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📑目次

  1. 01厚労省が提示した4つの分野横断テーマ
  2. 02相次いだ「経営安定が最優先」の声と廃業リスク
  3. 03改定スケジュールと「3年サイクル」見直し論
  4. 04介護職の給料は2027年度改定でどう変わるか
  5. 05賃上げ財源と「持続可能性」の綱引き
  6. 06参考資料
  7. 07まとめ
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2027年度介護報酬改定、議論スタート|「経営安定が最優先」の声相次ぐ・介護職の給料はどう変わるか

2027年度介護報酬改定、議論スタート|「経営安定が最優先」の声相次ぐ・介護職の給料はどう変わるか

2026年4月27日、社保審・介護給付費分科会で2027年度介護報酬改定の議論が本格スタート。賃上げ・経営安定・人材確保が4大テーマに据えられ、老健の7%が廃業リスク、事業所の4~5割が赤字との数字も。次回改定で介護職の給料はどう動くかを予測する。

ポイント

この記事のポイント

2026年4月27日、厚生労働省は社会保障審議会・介護給付費分科会で2027年度(令和9年度)介護報酬改定の議論を本格スタートさせた。分野横断的なテーマは「人口減少・サービス提供体制の構築」「地域包括ケアシステムの深化」「介護人材確保に向けた処遇改善・生産性向上」「制度の安定性・持続可能性の確保」の4つ。最大の焦点は介護職の賃上げと事業所の経営安定で、現場委員からは「事業所の4~5割が赤字」「老健の約7%が廃業リスク」と悲鳴が上がった。年内に大枠が固まり、2027年1月に改定案が答申される見通しだ。介護職にとっては、月8.2万円ある全産業との賃金格差を縮められるかが最大の関心となる。

📑目次▾
  1. 01厚労省が提示した4つの分野横断テーマ
  2. 02相次いだ「経営安定が最優先」の声と廃業リスク
  3. 03改定スケジュールと「3年サイクル」見直し論
  4. 04介護職の給料は2027年度改定でどう変わるか
  5. 05賃上げ財源と「持続可能性」の綱引き
  6. 06参考資料
  7. 07まとめ

「来年度の介護報酬は本当に上がるのか」「自分の給料はいくら増えるのか」――2026年6月に施行される臨時改定(処遇改善加算の対象拡大、最大月1.9万円の賃上げ)が話題を集めるなか、その先に控える 2027年度(令和9年度)の本改定 に向けた議論が、ついに本格スタートした。

2026年4月27日、厚生労働省は第256回社会保障審議会・介護給付費分科会をWeb会議形式で開催し、老健局老人保健課の堀裕行課長から検討の進め方と分野横断的な4つのテーマが提示された。委員からは「介護崩壊の防衛線」「存立の瀬戸際」といった強い表現が飛び交い、賃上げと経営安定をめぐる議論の火ぶたが切られた格好だ。

本記事では、この日の分科会で何が話し合われ、どんな数字が突きつけられたのかを整理したうえで、現場で働く介護職にとって最も気になる「次の改定で給料はどう変わりそうか」を、議論の方向性から読み解く。改定スケジュール、各委員の主張、賃金格差の現状まで、一次資料を踏まえて押さえていきたい。

厚労省が提示した4つの分野横断テーマ

「人口減少」「地域包括ケア」「人材確保」「持続可能性」の4本柱

4月27日の分科会で、厚労省は2027年度改定に向けた検討の進め方として、すべての介護サービスを貫く分野横断的なテーマを4つ示した。具体的には次のとおりである。

  • 人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築
  • 地域包括ケアシステムの深化
  • 介護人材確保に向けた処遇改善等と職場環境改善やケアの質向上に向けた生産性向上等
  • 制度の安定性・持続可能性を確保する報酬の在り方

厚労省はこれらのテーマと並べて、来年度の定期改定で「賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保を図る」と明言。「物価や賃金の上昇などを適切に反映するための対応を実施する必要がある」との認識も合わせて示した。介護分野の人材難と物価高対応が、改定全体を貫く基調となることが改めて確認された形だ。

第1ラウンドは夏まで、年末に大枠が固まる

議論のスケジュールも具体的に示された。4月から夏ごろにかけては、4つのテーマに沿って主要な論点を順番に議論する第1ラウンドが続く。並行して事業者団体などからのヒアリングも実施される予定だ。秋から年末にかけては、より具体的な施策に踏み込んだ第2ラウンドへ移行し、12月中に報酬・基準に関する基本的な考え方を整理・とりまとめる。同月下旬の政府予算編成過程で改定率が決定され、2027年1月頃には介護報酬改定案の諮問・答申が行われる流れである。

逆算すると、介護職の月給に直結する処遇改善加算や基本報酬の単位数は、年末から2027年1月にかけてのわずか1~2か月で決着する。今年の夏から秋にかけて、業界団体や労働組合がどんな主張をぶつけるかが、最終的な改定率に大きく影響することになる。

「個別サービスの単位数」は終盤に集中議論

厚労省の堀裕行・老人保健課長は分科会で、議論の進め方として「サービス全体・個別サービスに関する大枠の議論を先行させ、その後に個別サービスの単位数・要件・基準などに関する具体的議論へ移る」とのプロセスを説明した。まずは介護報酬全体の方向性を共有したうえで、訪問介護、通所介護、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、認知症対応型共同生活介護、居宅介護支援といった各サービスの細かい単価に踏み込む構図だ。

つまり、夏までは現場の関心が高い「訪問介護の基本報酬は上がるのか」「ケアマネの単価はどうなるか」といった具体論より、賃上げや経営安定の枠組みづくりが優先される。サービス別の損益や利益率データが本格的に俎上に載るのは、秋以降の第2ラウンドに入ってからとなる見込みである。

相次いだ「経営安定が最優先」の声と廃業リスク

事業所の4~5割が赤字、老健は7%が廃業リスク

分科会で最も強く打ち出されたのが、介護事業所の経営難に対する危機感である。日本医師会常任理事の江澤和彦委員は、「現在、介護事業所の4~5割が赤字経営で、経営体力が乏しいため廃業につながり、地域の介護提供体制を脆弱にしている。経営安定化を最優先事項とし、分野横断的なテーマの1項目に据えるべき」と強調した。介護事業所・施設の経営が安定しなければ介護従事者の処遇改善も実行できない、という主張である。

全国老人保健施設協会会長の東憲太郎委員はより具体的に、会員施設の約7%にあたる老健が4月時点で「廃業リスクを抱えている」と報告した。介護分野の中でも医療ニーズの高い高齢者を受け入れる老健ですら、収支が成り立たないところが7%に達している事実は、地域包括ケアの担い手が文字どおり崖っぷちに立たされていることを示している。

「基本報酬の大幅引き上げ」を求める現場団体

全国老人福祉施設協議会副会長の小泉立志委員は、「各サービスの基本報酬を大幅に引き上げ、経営安定化を図る必要がある」と訴えた。処遇改善加算による職員賃上げだけでは事業所の収支は改善せず、むしろ職員給与の原資となる本体価格そのものを底上げしないと持続できないという主張だ。

分科会では「人手不足は極めて深刻」「事業者の倒産や廃業が地域のサービスに支障をきたしている」「多くの事業所・施設が赤字となる深刻な異常事態」「制度を語る以前に経営が維持できない存立の瀬戸際にある」といった、現場関係者の悲鳴に近い発言が相次いだ。多くの委員が、まずはすべての基盤となる基本報酬の大胆な底上げを出発点にすべきとの認識で一致しており、業界はこの総意を政府・与党にぶつけて実現を働きかけていく構えだ。

賃上げ要件の見直し提案も

処遇改善加算の運用にも、現場視点の改善要望が出ている。日本介護支援専門員協会副会長の濵田和則委員は、賃金水準の動向に応じて加算率を機動的に変動させる「スライド制」の導入を提案。社会全体の賃上げペースに介護報酬が追従できる仕組みを、ということだ。

また、複数の委員からは、算定率の高い加算は「基本報酬に組み込む」(要件を満たさない場合には基本報酬の減算を行う)方向で簡素化を進めるべきとの声も上がっている。具体的には民間介護事業推進委員会代表委員の今井準幸委員、日本慢性期医療協会常任理事の田中志子委員、日本労働組合総連合会の平山春樹委員らが同旨の意見を示した。加算が複雑化しすぎて算定が事務負担になっている現場の実情を反映した提案である。

改定スケジュールと「3年サイクル」見直し論

2027年1月諮問・答申、4月施行のロードマップ

厚労省が示したスケジュール案を時系列で整理すると、2027年度改定のロードマップは次のようになる。

  • 2026年4月~夏:分野横断テーマに沿った第1ラウンド議論、事業者団体ヒアリング
  • 2026年秋(10月以降):個別サービスの単位数・基準を含む第2ラウンド議論
  • 2026年12月:報酬・基準に関する基本的な考え方のとりまとめ
  • 2026年12月下旬:政府予算編成の中で改定率(プラス何%か)を決定
  • 2027年1月頃:介護報酬改定案の諮問・答申
  • 2027年4月:新しい介護報酬の施行

このスケジュールは、2024年度改定のときと同じパターンを踏襲している。注目すべきは、改定率(全体プラス何%か)が決まるのが12月下旬の予算編成過程である点だ。社保審で議論される論点はあくまで「方向性」であり、最終的な財源規模は財務省との折衝で決まる構造に変わりはない。

医師会が提案、「2年に1度のサイクルへ」

この日の分科会では、現行3年に1度の介護報酬改定サイクルそのものを見直すべきとの大胆な提言も出された。日本医師会常任理事の江澤和彦委員は、「今の社会は3年後がとても見通せない。報酬改定を2年に1度とすることも検討すべきではないか」と指摘。診療報酬が2年に1度改定されることを踏まえ、医療と介護の同時改定を毎回実現できるようにすべきとの考えである。

江澤委員は、物価高騰や賃金上昇への対応については「別枠で毎年実施すべき時代に突入している」とも述べた。さらに、介護報酬を「経営維持」「賃上げ対応」「物価高騰対応」の3つに区分し、経営維持分は3年サイクル、賃上げ・物価対応は毎年度対応とすることを提案している。全国老人保健施設協会会長の東憲太郎委員も「現状の急激な物価高騰や賃金上昇を3年分の報酬改定に詰め込むのは無理がある」と同調した。

介護保険事業計画との連動が壁に

もっとも、改定サイクルを2年に短縮するハードルは高い。介護報酬は地域のサービス量や保険料を定める介護保険事業(支援)計画と連動して動いており、その事業計画は3年サイクルで策定される。サイクルを変えるには介護保険法そのものの見直しが必要で、政府全体・自治体を巻き込んだ議論が避けられない。

加えて、自治体サイドからは「臨時(期中)の介護報酬改定が頻発すると事務負担が膨大になる」との懸念も出ている。介護報酬を請求する事業所、特に小規模・零細事業所にとっても、頻繁な改定はシステム改修や算定要件確認の負担を増す。改定サイクル短縮は議論として注目されるものの、2027年度改定そのものに反映される可能性は限定的とみるのが現実的だろう。

介護職の給料は2027年度改定でどう変わるか

出発点となる「月8.2万円の賃金格差」

介護職にとっての最大関心事は、結局のところ「自分の給料がいくら増えるか」である。出発点となる現状を確認しておこう。厚労省が令和7年賃金構造基本統計調査をもとに集計したデータによれば、介護職員の昨年の賞与込み月給は31.4万円、全産業平均は39.6万円で、その差は月8.2万円にのぼる。前年の格差8.3万円からわずか0.1万円縮まっただけで、ほぼ横ばいの状況だ。

2024年度の定期改定で処遇改善加算を一本化・拡充し、2025年度には介護職員1人あたりおよそ5.4万円の一時金も支給された。それでも他産業の春闘における賃上げ加速に追いつかず、賃金格差は拡大を辛うじて防いでいるだけというのが実態である。2027年度改定が「賃上げ」を最大テーマに据えた背景には、この10年以上縮まらない格差の構造的な問題がある。

2026年6月臨時改定の「上乗せ」が試金石に

2027年度改定の効果を予測するうえで、見逃せないのが2026年6月施行の臨時(期中)改定である。臨時改定では、介護職員等処遇改善加算の対象が訪問看護・訪問リハビリ・居宅介護支援(ケアマネ事業所)にまで拡大され、訪問介護では加算率が最大28.7%に引き上げられた。協働化等に取り組む事業者を含めれば、定期昇給込みで最大月1.9万円の賃上げが想定されている。

2027年度改定の議論では、この臨時改定で実際にどこまで賃金が上がったかを検証する調査結果が、最重要の基礎資料となる。新たに加算対象となった訪問看護・居宅介護支援のケアマネで処遇改善がどれだけ進んだか、小規模事業所まで加算が行き渡ったか――こうしたデータが秋以降の議論で論点となり、それを踏まえた追加施策が検討される。つまり2026年6月の月1.9万円は「いったん到達点」ではなく、2027年度改定の出発点に過ぎない。

3つのシナリオ:「上振れ」「横ばい」「停滞」

議論の方向性から、2027年度改定で介護職の給料がどう動くかをいくつかのシナリオで整理してみる。これらはあくまで議論動向を踏まえた予測であり、確定情報ではない点には注意が必要だ。

  • シナリオA(上振れ):基本報酬の大幅引き上げと処遇改善加算のさらなる拡充が両方実現。臨時改定の月1.9万円に加えて、年額数万円規模の追加賃上げ。条件としては、夏以降の経営実態調査で介護事業所の収支悪化が一段と深刻化したデータが出ること。
  • シナリオB(横ばい):基本報酬は微増、処遇改善加算は要件追加(生産性向上、テクノロジー導入等)と引き換えに小幅上乗せ。財務省主張の「適正化」分と相殺され、現場手取りは月数千円~1万円程度の上昇にとどまる。
  • シナリオC(停滞):財政制約と「利益率の高いサービスは引き下げ」論に押されて、訪問介護・訪問看護といった利益率の高いサービスでは基本報酬がむしろ引き下げ。処遇改善加算で何とか賃下げを回避するが、職員の手取りは実質横ばい。

分科会の現状の議論を見る限り、現場側はシナリオAを目指して動くが、財務省側はシナリオCに近い「適正化」を強く主張している。最終的にはBとAの間に着地する可能性が高いが、ここから半年余りの議論で各団体がどれだけ説得力ある数字を提示できるかが鍵となる。

サービス別「勝ち負け」がより鮮明に

2027年度改定では、サービス類型ごとの利益率データに基づく「メリハリ配分」が、これまで以上に鮮明になる可能性が高い。財務省が4月28日の財政制度等審議会・財政制度分科会で示したデータによれば、2024年度決算の介護サービス全体の利益率(税引前収支差率)は平均4.7%。サービス別では訪問介護9.6%、訪問看護10.3%、通所介護6.2%、居宅介護支援6.2%と、複数のサービスが平均を上回る一方、施設サービスでは赤字が広がっている。

財務省は「介護サービスの類型や提供実態に応じて介護報酬を適正化する必要がある」「一部サービスには介護報酬を引き下げる余地がある」と踏み込んだ。具体的には、訪問介護や通所介護の賃上げの新たな要件として「介護記録ソフトなどの介護テクノロジー導入」を加えるべきとも提案している。これが通れば、訪問介護で働く介護職にとっては、賃上げの恩恵を受けるためにICT化への対応が事実上の前提条件になる。同じ「介護職」でも、所属する事業所のサービス類型と生産性向上への取り組み度合いで、賃上げの恩恵に差がつく構造が一段と強まる見通しだ。

賃上げ財源と「持続可能性」の綱引き

「2号保険料は制度創設時の3倍」という現実

2027年度改定で介護職の賃上げが大胆に進むかどうかは、結局のところ「誰がどれだけ財源を負担するか」に帰着する。介護費は保険料50%(うち40-64歳の2号保険料が約27%、65歳以上の1号保険料が約23%)と、国・自治体負担(税金)50%で賄われている構造だ。

分科会では、健康保険組合連合会常務理事の伊藤悦郎委員が「40-64歳の納める2号保険料は、介護保険制度創設時の3倍に増加しており、これ以上の負担増に現役世代は耐えられない」と強い口調で述べた。介護給付の「適正化」も極めて重要な課題であり、2027年度改定は2024年度の通常改定・2026年度の臨時改定の効果を検証したうえで、効率化・重点化に力点を置いた報酬改定とすべきとの主張である。

全国健康保険協会理事の鳥潟美夏子委員も、介護従事者の処遇改善は極めて重要としつつ、「保険料負担増に直結する点も十分に踏まえなければならない」と釘を刺した。介護現場の生産性向上(ICTの利活用、介護助手の活用など)、事業所・施設の協働化・大規模化(再編・統合などによる事務負担抑制)などとセットで進める必要がある、というのが支払側の論理である。

「85歳以上の超高齢者」増加が次のフェーズ

制度の持続可能性を語るうえで、もう一つ重要なのが人口構成の変化である。日本看護協会常任理事の田母神裕美委員は分科会で、「今後、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上の超高齢者が増加し、医療・介護連携がますます重要となる。そうした点を十分に踏まえた改定を行うべき」と発言した。

65歳以上の高齢者数自体はピークを迎えつつあるが、その内訳では医療と介護の両方を必要とする85歳以上が今後一気に増えていく。一方で介護を支える現役世代は減り続ける。介護ニーズの量と質が同時に増していく中で、限られた財源と人材をどう配分するか――これが2027年度改定の論点であり、同時に2030年・2040年に向けた中期的な制度設計の論点でもある。

離島・中山間地への「特例的サービス」も焦点

2027年度改定のもう一つの重要論点が、サービスを維持しにくい地域への特例措置である。介護給付費分科会では、離島や中山間地、人口減少地域を対象に「特例的なサービス」(人員配置基準の柔軟化、包括型報酬の導入など)の検討が進むとされた。

分科会では、全国町村会行政委員で茨城県美浦村長の中島栄委員、高齢社会をよくする女性の会副理事長の石田路子委員らから「地域の実態を踏まえた丁寧な検討を行う必要がある」との要望が出された。同時に、中島委員は処遇改善が保険料・自治体負担増加につながらないよう「国による支援」拡充を求めている。地域格差を縮める一方で、現役世代の負担を重くしすぎない――矛盾する要請をどう両立させるかが、今後の議論の難所となる。

転職を考える介護職にとっての示唆

ここまでの議論を踏まえると、介護分野で働く人、あるいはこれから介護分野で働こうとする人にとっての含意は次のようになる。第一に、2026年6月の臨時改定で賃上げが実現しても、それは2027年度改定への通過点であり、引き続き介護分野は政策的に賃上げの対象とされ続ける可能性が高い。第二に、生産性向上やICT導入に対応できる事業所、または基本報酬の引き上げ余地が大きいサービス類型(介護施設サービスなど)に勤務するほうが、改定の恩恵を受けやすい構造になりつつある。

逆に、生産性向上の取り組みが遅れている事業所、利益率の高い在宅サービスでは、加算要件の厳格化や基本報酬の見直しによって、改定の効果が打ち消される可能性もある。「介護分野で働けば賃上げが期待できる」という大枠は変わらないが、その恩恵は均等に行き渡るわけではない。事業所選びと、自身のスキル更新(ICT、認知症ケア、医療連携など)が、これまで以上に重要になる時代に入ったといえる。

まとめ

2026年4月27日にスタートした2027年度介護報酬改定の議論は、「賃上げ」「経営安定」「人材確保」「離職防止」を最大テーマに据えてのスタートとなった。介護事業所の4~5割が赤字、老健の約7%が廃業リスクを抱えるという厳しい現実、月8.2万円縮まらない全産業との賃金格差という構造的問題を背景に、現場団体は基本報酬の大胆な底上げを求め、支払側は持続可能性を盾に給付の適正化を主張する綱引きが、ここから半年余り続くことになる。

介護職にとっての含意は明確だ。2026年6月の臨時改定(最大月1.9万円賃上げ)はゴールではなく出発点であり、2027年度改定でも引き続き介護分野は政策的な賃上げの対象とされ続ける可能性が高い。一方で、サービス類型・事業所の生産性・地域条件によって、賃上げの恩恵に差がつく構造は一段と鮮明になりそうだ。給料アップを期待するなら、改定動向を追いながら、自分が働くサービス類型と事業所の経営体力、ICT・テクノロジー対応度を見極める視点が、これまで以上に重要になる。

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公開日: 2026年4月29日最終更新: 2026年4月29日

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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