ターミナルケア加算とは

ターミナルケア加算とは

ターミナルケア加算は訪問看護や介護老人保健施設で終末期ケアを提供した際に算定できる介護報酬の加算。対象サービス・単位数・算定要件を整理して、看取り介護加算との違いまでわかりやすく解説します。

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この記事のポイント

ターミナルケア加算とは、訪問看護や介護老人保健施設などで終末期ケア(ターミナルケア)を提供した利用者に対して、介護報酬上加算が認められる仕組みです。死亡日とその直前の期間に手厚いケアを評価する設計で、対象サービスごとに単位数や算定要件が定められています。

目次

ターミナルケア加算の位置づけ

ターミナルケア加算は、介護保険制度における「加算」の一種で、利用者が人生の最終段階を迎える時期に、痛みの緩和や尊厳を守る関わりを多職種で集中的に提供する事業所・施設を経済的に評価する仕組みです。ターミナルケアそのものは医療・介護の理念であり、それを介護報酬の文脈で算定可能にしたのがこの加算です。

対象となるのは、訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護、介護老人保健施設(老健)、介護医療院などです。一方で、特別養護老人ホームや認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、特定施設入居者生活介護では、同じく終末期を支える趣旨の加算として看取り介護加算が設けられており、両者は対象サービスが原則として重ならないように整理されています。

制度上は介護保険の加算ですが、訪問看護のうち医療保険で行うものには別途「訪問看護ターミナルケア療養費」が設定されており、利用者が要介護認定を受けているかどうかで保険のラインが分かれます。介護分野で働く側からみると、ターミナルケア加算が算定できる事業所は、24時間連絡体制や主治医・家族との合意形成など、看取りに踏み込める体制を整えている職場という目安にもなります。

サービス別の単位数(2024年度改定後)

ターミナルケア加算の単位数は、サービスの種類と死亡からの日数によって細かく区分されています。代表的なものは次のとおりです。

  • 訪問看護:2,500単位/月(区分支給限度基準額の管理対象外)。2024年度改定で従来の2,000単位から500単位引き上げられました。
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護/看護小規模多機能型居宅介護:訪問看護に準じる扱いで、所定単位数が事業所単位で算定されます。
  • 介護老人保健施設(老健):死亡日に1,900単位/日、死亡日の前日・前々日が910単位/日、死亡日4日前から30日前までが170〜190単位/日、死亡日31日前から45日前までが72単位/日と、亡くなる時期に近づくほど高い評価がつく段階構造です(2024年度改定後)。
  • 介護医療院:老健と同様の段階単位制で、施設で最期を迎える入所者を支える体制を評価します。

訪問看護の2,500単位は、特別管理加算や緊急時訪問看護加算など他の加算との併算定が可能で、終末期に在宅で過ごす利用者を支えるチームへの収益的なインセンティブとなります。老健・介護医療院では、死亡日と直前の数日に評価の重みが寄せられているため、看取りまで施設で対応した場合の報酬インパクトが大きい設計です。

算定要件の主なポイント

サービスごとに細部は異なりますが、ターミナルケア加算の算定要件には共通する考え方があります。訪問看護を例にすると、次のような条件を満たす必要があります。

  • 死亡日および死亡日前14日以内に、ターミナルケアを目的とした訪問看護を2日以上行っていること。
  • 利用者・家族に対して24時間連絡が取れる体制を確保し、必要に応じて訪問看護を提供できる体制を整備していること。
  • 主治医と連携し、ターミナルケアに関する計画と支援体制について利用者・家族へ十分に説明し、同意を得たうえでケアを行っていること。
  • 利用者の身体状況の変化や提供したケアの内容など、必要な事項が看護記録として適切に残されていること。

介護老人保健施設では、医師が一般的に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断していること、入所者またはその家族等の同意を得て本人のターミナルケア計画が作成されていること、看取りに関する指針を策定し職員研修を行っていることなどが要件です。要支援者を対象とする介護予防訪問看護や、グループホーム・特定施設のようにターミナルケア加算ではなく看取り介護加算が用意されているサービスでは、本加算は算定できません。

看取り介護加算との違い

名前が似ている加算に「看取り介護加算」があります。両者の違いは、対象サービスと算定の主体にあります。

  • ターミナルケア加算:訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護、介護老人保健施設、介護医療院などが対象。看護師・医師など医療職の関与を前提に、終末期の医療ニーズを含むケアを評価します。
  • 看取り介護加算:特別養護老人ホーム、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、特定施設入居者生活介護などが対象。日常生活ケアを行う介護職員が中心となり、最期まで生活を支えることを評価する加算です。

同じ「最期を支える」加算でも、看護体制が前提か介護体制が前提かで設計が分かれているのが特徴です。働き方の観点では、ターミナルケア加算を算定できる事業所は看護職の配置や24時間連絡体制が整っている可能性が高く、訪問看護師や老健・介護医療院の介護職にとっては、看取りまで関わるキャリアを積みやすい職場の指標になります。

現場で押さえておきたい運用のコツ

ターミナルケア加算は単位数が大きく、事業所の収益にも職員の働き方にも影響する加算です。算定にあたっては次のような実務ポイントが重要です。

  • 同意取得の記録:本人・家族への説明内容と同意の経過は、ケア計画書や看護記録に時系列で残します。意思決定支援(ACP)のプロセスがそのまま算定要件の裏付けになります。
  • 24時間連絡体制の見える化:オンコール担当者・連絡フロー・主治医との連携手段を文書化しておくと、行政指導や監査時にも安心です。
  • 多職種カンファレンスの記録:訪問看護では主治医との連携、施設では医師・看護・介護・相談員などの会議録が、算定の根拠と職員教育の素材を兼ねます。
  • 看取り後のデブリーフィング:看取りはケアした職員にも負担が大きい場面です。看取り後に振り返りやメンタルケアの時間を組み込むことが、加算を継続的に算定できる体制づくりにつながります。

よくある質問

Q. ターミナルケア加算は誰が算定するのですか?

A. 算定するのは事業所・施設です。利用者の自己負担にも一部反映されますが、職員個人が直接受け取るものではなく、配置基準や処遇改善の原資の一部として施設・事業所運営に組み込まれます。

Q. 訪問介護でも算定できますか?

A. 訪問介護単体では算定できません。終末期に訪問介護が関わる場合でも、ターミナルケア加算が紐づくのは訪問看護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護など、看護機能を持つサービスです。

Q. 死亡前に病院へ搬送した場合はどうなりますか?

A. 訪問看護では、死亡日とその前14日以内に2日以上ターミナルケアを目的とした訪問を行っていれば算定対象になります。直前に入院しても、要件を満たした訪問記録があれば算定が認められるケースがあるため、記録の整備が重要です。

Q. グループホームでは算定できますか?

A. 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は看取り介護加算の対象であり、ターミナルケア加算は算定できません。サービスの性質に応じて、別の加算で評価される設計になっています。

参考資料

まとめ

ターミナルケア加算は、訪問看護や老健・介護医療院などで終末期ケアを担う事業所を経済的に評価する介護報酬の加算です。サービスごとに単位数や算定要件が定められ、24時間連絡体制・主治医との連携・本人と家族の同意・適切な記録が共通の柱になります。介護現場で働く側からみると、この加算を算定している事業所は、看取りまで責任を持って関わる体制が整っている職場の目安にもなります。看取り介護加算との違いを押さえたうえで、求人情報や事業所説明会で「どの加算を算定しているか」を確認すると、自分のキャリア観に合う職場かどうかを判断する手がかりになります。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

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