
障害者控除(要介護高齢者)とは
要介護認定を受けた65歳以上の高齢者は、障害者手帳がなくても市区町村の障害者控除対象者認定書があれば所得税・住民税の障害者控除を受けられます。控除額と認定書の取り方を解説。
障害者控除(要介護高齢者)の直接回答
障害者控除とは、本人や扶養親族が税法上の障害者に当てはまるとき、所得から一定額を差し引ける所得税・住民税の控除です。65歳以上の要介護高齢者は、障害者手帳がなくても市区町村に「障害者控除対象者認定書」を申請して交付を受ければ、この控除を使えます。要介護認定を受けているだけでは自動的には適用されない点に注意が必要です。
目次
障害者控除(要介護高齢者)の概要
障害者控除と要介護高齢者の関係
障害者控除は、所得税法第79条・地方税法第34条などに定められた所得控除です。納税者本人だけでなく、同一生計の配偶者や扶養親族が税法上の障害者に当てはまる場合に、その人ひとりにつき一定額を所得から差し引けます。所得が減ることで、所得税と住民税の負担が軽くなります。
ここで多くの家族が誤解しやすいのが、「親が要介護認定を受けたのだから、そのまま障害者控除を使えるはず」という点です。要介護認定は介護保険サービスを使うための認定であり、税法上の障害者の区分とは別の制度です。要介護認定を受けただけでは、障害者控除は自動的には適用されません。
そこで使えるのが、市区町村が交付する「障害者控除対象者認定書」です。身体障害者手帳や療育手帳の交付を受けていない65歳以上の高齢者でも、身体障害者または知的障害者に準ずる状態と市区町村が認めれば、この認定書が交付されます。判定には、要介護認定のときに作られた主治医意見書などの資料に記載された「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」や「認知症高齢者の日常生活自立度」が使われます。
認定書を確定申告や住民税の申告の際に提示すると、本人または扶養している家族が障害者控除(または特別障害者控除)を受けられます。すでに障害者手帳などを持っている人は手帳で申告するため、認定書の対象にはなりません。
障害者控除(要介護高齢者)の控除額一覧
障害者控除の控除額(所得税・住民税)
控除額は区分ごとに次のとおりです。所得税と住民税で金額が異なります。
| 区分 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
|---|---|---|
| 障害者 | 27万円 | 26万円 |
| 特別障害者 | 40万円 | 30万円 |
| 同居特別障害者 | 75万円 | 53万円 |
「同居特別障害者」とは、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族のうち、納税者や配偶者、その他の親族と同居を常としている人を指します。同居している家族が在宅で重度の高齢者を介護している場合は、この最も大きい控除を使える可能性があります。控除はあくまで所得から差し引かれる「所得控除」であり、税金そのものから直接引かれる金額ではない点に注意してください。
障害者控除(要介護高齢者)の認定区分の違い
障害者と特別障害者の判定基準の違い
認定書には「障害者」と「特別障害者」の2区分があり、要介護認定資料の日常生活自立度をもとに市区町村が判定します。判定基準は自治体ごとに細部が異なりますが、おおむね次の考え方が共通します。
| 区分 | 身体(障害高齢者の日常生活自立度) | 認知症(認知症高齢者の日常生活自立度) |
|---|---|---|
| 障害者(身体・知的の中軽度に準ずる) | ランクA に該当 | ランクII または III に該当 |
| 特別障害者(身体・知的の重度に準ずる) | ランクB〜C に該当 | ランクIV〜M に該当 |
このほか、6か月以上寝たきりで食事や排せつなど日常生活に支障がある、いわゆる寝たきり高齢者は特別障害者の対象とされます。要介護度の数字(要介護1〜5)そのものではなく、自立度のランクで区分が決まる点がポイントです。要介護度が同じでも、認知症や寝たきりの程度によって区分が変わります。
障害者控除(要介護高齢者)の認定書の取り方
障害者控除対象者認定書の取り方と申告の流れ
- 申請窓口を確認する:認定書は市区町村の介護保険担当課(高齢者福祉課など)で申請します。申請書は自治体のホームページからダウンロードできることが多いです。
- 申請書を提出する:対象者本人と申請者の本人確認書類(マイナンバーカード・介護保険被保険者証など)を用意して提出します。家族が申請する場合は委任状が必要なこともあります。
- 市区町村が判定する:要介護認定の資料(主治医意見書の日常生活自立度など)をもとに、障害者・特別障害者に準ずるかどうかが判定されます。
- 認定書の交付を受ける:対象と認められれば認定書が交付されます。認定基準日は原則その年の12月31日です(その年に亡くなった場合は死亡日が基準日になります)。
- 申告で提示する:確定申告または住民税の申告で認定書を添付・提示し、障害者控除(または特別障害者控除)を適用します。年金収入のみで確定申告が不要な場合でも、控除を受けるには申告が必要なことがあります。
過去の年分についても、認定基準を満たしていれば、さかのぼって認定書の交付を受けて還付申告ができる場合があります。詳しい取り扱いは市区町村と税務署に確認してください。
障害者控除(要介護高齢者)のよくある質問
よくある質問
Q. 要介護認定を受けていれば自動的に障害者控除を受けられますか。
いいえ。要介護認定だけでは障害者控除の対象にはなりません。市区町村に申請して「障害者控除対象者認定書」の交付を受け、確定申告または住民税の申告で控除を申告する必要があります。
Q. 障害者手帳を持っていなくても受けられますか。
はい。65歳以上で身体障害者または知的障害者に準ずると市区町村が認定すれば、手帳がなくても認定書が交付され控除を受けられます。すでに手帳を持っている人は手帳で申告するため、認定書の対象外です。
Q. 要介護何度から対象になりますか。
要介護度の数字ではなく、要介護認定資料に記載された日常生活自立度のランクで判定されます。同じ要介護度でも、認知症や寝たきりの程度によって対象になるかどうかが変わります。まずは市区町村に相談するのが確実です。
Q. 施設に入居している親でも対象になりますか。
住所地の市区町村が判定するため、施設入居中でも要件を満たせば認定書を受けられます。なお、施設に入居して住所を移しても保険者が変わらない仕組みもあるため、申請先は住民票のある自治体に確認してください。
Q. 控除を受けると税金はどのくらい減りますか。
障害者控除は所得から差し引く所得控除のため、減税額は本人や扶養者の所得や税率によって変わります。控除額そのもの(27万円など)がそのまま戻るわけではありません。具体的な金額は税務署や市区町村の税務担当に確認してください。
障害者控除(要介護高齢者)の参考資料
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障害者控除(要介護高齢者)のまとめ
まとめ
要介護認定を受けた65歳以上の高齢者は、障害者手帳がなくても市区町村の「障害者控除対象者認定書」を取得すれば、所得税・住民税の障害者控除を受けられます。要介護認定を受けただけでは自動適用されないため、まずは住所地の市区町村の介護保険担当課に申請しましょう。控除額は区分によって異なり、在宅で重度の高齢者を介護している家族なら同居特別障害者として大きな控除を使える場合もあります。申告で控除を反映するには確定申告または住民税の申告が必要です。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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