心肺蘇生(CPR/BLS)とは

心肺蘇生(CPR/BLS)とは

心肺蘇生(CPR/BLS)の意味と介護現場での実施手順を、JRC蘇生ガイドライン2025に基づき解説。胸骨圧迫の深さ・テンポ、AED連携、DNAR時の対応、119番通報の判断基準まで網羅。

ポイント

この記事のポイント

心肺蘇生(CPR)は心停止状態の人に胸骨圧迫と人工呼吸で循環・呼吸を補助する救命処置。誰でも行える基本手技を BLS(一次救命処置)と呼び、JRC蘇生ガイドライン2025は胸骨圧迫の深さ約5cm(6cm超えない)・1分間100〜120回を推奨。介護現場では発見から圧迫開始までを1分以内が目標です。

目次

CPR・BLSとは何か

心肺蘇生(CPR)は心停止状態の傷病者に胸骨圧迫と人工呼吸で循環・呼吸を補助する救命処置の総称。医療器具なしで誰でも実施できる手技を BLS(一次救命処置)と呼び、胸骨圧迫・気道確保・人工呼吸・AED使用の4要素で構成されます。厚生労働省2004年通知で非医療従事者のAED使用が認められ、介護職員も無資格で実施可能です。

心停止後は1分ごとに救命率が約10%低下し、救急車到着平均は約10分。看護師が常駐しない夜間帯ほど介護職員のBLS技能が予後を決めます。介護現場で行うのは原則BLSまでで、ACLS(二次救命処置)は救急隊以降に医療従事者が引き継ぎます。

胸骨圧迫の手順とAED装着までの流れ

JRC蘇生ガイドライン2025に準拠した基本フロー。

  1. 安全確認:周囲の危険(転倒物・点滴ライン・水濡れ)を把握。
  2. 反応の確認:両肩を叩き名前を呼ぶ。反応なしなら即次へ。
  3. 応援要請:別職員に「119番」「AED持参」を分担。1人ならスピーカーモードで119継続。
  4. 呼吸の確認:10秒以内で観察。死戦期呼吸も心停止と判断。
  5. 胸骨圧迫:胸骨下半分を肘伸展・垂直に体重で深さ約5cm(6cm超えない)・1分間100〜120回。完全リコイル、中断10秒以内。
  6. 人工呼吸:圧迫30回ごとに2回。防護具がなければハンズオンリーCPRで可。
  7. AED装着:右前胸部と左側胸部にパッド。圧迫継続のまま貼り、解析時のみ離れる。ショック後は即圧迫再開。
  8. 引き継ぎ:2分ごとに圧迫者交代。発見時刻・既往・服薬・DNAR意思表示書を救急隊へ申し送り。

AED連携の合図と注意点(2025年改訂版)

  • 「離れて!」:解析中とショック前後は周囲全員に手と体を離させる。
  • パッド位置:右鎖骨下と左側胸部。皮膚が濡れていれば素早く拭く。
  • 服を全部脱がさなくてよい:2025年改訂で明記。素肌にパッドを貼れれば衣服はずらすだけで可。女性傷病者へのAED使用率向上が狙い。
  • 体毛・貼付薬・ペースメーカー:体毛は予備パッドで除毛、貼付薬は剥がし、ペースメーカー隆起部から2〜3cmずらす。
  • オートショックAED:自動ショック機種は音声ガイドに従う。
  • 胸骨圧迫の中断は最小に:貼付中も別の人が圧迫継続できるよう役割分担を訓練。

BLSとACLSの違い

項目BLS(一次救命処置)ACLS(二次救命処置)
実施者市民・介護職員・看護師・救急隊員医師・看護師・救急救命士
主な手技胸骨圧迫・人工呼吸・AED気管挿管・静脈路確保・薬剤投与・心電図解析
場所発見現場救急車内・救急外来・ICU

介護現場で行うのは原則BLSまで。施設管理者は救急隊到着までの「BLSバトンパス」が滞らないよう夜勤体制とAED設置位置を整備します。

よくある質問

Q1. 介護職員も心肺蘇生をしてよい?

はい。BLSは医療行為ではなく誰でも実施でき、AED使用も厚生労働省2004年通知で認められています。未実施が安全配慮義務違反に問われるリスクが大きく、定期研修受講が推奨されます。

Q2. DNAR入居者でも胸骨圧迫すべき?

119番通報の時点で救急隊は救命処置を開始します。施設では事前にACPでDNAR意思表示書・嘱託医指示書を整備し、明確な意思表示がある場合は119より先に嘱託医へ連絡する運用が望ましい対応。最終判断は必ず主治医と事前共有してください。

Q3. 高齢者の肋骨骨折が心配。圧迫を弱める?

弱める必要はありません。深さ約5cmを守り完全リコイルを徹底します。

まとめ

心肺蘇生(CPR/BLS)は介護現場で看護師・介護職員が必ず身につけるべき救命処置です。JRC蘇生ガイドライン2025は胸骨圧迫の深さ約5cm・1分間100〜120回のテンポを軸に、AED使用時の「服を全部脱がさず素肌にパッドを貼れればOK」など現場運用に即した改訂を加えました。施設は年1回以上のBLS研修・AED動作確認・夜勤帯の役割分担を整備し、ACPでDNAR意思を事前確認することで救命と尊厳のバランスを取った急変対応が可能です。判断に迷ったら必ず主治医・嘱託医・119番へ。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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