
介護事務の仕事内容完全ガイド|レセプト請求・資格・給料・向いている人
介護事務の仕事内容をレセプト請求業務から受付・労務管理まで徹底解説。介護事務管理士等の資格、平均給料・年収、1日の流れ、向いている人の特徴、2026年最新の制度改正情報まで網羅。事務職から介護業界への転職を考える方必見。
介護事務の仕事内容完全ガイド
介護事務とは、介護施設や事業所で介護報酬請求業務(レセプト作成)を中心に、受付・会計・労務管理などを担う事務職です。必須資格はなく未経験から就業可能ですが、介護事務管理士などの民間資格があると有利です。常勤の平均給与は月額約31.8万円(厚生労働省 令和6年度調査)で、デスクワーク中心のため体力的負担が少なく、家事や育児との両立がしやすい職種として人気があります。
介護事務とは?介護業界の「縁の下の力持ち」
「介護の仕事に興味はあるけれど、体力に自信がない」「事務職の経験を活かして介護業界で働きたい」――そんな方におすすめしたいのが介護事務という職種です。
介護事務は、介護施設や介護サービス事業所で働く事務職の総称です。介護保険制度が始まった2000年以降、介護報酬を正確に請求するための専門的な事務人材のニーズが生まれ、現在では介護業界の運営に欠かせない存在となっています。
主な業務は「介護報酬請求業務(レセプト作成)」ですが、それだけにとどまりません。受付・会計業務、ケアマネジャーのサポート、スタッフの労務管理、備品の発注管理など、施設運営全般を支える幅広い役割を担います。
この記事では、介護事務の仕事内容を網羅的に解説し、必要な資格、給料の実態、1日の業務スケジュール、向いている人の特徴、さらに2026年の最新制度改正の影響まで徹底的にお伝えします。事務職から介護業界への転職を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。
介護事務の仕事内容を徹底解説
介護事務の仕事内容は大きく分けて6つの業務領域に分類できます。施設の規模やサービス種別によって担当範囲は異なりますが、以下が主要な業務です。
1. 介護報酬請求業務(レセプト作成)
介護事務の最も重要な業務が、介護報酬請求業務です。一般的に「レセプト業務」と呼ばれます。
介護保険制度では、利用者が介護サービス費用の1〜3割を自己負担し、残りの7〜9割は介護保険から事業所に支払われます。この保険給付分を国民健康保険団体連合会(国保連)に請求するのがレセプト業務です。
具体的な作業内容は以下の通りです。
- 介護給付費明細書の作成:利用者ごとにサービス内容・日数・単位数を集計し、明細書を作成
- 介護給付費請求書の作成:事業所全体の1ヶ月分の請求額を一覧にまとめる
- データ入力・点検:レセプトコンピュータ(レセコン)に実績データを入力し、誤りがないか点検
- 国保連への電子送信:毎月1日〜10日の期限内に請求データを送信
- 返戻・査定対応:不備で差し戻された請求の修正・再請求
レセプトに誤りがあると請求が受け付けられず、施設の収入に直接影響します。そのため正確性が何よりも重要な業務です。
2. 受付・窓口業務
介護事務は「施設の顔」として来訪者への対応も担います。
- 電話対応(サービス利用の問い合わせ、見学希望の受付など)
- 来客者の案内・応対
- 新規利用者の申し込み受付
- 利用者の自己負担金の会計処理
- 家族からの相談の一次対応
特に高齢の利用者やそのご家族に対しては、介護保険制度やサービス内容をわかりやすく説明する力が求められます。
3. ケアマネジャーのサポート
ケアマネジャー(介護支援専門員)は利用者のケアプラン作成や介護相談、要介護認定の手続きなど多忙な業務を抱えています。介護事務はその補佐として以下のような業務を行います。
- ケアプラン関連の書類作成・整理
- サービス担当者会議の日程調整
- 要介護認定に必要な書類の準備
- 居宅介護支援事業所では給付管理票の作成補助
4. 労務管理・経理業務
施設によっては、人事・経理関連の業務も介護事務が担当します。
- スタッフの勤怠管理・シフト作成
- 給与計算の補助
- 伝票処理・経費精算
- 社会保険の手続き関連
一般企業での総務・経理経験がある方は、これらの業務で即戦力として活躍できるでしょう。
5. 施設管理・環境整備
施設の運営を裏方から支える環境整備も介護事務の重要な役割です。
- 備品・消耗品の発注・在庫管理
- 設備の修繕手配
- 行政機関への届出書類の作成・提出
- 関係機関(医療機関、行政など)との連絡調整
6. 介護現場のサポート
事業所や施設によっては、介護事務であっても介護現場のサポートを求められることがあります。食事の配膳補助、送迎時の付き添い、レクリエーション活動の手伝いなど、デスクワーク以外の業務が含まれる場合もあるため、求人に応募する際は「介護事務専任」か「介護職兼務」かを必ず確認しましょう。
レセプト業務の流れと月間スケジュール
介護事務の核となるレセプト業務には、厳格なスケジュール管理が求められます。月間の流れを理解することで、介護事務の仕事のリズムがイメージできるでしょう。
月間スケジュール
| 時期 | 業務内容 | 詳細 |
|---|---|---|
| 月中〜月末 | サービス実績の集計 | 利用者ごとの介護サービス内容・利用日数・単位数を集計。介護記録とケアプランの照合を行う |
| 月末 | 利用者への請求書作成 | 自己負担分(1〜3割)の請求書・領収書を作成し、利用者または家族に送付 |
| 翌月1日〜10日 | 国保連への請求 | 介護給付費請求書・明細書をレセコンで作成し、国保連へ電子送信。10日が提出期限 |
| 翌月中旬 | 審査結果の確認 | 国保連・市区町村による審査結果を確認。返戻があれば修正・再請求 |
| 翌々月下旬 | 介護報酬の入金 | 審査が通った分の介護報酬が事業所の口座に振り込まれる |
レセプト作成の具体的な手順
レセプト作成は以下の手順で進めます。
- サービス提供実績の確認:介護記録や提供票をもとに、各利用者のサービス内容・回数・日数を確認する
- レセコンへのデータ入力:専用のレセプトコンピュータ(レセコン)にサービス実績を入力。近年はクラウド型のソフトウェアも普及している
- 算定・単位数の計算:介護報酬の単位数を正しく算定する。加算・減算の適用条件を確認し、適切に反映させる
- データの点検・確認:入力ミスや算定誤りがないか、ケアプランとの整合性を含めて入念にチェックする
- 国保連への電子送信:点検完了後、伝送ソフトを使って国保連に請求データを送信する
- 返戻・査定への対応:不備があった場合は内容を確認し、修正して再請求を行う
レセプト業務で注意すべきポイント
レセプト業務では以下の点に特に注意が必要です。
- 提出期限の厳守:毎月10日の期限を過ぎると、入金がサービス提供月から3ヶ月後になってしまう
- 介護保険制度の改定対応:介護保険制度は3年に1度改定されるため、算定ルールの変更に常に対応する必要がある
- ケアマネジャーとの連携:居宅サービスでは、ケアマネジャーが提出する給付管理票と事業所のレセプトの内容が一致していなければ返戻になる
- 加算要件の確認:処遇改善加算、特定処遇改善加算など、各種加算の算定要件を正しく理解しておく
介護事務と医療事務の違い
「事務」「レセプト」という共通点から混同されがちですが、介護事務と医療事務は請求先や制度体系が異なります。
| 項目 | 介護事務 | 医療事務 |
|---|---|---|
| 請求先 | 国民健康保険団体連合会(国保連) | 社会保険診療報酬支払基金・国保連 |
| 根拠制度 | 介護保険制度 | 医療保険制度(健康保険) |
| 利用者負担 | 1〜3割 | 1〜3割 |
| 請求頻度 | 月1回(翌月10日まで) | 月1回(翌月10日まで) |
| 制度改定 | 3年に1度 | 2年に1度 |
| 勤務先 | 介護施設・事業所 | 病院・クリニック・薬局 |
医療事務の経験がある方は、レセプト作成の基本的な流れは共通するため、介護事務への転職でもスキルを活かしやすいでしょう。
介護事務の勤務先と1日のスケジュール
介護事務が活躍する職場は多岐にわたります。施設の種類によって業務内容や忙しさが異なるため、自分に合った勤務先を選ぶことが大切です。
主な勤務先と業務の特徴
| 施設・事業所の種類 | 主な業務内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 入所者の請求業務、面会受付、各種手続き | 長期入所者が中心で安定した業務量。大規模施設が多く事務専任の場合も |
| 介護老人保健施設(老健) | 入退所に伴う事務処理、医療保険との連携 | 在宅復帰を目指す施設のため入退所が多く、事務処理量が比較的多い |
| 有料老人ホーム | 入居者管理、契約事務、請求業務 | 民間運営のため接遇スキルが重視される傾向 |
| デイサービス(通所介護) | 通所者の出欠管理、送迎調整、レセプト作成 | 日々利用者が変動するため柔軟な対応が必要 |
| 訪問介護事業所 | ヘルパーのスケジュール管理、サービス実績管理 | 在宅サービスの特性上、緊急対応や家族との連携が多い |
| 居宅介護支援事業所 | 給付管理票の作成補助、ケアマネジャーのサポート | ケアプラン作成の事務補佐が中心。介護保険制度の深い知識が必要 |
| グループホーム | 少人数の利用者管理、家族対応 | 小規模施設のため一人で幅広い業務を担当する傾向 |
介護事務の1日のスケジュール例(デイサービス勤務の場合)
| 時間 | 業務内容 |
|---|---|
| 8:30 | 出勤・業務準備。前日の引き継ぎ事項を確認し、当日の利用予定者リストを確認する |
| 9:00 | 利用者の出迎え準備。送迎車の配車確認と利用者の到着を受付する |
| 9:30〜10:00 | 利用者到着後の体調確認記録。新規問い合わせや見学予約の電話対応 |
| 10:00〜12:00 | レセプト関連業務(月初)またはサービス実績の入力・確認。書類整理や備品発注 |
| 12:00〜13:00 | 昼休憩 |
| 13:00〜14:00 | 午後の利用者受付。契約書類の作成・整理。ケアマネジャーとの連絡調整 |
| 14:00〜16:00 | 各種事務処理(シフト管理、経理処理など)。行政への届出書類作成 |
| 16:00〜17:00 | 利用者のお見送り対応。翌日の準備と業務引き継ぎ事項の整理 |
| 17:00〜17:30 | 退勤 |
残業について
介護事務は比較的残業が少ない職種です。介護職のように利用者への直接ケアを行わないため、夜勤もありません。
ただし、月末〜翌月10日のレセプト提出期間は繁忙期となり、残業が発生することがあります。事業所の規模が大きいほど利用者数が多く、レセプト作成の業務量も増えます。繁忙期とそれ以外の時期でメリハリのある働き方ができるのが特徴です。
介護事務に役立つ資格一覧と取得方法
介護事務として働くために必須の資格はありません。無資格・未経験でも就業可能な職種です。しかし、民間資格を取得しておくことで就職・転職活動で有利になるだけでなく、実務にも役立ちます。
介護事務に関する主要な民間資格
| 資格名 | 認定団体 | 試験内容 | 合格率 | 受験条件 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 介護事務管理士 | 技能認定振興協会(JSMA) | 学科(法規・請求知識、択一式)+実技(レセプト作成) | 約50% | 誰でも受験可能 | 年6回開催、在宅受験可。最短1ヶ月で取得可能。介護事務資格の中で最も知名度が高い |
| ケアクラーク | 日本医療教育財団 | 学科(社会福祉制度・介護報酬請求)+実技 | 約70% | 誰でも受験可能 | 介護事務と社会福祉全般の知識を証明。学習時間の目安は50〜100時間 |
| 介護報酬請求事務技能検定 | 日本医療事務協会 | 学科+実技(レセプト作成) | 約80% | 指定講座の修了者 | 合格率が高く取得しやすい。通学講座は最短3日で修了 |
| 介護事務認定実務者 | 全国医療福祉教育協会 | 学科(マークシート方式) | 約60〜80% | 誰でも受験可能 | ユーキャン講座と連携。在宅受験可。3ヶ月で取得可能 |
| 介護保険事務士 | つしま医療福祉研究財団 | 所定カリキュラムの履修 | 非公開 | 指定教育機関での履修 | 大学・短大の履修科目に設定されている |
| 介護保険事務管理士 | 日本病院管理教育協会 | 所定カリキュラムの履修+試験 | 非公開 | 指定教育機関での履修 | 医療・介護サービス施設における事務能力を証明 |
どの資格を選ぶべき?目的別おすすめ
- 初めて介護事務を目指す方:介護事務管理士または介護事務認定実務者がおすすめ。在宅受験が可能で、未経験からでも挑戦しやすい
- 短期間で資格を取りたい方:介護報酬請求事務技能検定が合格率約80%と高く、通学講座なら最短3日で修了できる
- 介護と福祉の幅広い知識を身につけたい方:ケアクラークは社会福祉制度全般の知識も問われるため、キャリアの幅が広がる
介護事務以外に持っておくと有利な資格
介護事務の仕事に直接関わる資格以外にも、持っておくと給料アップやキャリアアップにつながる資格があります。
- 介護職員初任者研修:介護の基礎知識が身につき、介護職との兼務が可能になる。資格手当がつく場合も
- MOS(Microsoft Office Specialist):ExcelやWordのスキルを証明でき、事務処理の効率化に役立つ
- 日商簿記:経理業務を任される場合に強みとなる
- 普通自動車運転免許:送迎業務や通勤に必要な場合がある。特に地方の施設では必須に近い
介護事務の給料・年収を徹底分析
介護事務の給料は、雇用形態・勤務先の種類・地域によって幅があります。ここでは公的データをもとに、介護事務の給料の実態を詳しく見ていきます。
介護事務の平均給与(厚生労働省データ)
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護事務の平均給与は以下の通りです。
| 項目 | 基本給(a) | 手当(b) | 一時金(c) | 平均給与(a+b+c) |
|---|---|---|---|---|
| 常勤 | 210,980円 | 55,680円 | 50,960円 | 317,620円 |
| 非常勤 | 121,180円 | 24,650円 | 20,760円 | 166,590円 |
(出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」)
介護職員との給与比較
同調査によると、介護職員の平均給与額と比較した場合、介護事務は常勤で約20,580円、非常勤で約29,470円低い金額となっています。これは夜勤手当がないことや、処遇改善加算の対象外となるケースがあることが主な要因です。
雇用形態別の年収目安
| 雇用形態 | 年収目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 正社員(介護事務専任) | 250万〜350万円 | 基本給+賞与。夜勤手当なし |
| 正社員(介護職兼務) | 300万〜400万円 | 介護業務の手当・夜勤手当が加算される |
| パート・アルバイト | 時給1,000〜1,300円 | 地域差あり。都市部ほど高い傾向 |
| 派遣社員 | 時給1,200〜1,500円 | パートより高めだが福利厚生に差がある場合も |
当サイト独自分析:施設タイプ別の給料傾向
厚生労働省の「令和5年度賃金構造基本統計調査」および「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」のデータを分析すると、施設タイプによって介護職の平均給与に明確な差があります。介護事務の給与も施設の経営状況に連動するため、勤務先選びの参考になります。
- 特別養護老人ホーム(特養):介護職員の平均給与が高めの施設。事務職も安定した給与が期待できる。社会福祉法人運営のため福利厚生も充実している傾向
- 介護老人保健施設(老健):医療法人運営が多く、給与水準は比較的高い。医療保険の知識も求められるため、スキルの幅が広がる
- デイサービス:小〜中規模の施設が多く、給与は施設によるばらつきが大きい。介護職との兼務を求められやすい
- 訪問介護事業所:事務員の配置が少人数のため、幅広い業務を一人で担当するケースが多い
介護事務として高めの給与を目指すなら、特養や老健などの大規模施設で事務専任ポジションを狙うのが一つの戦略です。
介護事務と一般事務の年収比較
一般事務の平均年収は250万〜350万円程度で、介護事務専任の年収とほぼ同水準です。大きな違いは「専門性の有無」にあります。介護事務はレセプト業務という専門スキルを持つため、介護業界内での転職がしやすく、キャリアの安定性が高いといえるでしょう。
介護事務に向いている人の特徴7選
介護事務はどのような人に向いているのでしょうか。以下の7つの特徴に当てはまる方は、介護事務で活躍できる可能性が高いです。
1. 几帳面で正確な作業が得意な人
レセプト業務は施設の収入に直結するため、入力ミスや算定誤りは許されません。細かい数字を扱う作業を正確にこなせる几帳面な性格の方に向いています。「数字のチェックを丁寧にできる」「ミスを事前に見つけるのが得意」という方は適性があります。
2. パソコン操作が得意な人
レセコンへのデータ入力、Excelでの帳票作成、メール対応など、パソコンを使った業務が多くの時間を占めます。基本的なPC操作ができることは必須で、タイピングが速いほど業務効率が上がります。
3. コミュニケーション力がある人
「事務=一人で黙々と作業」というイメージがあるかもしれませんが、介護事務は人と関わる場面が非常に多い仕事です。利用者やご家族への対応、ケアマネジャーや介護職員との連携、行政や医療機関とのやりとりなど、多方面とのコミュニケーションが求められます。
4. 介護・福祉に関心がある人
介護保険制度の理解やレセプト業務の習得には、介護・福祉への関心が不可欠です。制度は3年に1度改定されるため、「新しい知識を学び続けることが苦にならない」という姿勢が大切です。介護業界の動向に興味を持てる方は、やりがいを感じながら働けるでしょう。
5. スケジュール管理能力がある人
レセプト提出の期限管理、利用者の予約管理、スタッフのシフト調整など、介護事務にはスケジュール管理能力が求められます。特にレセプト業務は月末〜翌月10日の限られた期間で正確に処理する必要があるため、計画的に仕事を進められる人が向いています。
6. 家事や育児と両立したい人
介護事務はデスクワーク中心で夜勤がなく、残業も比較的少ない職種です。パート・アルバイトや時短勤務など、多様な雇用形態が選べるため、家事や育児との両立がしやすいのが大きな魅力です。出産・育児でブランクがある方の再就職先としても人気があります。
7. 事務職の経験がある人
一般企業で総務・経理・人事などの事務経験がある方は、その経験を介護事務に活かせます。特に経理や労務管理の経験は即戦力として評価されやすく、未経験でも採用される可能性が高まります。「事務スキルを活かしつつ社会貢献度の高い仕事がしたい」という方にぴったりです。
介護事務のメリット・デメリット
介護事務への転職を検討する際に、メリットとデメリットの両面を理解しておくことが大切です。
介護事務のメリット
- 体力的負担が少ない:デスクワーク中心のため、介護職のような身体的負担がない。年齢を重ねても長く働ける
- 夜勤なし・残業少なめ:生活リズムが安定し、家庭との両立がしやすい。レセプト繁忙期以外は定時退社が基本
- 多様な雇用形態:正社員・パート・派遣など働き方の選択肢が豊富。ライフステージに合わせた柔軟な働き方が可能
- 未経験・無資格からスタートできる:必須資格がないため、事務職未経験でもチャレンジしやすい
- 専門スキルが身につく:介護保険制度やレセプト作成のスキルは他の介護事業所でも通用するため、転職市場での価値が高い
- 安定した需要:高齢化の進展により介護施設は増加傾向にあり、介護事務の求人も安定している
- やりがいを感じやすい:施設運営を支える「縁の下の力持ち」として、スタッフや利用者から感謝される機会が多い
介護事務のデメリット・注意点
- 給与水準がやや低め:介護職員より月額2万円程度低い傾向(厚生労働省調査)。夜勤手当がないことが主因
- レセプト繁忙期のプレッシャー:月末〜翌月10日は業務が集中し、残業が発生することがある。ミスが許されない責任の重さも
- 介護現場のサポートを求められる場合がある:施設によっては食事配膳や送迎補助など、事務以外の業務を兼務することも
- 制度改定への対応が必要:3年ごとの介護報酬改定に伴い、算定ルールの変更に常にキャッチアップする必要がある
- 処遇改善加算の対象外になることがある:介護職員向けの処遇改善加算が事務職には適用されない施設もあり、給与アップの恩恵を受けにくい場合がある
デメリットへの対処法
給与面については、介護事務の資格取得による手当アップや、介護職との兼務による収入増加が有効です。また、レセプト繁忙期については、月中からの計画的な準備により負担を分散させることが可能です。処遇改善加算については、2024年6月の制度改正で「介護職員等処遇改善加算」に一本化され、事務職員も含めた柔軟な配分が認められるようになりました。
事務職から介護事務への転職ガイド
一般企業の事務職から介護事務への転職を考えている方に向けて、具体的なステップとポイントを解説します。
転職の3ステップ
- 介護事務の資格を取得する:必須ではありませんが、介護事務管理士や介護事務認定実務者などの資格を取得しておくと、採用選考で大きなアドバンテージになります。通信講座なら3〜4ヶ月、通学講座なら最短3日で修了できるものもあります。
- 求人を探す:介護専門の求人サイト(介護求人ナビ、カイゴジョブ、ジョブメドレーなど)や、ハローワークで「介護事務」「受付事務(介護)」などのキーワードで検索します。「未経験OK」「資格不問」の求人も多く見つかります。
- 面接対策をする:事務職の経験をどう介護事務に活かせるかを具体的に説明できるようにしましょう。経理経験があればレセプト業務、総務経験があれば施設管理など、スキルの転用をアピールします。
転職時に確認すべき5つのポイント
- 「介護事務専任」か「介護職兼務」か:求人票をよく確認し、事務業務にどの程度集中できるか把握する
- レセプトソフトの種類:施設によって使用するレセコンが異なる。未経験の場合は研修制度があるか確認
- 繁忙期の残業時間:レセプト提出期間の残業実態を事前に確認しておくと安心
- 資格手当の有無:介護事務関連の資格に対して手当がつくかどうかは施設によって異なる
- キャリアパスの可能性:将来的にケアマネジャーの補佐や管理職を目指せるかも確認ポイント
未経験者が介護事務で活躍するためのコツ
介護事務は未経験からでもスタートできる職種ですが、早く戦力になるためのコツがあります。
- 介護保険制度の基礎を事前に学ぶ:入職前にテキストや厚生労働省のサイトで基本的な仕組みを理解しておくと、業務の理解が早い
- 先輩のレセプト業務を積極的に見学する:最初の繁忙期は特に先輩の仕事を観察し、流れを把握する
- 介護スタッフとの信頼関係を築く:事務職だからといって現場と距離を置かず、積極的にコミュニケーションをとることが重要
- 制度改定の情報を追い続ける:厚生労働省の通知や業界ニュースを定期的にチェックする習慣をつける
【2026年最新】介護事務を取り巻く制度改正と将来性
2025年〜2026年にかけて、介護事務の業務環境に大きな変化をもたらす制度改正が進行しています。最新の動向を把握しておくことは、介護事務として働く上で重要です。
2024年度介護報酬改定の影響
2024年6月に施行された介護報酬改定では、これまで別々だった「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」が「介護職員等処遇改善加算」に一本化されました(厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」)。
注目すべきは、新しい加算では事務職員を含む全介護従事者への配分が柔軟に認められるようになった点です。これにより、介護事務も処遇改善の恩恵を受けやすくなりました。
2026年介護報酬中間改定の見通し
2026年6月には介護報酬の中間改定が予定されており、さらなる賃上げ支援が見込まれています。介護職全体で月額1〜1.9万円程度の賃上げ支援が検討されており、介護事務の給与水準も間接的に上昇する可能性があります。
介護情報基盤の整備(2026年4月〜)
2026年4月から順次稼働を開始する「介護情報基盤」は、介護事務の業務効率化に大きなインパクトをもたらす可能性があります。これは介護・医療の情報を一元的に共有するシステムで、以下のような効果が期待されています。
- 利用者の要介護認定情報やケアプランのデジタル共有による事務作業の効率化
- レセプト作成に必要な情報の自動連携
- 関係機関との情報共有のスピードアップ
介護事務にとっては、従来の紙ベースの事務作業が大幅に削減される一方で、新しいICTシステムへの対応力が求められるようになります。デジタルスキルの向上が今後ますます重要になるでしょう。
介護事務の将来性
日本の高齢化率は2025年に約30%に達し、今後も上昇を続ける見通しです(内閣府「高齢社会白書」)。介護サービスの需要拡大に伴い、介護施設・事業所の数も増加傾向にあります。
介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査」によると、介護事業所の約62%が人材不足を感じていると回答しており、事務職員も例外ではありません。特にレセプト業務のスキルを持つ人材は慢性的に不足しており、介護事務の求人は今後も安定して増加すると予測されます。
さらに、ICT化の進展により介護事務の役割も変化しつつあります。単なるデータ入力にとどまらず、データ分析やシステム管理など、より高度な事務スキルを持つ人材の需要が高まっています。
介護事務の給料を上げる5つの方法
「介護事務の給料は低い」と言われることもありますが、工夫次第で収入アップは可能です。具体的な方法を5つ紹介します。
1. 介護事務関連の資格を取得する
介護事務管理士やケアクラークなどの資格を持っていると、施設によっては月額3,000〜10,000円程度の資格手当がつくことがあります。年間にすると36,000〜120,000円のアップです。資格は一度取得すれば更新不要なものが多く、コストパフォーマンスが高い方法です。
2. 介護職との兼務で手当を増やす
介護職員初任者研修を取得して介護業務も兼務すると、夜勤手当や処遇改善加算の対象になる可能性があります。介護福祉士まで取得すれば、年収400万円近くを目指すことも可能です。
3. 給与水準の高い施設に転職する
特別養護老人ホームや介護老人保健施設など、大規模施設は給与水準が高い傾向にあります。また、社会福祉法人や医療法人は福利厚生が充実している場合が多く、実質的な収入アップにつながります。
4. 経験を積んで管理職を目指す
介護事務としての経験を重ねることで、事務部門の管理職や施設の事務長を目指すキャリアパスがあります。管理職になれば基本給のアップだけでなく、役職手当もつきます。
5. 将来的にケアマネジャーを目指す
介護事務の経験を活かしてケアマネジャー(介護支援専門員)を目指すのも有効な選択肢です。ケアマネジャーの平均年収は400万円以上と、介護事務を大きく上回ります。ただし、通算5年以上の実務経験と指定の国家資格が必要です。
介護事務に関するよくある質問
Q. 介護事務は未経験でもなれますか?
はい、介護事務は未経験・無資格でも就業可能です。必須資格はなく、「未経験OK」「資格不問」の求人も多くあります。ただし、介護事務管理士などの民間資格を事前に取得しておくと、採用時に有利になります。通信講座なら3〜4ヶ月で取得可能です。
Q. 介護事務の仕事は難しいですか?
レセプト業務に必要な介護保険制度の知識は、最初は難しく感じる方が多いです。しかし、基本的なルールを覚えれば、毎月の繰り返し業務であるため次第に慣れていきます。介護保険制度は3年ごとに改定されるため、継続的な学習が必要ですが、多くの施設で研修やOJTの体制が整っています。
Q. 介護事務の資格は独学で取れますか?
はい、独学でも取得可能です。介護事務管理士や介護事務認定実務者は、市販のテキストや過去問で学習できます。ただし、モチベーションの維持や疑問点の解消が難しいと感じる場合は、通信講座(ユーキャンなど)や通学講座の活用がおすすめです。
Q. 介護事務と医療事務、どちらが就職しやすいですか?
どちらも需要がありますが、介護事務は介護施設の増加に伴い求人が増え続けています。医療事務は病院・クリニックが中心ですが、競争率が高い傾向にあります。介護事務は「未経験OK」の求人が多く、転職のハードルが低い傾向があります。両方の経験があると転職市場で有利です。
Q. 介護事務でも介護の現場業務をしなければならないですか?
施設によって異なります。大規模施設(特養・老健など)では事務専任のポジションが用意されていることが多いですが、小規模施設では介護業務の一部を兼務する場合があります。求人応募時に「介護事務専任か兼務か」を必ず確認してください。
Q. 男性でも介護事務として働けますか?
もちろん働けます。介護事務は女性が多い傾向にありますが、性別による制限は一切ありません。経理や労務管理のスキルがある男性は、施設運営の中核スタッフとして重宝されます。
参考文献・出典
- [1]
- [2]
- [3]
- [4]
まとめ:介護事務は安定性と専門性を兼ね備えたキャリア
介護事務は、レセプト業務という専門スキルを武器に、介護業界で安定したキャリアを築ける職種です。この記事の要点をまとめます。
- 仕事内容:介護報酬請求業務(レセプト作成)を中心に、受付・労務管理・ケアマネ補佐など幅広い業務を担当
- 資格:必須資格なし。介護事務管理士やケアクラークなどの民間資格があると就転職で有利
- 給料:常勤の平均給与は月額約31.8万円(手当・一時金含む)。年収は250万〜350万円が目安。介護職兼務で400万円近くも可能
- 向いている人:几帳面で正確な作業が得意、コミュニケーション力がある、介護・福祉に関心がある人
- 将来性:高齢化の進展で介護施設は増加傾向。ICT化により事務効率化が進む一方、デジタルスキルが重要に
事務職経験を活かしつつ社会貢献度の高い仕事がしたい方、夜勤なしで安定した働き方を望む方にとって、介護事務は魅力的な選択肢です。まずは介護事務の資格取得から始めてみてはいかがでしょうか。
介護業界でのキャリアに興味がある方は、自分に合った働き方を見つけるために「働き方診断」もぜひご活用ください。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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