
スマイルケア食とは
スマイルケア食とは、農林水産省が「新しい介護食品」として整理した分類制度。栄養補給向けの青マーク、噛むことが難しい人向けの黄マーク、飲み込みが難しい人向けの赤マークの3区分と選び方を解説します。
この記事のポイント
スマイルケア食とは、農林水産省が「新しい介護食品」として整理した分類制度です。これまで「介護食品」と呼ばれてきた範囲を見直し、栄養補給が必要な方向けの青マーク、噛むことが難しい方向けの黄マーク、飲み込むことが難しい方向けの赤マークの3つに整理し、状態に応じて選びやすくしたものです。
目次
スマイルケア食とは|農林水産省が整理した分類制度
スマイルケア食は、農林水産省が超高齢社会の進展を受けて検討し、2013年(平成25年)2月から介護食品の今後のあり方を議論する中で生まれた枠組みです。それまで「介護食品」と呼ばれてきたものは、噛むこと・飲み込むことが難しい人向けの食品を指すことが多くありました。しかし農林水産省は、その前段階にあたる「噛む・飲み込む機能には問題はないものの、健康な体を維持するために栄養補給を必要とする人」への働きかけも重要だと捉え直しました。
そこで、栄養補給を必要とする人向けの食品まで含めた広い領域として捉え直し、公募により「スマイルケア食」という愛称を定めました。その上で、利用者が自分や家族の状態に合った食品を選べるよう、食品に青・黄・赤の3色の識別マークを表示する仕組みを整えています。
狙いは、介護食品の市場拡大を通じて食品産業や農林水産業を活性化させると同時に、国民の健康寿命の延伸に資することにあります。なお、スマイルケア食は新しい食品規格を新設したものではなく、既存の食品規格や許可制度を「色マーク」で横断的に分かりやすく整理し直した点が特徴です。
青・黄・赤マークの分類と対象者
スマイルケア食の3つのマークは、利用者の「食べる機能」の状態に応じて選び分けます。色が示す対象者は次のとおりです。
- 青マーク:噛むこと・飲み込むことには問題はないものの、健康維持のために栄養補給を必要とする方向けの食品。食事の補助(おやつ・デザート等)や、主食・主菜・副菜としての食品が想定され、一定のエネルギー・たんぱく質基準を満たすものに表示されます。
- 黄マーク:噛むことが難しい方向けの食品。「そしゃく配慮食品の日本農林規格(JAS)」に基づき、噛む力の程度に応じて段階が分かれています。
- 赤マーク:飲み込むことが難しい方向けの食品。消費者庁の「特別用途食品(えん下困難者用食品)」の許可を受けたものに表示され、誤嚥のリスクに配慮した物性基準が設けられています。
つまり、青→黄→赤の順に、対象者の「食べる機能」への配慮の度合いが強まっていきます。まず自分(家族)がどの色に当てはまるかを把握することが、選び方の第一歩です。
黄マーク・赤マークの段階区分
黄マークと赤マークは、それぞれ複数の段階(数字)に分かれており、噛む力・飲み込む力の程度に合わせて選びます。
黄マーク(噛むことが難しい方向け)
- 黄5:容易にかめる(歯が悪く硬いものは苦手な方向け)
- 黄4:歯ぐきでつぶせる(噛む力が弱い方向け)
- 黄3:舌でつぶせる(歯がなく舌と上あごでつぶせる方向け)
- 黄2:かまなくてよい(固形物が小さくても食べづらい方向け)
数字が小さくなるほど、噛む力への配慮が強まります。黄マークの段階は「ユニバーサルデザインフード(UDF)」の区分とも考え方が共通しています。
赤マーク(飲み込むことが難しい方向け)
- 赤2:少しそしゃくして飲み込める性状(比較的軽度の嚥下困難向け)
- 赤1:口の中で少しつぶして飲み込める性状(中程度向け)
- 赤0:そのまま飲み込める性状(最も配慮が必要な段階)
赤マークの区分は、特別用途食品「えん下困難者用食品」の許可基準(硬さ・付着性・凝集性)に対応しています。状態の見極めが難しい場合は、必ず医師・歯科医師・管理栄養士・言語聴覚士などの専門職に相談してください。
UDF・学会分類2021との違い
介護食の分類には、スマイルケア食のほかにも複数の規格・基準があります。混同しやすいので、関係を整理します。
- ユニバーサルデザインフード(UDF):日本介護食品協議会が定める自主規格で、市販の介護食に広く使われています。「かたさ」や「粘度」に応じて区分1〜4に分かれ、スマイルケア食の黄マークの段階と考え方が共通しています。スマイルケア食が国(農林水産省)主導の横断的な枠組みなのに対し、UDFは業界団体の自主規格である点が異なります。
- 嚥下調整食学会分類2021:日本摂食嚥下リハビリテーション学会が定める、主に医療・介護の専門職向けの分類です。コード0j〜4の段階で食形態を表し、病院や施設での給食・リハビリの共通言語として使われます。スマイルケア食の赤マークが対象とする「飲み込みが難しい方」の領域と重なります。
- スマイルケア食:上記のような専門的な規格を、一般の消費者・家族が店頭で選びやすいように青・黄・赤の色で横断的に整理したものと位置づけられます。
つまり、スマイルケア食は「専門職向けの分類」と「家庭での商品選び」をつなぐ、わかりやすい入り口の役割を担っています。施設や在宅で実際に提供する食形態を決める際は、学会分類2021やUDFと併せて確認するのが実務的です。
スマイルケア食の選び方の流れ
農林水産省は、食品選びに役立つ「早見表」を公開しています。次の流れで自分(家族)に合うマークを絞り込みます。
- 飲み込みに問題があるかを確認する。むせ・誤嚥がある場合は赤マークを中心に、専門職に相談しながら選びます。
- 飲み込みに問題がなければ、次に噛むことに問題があるかを確認する。噛む力が弱い・歯が少ない場合は黄マーク(噛む力に応じて黄5〜黄2)を選びます。
- 噛む・飲み込むに問題がなく、低栄養や食欲低下で栄養補給が必要な場合は青マークを選びます。
判断に迷う場合や、要介護高齢者の食事を見直す場合は、自己判断せず医師・歯科医師・管理栄養士・言語聴覚士などの専門職に相談してください。状態は変化するため、定期的に見直すことも大切です。介護現場の職員にとっても、利用者・家族にマークの意味を説明できると、食事支援や買い物相談の質が上がります。
スマイルケア食に関するよくある質問
スマイルケア食は誰が決めた分類ですか?
農林水産省が「新しい介護食品」として整理した分類制度です。青・黄・赤の識別マークは農林水産省が許諾・管理しています。
青マークはどんな人向けですか?
噛むこと・飲み込むことには問題はないものの、健康維持のために栄養補給を必要とする方向けです。低栄養や食欲低下が気になる高齢者の補助食などが該当します。
黄マークと赤マークの違いは何ですか?
黄マークは「噛むことが難しい方」向け、赤マークは「飲み込むことが難しい方」向けです。赤マークは消費者庁の特別用途食品(えん下困難者用食品)の許可を受けた食品に表示されます。
ユニバーサルデザインフード(UDF)と同じものですか?
同じではありません。UDFは日本介護食品協議会の自主規格で、スマイルケア食の黄マークと考え方が共通しています。スマイルケア食は国主導で青・黄・赤を横断的に整理した枠組みです。
どこで選べばよいですか?
農林水産省が公開している早見表を参考に、飲み込み→噛む→栄養補給の順で確認します。判断に迷う場合は医師・歯科医師・管理栄養士・言語聴覚士などの専門職に相談してください。
参考資料
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まとめ
スマイルケア食は、農林水産省が「新しい介護食品」として、栄養補給が必要な方(青)・噛むことが難しい方(黄)・飲み込むことが難しい方(赤)の3色で整理した分類制度です。専門職向けの学会分類2021やUDFといった既存の規格を、家庭で選びやすい形にした「入り口」として理解しておくと役立ちます。状態の見極めは専門職と相談しながら、定期的に見直しましょう。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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