
2026年4月から介護保険料率が引き上げ|現役世代の負担増はいくら?
2026年4月から協会けんぽの介護保険料率が1.59%→1.62%に引き上げ。給与別の負担額一覧、引き上げの背景、介護職の処遇改善との関係、今後の見通しまで徹底解説します。
この記事のポイント
2026年4月(令和8年3月分)から、協会けんぽの介護保険料率が1.59%から1.62%へ0.03ポイント引き上げられました。40〜64歳の会社員の場合、労使折半で本人負担率は0.81%となり、月給30万円で月額約45円、年間で約540円の負担増です。引き上げの主因は高齢化に伴う介護給付費の増大と、介護職の処遇改善を目的とした介護報酬の臨時改定(+2.03%)です。
2026年4月の介護保険料率改定とは?基本をおさらい
2026年(令和8年)3月分の保険料(4月納付分)から、全国健康保険協会(協会けんぽ)の介護保険料率が1.62%に改定されました。前年度の1.59%から0.03ポイントの引き上げです(出典:全国健康保険協会「令和8年度の保険料率」)。
介護保険料とは
介護保険料は、日本の介護保険制度を支える財源の一つです。40歳以上のすべての国民が負担しており、年齢によって2つの区分に分かれます。
- 第1号被保険者(65歳以上):市区町村ごとに保険料が決まり、年金からの天引き(特別徴収)または納付書・口座振替で支払い
- 第2号被保険者(40〜64歳):加入する医療保険(健康保険)を通じて徴収され、給与から天引き
今回の引き上げで直接影響を受けるのは、協会けんぽに加入する40〜64歳の会社員とその事業主です。健康保険組合や共済組合に加入している場合は、それぞれの組合が独自に料率を設定するため、改定内容が異なる場合があります。
協会けんぽとは
協会けんぽ(全国健康保険協会)は、主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する公的医療保険です。加入者数は約4,000万人にのぼり、日本最大の医療保険者です。健康保険料率は都道府県ごとに異なりますが、介護保険料率は全国一律で設定されます。
改定のタイミングに注意
実務上の注意点として、今回の介護保険料率1.62%は「3月分保険料(4月納付分)」から適用されます。多くの企業で採用されている「翌月徴収」の場合、4月支給の給与から新しい料率が反映されます。任意継続被保険者・日雇特例被保険者は4月分からの適用です。
さらに、2026年4月分保険料(5月納付分)からは、新制度「子ども・子育て支援金」(料率0.23%)の徴収も開始されるため、社会保険料全体としては段階的に負担が増えることになります。
給与別でわかる負担増の実額|月額・年額シミュレーション
「実際にいくら負担が増えるのか」は、最も気になるポイントでしょう。介護保険料は労使折半(事業主と被保険者が半分ずつ負担)のため、料率1.62%のうち本人負担は0.81%です。
月額の負担額と前年度との差額
以下は、給与(標準報酬月額)別の本人負担額の目安です(出典:介護ポストセブン「4月から介護保険料率アップ!」)。
| 給与(額面) | 2025年度(1.59%) 本人負担/月 | 2026年4月〜(1.62%) 本人負担/月 | 差額/月 |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 1,590円 | 1,620円 | +30円 |
| 25万円 | 1,988円 | 2,025円 | +38円 |
| 30万円 | 2,385円 | 2,430円 | +45円 |
| 35万円 | 2,783円 | 2,835円 | +53円 |
| 40万円 | 3,180円 | 3,240円 | +60円 |
| 50万円 | 3,975円 | 4,050円 | +75円 |
月額で見ると30〜75円程度の増加で、「わずかな金額」と感じるかもしれません。しかし、年額で見ると印象が変わります。
年額での負担額
賞与にも同じ料率が適用されるため、年収ベースで試算すると以下のとおりです。
| 年収(額面) | 年間の介護保険料 (本人負担・2026年度) | 前年度との差額/年 |
|---|---|---|
| 300万円 | 約24,300円 | +約360円 |
| 400万円 | 約32,400円 | +約480円 |
| 500万円 | 約40,500円 | +約600円 |
| 600万円 | 約48,600円 | +約720円 |
| 800万円 | 約64,800円 | +約960円 |
| 1,000万円 | 約81,000円 | +約1,200円 |
年収400万円の方で年間約480円、年収600万円の方で年間約720円の増加です。単年で見れば大きな金額ではありませんが、後述するように介護保険料率は過去20年以上にわたり上昇傾向が続いており、長期的な累積負担の観点で捉える必要があります。
事業主負担も同額増加
労使折半のため、事業主も同額の負担増となります。標準報酬月額40万円の従業員1人あたり月60円、年間720円の増加です。従業員数が多い企業では、人件費への影響は無視できません。
第2号被保険者の1人あたり保険料は過去最高
厚生労働省が2026年3月の社会保障審議会・介護保険部会で公表した見込み額によると、40〜64歳の現役世代が支払う介護保険料は全国平均で月額6,360円、年額7万6,317円と、制度創設以来の最高額を更新しました(出典:介護ニュースJoint「現役世代の介護保険料、過去最高の月6360円へ」)。これは労使合計の金額であり、本人負担分はその半額です。
なぜ引き上げ?介護保険料率が上がり続ける3つの背景
介護保険料率の引き上げは、単なる「値上げ」ではなく、日本の社会構造の変化を反映しています。主な背景は3つあります。
背景1:高齢化の進展と介護給付費の増大
日本の65歳以上の高齢者人口は増加の一途をたどっています。介護保険の要介護(要支援)認定者数は約715万人を超え、介護サービスの利用量も拡大し続けています。
協会けんぽの2026年度収支見込みによると、介護分の支出は1兆1,485億円(前年度比360億円・3.2%増)に達する見込みです。一方、収入は1兆1,433億円で、52億円の赤字構造となっています(出典:GemMed「2026年度の協会けんぽ保険料率」)。
介護保険制度が始まった2000年度の介護給付費(総費用額)は約3.6兆円でしたが、現在は約13兆円規模にまで膨らんでいます。この約3.6倍の給付費増加が、保険料率を押し上げる最大の要因です。
背景2:現役世代(支え手)の減少
介護保険料率は「介護納付金の額 ÷ 第2号被保険者の総報酬額の総額」で算出されます(健康保険法第160条第16項)。つまり、介護にかかる費用が増えるだけでなく、それを支える現役世代の人数が減れば、1人あたりの負担は自動的に重くなります。
少子化により労働力人口は減少傾向にあり、今後も「分母が小さくなる」ことで料率上昇の圧力が続くと予想されます。
背景3:2026年度介護報酬の臨時改定(+2.03%)
2026年度は介護報酬の臨時改定(プラス2.03%)が実施されました。これは介護職員の処遇改善(月額1万円以上の賃上げ)を主な目的としたもので、介護サービスの公定価格が引き上げられた結果、介護給付費が増加し、それが保険料率に反映されています(出典:GemMed「2026年度にプラス2.03%の臨時介護報酬改定」)。
つまり、介護職の待遇改善のための財源が、現役世代の保険料に上乗せされているという構図があります。この点は後のセクションで詳しく解説します。
介護保険料率の推移(平成20年度〜令和8年度)
協会けんぽの介護保険料率は、以下のように推移してきました(出典:協会けんぽ埼玉支部「令和8年度保険料率について」)。
| 年度 | 介護保険料率 | 前年度比 |
|---|---|---|
| 平成20年度(2008年) | 1.13% | - |
| 平成22年度(2010年) | 1.50% | +0.31% |
| 平成26年度(2014年) | 1.72% | +0.17% |
| 平成31年度(2019年) | 1.73% | +0.16% |
| 令和元年度(2019年) | 1.73% | - |
| 令和2年度(2020年) | 1.79% | +0.06% |
| 令和3年度(2021年) | 1.80% | +0.01% |
| 令和4年度(2022年) | 1.64% | -0.16% |
| 令和5年度(2023年) | 1.82% | +0.18% |
| 令和6年度(2024年) | 1.60% | -0.22% |
| 令和7年度(2025年) | 1.59% | -0.01% |
| 令和8年度(2026年) | 1.62% | +0.03% |
年度ごとに上下はありますが、2008年の1.13%から2026年の1.62%へ、18年間で約0.5ポイント(約43%)上昇しています。長期トレンドとして上昇基調であることは明確です。
介護職の処遇改善と保険料引き上げの関係|負担増の先にあるもの
今回の介護保険料率引き上げを語るうえで避けて通れないのが、介護職の処遇改善との関係です。「保険料が上がるのは困る」という声の一方で、介護現場では深刻な人材不足が続いており、処遇改善なくして制度の維持は困難という現実があります。
2026年度介護報酬の臨時改定:+2.03%の中身
2026年度の介護報酬は、臨時改定としてプラス2.03%の引き上げが実施されました。この改定の柱は介護従事者全体の処遇改善(月額1万円以上の賃上げ)です。
介護報酬とは、介護サービス事業者が提供したサービスに対して支払われる公定価格です。この報酬が上がれば、事業者の収入が増え、その分を職員の給与に回すことが期待されます。しかし、報酬の引き上げはそのまま介護給付費の増加につながり、最終的に保険料に跳ね返ってきます。
介護職の給与の現状
厚生労働省の「令和5年度介護従事者処遇状況等調査」によると、介護職員の平均給与額(月額)は処遇改善加算を取得している事業所で約31.8万円です。全産業平均と比較すると依然として低い水準にあり、人材確保のためには継続的な処遇改善が不可欠とされています。
「負担増」と「制度維持」のジレンマ
2026年3月の社会保障審議会・介護保険部会では、健康保険組合連合会の伊藤悦郎常務理事が「現役世代の負担は限界に達しており、将来に対する不安感にもつながっている」と危機感を表明しました(出典:介護ニュースJoint)。公費の追加投入も含めた制度全体の負担構造の見直しが「避けて通れない」と主張しています。
一方で、介護職の人材不足は年々深刻化しています。介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査」によると、介護事業所の約6割が人材不足を感じており、離職理由の上位には「職場の人間関係」(23.2%)、「理念や運営のあり方に不満」(17.8%)に加えて、「収入が少なかった」も上位に挙がっています。
つまり、現在の構造は以下のようになっています。
- 介護職の人材不足 → 処遇改善が必要
- 介護報酬の引き上げ → 介護給付費が増大
- 給付費の増大 → 保険料率の引き上げ
- 保険料率の引き上げ → 現役世代の負担増
この循環構造を解消するには、公費負担の拡大や制度の抜本的改革が求められますが、議論は進んでいないのが現状です。
介護職を目指す方へ:処遇改善は追い風
介護業界への転職を検討している方にとっては、この流れはポジティブなニュースでもあります。介護報酬の引き上げは事業者の収入増に直結し、処遇改善加算の充実により、介護職の給与水準は着実に上昇しています。
特に2024年度の介護報酬改定以降、処遇改善加算は一本化・簡素化が進み、最大加算率は14.0%に達しています。常勤の介護職員であれば、処遇改善加算だけで月額2〜3万円の上乗せが見込める施設も少なくありません。
子ども・子育て支援金も新設|2026年度の社会保険料負担の全体像
2026年度は介護保険料率の引き上げだけでなく、社会保険料全体の変更が重なる年です。給与計算に関わる方も、天引きされる側の方も、全体像を把握しておくことが重要です。
2026年度の主な社会保険料率変更
| 項目 | 2025年度 | 2026年度 | 変更 |
|---|---|---|---|
| 健康保険料率(全国平均) | 10.00% | 9.90% | 0.10%引き下げ |
| 介護保険料率(全国一律) | 1.59% | 1.62% | 0.03%引き上げ |
| 子ども・子育て支援金率 | なし | 0.23% | 新設 |
| 雇用保険料率(労働者負担分) | 0.6% | 0.6% | 変更なし |
子ども・子育て支援金とは
2026年度から新たに徴収が始まる「子ども・子育て支援金」は、少子化対策・子育て支援政策の安定財源として設けられた新しい拠出金です。健康保険料と同様に給与から天引きされ、協会けんぽでは料率0.23%(労使折半で本人負担0.115%)が設定されています。
この支援金は2026年4月分保険料(5月納付分)から適用されるため、介護保険料率の変更(3月分・4月納付分)とは1か月のタイムラグがあります。
トータルの負担はどう変わる?
東京都在住・標準報酬月額30万円・40〜64歳の会社員の場合で試算します。
| 項目 | 2025年度 (本人負担/月) | 2026年度 (本人負担/月) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 健康保険料 | 14,925円 | 14,775円 | -150円 |
| 介護保険料 | 2,385円 | 2,430円 | +45円 |
| 子育て支援金 | 0円 | 345円 | +345円 |
| 合計 | 17,310円 | 17,550円 | +240円 |
健康保険料率の引き下げが一部を相殺するものの、子ども・子育て支援金の新設により、社会保険料の手取りベースでは月額約240円の負担増となります。年間では約2,880円の負担増です。
「たかが数百円」と思われるかもしれませんが、一部メディアでは子ども・子育て支援金が「独身税」と揶揄される議論も起きています。扶養家族の有無にかかわらず一律に徴収されるため、特に単身の現役世代からは批判的な声も上がっています。
65歳以上の第1号被保険者への影響と今後の見通し
今回の料率改定は主に40〜64歳の第2号被保険者に関するものですが、65歳以上の第1号被保険者の保険料についても今後の動向が注目されています。
第1号被保険者の保険料は3年ごとに見直し
65歳以上の介護保険料は、市区町村が3年ごとに策定する「介護保険事業計画」に基づいて設定されます。現在は第9期(2024〜2026年度)の計画期間中であり、全国平均の月額保険料は6,225円です(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画」)。
2026年4月の時点では第9期の最終年度にあたるため、65歳以上の方の保険料が急激に変わるわけではありません。しかし、2026年度中には第10期(2027〜2029年度)に向けた議論が本格化します。
第10期に向けた検討課題
厚生労働省の社会保障審議会・介護保険部会では、以下のような負担見直しの議論が進んでいます。
1. 利用者負担2割の対象拡大
現在、介護サービスの利用者負担は原則1割ですが、一定以上の所得がある方は2割、現役並み所得者は3割を負担します。厚生労働省は2割負担の所得基準を引き下げ、対象者を拡大することを検討しています。
読売新聞の報道によると、新たな2割負担の所得基準として「年収260万円以上」から「年収230万円以上」までの4案が示されており、最大で約35万人が新たに2割負担の対象となる見通しです(出典:読売新聞「介護利用料の自己負担、2割に増える高齢者が最大35万人に?」)。
2. 金融資産を保険料に反映
現行制度では保険料の算定に所得(年金収入等)は反映されますが、預貯金や有価証券などの金融資産は考慮されていません。今後、金融資産を保険料算出に反映させるかどうかの検討が予定されています。
3. 現役世代の負担軽減策
現在の介護保険の費用負担割合は、公費(税金)50%・保険料50%が基本ですが、保険料の50%のうち第1号被保険者(65歳以上)が23%、第2号被保険者(40〜64歳)が27%を負担しています。この負担割合の見直しや、公費の追加投入を求める声が上がっています。
今後の保険料はどこまで上がるのか
厚生労働省の推計では、介護給付費は2040年度には約25兆円に達する見通しです。現在の制度構造のままでは、第1号被保険者の保険料は月額9,000円超、第2号被保険者の保険料もさらに上昇することが避けられません。
制度の持続可能性を保つために、給付の効率化・適正化とともに、負担のあり方を抜本的に見直す議論が急務となっています。
【独自分析】介護保険料率の上昇と介護職の求人倍率の相関
ここでは、公的データをもとに当サイト独自の視点で、介護保険料率の上昇と介護業界の構造変化の関係を分析します。
保険料率の上昇は「介護需要の増大」を示す指標
介護保険料率が上がるということは、それだけ介護サービスの利用量が増えていることを意味します。介護給付費は2000年度の3.6兆円から2026年度には約13兆円と3.6倍に増加しました。これは同時に、介護サービスを提供する人材の需要も拡大し続けていることを示しています。
介護職の有効求人倍率は全産業平均の約3倍
厚生労働省の一般職業紹介状況によると、介護サービス職の有効求人倍率は約3.5倍と、全産業平均(約1.3倍)を大きく上回っています。つまり、求職者1人に対して3.5件の求人がある「超売り手市場」が続いています。
処遇改善の流れは今後も続く見通し
介護報酬の臨時改定(+2.03%)が示すように、国は介護人材の確保を最重要課題と位置づけています。処遇改善加算の拡充に加え、2024年度からは「介護職員等ベースアップ等支援加算」も統合・拡大されました。
当サイトの分析では、この流れは以下の理由から今後も続く可能性が高いと考えます。
- 2025年以降、団塊の世代が全員75歳以上(後期高齢者)となり、介護需要がさらに急増する
- 2040年には約69万人の介護人材が追加で必要とされている(厚生労働省推計)
- 人材確保のためには他産業と競争できる給与水準が不可欠
- 介護報酬のプラス改定は政治的にも支持を得やすい
保険料の「負担増」を「キャリアの機会」に変える視点
介護保険料の上昇は、多くの現役世代にとって「手取りが減る」というネガティブな話題です。しかし、視点を変えれば、介護業界に流入する資金が増え、働く人の待遇が改善され、安定した雇用が生まれているということでもあります。
特に40代以降で転職を考えている方にとって、介護業界は以下の特徴があります。
- 年齢を問わず採用:40代・50代からの未経験転職も一般的
- 資格取得でキャリアアップ:介護福祉士、ケアマネジャーなどの資格で着実に昇給
- 景気に左右されにくい:高齢化が進む限り需要は増え続ける
- 全国どこでも働ける:都市部・地方を問わず求人がある
介護保険料を「払うだけの負担」と捉えるのではなく、自分や家族の将来の安心を支える制度であり、場合によっては新たなキャリアの入口にもなりうると考えることも大切ではないでしょうか。
よくある質問(FAQ)
Q1. 介護保険料は何歳から何歳まで払うのですか?
介護保険料は40歳から生涯にわたって支払います。40〜64歳は健康保険料と一緒に給与天引き(第2号被保険者)、65歳以降は年金から天引きまたは納付書払い(第1号被保険者)となります。「何歳まで」という上限はなく、亡くなるまで負担が続きます。
Q2. 自営業・フリーランスの場合はどうなりますか?
自営業者やフリーランスの方は国民健康保険に加入しているため、協会けんぽの料率は直接適用されません。国民健康保険の介護保険分は、市区町村ごとに所得や資産に応じて算定されます。ただし、全体的な介護保険料の上昇傾向は国民健康保険にも同様に影響します。
Q3. パート・アルバイトでも介護保険料を払うのですか?
40歳以上で健康保険(協会けんぽ等)に加入している場合は、パート・アルバイトでも介護保険料が天引きされます。社会保険の加入条件(週20時間以上勤務など)を満たしていれば対象です。配偶者の扶養に入っている場合は、本人からの直接徴収はありません。
Q4. 介護保険料率は毎年変わるのですか?
協会けんぽの介護保険料率は毎年度見直しが行われます。その年の介護納付金(介護給付費の負担分)と第2号被保険者の総報酬額の見込みに基づいて算定されるため、年度ごとに上下します。ただし、長期トレンドとしては上昇傾向が続いています。
Q5. 子ども・子育て支援金と介護保険料は別物ですか?
はい、別の制度です。介護保険料は介護保険制度の財源、子ども・子育て支援金は少子化対策の財源です。ただし、どちらも健康保険の仕組みを使って給与から天引きされる点は共通しています。給与明細上は別項目として表示されますが、「手取りが減る」という意味では同じ影響があります。
Q6. 介護保険料を払っていれば、自分が介護状態になったときサービスを受けられますか?
40〜64歳の第2号被保険者は、特定疾病(末期がん、脳血管疾患、初老期認知症など16疾病)が原因で介護が必要になった場合に限り、介護保険サービスを利用できます。加齢以外の原因(交通事故など)では介護保険の対象外です。65歳以上になれば、原因を問わず介護保険サービスを利用できます。
Q7. 介護保険料の負担を軽減する方法はありますか?
給与天引きの介護保険料そのものを減らす方法はありませんが、以下の制度を活用することで家計全体の負担を軽減できます。
- 社会保険料控除:介護保険料は全額が所得控除の対象(確定申告・年末調整)
- 高額介護サービス費:実際に介護サービスを利用した際、自己負担が上限額を超えた場合に超過分が支給される制度
- 医療費控除:介護サービスの一部は医療費控除の対象
参考文献・出典
- [1]
- [2]2026年度の協会けんぽ保険料率、医療分9.90%、介護分1.62%の見込み- GemMed(グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン)
協会けんぽの2026年度収支見込み、介護報酬臨時改定+2.03%の詳細
- [3]
- [4]
- [5]
- [6]
まとめ|介護保険料の引き上げを「自分ごと」として捉えよう
2026年4月からの介護保険料率引き上げについて、要点をまとめます。
この記事のポイント
- 協会けんぽの介護保険料率は1.59% → 1.62%(0.03ポイント引き上げ)
- 40〜64歳の会社員が対象。本人負担率は0.81%(労使折半)
- 月給30万円の場合、月額+45円、年額+約540円の負担増
- 引き上げの背景は高齢化による介護給付費の増大と介護報酬の臨時改定(+2.03%)
- 介護報酬の引き上げは介護職の処遇改善(月1万円以上の賃上げ)が目的
- 2026年度は子ども・子育て支援金(0.23%)の新設も重なり、社会保険料全体で負担増
- 今後、65歳以上の2割負担対象拡大や金融資産の考慮など、制度改正の議論が本格化
月数十円の負担増という数字だけを見れば「大したことない」と感じるかもしれません。しかし、介護保険料率は制度開始以来、長期的に上昇を続けており、今後もこの傾向は変わらない見通しです。子ども・子育て支援金の新設も加わり、現役世代の社会保険料負担は確実に重くなっています。
一方で、介護保険料の引き上げは、介護現場の待遇改善や人材確保につながっています。将来、自分や家族が介護を必要とするとき、質の高い介護サービスが受けられるかどうかは、今の制度を支えられるかどうかにかかっています。
給与明細に並ぶ控除項目の一つひとつに目を向け、自分がどんな制度に支えられ、どんな社会を支えているのかを知ることが、これからの時代を生きるうえで大切になるのではないでしょうか。
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