
介護報酬改定2026年6月|介護職員の基本給はいくら上がる?最大月19,000円賃上げの全貌
介護報酬改定2026年6月施行で介護職員の基本給は最大月19,000円アップ。厚労省が処遇改善加算で「ベースアップ」を基本方針に。職種別・施設タイプ別の賃上げ額シミュレーション、加算率一覧、ケアマネ・訪問看護も対象拡大の全情報。転職前のチェックポイントも徹底解説。
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この記事のポイント
介護報酬改定2026年6月で、介護職員の基本給は最大月19,000円(6.3%)アップします。厚労省は処遇改善加算の賃上げを「基本給によるベースアップ」を基本とする方針を公表しました(2026年3月)。介護従事者全体に月10,000円、生産性向上に取り組む事業所の介護職員にはさらに月7,000円を上乗せし、定期昇給2,000円を含めて最大月19,000円となります。対象は介護職員から訪問看護・ケアマネ・訪問リハまで拡大され、改定率は+2.03%(うち処遇改善分+1.95%)と過去最高水準です。
目次
処遇改善加算の新方針とは
厚生労働省は2026年3月4日、「介護保険最新情報Vol.1474」として、令和8年度の介護職員等処遇改善加算に関する基本的な考え方や事務処理手順を記した文書案を公表しました(正式版は3月中旬に発出予定)。
この文書案の最大のポイントは、賃金改善は「基本給による改善が望ましい」と明記されたことです。従来の処遇改善加算では、手当や一時金として支給する事業所も多く見られましたが、今回の方針では安定的な処遇改善の観点から、基本給(ベースアップ)による賃金改善を基本とするよう求めています。
新方針の3つの柱
今回の改定は以下の3点が大きな柱となっています。
- 基本給重視の賃上げルール:令和7年度と比較して増加した加算額については、ベースアップ(賃金表の改訂による基本給等の一律引き上げ)により行うことを基本とする。手当・一時金中心の事業所も「基本給への付け替え」が認められ、賃金総額を新たに増やす必要はない
- 対象範囲の拡大:従来の「介護職員」から「介護従事者全体」へ。訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援、居宅療養管理指導、福祉用具貸与なども新たに対象。これにより加算の蚊帳の外だった職種にも処遇改善の波が及ぶ
- 生産性向上への上乗せ評価:ICT活用やケアプランデータ連携システム導入など、生産性向上に取り組む事業所に対して追加の加算区分(Iロ・IIロ)を新設。従来の4区分から6区分体系へ拡充
勤続10年以上の介護福祉士に厚く配分
厚労省通知では、職種間の賃金配分は事業者の判断で柔軟に決められる一方で、勤続年数10年以上の介護福祉士の処遇改善が重要であることに留意するよう求めています。さらに、同一法人内で一部の事業所だけに賃金改善を集中させることは禁止され、配分の透明性が求められます。職員から求められた場合は、配分方法を資料を用いてわかりやすく説明することが義務付けられています。
つなぎ措置としての補助金
なお、2026年6月の施行までの間(2025年12月〜2026年5月)は、つなぎ措置として補助金による賃上げ支援が実施されています(厚生労働省「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業」)。詳細は後段で解説します。
具体的な賃上げ額と加算率
今回の改定で実現する賃上げは、最大で月19,000円(6.3%)です。その内訳を見てみましょう。
月19,000円の内訳
| 区分 | 月額 | 対象 | 条件 |
|---|---|---|---|
| 基本賃上げ(A) | 10,000円(3.3%) | 介護従事者全体 | 処遇改善加算を算定する事業所 |
| 上乗せ措置(B) | 7,000円(2.4%) | 介護職員 | 生産性向上・協働化に取り組む事業所 |
| 定期昇給分 | 2,000円 | 介護職員 | 事業所による定期昇給の実施 |
| 合計(最大) | 19,000円(6.3%) | 介護職員 | 全要件充足時 |
ただし、上乗せ措置(B)の月7,000円を得るには、事業所が生産性向上等の追加要件を満たす必要があります。また定期昇給分の2,000円は制度的な保証ではなく、例年の事業所努力による昇給見込み額です。すべての介護職員に自動的に19,000円が支給されるわけではない点に注意が必要です。
サービス別の加算率一覧(令和8年6月以降の主な例)
以下は訪問介護の加算率です。他のサービスも同様に引き上げられます。
| 加算区分 | 加算率 | 主な追加要件 |
|---|---|---|
| 加算I「イ」 | 27.0% | キャリアパス要件I〜V+職場環境改善(28項目中2区分以上)+年収440万円以上の介護職員1人以上 |
| 加算I「ロ」(新設) | 28.7% | 加算Iイの要件+ケアプランデータ連携システム加入等 |
| 加算II「イ」 | 24.9% | キャリアパス要件I〜III+職場環境改善+年収440万円以上の介護職員1人以上 |
| 加算II「ロ」(新設) | 26.6% | 加算IIイの要件+ケアプランデータ連携システム加入等 |
| 加算III | 20.7% | キャリアパス要件I〜III+職場環境改善 |
| 加算IV | 17.0% | 月額賃金改善要件+キャリアパス要件I・II+職場環境改善 |
新設された「ロ」区分は、生産性向上に取り組む事業所を評価するもので、「イ」に比べて1.7ポイント高い加算率が設定されています(厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1474」令和8年3月4日)。
【独自試算】施設タイプ別・年収アップシミュレーション
2026年6月の改定で、あなたの月給と年収はどのくらい変わるのでしょうか。厚労省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」の最新データをベースに、施設タイプ別の賃上げ後シミュレーションを試算しました。
施設タイプ別 賃上げ前後の月給比較(介護職員・常勤)
下表の「賃上げ後(基本値)」は基本賃上げ1万円のみを反映した値、「賃上げ後(最大)」は上乗せ7,000円+定期昇給2,000円を含む最大1.9万円アップを反映した値です。
| 施設タイプ | 現在の平均月給 | 賃上げ後(基本値) | 賃上げ後(最大) | 年収換算(最大) |
|---|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 361,860円 | 371,860円 | 380,860円 | 約457万円 |
| 介護老人保健施設 | 352,900円 | 362,900円 | 371,900円 | 約446万円 |
| 訪問介護 | 349,740円 | 359,740円 | 368,740円 | 約442万円 |
| 有料老人ホーム(特定施設) | 361,000円 | 371,000円 | 380,000円 | 約456万円 |
| 通所リハビリテーション | 319,310円 | 329,310円 | 338,310円 | 約406万円 |
| グループホーム | 302,010円 | 312,010円 | 321,010円 | 約385万円 |
| 通所介護(デイサービス) | 294,440円 | 304,440円 | 313,440円 | 約376万円 |
| 介護医療院 | 330,030円 | 340,030円 | 349,030円 | 約419万円 |
※現在の平均月給は基本給+手当+一時金(4〜9月支給金額の1/6)。年収換算は単純に月給×12で算出。
勤続年数別 賃上げ後の月給予測
| 勤続年数 | 現在の平均月給 | 賃上げ後(最大) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 勤続1年 | 298,760円 | 317,760円 | +19,000円 |
| 勤続2年 | 309,630円 | 328,630円 | +19,000円 |
| 勤続5〜9年 | 335,640円 | 354,640円 | +19,000円 |
| 勤続10年以上 | 359,040円 | 378,040円 | +19,000円 |
注意:全員が一律19,000円アップになるわけではない
上記は「事業所が加算Iロまたは加算IIロを取得し、職員に均等配分した場合」の最大値です。実際には次の要因で変動します。
- 事業所の取得加算区分:加算IV取得事業所は加算Iロ取得事業所より原資が小さく、賃上げ額も少なくなる
- 配分方法:勤続10年以上の介護福祉士に厚く配分する事業所もある(厚労省も推奨)
- 非常勤・パートの扱い:時給換算での反映や一時金支給など事業所判断
- 介護職以外への配分:看護職員・ケアマネ等にも配分する事業所では介護職員1人あたりの額が分散
厚労省の令和6年度調査では、賃金改善の実施方法として「ベースアップ等で対応」が59.8%、「定期昇給」が43.6%、「既存手当の引き上げ」が24.4%と複数回答で報告されています(出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果のポイント」)。今回の改定で「ベースアップ基本」が明確化されたため、この比率は今後さらに高まる見込みです。
介護職の現状給与と全産業平均との格差
2026年6月改定の背景には、介護職と全産業平均との賃金格差があります。賃上げの規模感を理解するため、最新の統計データを整理します。
介護職員の給与構成(令和6年度・処遇改善加算取得事業所)
| 給与の内訳 | 金額(月額換算) | 割合 |
|---|---|---|
| 基本給 | 192,660円 | 約57% |
| 手当(夜勤・処遇改善等) | 97,980円 | 約29% |
| 一時金(賞与1/12換算) | 47,560円 | 約14% |
| 合計(平均月給) | 338,200円 | 100% |
注目すべきは、基本給が全体の57%にとどまり、約43%が手当・一時金で構成されている点です。今回の改定で「基本給によるベースアップ基本」とされた背景には、この基本給比率の低さがあります。基本給比率を高めることで、賞与や退職金・年金にも好影響が波及します。
介護職と全産業平均の賃金格差
介護労働組合「日本介護クラフトユニオン(NCCU)」の2026年2月調査によれば、介護職と全産業平均との賃金格差は依然として月約7〜8万円あります。介護報酬は公定価格であり、社会全体の春闘ベースアップに即応しにくい構造的課題があります。
| 項目 | 介護職員 | 全産業平均 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 平均月給(処遇改善加算取得事業所・常勤) | 338,200円 | 約420,000円 | 約▲82,000円 |
| 2024年→2025年の賃上げ率 | 約4.3% | 約5.25%(春闘) | ▲約1ポイント |
2026年改定で介護職員に最大6.3%の賃上げを実現する措置は、この格差をやや縮める狙いがあります。ただし、専門家からは「他産業に追いつくには月3万円規模の賃上げが必要」との指摘もあり(介護人材政策研究会)、今回の改定は格差解消の第一歩と位置づけられます。
処遇改善加算による直近の賃上げ実績
厚労省の令和6年度調査では、処遇改善加算取得事業所の介護職員(月給・常勤)の基本給等は1年間で11,130円増(+4.6%)、平均給与額は13,960円増(+4.3%)となりました。この推移は2024年6月の処遇改善加算一本化と加算率引き上げの効果です。2026年6月改定では、これに加えて月10,000〜19,000円相当の上積みが期待されます。
なぜ基本給が重要なのか
厚労省が「基本給による賃金改善が望ましい」と明記した背景には、手当や一時金による処遇改善では、介護職員の生活の安定につながりにくいという課題がありました。転職を考える介護職員にとって、この違いは特に重要です。
基本給と手当・一時金の違い
| 比較項目 | 基本給に反映 | 手当・一時金で支給 |
|---|---|---|
| 毎月の安定性 | 毎月確実に支給される | 事業所判断で変動する可能性あり |
| 退職金への影響 | 退職金算定の基礎に含まれる | 通常は退職金に反映されない |
| 賞与への影響 | 「基本給×〇か月」で増額 | 賞与額には影響しない |
| 社会保険料 | 標準報酬月額に安定的に反映 | 一時金は反映が不安定 |
| 将来の年金額 | 厚生年金の受給額が増える | 影響が限定的 |
| 住宅ローン審査 | 安定収入として評価される | 一時的な収入と見なされやすい |
【独自分析】基本給の差が生涯年収に与える影響
基本給が月1万円上がった場合と、同額を手当で受け取った場合の差を試算してみます。
- 賞与への影響:基本給×4か月(年間賞与の場合)=年間4万円の差
- 退職金への影響:基本給×勤続年数の係数で算定する場合、20年勤務で数十万円の差
- 年金への影響:標準報酬月額の上昇により、65歳以降の年金受給額が月数百円〜千円程度増加
つまり、同じ月1万円の賃上げでも、基本給に反映されるかどうかで生涯収入に100万円以上の差が生じる可能性があります。これが厚労省が基本給重視を打ち出した理由であり、転職先を選ぶ際にも「処遇改善加算をどのように配分しているか」を確認すべきポイントです。
なお、厚労省の通知では、賃金体系の整備が途上にある事業所については、手当や一時金との組み合わせも例外的に認めています。しかし、基本原則はあくまでベースアップです(厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1474」)。
介護職が確認すべき5つのポイント
2026年6月の改定を前に、現職の介護職員も転職を検討中の方も、以下の5点を確認しておきましょう。
1. 事業所が処遇改善加算を算定しているか
処遇改善加算は事業所が申請しなければ受け取れません。厚労省の通知によれば、事務手続きの煩雑さから算定を断念する事業所も存在します。自分の職場がどの区分(I〜IV)の加算を取得しているかを確認してください。情報は「介護サービス情報公表システム」で公開されています。
2. 加算分がきちんと給与に反映されているか
処遇改善加算の算定額は、全額を職員の賃金改善に充てることが義務付けられています。給与明細に「処遇改善手当」などの項目で記載されているかを確認しましょう。不明な場合は事業所に説明を求める権利があります。厚労省の通知でも、職員から求められた場合は資料を用いてわかりやすく説明することが義務付けられています。
3. 賃上げが基本給に反映されるか、手当・一時金か
今回の新方針では「ベースアップが基本」とされましたが、例外規定もあります。事業所の就業規則や賃金規程で、処遇改善加算の増額分がどの賃金項目に充てられるのかを確認してください。基本給に反映される事業所ほど、長期的に有利です。
4. 上乗せ措置(月7,000円)の対象になるか
月7,000円の上乗せは、事業所が以下の取り組みを行っている場合に限られます。
- 訪問・通所サービス等:ケアプランデータ連携システムへの加入
- 施設・居住サービス等:生産性向上推進体制加算I又はIIの取得
- 社会福祉連携推進法人への所属
転職先を選ぶ際は、これらの取り組みを実施している(または予定している)事業所かどうかが、給与に直結するチェックポイントになります。
5. 経験・資格に応じた配分ルールを確認する
厚労省の通知では、勤続10年以上の介護福祉士の処遇改善が重要であることに留意するよう求めています。一方で、職種間の配分は事業所の裁量に委ねられています。介護福祉士の資格を持つ方は、経験加算や資格手当がどのように設定されているか、転職先の賃金テーブルを事前に確認することをおすすめします。
対象サービスの拡大
今回の改定で最も大きな変化の一つが、処遇改善加算の対象が「介護職員」から「介護従事者全体」に拡大されたことです。これにより、これまで対象外だった職種やサービスの従事者も賃上げの恩恵を受けられるようになります。
新たに対象となるサービス
| サービス種別 | これまで | 2026年6月以降 |
|---|---|---|
| 訪問看護 | 対象外 | 新たに対象 |
| 介護予防訪問看護 | 対象外 | 新たに対象 |
| 訪問リハビリテーション | 対象外 | 新たに対象 |
| 介護予防訪問リハビリテーション | 対象外 | 新たに対象 |
| 居宅介護支援(ケアマネジャー) | 対象外 | 新たに対象 |
| 介護予防支援 | 対象外 | 新たに対象 |
| 居宅療養管理指導 | 対象外 | 新たに対象 |
| 福祉用具貸与(販売) | 対象外 | 新たに対象 |
既存の対象サービス(加算率引き上げ)
すでに処遇改善加算の対象だった以下のサービスでも、加算率が引き上げられます。
- 訪問介護
- 通所介護(デイサービス)
- 通所リハビリテーション(デイケア)
- 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
- 介護老人保健施設
- グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
- 小規模多機能型居宅介護
- 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等)
- 短期入所生活介護(ショートステイ) など
転職者への影響
この対象拡大は、介護業界内でのキャリアチェンジを考えている方にとって朗報です。たとえば、訪問看護ステーションやケアマネ事業所への転職を検討する際にも、処遇改善加算による賃上げが期待できるようになりました。「介護職員ではないから処遇改善の対象外」という従来の壁がなくなり、介護従事者として幅広い職種で処遇改善の恩恵を受けられます。
新たに対象となるサービスでは、処遇改善加算IVに準ずる要件(キャリアパス要件I・II、職場環境等要件)を満たすことで算定が可能です。令和8年度中の対応を誓約すれば、6月当初から算定を認める経過措置も設けられています(厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1474」)。
2025年12月〜2026年5月:つなぎ補助金と段階的賃上げの全体像
2026年6月の介護報酬臨時改定までの間、賃上げは2段階で実施されます。「6月から急に給料が上がる」のではなく、すでに2025年12月から補助金による先行支援が始まっています。
第1段階(2025年12月〜2026年5月):補正予算による補助金
2025年度補正予算で1,920億円を計上した「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業」が実施中です。介護報酬改定までのつなぎ措置として、補助金の形で賃上げ原資が事業所に交付されます。
| 支援項目 | 金額(月額相当) | 対象 | 条件 |
|---|---|---|---|
| 介護従事者全体の賃上げ | 10,000円 | 介護従事者全体 | 処遇改善加算取得事業所 |
| 協働化等の上乗せ | 5,000円 | 介護職員 | 協働化等の取り組みを行う事業所 |
| 職場環境改善の支援 | 4,000円 | 介護職員 | 職場環境改善計画の実施。人件費充当も可 |
| 合計(最大) | 19,000円 | 介護職員 | 全要件充足時 |
申請手続きは2026年1〜3月、実際の現場への支給は2026年2月以降から順次開始される見込みです。2025年12月分・2026年1月分はさかのぼって支給されます(厚生労働省「令和7年度補正予算案の主要施策集」)。
第2段階(2026年6月〜):介護報酬臨時改定(恒久措置)
2026年6月1日施行の臨時改定で、補助金による一時的な措置が処遇改善加算(恒久制度)に組み込まれます。改定率は+2.03%(うち処遇改善分+1.95%)で、過去最高水準のプラス改定です。
| 項目 | 金額(月額相当) | 対象 |
|---|---|---|
| 介護従事者全体の賃上げ | 10,000円(3.3%) | 介護従事者全体 |
| 生産性向上・協働化の上乗せ | 7,000円(2.4%) | 介護職員 |
| 定期昇給 | 2,000円 | 介護職員 |
| 合計(最大) | 19,000円(6.3%) | 介護職員 |
注目したいのは、補助金時代の「協働化等で5,000円」が、6月以降は「生産性向上・協働化で7,000円」に拡大される点です。これにより、ICT・ケアプランデータ連携システムを導入する事業所ほど職員に多く還元できる仕組みが強化されました(社会保障審議会介護給付費分科会・第253回資料)。
第3段階(2026年8月〜):食費基準費用額の見直し
同時に、利用者が支払う食費の基準費用額が1日あたり100円引き上げられます(低所得者は所得区分に応じ据置きまたは30〜60円の引き上げに軽減)。これは介護職員の賃上げではなく、施設経営を維持するための措置ですが、利用者・家族からの問い合わせが増える時期となるため、現場で説明できるよう知っておくと安心です。
2027年4月:通常の介護報酬改定
3年に一度の通常改定が2027年4月に予定されています。今回の臨時改定はあくまで「期中改定」で、本格的な制度見直しは2027年改定で行われる見通しです。
職種別の影響:介護職員/看護師/ケアマネ/PTOTSTで何が変わるか
2026年6月改定で対象が「介護職員」から「介護従事者全体」に拡大されたため、職種ごとに賃上げの仕組みが変わります。あなたが該当する職種でどう変わるかを職種別に整理します。
介護職員(介護福祉士・初任者研修等含む)
- 賃上げ最大額:月19,000円(基本1万+上乗せ7,000円+定期昇給2,000円)
- 対象範囲:今回の改定で最も厚遇される職種。生産性向上に取り組む事業所では加算Iロ・IIロの上乗せ7,000円が支給
- 注意点:勤続10年以上の介護福祉士は厚労省通知で「処遇改善が重要」と明記。この層に手厚く配分する事業所もある
- パート・非常勤:常勤月給ベースで計算されるため、時給換算や一時金で反映。事業所により配分差が大きい
看護職員(訪問看護ステーション勤務)
- 賃上げ額:月1万円(介護従事者全体への基本賃上げ)。上乗せ7,000円は対象外
- 対象範囲:訪問看護・介護予防訪問看護が新たに処遇改善加算の対象に。加算率は1.8%
- 注意点:医療保険適用の訪問看護は対象外。介護保険適用の訪問看護のみ加算対象
- 施設勤務の看護師:従来から事業所判断で配分されていたケースが多く、今回の改定で原資が拡大
ケアマネジャー(介護支援専門員)
- 賃上げ額:月1万円(基本賃上げのみ)
- 対象範囲:居宅介護支援・介護予防支援が新たに対象。加算率は2.1%(新サービスの中で最も高い)
- 注意点:上乗せ7,000円の要件に「ケアプランデータ連携システム加入」が含まれるが、ケアマネ自身は加算Iロ・IIロの対象外。専門家からは「ケアプー導入が要件なのに評価されない」との指摘あり(ケアマネタイムス2026年2月)
- 独立型ケアマネ事業所:これまで処遇改善加算の蚊帳の外だったが、今回初めて対象に
PT・OT・ST(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)
- 賃上げ額:月1万円(介護従事者全体)
- 対象範囲:訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーションが新たに対象。加算率は1.5%
- 注意点:通所リハビリ・施設勤務のPTOTSTは従来から事業所判断で配分対象。配分割合は事業所により差
事務職員・調理員・栄養士など
- 賃上げ額:事業所裁量で配分される場合のみ(必須ではない)
- 対象範囲:「介護従事者」の範囲は事業所判断で柔軟に解釈可能。看護・生活相談員への配分が約5割の事業所で実施されている一方、事務職員への配分は約4割(厚労省「令和6年度処遇状況等調査」)
- 注意点:配分されるか否かは事業所の方針次第。同一法人内で一部事業所だけに集中配分することは禁止
派遣社員・登録ヘルパー
- 賃上げ額:派遣先事業所が「派遣労働者を加算対象に含める」と判断した場合のみ反映
- 注意点:派遣料に上乗せされる形で時給に反映される仕組み。直接雇用と比べて反映額が小さくなりやすい
- 確認方法:派遣会社に「処遇改善加算の対象に含まれているか」を文書で確認するのが確実
このように、介護職員以外は基本賃上げの月1万円のみが対象となるケースが多く、職種間の格差は依然として残ります。転職を検討する際は、希望職種が事業所の処遇改善加算配分でどの位置づけにあるかを面接時に確認することが重要です。
よくある質問
Q. 月19,000円の賃上げは全員がもらえるのですか?
A. いいえ。月19,000円は、基本賃上げ(1万円)+上乗せ措置(7,000円)+定期昇給(2,000円)の最大値です。上乗せ措置は生産性向上に取り組む事業所の介護職員が対象で、定期昇給は事業所の判断によるものです。事業所が取得している加算区分や配分方針によって、実際の賃上げ額は異なります。基本賃上げの1万円は、処遇改善加算を取得しているほとんどの事業所で介護従事者全体に支給されます。
Q. パートや派遣の介護職員も対象になりますか?
A. パート職員は多くの事業所で処遇改善の対象に含まれています(時給への上乗せや一時金等で支給)。派遣社員については、派遣先の事業所が対象に含めているかどうかを派遣会社に確認する必要があります。常勤・月給制の介護職員と比べると、反映額が小さくなる傾向があります。
Q. いつから賃上げが始まりますか?
A. 介護報酬の臨時改定は2026年6月1日施行です。ただし、2025年12月から2026年5月までは補助金によるつなぎ措置(月1万円相当)が実施されています。実際の現場への支給は2026年2月以降から順次開始される見込みで、2025年12月分・2026年1月分はさかのぼって支給されます。6月以降は補助金が終了し、処遇改善加算による恒久的な賃上げに移行します。
Q. 基本給ではなく手当で支給されている場合はどうすればいいですか?
A. 今回の通知では、令和8年度に増加した加算額の賃上げは「ベースアップにより行うことを基本とする」と明記されています。ただし、賃金体系の整備が途上にある事業所については、手当や一時金との組み合わせも例外的に認められています。もし手当のみで支給されている場合は、事業所に基本給への反映予定を確認することをおすすめします。基本給への反映は賞与・退職金・年金にも好影響があるため、長期的に見て大きな差となります。
Q. 転職する場合、処遇改善加算の状況はどう調べればいいですか?
A. 厚労省が運営する「介護サービス情報公表システム」(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)で、事業所ごとの加算取得状況を確認できます。また、求人票の給与欄に「処遇改善手当」の記載があるか、面接時に「加算区分は何か」「ベースアップで反映するか」「ケアプランデータ連携システムを導入予定か」を質問するのも有効です。これらに明確に答えられる事業所は、制度対応が進んでいる可能性が高いです。
Q. ケアマネジャーや看護師も賃上げの対象になりますか?
A. はい。2026年6月から、居宅介護支援(ケアマネ)や訪問看護も処遇改善加算の対象に新たに追加されます。ただし、月7,000円の上乗せ措置は介護職員のみが対象で、ケアマネ・看護師は基本の月1万円のみとなります。事業所が加算を申請し、要件を満たしていることが前提です。
Q. 訪問看護でも介護保険・医療保険でどちらも対象ですか?
A. いいえ。介護保険適用の訪問看護のみ処遇改善加算の対象です。医療保険を主に利用している訪問看護ステーションは対象外となるため、勤務先の事業形態を確認しましょう。介護保険・医療保険の両方を提供している訪問看護ステーションでは、介護保険適用部分の介護報酬に加算が計上されます。
Q. 賃上げが反映されない場合、どこに相談すればいいですか?
A. まずは事業所の管理者に「今回の臨時改定の加算はどう反映されていますか?」と確認しましょう。事業所には「処遇改善計画書」と「実績報告書」の提出義務があり、加算の支給状況を職員に説明する義務もあります(厚労省通知)。それでも回答が得られない場合は、都道府県の介護保険担当課または労働基準監督署に相談できます。
Q. 給与明細のどこを見れば賃上げが分かりますか?
A. 6月以降の給与明細で、以下を確認してください。①「基本給」が前月(または前年同月)と比べて増えているか、②「処遇改善手当」「ベースアップ等手当」「介護職員等処遇改善手当」などの項目が新設または増額されているか、③合計支給額が増えているか。最も望ましいのは①の基本給への反映です。賞与・退職金にも反映されるため長期的に有利となります。
参考文献・出典
- [1]介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度)(案)- 厚生労働省(介護保険最新情報Vol.1474・令和8年3月4日)
処遇改善加算の運用ルール全文。基本給重視の方針、加算率、要件、申請手順を記載
- [2]
- [3]
- [4]介護職の処遇改善は基本給増が望ましい 厚労省が考え方や事務処理の文書案公表- 福祉新聞(2026年3月15日)
厚労省の文書案公表に関する報道。基本給重視方針、勤続10年以上の介護福祉士の処遇改善への言及
まとめ
2026年6月の介護報酬臨時改定で、処遇改善加算は大きく拡充されます。ポイントを整理します。
- 賃上げは基本給(ベースアップ)が基本:厚労省が安定的な処遇改善のために基本給重視を明確化。手当ではなく基本給に反映されることで、賞与・退職金・年金にも好影響
- 最大月19,000円の賃上げ:基本1万円+上乗せ7,000円+定期昇給2,000円(全要件充足時)。改定率は+2.03%(うち処遇改善分+1.95%)で過去最高水準
- 対象が介護従事者全体に拡大:訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援(ケアマネ)・居宅療養管理指導・福祉用具貸与なども新たに対象
- 生産性向上に取り組む事業所を評価:新設のIロ・IIロ区分で加算率が上乗せ。ケアプランデータ連携システム加入や介護ICT導入が要件
- 段階的に施行:2025年12月〜2026年5月は補助金、2026年6月から処遇改善加算による恒久措置、2026年8月から食費基準費用額の見直し
転職を考える介護職の方へ
今回の改定は、「どの事業所で働くか」が給与に直結することをより鮮明にしました。同じ介護職員でも、加算Iロ(28.7%)を取得している訪問介護事業所と、加算IV(17.0%)の事業所では、年間で数十万円の差が生じる可能性があります。転職先選びでは次の3点を必ず確認しましょう。
- 処遇改善加算の取得区分:介護サービス情報公表システムで事前確認
- 基本給への反映方針:求人票・面接時に「ベースアップで反映するか」を質問
- 生産性向上への取り組み状況:ICT導入、ケアプランデータ連携システム加入の予定があるか
これらに明確に答えられる事業所は制度対応が進んでおり、長期的に働きやすい環境が期待できます。逆に「うちはまだ検討中」と曖昧な回答の事業所は、加算Iロ・IIロを取得できない可能性があり、賃上げ額が小さくなるリスクがあります。
2026年は介護業界にとって構造的な転換点であり、制度を正しく理解し、納得感を持って働ける職場を選ぶことが、これからのキャリアと収入を大きく左右します。最新情報は厚生労働省の処遇改善ポータルサイトで随時確認してください。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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