課題分析標準項目とは

課題分析標準項目とは

課題分析標準項目とは、ケアマネジャーがアセスメントで把握すべき内容を厚労省告示(老企第29号)が定めた標準枠組み。基本情報9項目と課題分析14項目の計23項目の中身、令和5年改定の変更点、アセスメント方式との関係を解説します。

ポイント

課題分析標準項目の定義(要点)

課題分析標準項目とは、ケアマネジャー(介護支援専門員)がケアプラン作成のためのアセスメント(課題分析)で把握すべき内容を、厚生労働省の通知「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日 老企第29号)が定めた標準的な枠組みです。「基本情報に関する項目」と「課題分析(アセスメント)に関する項目」で構成され、令和5年(2023年)改定後は合計23項目(基本情報9項目+課題分析14項目)となっています。

目次

課題分析標準項目の位置づけと役割

課題分析標準項目とは何か(位置づけと役割)

介護保険のケアマネジメントでは、ケアマネジャーが利用者の生活全体を把握し、生活上の課題(ニーズ)を明らかにしたうえでケアプランを作成します。この「課題を明らかにする工程」がアセスメント(課題分析)です。アセスメントで何を把握すべきかは、使うアセスメント方式(包括的自立支援プログラム、MDS-HC方式、日本訪問看護財団方式など)によって様式が異なります。

そこで厚生労働省は、どの方式を使っても最低限カバーすべき内容の共通の物差しとして課題分析標準項目を示しました。根拠は通知「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日 老企第29号)です。各事業所は独自のアセスメントシートを使ってよいものの、その内容が標準項目を満たしていることが求められます。

「告示が定める標準枠組み」であること

課題分析標準項目は、特定のアセスメントシートそのものではなく、把握すべき情報の項目を列挙した枠組みです。つまり「このフォーマットを使いなさい」ではなく「これらの観点を網羅して把握しなさい」という性格を持ちます。実務では、各社の介護ソフトや法人独自のシートが、この標準項目に対応づけられて設計されています。

2つの大分類

標準項目は大きく「基本情報に関する項目」「課題分析(アセスメント)に関する項目」の2つに分かれます。前者は氏名・要介護度・本人や家族の意向など受付段階で押さえる情報、後者は健康状態・ADL・IADL・認知機能・生活リズムなど生活課題を見立てるための情報です。

課題分析標準項目23項目の一覧

課題分析標準項目(23項目)の一覧

令和5年(2023年)改定後の標準項目は、基本情報に関する項目9つ(No.1〜9)と、課題分析に関する項目14つ(No.10〜23)の合計23項目です。すべてを必ず記入する必要はなく、利用者の状況に応じて把握すべき内容の目安として用います。

基本情報に関する項目(No.1〜9/9項目)

  • No.1 基本情報(受付・利用者等基本情報)
  • No.2 これまでの生活と現在の状況
  • No.3 利用者の社会保障制度の利用情報
  • No.4 現在利用している支援や社会資源の状況
  • No.5 日常生活自立度(障害高齢者)
  • No.6 日常生活自立度(認知症高齢者)
  • No.7 主訴・意向(本人・家族)
  • No.8 認定情報(要介護度・有効期間など)
  • No.9 今回(介護予防)サービス計画作成(変更)の理由

課題分析(アセスメント)に関する項目(No.10〜23/14項目)

  • No.10 健康状態(既往歴・主傷病・服薬・受診状況など)
  • No.11 ADL(寝返り・起き上がり・移乗・歩行・着脱・入浴・排泄など)
  • No.12 IADL(調理・掃除・買物・金銭管理・服薬管理など)
  • No.13 認知機能や判断能力(改定前の「問題行動」を統合)
  • No.14 コミュニケーションにおける理解と表出の状況
  • No.15 生活リズム(1日・1週間の生活リズム/令和5年改定で新設)
  • No.16 排泄の状況
  • No.17 清潔の保持に関する状況(入浴・整容・口腔・褥瘡予防など)
  • No.18 口腔内の状況
  • No.19 食事摂取の状況
  • No.20 社会との関わり
  • No.21 家族等の状況(介護力・介護負担など)
  • No.22 居住環境
  • No.23 その他留意すべき事項・状況

出典:厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1178」(令和5年10月16日)。項目名・番号は実務上の整理であり、最新の通知本文・別添で確認してください。

課題分析標準項目の令和5年改定ポイント

令和5年(2023年)改定の主な変更点

令和5年10月16日付の介護保険最新情報Vol.1178・Vol.1179により、課題分析標準項目が見直されました。項目の総数(23項目)は維持しつつ、内容と分類が整理されています。

  • 「生活リズム」の新設:1日・1週間の生活リズムを把握する項目が課題分析に関する項目として追加されました。睡眠・活動・社会参加の時間配分など、生活の質に直結する観点を明確化したものです。
  • 「問題行動」の統合:改定前にあった「問題行動」は、本人を否定的にとらえる表現を避ける観点から、「認知機能や判断能力」の項目に統合されました。
  • 受付情報の整理:初回かどうかといった情報は、本来受付時に把握する基礎情報であることから「基本情報に関する項目」側で扱うよう整理されました。
  • 名称・表現の適正化:「被保険者情報」を「社会保障制度の利用情報」とするなど、より実態に合った名称・表現に見直されています。

あわせてVol.1179で「課題分析標準項目の改正に関するQ&A」が示され、すべての項目を必ず記入する必要はないこと、利用者の状況に応じて必要な情報を把握する趣旨であることが改めて確認されています。

課題分析標準項目とアセスメント方式の違い

課題分析標準項目とアセスメント方式(包括的自立支援プログラム等)の関係

「課題分析標準項目」と「アセスメント方式」はよく混同されますが、役割が異なります。

  • 課題分析標準項目(=物差し):厚労省告示(老企第29号)が定めた、把握すべき内容の共通枠組み。どの様式でも満たすべき最低限の項目を示します。
  • アセスメント方式(=道具):標準項目を実際に把握するための具体的な様式・手法。代表例に、施設系団体が開発した包括的自立支援プログラムMDS-HC方式日本訪問看護財団方式(在宅版)R4システムなどがあります。厚労省調査では特別養護老人ホームの約半数が包括的自立支援プログラムを採用しているとされます。

つまり、各方式は「使う道具」であり、その道具が課題分析標準項目という「物差し」を満たしているかが問われます。事業所が独自シートや介護ソフトを使う場合も、標準項目を網羅しているかが運営基準上のポイントになります。

アセスメントとの違い

「アセスメント」はケアマネジメントの一工程(課題分析そのもの)を指す広い概念で、「課題分析標準項目」はそのアセスメントで把握すべき内容を定めた項目リストです。アセスメントの全体像は介護のアセスメントとはを、計画書への落とし込みはケアプランとはを参照してください。

課題分析標準項目を実務で活かすコツ

  • 「全項目記入」ではなく「全項目を検討」:厚労省は「すべての項目を必ず記入する必要はない」としています。空欄を埋めることが目的ではなく、各観点を一度は検討し、必要な情報を過不足なく把握することが本質です。
  • 使っているシートと標準項目を対応づける:自事業所のアセスメントシートや介護ソフトが23項目のどこをカバーしているかを一覧化しておくと、実地指導や運営指導での説明がスムーズです。
  • 令和5年の新項目「生活リズム」を見落とさない:睡眠・活動・社会参加の時間配分は、ケアプランの目標設定やサービス導入の根拠になります。改定後は意識的に把握しましょう。
  • 介護職員も標準項目を知っておく:現場で得た気づき(食事量の変化、夜間の様子、口腔の状態など)は、標準項目のどこに対応する情報かを意識して報告すると、ケアマネジャーの再アセスメントに直結します。

課題分析標準項目のよくある質問

課題分析標準項目に関するよくある質問

課題分析標準項目は全部で何項目ですか?

令和5年(2023年)改定後で合計23項目です。内訳は「基本情報に関する項目」9項目と「課題分析(アセスメント)に関する項目」14項目です。

すべての項目を必ず記入しなければなりませんか?

いいえ。厚生労働省は「すべての項目を必ず記入する必要はない」としています。利用者の状況に応じて把握すべき内容の目安であり、各観点を検討したうえで必要な情報を記録します。

課題分析標準項目とアセスメントシートは同じものですか?

異なります。課題分析標準項目は把握すべき内容の枠組み(物差し)で、アセスメントシートはそれを実際に把握する様式(道具)です。包括的自立支援プログラムやMDS-HC方式などの各様式が、標準項目を満たすように作られています。

令和5年改定では何が変わりましたか?

「生活リズム」が新たに加わり、「問題行動」が「認知機能や判断能力」に統合されるなど、内容と表現が整理されました。総項目数は23のままです。

根拠となる通知は何ですか?

「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日 老企第29号)です。令和5年10月16日の介護保険最新情報Vol.1178・Vol.1179で最新の改正内容が示されています。

課題分析標準項目の参考資料

課題分析標準項目のまとめ

まとめ

課題分析標準項目は、ケアマネジャーがアセスメントで把握すべき内容を厚労省通知(老企第29号)が定めた共通の枠組みです。令和5年改定後は基本情報9項目+課題分析14項目の計23項目で、「生活リズム」の新設などが行われました。各アセスメント方式はこの標準項目を満たす道具であり、現場の介護職員も項目を意識して情報を共有することで、より精度の高いケアプランづくりに貢献できます。

この用語に関連する記事

ケアプラン有料化、居宅への導入を上野厚労相が否定|「一般的な在宅で利用者負担は予定していない」と国会答弁

ケアプラン有料化、居宅への導入を上野厚労相が否定|「一般的な在宅で利用者負担は予定していない」と国会答弁

2026年6月11日の参議院厚生労働委員会で、上野賢一郎厚生労働相がケアプラン有料化(居宅介護支援への利用者負担導入)について「一般的な在宅で利用者負担を求めることは予定していない」と否定。住宅型有料老人ホーム向けの登録施設介護支援は1割負担で導入される一方、自宅で暮らす人の居宅介護支援は当面据え置きとなる現在地を、過去の見送りの経緯・財政審の主張・利用者と現場への影響まで整理します。

ケアマネの「再研修」廃止へ|厚労省・黒田老健局長「円滑な復職のための簡素な仕組みに」と国会答弁【2026年6月】

ケアマネの「再研修」廃止へ|厚労省・黒田老健局長「円滑な復職のための簡素な仕組みに」と国会答弁【2026年6月】

厚生労働省の黒田秀郎老健局長は2026年6月11日の参院厚生労働委員会で、ケアマネジャーが復職時に課される現行の「再研修」を廃止し、時間数を大幅削減してオンライン・オンデマンドで受けられる簡素な仕組みに改める方針を答弁した。離職ケアマネの復職促進策の中身と、人手不足への効果を解説する。

厚労省、在宅介護従事者の安全確保徹底を通知|ケアマネ等の単独訪問リスクに「組織で守る体制」要請

厚労省、在宅介護従事者の安全確保徹底を通知|ケアマネ等の単独訪問リスクに「組織で守る体制」要請

厚生労働省は令和8年6月3日、介護保険最新情報Vol.1508「介護支援専門員等の在宅介護従事者の安全確保の徹底について」を発出。訪問系で働くケアマネ・訪問介護・訪問看護職員を個人任せにせず、複数名訪問・退避や通報の判断基準・地域連携で守る組織的体制と、国の費用支援を整理した内容を解説します。

ケアマネ協会、ICT活用は「導入支援から活用支援へ」|居宅介護支援の実態調査で浮かぶ「入れたが使いこなせていない」課題

ケアマネ協会、ICT活用は「導入支援から活用支援へ」|居宅介護支援の実態調査で浮かぶ「入れたが使いこなせていない」課題

日本介護支援専門員協会が2026年5月27日、居宅介護支援事業所のICT活用に関する実態調査を公表。導入支援から「活用支援」へ推進策を転換すべきと提言した。職員のスキル不足68.6%が最大の障壁。調査の中身とケアマネ実務への影響を解説。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。