有料職業紹介とは
介護職向け

有料職業紹介とは

有料職業紹介事業とは、厚生労働大臣の許可を受けて行う職業紹介事業です。職業安定法第30条の許可制、上限制手数料と届出制手数料の違い、求職者から手数料を取れない仕組み、無許可営業の罰則を条文で整理します。

ポイント

有料職業紹介事業の定義

有料職業紹介事業とは、手数料または報酬を受けて求人者と求職者の間の雇用関係の成立をあっせんする事業で、職業安定法第30条第1項により厚生労働大臣の許可を受けなければ行えません。介護の転職エージェントや紹介会社の多くがこの許可を受けて運営しています。手数料は原則として求人者(施設・法人)が負担し、求職者から徴収することは同法第32条の3第2項で原則として禁じられています。

目次

有料職業紹介事業の許可制と事業者に課される義務

職業安定法第4条第1項は「職業紹介」を、求人および求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることと定義しています。このうち手数料または報酬を受けて行うものが有料の職業紹介です。

そして同法第30条第1項は、有料の職業紹介事業を行おうとする者は厚生労働大臣の許可を受けなければならないと定めています。許可には第31条の基準と第32条の欠格事由があり、たとえば拘禁刑以上の刑に処せられて5年を経過しない者や、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者は許可を受けられません。暴力団員等も同様です。

許可は3年、更新後は5年

第32条の6第1項により、許可の有効期間は許可の日から3年です。引き続き事業を行うには更新を受ける必要があり、更新後の有効期間は同条第5項により5年になります。許可証は第32条の4により事業所ごとに備え付けることとされ、関係者から請求があったときは提示しなければなりません。

許可のほかに課される主な義務

  • 職業紹介責任者の選任(第32条の14)。苦情の処理、求人者の情報および求職者の個人情報の管理、求人・求職の申込み受理や助言指導、職業安定機関との連絡調整を統括管理させるために選任する。
  • 取扱職種の範囲等・手数料・苦情処理に関する事項の明示(第32条の13)。求人者と求職者の双方に対して、あらかじめ明示しなければならない。
  • 帳簿の備付け(第32条の15)と事業報告書の提出(第32条の16)。事業報告書には求職者の数、職業紹介に関する手数料の額などを記載する。

なお介護労働者法(介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律)第2条第5項は、同法にいう「職業紹介事業者」を、介護労働者について職業安定法第30条第1項の許可を受けて有料の職業紹介事業を行う者と定義しています。介護分野の紹介会社は、この許可を前提に位置づけられています。

有料職業紹介の上限制手数料と届出制手数料の違い

職業安定法第32条の3第1項は、有料職業紹介事業者が手数料を受け取れる場合を2つに限っています。ここを取り違えると「紹介手数料には法律上の上限がある」という誤解が生まれます。上限があるのは片方だけです。

比較軸上限制手数料(第1号)届出制手数料(第2号)
根拠厚生労働省令で定める種類および額(職業安定法施行規則第20条第1項および別表)あらかじめ厚生労働大臣に届け出た手数料表
金額の上限省令の別表に最高額が定められている法律に一律の上限額の定めはない
行政の関与省令改正がない限り上限は動かない第32条の3第4項により、不当な差別的取扱いに当たる場合や、種類・額が明確に定められていないため著しく不当と認められる場合には、変更命令の対象となる

上限制手数料の別表に定められた最高額

  • 受付手数料: 求人の申込みを受理した場合、1件につき710円(免税事業者は660円)
  • 紹介手数料: 支払われた賃金額の100分の11(免税事業者は100分の10.3)に相当する額
  • 期間の定めのない雇用契約で同一の者に引き続き6か月を超えて雇用された場合は、6か月間の賃金額の100分の11に相当する額と、臨時に支払われる賃金および3か月を超える期間ごとに支払われる賃金を除いた額の100分の14.8(免税事業者は100分の13.9)に相当する額のうち、いずれか大きい額

実務上は届出制手数料を選ぶ事業者が多く、その場合の料率は届け出た手数料表によります。個別の紹介会社が実際に何割を受け取っているかは公開資料からは一律に言えないため、この記事では具体的な相場は示しません。手数料に関する事項は第32条の13により求人者・求職者に明示することとされているので、確認したい場合はその明示を求めるのが確実です。

有料職業紹介で求職者が手数料を負担しない理由

職業安定法第32条の3第2項は、有料職業紹介事業者は求職者からは手数料を徴収してはならないと定めています。ただし書で、求職者から徴収することがその求職者の利益のために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは徴収できるとしていますが、その例外はごく限られています。

職業安定法施行規則第20条第2項が挙げる例外の対象は、次の職業に紹介した求職者だけです。

  • 芸能家
  • モデル
  • 科学技術者
  • 経営管理者
  • 熟練技能者(技能検定の特級または一級に合格した者が有する技能またはこれに相当する技能を有する者)

このうち科学技術者・経営管理者・熟練技能者については、紹介により就いた職業の賃金の額が厚生労働大臣の定める額を超える者に限られ、徴収できる額も就職後6か月以内に支払われた賃金の100分の11(免税事業者は100分の10.3)に相当する額以下とされています。

介護職員、訪問介護員、介護支援専門員、看護職員といった介護分野の職種は、この5類型のいずれにも当たりません。したがって介護の求職者が紹介会社に紹介手数料を支払う場面は、制度上そもそも想定されていません。登録や紹介の対価を求職者側に請求する事業者があれば、それ自体が法令上の問題を含みます。

有料職業紹介の無許可営業と手数料違反の罰則

職業安定法の罰則は、2025年6月施行の刑法改正を受けて「拘禁刑」表記に統一されています。

違反の内容根拠法定刑
許可を受けずに有料の職業紹介事業を行った(第30条第1項違反)第64条第1号1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
偽りその他不正の行為により許可や有効期間の更新を受けた第64条第1号の21年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
認められた場合以外に手数料を受け取った、求職者から手数料を徴収した(第32条の3第1項・第2項違反)第65条第2号6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
手数料表の変更命令に違反した(第32条の3第4項)第66条第2号30万円以下の罰金

このほか、暴行・脅迫・監禁などの手段によって職業紹介を行った場合や、公衆衛生・公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で職業紹介を行った場合は、第63条により1年以上10年以下の拘禁刑または20万円以上300万円以下の罰金という、格段に重い法定刑が定められています。

有料職業紹介の許可番号と明示事項の確かめ方

許可を受けた事業者には許可番号が交付され、第32条の4により許可証を事業所ごとに備え付けて、関係者から請求があったときは提示することとされています。事業者のホームページや書面に許可番号が記載されているか、記載がなければ提示を求められるかは、最初の確認点になります。

明示を求められる項目を知っておく

第32条の13により、有料職業紹介事業者は、取扱職種の範囲等、手数料に関する事項、苦情の処理に関する事項などを、求人者と求職者の双方にあらかじめ明示しなければなりません。求職者の立場で押さえておきたいのは、苦情の処理に関する事項です。紹介後に条件の食い違いが起きたとき、どこに申し出るのかが事前に示されている必要があります。

2年間の転職勧奨禁止

厚生労働省の指針は、職業紹介事業者はその紹介により就職した者(期間の定めのない労働契約を締結した者に限る)に対し、就職した日から2年間は転職の勧奨を行ってはならないとしています。紹介で入職した直後に同じ事業者から転職を持ちかけられる、という事態は指針上想定されていません。あわせて、有料職業紹介事業者は返戻金制度を設けることが望ましいとされており、返戻金制度に関する事項も求人者・求職者への明示対象です。

有料職業紹介事業のよくある質問

Q介護の転職で紹介会社に費用を請求されることはありますか

制度上は想定されていません。職業安定法第32条の3第2項が求職者からの手数料徴収を原則として禁じており、例外は芸能家、モデル、科学技術者、経営管理者、熟練技能者の5類型に限られます。介護分野の職種はいずれにも当たりません。

Q紹介手数料に法律上の上限はありますか

上限制手数料を選んでいる事業者には、職業安定法施行規則の別表に定める最高額という上限があります。一方、届出制手数料を選んでいる場合、法律に一律の上限額はありません。ただし、不当な差別的取扱いに当たる場合などには厚生労働大臣による変更命令の対象になります。

Q無料の職業紹介とは何が違いますか

手数料または報酬を受けるかどうかが分かれ目です。手数料を受けないものが無料の職業紹介で、こちらは職業安定法第33条第1項の許可などが根拠になります。都道府県福祉人材センターは、この無料職業紹介の枠組みで運営されています。

Q許可の有効期間はどれくらいですか

最初の許可は3年です(第32条の6第1項)。更新を受けた場合、更新後の有効期間は5年になります(同条第5項)。

有料職業紹介事業の参考資料

有料職業紹介事業のまとめ

有料職業紹介事業は、職業安定法第30条第1項に基づく厚生労働大臣の許可事業です。手数料の仕組みは上限制と届出制の2本立てで、省令の別表に最高額が定められているのは上限制のほうだけという点が、制度を読むうえでの要になります。そして求職者からの手数料徴収は原則禁止で、例外の5職種に介護分野の職種は含まれません。介護職として紹介会社を使うとき、費用を負担するのは受け入れ側の施設・法人だという前提を押さえておけば、許可番号の確認と明示事項の確認という2つの実務がそのまま点検リストになります。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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