
障害支援区分とは
障害支援区分とは障害者総合支援法に基づき障害福祉サービスの必要度を非該当・区分1〜6で示す指標。認定調査80項目と医師意見書による一次判定、市町村審査会の二次判定、要介護認定との違いを解説。
障害支援区分の定義キャプセル
障害支援区分とは、障害者総合支援法に基づき、障害のある人が必要とする支援の度合いを総合的に示す指標です。「非該当」と「区分1〜6」の7段階に分かれ、数字が大きいほど必要な支援が多いことを表します。市町村が認定調査(80項目)と医師意見書をもとに、コンピュータによる一次判定と市町村審査会による二次判定を経て認定します。介護保険の「要介護認定」に相当する、障害福祉サービス利用の入口となる仕組みです。
目次
障害支援区分の概要と法令上の位置づけ
障害支援区分の位置づけと役割
障害支援区分は、障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に定められた制度で、障害福祉サービスのうち「介護給付」を利用する際に必要となります。区分は支援の必要度を客観的にあらわす物差しであり、障害の重さそのものではなく「どれだけの支援が必要か」という観点で判定される点が特徴です。
かつては「障害程度区分」と呼ばれていましたが、知的障害・精神障害・発達障害の特性が反映されにくいという課題があったため、2014年4月の制度改正で「障害支援区分」へ名称・判定方法が変更されました。これにより、行動障害や精神症状に関する評価項目が充実し、より実態に即した判定が行われるようになっています。
区分は非該当・区分1・区分2・区分3・区分4・区分5・区分6の7段階で、区分6がもっとも支援の必要度が高い状態です。認定された区分は、利用できるサービスの種類や、市町村が定めるサービス支給量(時間数)の基準として使われます。認定の有効期間は原則として3年で、その後も障害福祉サービスの利用を続けるには再認定(更新)の申請が必要です。
障害支援区分の認定調査80項目の内訳
認定調査の80項目と判定の根拠
障害支援区分の一次判定は、認定調査員が本人や家族と面談して確認する80項目の認定調査と、医師意見書(一部項目)をもとにコンピュータで行われます。調査項目は次の5領域に分かれています。
- 移動や動作等に関連する項目(12項目):寝返り・起き上がり・座位保持・歩行・移乗など、基本的な身体動作。
- 身の回りの世話や日常生活等に関連する項目(16項目):食事・排せつ・入浴・口腔ケア・服薬管理・金銭管理など。
- 意思疎通等に関連する項目(6項目):視力・聴力・コミュニケーション・説明の理解など。
- 行動障害に関連する項目(34項目):感情の不安定さ・多動・自傷・他害・こだわり・不安定な行動など。最多の項目数で、知的・精神・発達障害の特性を反映する中核領域。
- 特別な医療に関連する項目(12項目):点滴・透析・経管栄養・気管切開のケア・疼痛の看護など、医療的ケアの有無。
このうち「行動障害」の項目数がもっとも多く設定されているのは、2014年改正で障害程度区分の課題を是正し、知的・精神障害の支援ニーズを判定に反映させた結果です。
障害支援区分と要介護認定の違い比較
要介護認定との違い
障害支援区分は障害福祉サービスの、要介護認定は介護保険サービスの利用度合いを示す仕組みで、よく混同されますが別制度です。主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 障害支援区分 | 要介護認定 |
|---|---|---|
| 根拠法 | 障害者総合支援法 | 介護保険法 |
| 区分 | 非該当・区分1〜6(7段階) | 非該当・要支援1〜2・要介護1〜5(8段階) |
| 対象 | 障害のある人(年齢を問わない/18歳以上が中心) | 原則65歳以上、特定疾病があれば40〜64歳も対象 |
| 調査項目 | 80項目(行動障害34項目を含む) | 74項目(基本調査) |
| 判定の主体 | 市町村(市町村審査会で二次判定) | 市町村(介護認定審査会で二次判定) |
| 支援度の高い方向 | 区分6が最重度 | 要介護5が最重度 |
大きな考え方は共通で、いずれも認定調査と医師意見書による一次判定(コンピュータ判定)を、専門家で構成する審査会が二次判定で精査して最終決定します。一方、障害支援区分は行動障害の評価項目が手厚い点と、年齢の制約が緩い点が要介護認定と異なります。65歳以上で介護保険の対象になる障害のある人は、原則として介護保険サービスが優先されますが、障害福祉固有のサービスは引き続き障害支援区分に基づいて利用できます。
障害支援区分の認定手続きの流れ
認定手続きの流れ
- 市町村への申請:本人または家族が、お住まいの市町村の障害福祉担当窓口に障害福祉サービスの利用を申請します。
- 認定調査(80項目):市町村の認定調査員が自宅などを訪問し、80項目の聞き取り調査を行います。普段の様子と異なる場合は特記事項として記録されます。
- 医師意見書:市町村が主治医に医学的所見の記載を依頼します。一部の項目は一次判定にも用いられます。
- 一次判定(コンピュータ判定):認定調査結果と医師意見書の一部項目をもとに、全国共通のロジックでコンピュータが暫定的な区分を算出します。
- 二次判定(市町村審査会):保健・医療・福祉の専門家で構成する市町村審査会が、一次判定結果に認定調査の特記事項や医師意見書を加えて精査し、最終的な区分を判定します。
- 認定・通知:市町村が障害支援区分を認定し、本人に通知します。申請から通知まで概ね1〜2か月かかります。
- サービス等利用計画とサービス支給決定:認定された区分をもとに、相談支援専門員が作成するサービス等利用計画を踏まえ、市町村が利用できるサービスと支給量を決定します。
障害支援区分とサービス支給量の関係の補足
区分とサービス支給量の関係
障害支援区分は、利用できるサービスの種類と量を左右します。介護給付(居宅介護・重度訪問介護・行動援護・生活介護・施設入所支援など)は区分による利用要件があり、たとえば行動援護や重度訪問介護は一定以上の区分が必要とされます。一方、就労移行支援や自立訓練などの訓練等給付は、原則として障害支援区分の認定を要しません。
同じ区分でも、最終的なサービス支給量(1か月あたりの時間数など)は市町村が地域の基準や本人の状況を踏まえて個別に決定します。区分はあくまで支給決定の出発点であり、相談支援専門員が作成するサービス等利用計画を通じて、本人の生活に合った支援内容が組み立てられます。区分の認定結果に納得できない場合は、都道府県に対する審査請求(不服申立て)や、状態が変わったときの区分変更申請という手段があります。
障害支援区分のよくある質問
よくある質問
- 障害支援区分は何段階に分かれていますか?
- 「非該当」と「区分1〜6」の7段階です。区分6がもっとも支援の必要度が高い状態を表します。
- 障害支援区分と要介護認定はどう違いますか?
- 障害支援区分は障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの、要介護認定は介護保険法に基づく介護保険サービスの必要度を示す別制度です。障害支援区分は行動障害の評価項目が手厚く、年齢の制約が緩い点が異なります。
- 認定にはどれくらい時間がかかりますか?
- 市町村への申請から認定の通知まで、概ね1〜2か月程度かかります。認定調査・医師意見書の取得・市町村審査会の二次判定という手順を踏むためです。
- 区分が決まれば必ず希望どおりのサービスが使えますか?
- 区分は支給決定の出発点で、最終的なサービスの種類と支給量は市町村が個別に決定します。行動援護や重度訪問介護など一定区分以上が要件のサービスもあります。
- 認定結果に納得できないときはどうすればよいですか?
- 都道府県への審査請求(不服申立て)ができます。また、状態が変化した場合は有効期間内でも区分変更の申請が可能です。
障害支援区分の参考資料・出典
- [1]
- [2]
- [3]
- [4]
障害支援区分のまとめ
まとめ
障害支援区分は、障害者総合支援法に基づき障害のある人の支援の必要度を非該当・区分1〜6の7段階で示す指標です。80項目の認定調査と医師意見書による一次判定、市町村審査会の二次判定を経て認定され、利用できる障害福祉サービスの種類や支給量の基準になります。介護保険の要介護認定とは根拠法も対象も異なる別制度ですが、認定調査と審査会の二段階判定という基本構造は共通しています。サービス利用を検討する際は、お住まいの市町村の障害福祉窓口や相談支援専門員に相談するとよいでしょう。
この用語に関連する記事

知的障害のある高齢者の介護|早期老化・ダウン症の認知症・65歳問題と支援の工夫
知的障害のある人の高齢化が進む中、介護職に求められる支援を解説。加齢に伴う早期老化やダウン症の認知症合併、障害福祉から介護保険への移行(65歳問題)、意思決定支援、多職種・家族連携のポイントを厚労省・国立のぞみの園の資料に基づき整理します。

介護保険法改正案、衆院本会議で可決|過疎地サービス基準緩和とケアマネ新類型を含む27項目の附帯決議
2026年5月26日、介護保険法・老人福祉法・社会福祉法等の改正案が衆議院本会議で可決。過疎地での運営基準弾力化、住宅型ホーム入居者向けケアマネ新類型『登録施設介護支援』の創設、有料老人ホーム登録制導入など多岐にわたる。原則2027年4月施行で参議院審議へ。

高額療養費の自己負担上限、2026年8月から段階的引き上げ|長期療養者向け「年間上限」を新設
厚生労働省は2025年12月25日、社会保障審議会医療保険部会で高額療養費の見直しを決定。2026年8月と2027年8月の2段階で月額上限を引き上げ、長期療養者向けに新たに「年間上限」を設ける。年収約650万〜770万円の現役世代では月額上限が8万100円から最終的に11万400円へ。介護費との合算自己負担への影響もあわせて整理する。

在宅高齢者の転倒を防ぐ住環境改修|介護保険20万円給付の使い方と費用相場
在宅高齢者の転倒の約7割は居室・玄関・浴室で発生。介護保険の住宅改修費20万円給付の対象6種目を転倒予防効果と費用相場で整理し、危険箇所セルフチェックから事業者選定・申請までを家族視点で解説。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。