ゾーニングとは

ゾーニングとは

ゾーニングとは、感染対策で汚染区域(レッドゾーン)と清潔区域(グリーンゾーン)を分け、感染拡大を防ぐ区域管理のこと。介護施設のクラスター対応・PPE着脱との関係を厚労省資料に基づき解説します。

ポイント

ゾーニングとは(直接回答)

ゾーニングとは、感染対策として施設内を「ウイルスが存在する汚染区域(レッドゾーン)」と「ウイルスがいない清潔区域(グリーンゾーン)」などに分け、区域ごとに対策を統一して感染拡大を防ぐ区域管理の手法です。介護施設では、新型コロナウイルスやインフルエンザ、ノロウイルスなどのクラスター(集団感染)発生時に、陽性者の療養エリアと一般の生活エリアを区分するために用いられます。

目次

ゾーニングの概要と目的

ゾーニングの基本的な考え方

ゾーニング(zoning)は、感染症の病原体が「ある場所」と「ない場所」を空間的に区切り、人や物の動線を一方向に管理することで、汚染を清潔区域へ持ち出さない・職員が汚染区域で感染しないことを目的とした感染対策です。厚生労働省「施設内療養時の対応の手引き」では、感染が疑われる利用者をまず個室に隔離し、個室が十分にない場合は無理に移動させず「エリア全体を感染のリスクがあるゾーンとみなして対応する」とされています。

注意したいのは、ゾーニングそのものに「必ずこうしなければならない」という厳密な科学的根拠があるわけではない、という点です。京都府の感染対策資料では「ゾーニングは、みんなが同じ感染対策をするための規則(ルール)」と説明されています。区域の境界を全員で共有し、その境界で防護具を切り替えるという共通認識づくりこそがゾーニングの本質であり、結果として施設全体で統一した対策がとれ、感染も防げるという位置づけです。

介護施設は急性期病院と違い「生活の場」であるため、認知機能が低下した入所者が個室にとどまれず廊下に出てくることもあります。厚労省資料では、こうした場合も柔軟に職員が誘導し、汚染した環境を清拭消毒するなど、現場の実情に合わせた運用が認められています。

ゾーニングの3つの区域(レッド・イエロー・グリーン)

3つのゾーンの意味

ゾーニングは一般に、汚染度に応じて次の3区域に分けて運用します(厚生労働省「施設内療養時の対応の手引き」「集団感染が発生した病院・施設における支援活動」より)。

  • レッドゾーン(汚染区域):ウイルスが存在する区域。陽性者の療養エリアや、濃厚接触者・疑似症例の療養エリアを指します。立ち入る職員は接触度に応じた個人防護具(PPE)を着用します。
  • イエローゾーン(準清潔区域):レッドゾーンとグリーンゾーンの中間地点で、ウイルスが存在する可能性がある区域。防護具を脱いで消毒し、ウイルスがない状態に戻るための「脱衣のためのゾーン」と位置づけられます。物品を持ち出す際もここでアルコール等で清拭消毒します。
  • グリーンゾーン(清潔区域):ウイルスが存在しない区域。スタッフステーションや休憩室など、職員が記録・休憩・食事をする場所です。防護具はここで着用してからレッドゾーンへ入ります。

陽性者が居室で過ごせる個室対応では、居室をレッドゾーン・廊下をグリーンゾーンとし、グリーンゾーンでPPEを着用して入室し、退室前にレッドゾーン内で防護具を外してゴミ箱に廃棄する、という運用が代表例です。職員全員が同じ認識を持てるよう、レッドゾーンの床や壁に赤いテープ、グリーンゾーンに緑のテープを貼って可視化することが推奨されています。

ゾーニングとPPE着脱の関係(ゾーニング運用の要点)

ゾーニングとPPE着脱は一体で考える

ゾーニングは線引きをして終わりではなく、区域が切り替わる場所で個人防護具(PPE)を切り替えることで初めて機能します。京都府の資料は「『手袋つけたまま』『ガウン着たまま』では感染対策が破綻します」と明言しています。グリーンゾーンでガウンを着たまま記録したり、防護具を着たまま休憩・水分補給したりすると、せっかくのゾーニングが無意味になります。

厚生労働省の支援活動資料でも、PPE着脱の負担を減らす運用のコツとして次の点が挙げられています。

  • 脱衣はレッドゾーン内の一角(イエローゾーンがあればイエローゾーン)、着衣はグリーンゾーンで行う
  • 詰所や休憩室はなるべく防護服を着ないで過ごせるようにする
  • ガウンやN95マスクの着用時間が長いほど職員が集中し続けにくく感染が起きやすいため、グリーンゾーンを広めにとってPPEを外せる場所を確保する
  • 急に陽性者が居室から出てきた場合は、サージカルマスクと手袋など最小限で対応し、対応後に必ず手指消毒する

また、PPEは「着るとき」より「脱ぐとき」の汚染リスクが高いため、外し終えて手指衛生を済ませるまでは決して首から上(顔)を触らない、という徹底が手引きで求められています。介護現場での具体的な手指衛生・PPE手順・委員会運営までの実務は、介護現場の感染症対策の実務|手指衛生・PPE・ゾーニング・委員会運営までで詳しく解説しています。

ゾーニングのよくある質問

ゾーニングに関するよくある質問

Q. レッドゾーン・イエローゾーン・グリーンゾーンの違いは?

レッドゾーンはウイルスが存在する汚染区域(陽性者の療養エリア)、グリーンゾーンはウイルスがいない清潔区域(職員の記録・休憩場所)、イエローゾーンはその中間で防護具を脱ぐための準清潔区域です。施設の構造によってはイエローゾーンを設けず、レッドとグリーンの2区分で運用することもあります。

Q. 介護施設で個室が足りないときはどうする?

厚生労働省の手引きでは、個室が不足する場合は感染の可能性がある人を無理に動かさず、その場から動かさずに「エリア全体を感染のリスクがあるゾーンとみなして対応する」とされています。多床室では、ベッドの間隔を2m以上あける、カーテンやパーテーションで仕切るといった工夫も示されています。

Q. ゾーニングは新型コロナだけのもの?

いいえ。ゾーニングはノロウイルスやインフルエンザ、疥癬、MRSAなど、介護施設で集団感染を起こしやすい感染症全般に応用できる考え方です。京都府の資料も「ゾーニングは決してコロナだけのものではなく、日常的な感染対策にも使える」としています。

Q. ゾーニングの境界はどう見える化する?

レッドゾーンの床や壁に赤いテープ、グリーンゾーンに緑のテープを貼り、誰が見ても区域がわかるようにするのが基本です。PPEの着脱場所や手順を掲示し、職員全員が同じルールを共有することが重要です。

ゾーニングの参考資料(一次ソース)

ゾーニングのまとめ

まとめ

ゾーニングは、感染対策として施設内を汚染区域(レッドゾーン)・準清潔区域(イエローゾーン)・清潔区域(グリーンゾーン)に分け、区域の境界で個人防護具を切り替えることで感染拡大を防ぐ区域管理の手法です。介護施設では、生活の場という特性を踏まえつつ、個室隔離やエリア全体のゾーン化を組み合わせ、職員全員が同じルールを共有することがクラスター対応の要になります。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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