宅生活が困難な方(市町村の措置) |
| 入居の決め方 | 市町村長への申請と要否決定 | 施設との契約 | 市町村の措置(行政が入所を決定) |
| デイサービス | 原則として併設・隣接 | 必須ではない | 必須ではない |
| 費用の目安 | 収入に応じて月額0〜5万円+実費 | 収入に応じた生活費・管理費・サービス提供費 | 本人・扶養義務者の負担能力に応じた費用徴収 |
生活支援ハウスは「住む場所」と「デイサービス」が一体になり、市町村への申請で利用の要否が決まる点が、契約で入居するケアハウスや、行政の措置で入所する養護老人ホームと異なります。
生活支援ハウスの利用手続きの流れ
生活支援ハウスを利用するまでの流れ
生活支援ハウスの居住部門は、市町村への申請と要否決定をへて利用が決まります。一般的な流れは次のとおりです。
- 相談・問い合わせ:お住まいの市町村の高齢者福祉担当課(区役所の保健福祉課など)や、地域包括支援センターに相談します。
- 利用申請:居住部門の利用申請書を市町村に提出します。
- 必要性の検討・要否決定:市町村長が運営事業実施要綱にもとづいて必要性を検討し、利用の要否を決定します。検討にあたっては、必要に応じて地域ケア会議が活用されます。
- 入居・生活開始:決定後に入居します。生活援助員が各種相談や緊急時対応を行い、必要に応じてデイサービスや訪問介護などの利用手続きを援助します。
空室状況や対象条件の細部(年齢要件、町内居住要件など)は市町村ごとに異なるため、早めに窓口へ相談することが大切です。
生活支援ハウスのよくある質問
生活支援ハウスに関するよくある質問
生活支援ハウスは要介護認定がないと使えませんか。
居住部門の利用には要介護認定は必須ではありません。原則60歳以上で独立生活に不安のある方が対象で、収入制限は設けられていないのが一般的です。ただし、併設のデイサービスなど介護保険サービスを使う場合は、別途要介護・要支援認定が必要です。
費用はどのくらいかかりますか。
居住部門の利用料は本人の収入に応じて月額0円〜5万円が目安です。これに加えて光熱水費や食費などの実費が本人負担となります。具体的な金額は市町村が定めるため、窓口で確認してください。
食事は出ますか。
生活支援ハウスは居室に調理設備を備え、原則として自炊が基本です。施設や市町村によっては配食サービスを利用できる場合もあります。
夫婦で入居できますか。
夫婦のみ世帯も対象に含まれ、二人部屋を設けている施設もあります。部屋の構成は施設ごとに異なります。
介護が必要になったら住み続けられますか。
虚弱化して介護サービスが必要になった場合は、生活援助員が通所介護や訪問介護などの利用手続きを援助します。ただし要介護度が重くなった場合は、特別養護老人ホームなど別の施設への住み替えを検討することもあります。
生活支援ハウスの参考資料
- [1]「高齢者生活福祉センター運営事業の実施について」の一部改正について(平成13年5月15日老発第192号)- 厚生労働省
生活支援ハウス(高齢者生活福祉センター)運営事業実施要綱。目的・実施主体・利用対象者・定員・職員配置・設備基準などを規定。
- [2]高齢者生活福祉センター運営事業の実施について(平成12年9月27日老発第655号)- 厚生省老人保健福祉局長通知(国立社会保障・人口問題研究所 所収)
事業の目的・3機能(介護支援・居住・交流)、利用対象者・定員・設備の原型を定めた通知。
- [3]
- [4]
- [5]
生活支援ハウスのまとめ
まとめ
生活支援ハウス(高齢者生活福祉センター)は、市町村が運営する高齢者向けの施設で、住居・相談・緊急時対応・地域交流を一体的に提供し、デイサービスを併設しています。原則60歳以上で独居や夫婦のみ世帯など、ひとりで暮らすことに不安のある方が対象です。利用には市町村への申請と要否決定が必要で、利用料は収入に応じて月額0〜5万円程度に設定されています。住み慣れた地域で安心して暮らし続けるための選択肢のひとつとして、まずはお住まいの市町村の窓口や地域包括支援センターに相談してみましょう。
この用語に関連する記事

知的障害のある高齢者の介護|早期老化・ダウン症の認知症・65歳問題と支援の工夫
知的障害のある人の高齢化が進む中、介護職に求められる支援を解説。加齢に伴う早期老化やダウン症の認知症合併、障害福祉から介護保険への移行(65歳問題)、意思決定支援、多職種・家族連携のポイントを厚労省・国立のぞみの園の資料に基づき整理します。

介護保険法改正案、衆院本会議で可決|過疎地サービス基準緩和とケアマネ新類型を含む27項目の附帯決議
2026年5月26日、介護保険法・老人福祉法・社会福祉法等の改正案が衆議院本会議で可決。過疎地での運営基準弾力化、住宅型ホーム入居者向けケアマネ新類型『登録施設介護支援』の創設、有料老人ホーム登録制導入など多岐にわたる。原則2027年4月施行で参議院審議へ。

高額療養費の自己負担上限、2026年8月から段階的引き上げ|長期療養者向け「年間上限」を新設
厚生労働省は2025年12月25日、社会保障審議会医療保険部会で高額療養費の見直しを決定。2026年8月と2027年8月の2段階で月額上限を引き上げ、長期療養者向けに新たに「年間上限」を設ける。年収約650万〜770万円の現役世代では月額上限が8万100円から最終的に11万400円へ。介護費との合算自己負担への影響もあわせて整理する。

在宅高齢者の転倒を防ぐ住環境改修|介護保険20万円給付の使い方と費用相場
在宅高齢者の転倒の約7割は居室・玄関・浴室で発生。介護保険の住宅改修費20万円給付の対象6種目を転倒予防効果と費用相場で整理し、危険箇所セルフチェックから事業者選定・申請までを家族視点で解説。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。