雇止めとは

雇止めとは

雇止めとは、有期労働契約を期間満了で更新せずに終了させることです。労働基準法第14条第2項に基づく告示による30日前予告と理由の証明書交付、労働契約法第19条の雇止め法理、2024年4月からの更新上限の明示までを条文にもとづき解説します。

ポイント

この記事のポイント

雇止めとは、有期労働契約を期間満了のタイミングで更新せず終了させることです。契約期間の途中で辞めさせる解雇とは法的な扱いが異なりますが、放任されているわけではありません。労働基準法第14条第2項にもとづく告示「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準」により、一定の場合には少なくとも30日前までの予告が必要で、労働者が請求すれば雇止めの理由を記した証明書を遅滞なく交付しなければなりません。さらに労働契約法第19条の要件に当たる場合、雇止めそのものが認められないことがあります。

目次

雇止めの予告と理由明示のルール

厚生労働省の告示は、有期労働契約をめぐる紛争を防ぐために使用者が講じるべき事項を定めています。労働基準監督署は、この基準に関して使用者へ助言・指導を行います。中心となるのは次の4つです。

1. 雇止めの予告

使用者は、次のいずれかに当たる有期労働契約を更新しない場合、少なくとも契約期間が満了する日の30日前までに予告しなければなりません。あらかじめ更新しない旨が明示されている契約は対象外です。

  • 3回以上更新されている場合
  • 1年以下の契約期間の有期労働契約が更新または反復更新され、最初に契約を締結してから継続して通算1年を超える場合
  • 1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合

2. 雇止めの理由の明示

予告後に労働者が雇止めの理由について証明書を請求したときは、遅滞なく交付しなければなりません。雇止めの後に請求された場合も同じです。示すべき理由は契約期間の満了とは別の理由である必要があります。告示の解説では、前回更新時に更新しないことが合意されていた、契約締結当初から更新回数の上限を設けていて本契約がその上限に当たる、担当していた業務が終了・中止した、事業縮小、業務遂行能力が十分でない、職務命令違反や無断欠勤などの勤務不良、といった例が挙げられています。

3. 契約期間についての配慮

契約を1回以上更新し、かつ1年を超えて継続雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合、契約の実態とその労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。

4. 更新上限を設ける・短縮するときの理由説明(2024年4月から)

有期労働契約の締結後に、更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)を新たに設ける場合、または短縮する場合、使用者はその理由をあらかじめ労働者に説明しなければなりません。あわせて労働条件の明示事項にも「更新上限の有無と内容」が加わりました。

労働契約法第19条の雇止め法理

告示に従って予告しても、それだけで雇止めが有効になるわけではありません。労働契約法第19条は、次のいずれかに該当する有期労働契約について、労働者が期間満了日までに更新を申し込んだ場合、または期間満了後遅滞なく締結を申し込んだ場合であって、使用者がその申込みを拒絶することが「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、従前と同一の労働条件で申込みを承諾したものとみなすと定めています。

  1. 反復更新型:過去に反復して更新されたことがあり、更新しないことで契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を解雇によって終了させることと社会通念上同視できると認められる場合
  2. 期待保護型:契約期間の満了時に更新されるものと期待することについて、合理的な理由があると認められる場合

期待の合理性は、更新の回数や通算期間だけでなく、更新手続きが形骸化していないか、採用時や更新時にどんな説明をしていたか、同様の職員がどう扱われてきたかといった事情から判断されます。「更新の手続きを毎回書面で行い、更新の可否と判断基準を伝えていたか」が施設側の実務上の分かれ目になります。

雇止め・解雇・契約期間中の打ち切りの違い

3つは混同されやすいので、根拠条文とセットで区別します。

  • 雇止め:有期契約の期間満了で更新しないこと。解雇ではないため労働基準法第20条の解雇予告手当の対象ではありませんが、告示による30日前予告と理由の証明書交付、労働契約法第19条の判断があります。
  • 解雇:使用者による労働契約の一方的な解約。無期契約の場合は労働契約法第16条の解雇権濫用法理と、労働基準法第20条の30日前予告または解雇予告手当が適用されます。
  • 契約期間中の打ち切り:有期契約の途中で辞めさせること。これは雇止めではなく解雇であり、労働契約法第17条第1項が「やむを得ない事由がある場合でなければ」解雇できないと定めています。無期契約の解雇より厳しい要件です。

もう1つ、契約期間の上限そのものは労働基準法第14条第1項が定めています。原則3年、高度の専門的知識等を有する労働者と満60歳以上の労働者との契約は5年です。一定の事業の完了に必要な期間を定めるものはその期間となります。

立場別の実務手順

施設・管理者の手順

更新の可否は、期間満了の30日前という締切りから逆算して判断します。判断が遅れると予告が間に合いません。更新しないと決めたら、書面で予告し、証明書の請求があった場合に備えて契約期間の満了とは別の理由を整理しておきます。能力不足を理由にするのであれば、指導と改善機会の記録が前提になります。記録が無い能力不足の主張は、労働契約法第19条の判断で通りにくくなります。運営面での確認事項は介護事業所の実地指導・運営指導への対応|事前通知〜当日〜改善報告の流れと指摘されやすい項目とあわせて整理しておくと抜けが減ります。

職員の対応

更新しないと言われたら、まず雇止めの理由についての証明書を請求します。請求は予告後でも雇止め後でも構いません。同時に、これまでの雇用契約書、更新時のやりとり、更新手続きの実態を手元にそろえておきます。更新への期待に合理的な理由があると考えられる場合は、期間満了日までに更新の申込みを行っておくことが、労働契約法第19条を使ううえで重要になります。相談先は労働基準監督署内の総合労働相談コーナーや都道府県労働局です。

更新上限の明示と、無期転換直前の雇止め

2024年4月からの労働条件明示のルールで、有期労働契約の締結時と更新時には更新上限の有無と内容を明示することになりました。さらに無期転換申込権が発生する更新のタイミングでは、無期転換の申込みができることと、無期転換後の労働条件の明示も必要です。就業場所・業務の変更の範囲は、有期・無期を問わずすべての労働契約の締結時と有期契約の更新時に明示します。詳しくは変更の範囲(労働条件明示)とはを参照してください。

実務でとくに注意が要るのが、通算5年に達する直前の雇止めです。無期転換ルールとはの申込権の発生を避ける目的で更新上限を後から設けたり、雇止めを行ったりすると、更新上限の新設について事前説明を欠いていないか、更新への期待に合理的な理由がなかったかが問われます。契約管理の記録を残しておくことが、双方にとっての備えになります。

雇止めとはに関するよくある質問

Q雇止めでも失業給付は受けられますか。

受けられます。離職理由の区分によって給付制限や所定給付日数が変わるため、離職票の離職理由欄の記載が実態と合っているかを必ず確認してください。契約更新を希望したのに更新されなかった場合と、自ら更新を希望しなかった場合では扱いが異なります。判断はハローワークが行います。

Q1回目の契約で更新されませんでした。予告は必要でしたか。

告示の予告対象は、3回以上更新されている場合、1年以下の契約が更新され通算1年を超える場合、1年を超える契約期間の契約を締結している場合です。1年以下の契約の1回目の満了は、いずれにも当たらないため予告義務の対象外になります。ただし更新の可否について採用時にどう説明していたかは、労働契約法第19条の判断で意味を持ちます。

Q雇止めの理由の証明書は必ずもらえますか。

労働者が請求すれば、使用者は遅滞なく交付しなければなりません。予告後の請求でも、雇止めが済んだ後の請求でも同じです。記載される理由は契約期間の満了とは別の理由である必要があります。

Q契約期間の途中で「明日から来なくていい」と言われました。

それは雇止めではなく解雇です。労働契約法第17条第1項により、有期労働契約はやむを得ない事由がなければ契約期間の満了までの間に解雇できません。加えて労働基準法第20条の解雇予告または解雇予告手当の問題にもなります。労働基準監督署に相談してください。

Q更新上限が後から追加されました。問題はありませんか。

有期労働契約の締結後に更新上限を新たに設ける場合や短縮する場合、使用者はその理由をあらかじめ労働者に説明しなければならないとされています。説明がないまま上限が追加されたのであれば、まず理由の説明を求めるのが手順です。

雇止めとはの参考文献・出典

雇止めとはのまとめ

雇止めは期間満了による契約終了ですが、手続きと効力の両面でルールがあります。手続き面は労働基準法第14条第2項にもとづく告示で、3回以上更新・通算1年超・1年を超える契約期間のいずれかに当たれば30日前までの予告が必要で、請求があれば契約期間の満了とは別の理由を記した証明書を交付します。効力面は労働契約法第19条で、反復更新型または期待保護型に当たり、拒絶に客観的に合理的な理由がなく社会通念上相当でなければ、従前と同一の条件で更新したものとみなされます。契約期間の途中で辞めさせる場合は雇止めではなく解雇となり、第17条第1項のやむを得ない事由が必要です。施設は更新判断を30日前から逆算し、職員は理由の証明書を請求するところから始めてください。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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