介護のハタラクナカマ
記事一覧地域から探す働き方診断
介護のハタラクナカマ

介護職の転職に役立つ情報をお届けします。

運営:Selfem合同会社

最新記事

  • 介護職と他産業の賃金格差が月8.2万円に拡大|全体の賃上げ加速で格差縮まらず【2026年最新】
  • 介護関連サービス事業協会が設立1年で会員100社到達|「100年人生サポート認証」16社・2658事業所に交付
  • 厚労省「CARISO」介護スタートアップ支援事業、2026年度も三菱総研が受託|aba「ヘルプパッド」がグランプリ

コンテンツ

  • 記事一覧
  • 地域から探す
  • 働き方診断

サイト情報

  • サイトについて
  • 会社概要

規約・ポリシー

  • 利用規約
  • プライバシーポリシー

© 2026 Selfem合同会社 All rights reserved.

📑目次

  1. 01居宅介護支援事業所の独立開業とは
  2. 02開業に必要な4つの要件
  3. 03開業までの流れ|8つのステップ
  4. 04開業資金の内訳と資金調達
  5. 05収支シミュレーション|一人ケアマネの売上と経費
  6. 06特定事業所加算の取得戦略
  7. 072024年介護報酬改定の影響と経過措置
  8. 08独立開業を成功させる5つのポイント
  9. 09よくある質問
  10. 10参考文献・出典
  11. 11まとめ
ケアマネジャーの独立開業ガイド|開業要件・費用・収支シミュレーションまで完全網羅

ケアマネジャーの独立開業ガイド|開業要件・費用・収支シミュレーションまで完全網羅

ケアマネジャー(主任ケアマネ)が居宅介護支援事業所を独立開業する方法を徹底解説。管理者要件、法人設立、指定申請手続き、開業資金100〜300万円の内訳、収支シミュレーション、特定事業所加算の戦略まで網羅。2024年介護報酬改定対応。

ポイント

この記事のポイント

ケアマネジャーが居宅介護支援事業所を独立開業するには、主任介護支援専門員の資格取得、法人設立(合同会社なら約10万円)、市町村への指定申請が必要です。開業資金は100〜300万円が目安で、自宅開業なら初期費用を大幅に抑えられます。一人ケアマネでも月商55〜60万円程度が見込め、利用者35人前後で安定経営が可能です。

📑目次▾
  1. 01居宅介護支援事業所の独立開業とは
  2. 02開業に必要な4つの要件
  3. 03開業までの流れ|8つのステップ
  4. 04開業資金の内訳と資金調達
  5. 05収支シミュレーション|一人ケアマネの売上と経費
  6. 06特定事業所加算の取得戦略
  7. 072024年介護報酬改定の影響と経過措置
  8. 08独立開業を成功させる5つのポイント
  9. 09よくある質問
  10. 10参考文献・出典
  11. 11まとめ

「いつかは自分の事業所を持ちたい」——居宅ケアマネジャーとして経験を積むうちに、独立開業を考える方は少なくありません。居宅介護支援事業所は、特別な設備が不要で一人でも開業できるため、介護事業の中では比較的参入しやすい事業形態です。

しかし、2021年4月から管理者要件が主任介護支援専門員(主任ケアマネ)に限定され、開業のハードルは以前より高くなっています。加えて、2024年4月の介護報酬改定では報酬単位や逓減制の見直しが行われ、経営環境も変化しています。

この記事では、ケアマネジャーが居宅介護支援事業所を独立開業するために必要な要件、法人設立から指定申請までの具体的な手順、開業資金の目安と収支シミュレーション、さらには特定事業所加算の取得戦略まで、開業に必要な情報を網羅的に解説します。

居宅介護支援事業所の独立開業とは

居宅介護支援事業所とは、ケアマネジャー(介護支援専門員)が常駐し、要介護者のケアプラン(居宅サービス計画書)の作成やサービス事業者との連絡調整を行う事業所です。

独立開業とは、法人を設立し、自ら管理者兼ケアマネジャーとして事業所を立ち上げて運営することを指します。厚生労働省の「介護給付費等実態統計」によると、全国の居宅介護支援事業所の請求事業所数は約38,500件(令和4年時点)で、介護事業の中で最も事業所数が多いサービス種別です。

なぜ居宅介護支援事業所は独立しやすいのか

居宅介護支援事業所が独立開業に適している理由は以下の通りです。

  • 一人でも開業可能:主任ケアマネの資格があれば、管理者兼ケアマネとして一人で事業を運営できる
  • 設備投資が少ない:デイサービス(初期費用800万円以上)などと比べ、事務室・相談室・PC等の最低限の設備で始められる
  • 自宅でも開業可能:設備基準を満たせば、自宅を事業所として登録できる
  • 安定した需要:高齢化率は上昇を続けており、2065年まで要介護者数の増加が見込まれる(内閣府「高齢社会白書」)

独立開業のメリット・デメリット

メリットデメリット
自分の理念に基づいたケアマネジメントができる営業力がないと利用者確保が困難
報酬設定や勤務日数を自由に決められる黒字化まで1〜2年かかるケースがある
組織のルールに縛られない柔軟な働き方会計・経理・労務など経営管理業務が発生
週休3日制やリモートワークの導入も可能一人運営の場合、休みが取りにくい
介護事業の中では低コストで開業できる特定事業所加算が取得しにくい(人員要件)

一方で、事業所数の推移を見ると、平成30年の40,956件から令和4年には38,538件へと約2,400件減少しています(厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」)。小規模事業所の撤退が主な要因とされ、報酬が業務負担に見合わないと判断するケースが増えています。独立開業を成功させるには、収支計画と営業戦略が不可欠です。

開業に必要な4つの要件

居宅介護支援事業所を開業するには、以下の4つの要件を全て満たす必要があります。

要件1:主任介護支援専門員(主任ケアマネ)の資格

2021年4月以降、居宅介護支援事業所の管理者は主任介護支援専門員であることが人員基準として定められています(厚生労働省「居宅介護支援の管理者要件に係る経過措置について」)。

主任ケアマネの資格を取得するための要件は以下の通りです。

要件区分詳細
基本要件専任の介護支援専門員として通算5年(60か月)以上の実務経験+主任介護支援専門員研修(約70時間)修了
緩和要件ケアマネジメントリーダー研修修了者、または認定ケアマネジャーで通算3年(36か月)以上の経験+主任研修修了
更新要件5年ごとに更新研修(約46時間)を修了する必要あり

新規開業の場合は経過措置の対象外です。経過措置は、2021年3月31日時点で主任ケアマネでない者が管理者だった既存事業所に限り、2027年3月31日まで猶予されるものです。これから独立開業する場合は、必ず主任ケアマネの資格が必要になります。

要件2:法人格の取得

介護保険法に基づく事業を行うには、法人であることが必須です。個人事業主では開業できません。

法人の種類ごとの特徴と設立費用は以下の通りです。

法人格設立費用の目安特徴こんな方におすすめ
合同会社(LLC)約6〜10万円設立費用が安い、定款認証不要、意思決定が迅速一人ケアマネで費用を抑えたい方
株式会社約20〜25万円社会的信用が高い、将来の事業拡大に有利、融資を受けやすい規模拡大を視野に入れている方
NPO法人約0〜数万円(登録免許税非課税)社会貢献イメージが強い、税制優遇あり。ただし設立に4〜6か月かかる地域貢献を重視する方
一般社団法人約11万円非営利型なら税制優遇、理事2名以上必要複数人での開業を考えている方

一人ケアマネの独立には合同会社が最もコストパフォーマンスが良い選択です。電子定款を利用すれば収入印紙代4万円も不要となり、登録免許税6万円のみで設立可能です。将来的に規模拡大を考えるなら株式会社が適しています。

なお、法人設立時の定款には「居宅介護支援事業」を事業目的として必ず記載しましょう。既に法人を持っている場合は、定款の事業目的に介護事業が含まれているか確認し、含まれていなければ法務局で変更届出が必要です。

要件3:人員基準を満たす

  • 管理者:常勤で1名(主任介護支援専門員であること)。介護支援専門員との兼務可能
  • 介護支援専門員:利用者35人(2024年改定後は条件により44人・50人も可)につき1名

一人ケアマネの場合は、自身が管理者兼ケアマネとして両方の役割を担います。

要件4:設備基準を満たす

以下の設備・備品を備える必要があります。

  • 事務室:事業運営に適した広さの専用区画
  • 相談室:利用者・家族のプライバシーが確保できる構造(パーテーション等も可)
  • 会議室:サービス担当者会議を行うスペース(相談室との兼用可)
  • 必要設備:パソコン、電話機、プリンター・複合機、鍵付き書庫(個人情報保護のため必須)、事務用デスク・椅子

自宅を事業所にする場合の注意点:設備基準を満たせば自宅開業は可能ですが、市町村によって条件が異なります。例えば横浜市では「営業時間帯は事業所の専有とし、家族が使用できない」とされています。また、自宅所有者と法人との間で賃貸借契約または使用貸借契約の締結が必要です。開業前に管轄の市町村へ必ず事前相談しましょう。

開業までの流れ|8つのステップ

居宅介護支援事業所の開業は、準備から指定取得まで概ね3〜6か月を見込みましょう。以下が全体の流れです。

ステップ1:事業計画書の作成(開業6か月前〜)

金融機関への融資申請にも必要となる事業計画書を作成します。記載すべき項目は以下の通りです。

  • 会社・事業の概要、創業の動機
  • 経営者の略歴(ケアマネとしての実務経験年数など)
  • サービスの内容と対象エリア
  • 想定する利用者数と売上見込み
  • 開業資金の内訳と資金調達計画
  • 月次・年次の収支計画

ステップ2:法人設立(開業5か月前〜)

前章で比較した法人格の中から選択し、設立手続きを行います。合同会社の場合の手続きは以下の通りです。

  1. 定款の作成(事業目的に「居宅介護支援事業」を記載)
  2. 資本金の払い込み(1円から可能だが、運転資金として50〜100万円が目安)
  3. 法務局で設立登記申請
  4. 税務署・都道府県・市町村への届出
  5. 社会保険・労働保険の手続き

ステップ3:資金調達(開業4か月前〜)

自己資金だけで不足する場合は、以下の手段で資金調達を検討します。

  • 日本政策金融公庫の新創業融資:創業者向けで最もハードルが低い。無担保・無保証人で融資を受けられるケースも多い
  • 地方自治体の制度融資:都道府県・市町村が信用保証協会と連携して提供する低金利融資
  • 信用金庫・組合の融資:地域密着型で創業支援に積極的な金融機関も

ステップ4:物件の契約・設備準備(開業3か月前〜)

自宅開業の場合は設備の手配のみ。賃貸の場合は、指定申請に間に合うよう早めに契約しましょう。

ステップ5:指定申請の事前相談(開業3か月前)

居宅介護支援の指定権者は市町村です。かつては都道府県が指定権者でしたが、2018年4月から市町村に移管されています。管轄の市町村介護保険課に連絡し、事前相談を行いましょう。

事前相談で確認すべき事項は以下の通りです。

  • 申請スケジュール(提出期限・指定日)
  • 必要書類の一覧
  • 自宅開業の可否と条件
  • 指定前研修の有無(東京都など一部自治体では必須)

ステップ6:指定申請書類の準備・提出(開業2か月前)

主な申請書類は以下の通りです(自治体により異なる場合があります)。

  • 指定申請書
  • 申請者の登記簿謄本(登記事項証明書)、定款
  • 管理者の経歴書・主任介護支援専門員研修修了証の写し
  • 介護支援専門員証の写し
  • 従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表
  • 事業所の平面図、外観・内部の写真
  • 運営規程(料金表含む)
  • 苦情処理の概要
  • 誓約書
  • 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書
  • 資産状況を証明する書類

書類は20種類以上になることもあります。不備があると再提出で1か月以上遅延することもあるため、余裕を持った準備が重要です。

ステップ7:審査・指定通知(開業1か月前)

申請書類の審査期間は概ね1か月程度です。審査に合格すると指定通知書が届き、記載の指定年月日から事業を開始できます。指定の有効期間は6年間です。

ステップ8:開業・営業開始

開業日に合わせて、以下の準備を進めましょう。

  • 国保連合会への届出・介護給付費の請求手続き(介護ソフトの導入)
  • 地域包括支援センター・医療機関・サービス事業所への挨拶回り(営業活動)
  • ホームページ・チラシ等の広報物の作成

開業資金の内訳と資金調達

居宅介護支援事業所の開業資金は、100万〜300万円が一般的な目安です。自宅開業で一人ケアマネの場合は100万円前後、賃貸物件を借りて複数人で開業する場合は300万円程度が必要となります。

開業費用の内訳一覧

費用項目金額の目安備考
法人設立費用6〜25万円合同会社:約6〜10万円、株式会社:約20〜25万円
物件取得費(賃貸の場合)15〜50万円敷金・礼金・保証金・前家賃。自宅開業なら不要
備品購入費約20〜30万円PC(約8万円)、デスク・椅子(約3万円)、鍵付き書庫(約2万円)、電話機(約1万円)、複合機(約5万円)等
指定申請手数料約3万円市町村により異なる
介護ソフト導入費月額5,000〜15,000円カイポケ、ワイズマン等。初期費用無料のサービスもあり
運転資金(3〜6か月分)50〜200万円自身の生活費+事業経費。介護報酬の入金は2か月後のため必須

重要:介護報酬の入金サイクルに注意
介護報酬は、サービス提供月の翌月10日までに国保連に請求し、その翌月(サービス提供月の2か月後)に入金されます。つまり、4月に開業してサービスを提供しても、最初の入金は6月末です。この間の生活費と事業経費を賄うため、最低でも3か月分の運転資金を確保しましょう。

活用できる補助金・助成金

  • 地域創業起業補助金:各自治体が地域活性化を目的に提供する創業支援。補助率は対象経費の1/2程度
  • IT導入補助金:介護ソフト等のICTツール導入費用の一部を補助。採択されれば数十万円の補助を受けられる
  • キャリアアップ助成金:将来的にスタッフを雇用し、正社員化やスキルアップを行った際に活用可能
  • 各都道府県の創業支援:東京都「創業助成事業」、埼玉県「起業支援金」など。自治体HPで最新情報を確認

収支シミュレーション|一人ケアマネの売上と経費

独立開業を判断するうえで、具体的な収支の見通しは最も重要な要素です。ここでは、2024年4月の介護報酬改定後の単位数をもとに、一人ケアマネ事業所の収支をシミュレーションします。

2024年度改定後の居宅介護支援費(基本報酬)

令和6年度(2024年4月施行)の介護報酬改定により、居宅介護支援費は以下の通り改定されました(厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」)。

区分要介護1・2要介護3〜5取扱件数基準
居宅介護支援費(I)(i)1,086単位1,411単位45件未満
居宅介護支援費(I)(ii)544単位704単位45〜60件未満
居宅介護支援費(I)(iii)326単位422単位60件以上

※居宅介護支援費(II)はケアプランデータ連携システムの活用+事務職員配置の事業所が対象で、逓減制の適用が50件から。

1単位あたりの単価は地域区分により10.00〜11.40円で、全国平均は約10.21円です。

売上シミュレーション:利用者35人の場合

以下は、一人ケアマネが利用者35人を担当した場合の月間売上の試算です。

項目計算月額
要介護1〜2(20人と仮定)1,086単位×10.21円×20人約221,800円
要介護3〜5(15人と仮定)1,411単位×10.21円×15人約216,100円
介護予防支援(5人と仮定)472単位×10.21円×5人約24,100円
認定調査委託(月3件と仮定)4,400円×3件13,200円
月間売上合計約475,200円

実際に独立ケアマネとして事業所を運営している方のデータでは、月平均売上高は約55〜60万円に達しているケースもあります。これは利用者数が増加し、担当件数が40件前後になることで売上が上がるためです。

毎月の固定費の目安

経費項目月額の目安備考
事務所家賃0〜50,000円自宅開業なら0円
社会保険料(法人+個人負担)50,000〜80,000円報酬月額により変動。法人代表は全額自己負担
介護ソフト利用料5,000〜15,000円カイポケ(月5,000円)等
通信費(電話・インターネット)5,000〜10,000円
車両関連費(ガソリン・駐車場等)10,000〜30,000円訪問に車を使用する場合
税理士顧問料10,000〜30,000円記帳代行込みで月2〜3万円が相場
その他(消耗品・研修費等)5,000〜10,000円
固定費合計85,000〜225,000円

年間収支シミュレーション

項目自宅開業(節約型)賃貸事務所
年間売上(月50万円×12)600万円600万円
年間経費約150万円約270万円
年間手取り目安約350〜400万円約250〜300万円

厚生労働省の「令和5年度介護事業経営概況調査」によると、居宅介護支援事業所全体の収支差率は3.1%と低水準です。ただし、これは大規模事業所を含む平均値であり、一人ケアマネの自宅開業の場合は固定費が極めて低いため、黒字化しやすい構造です。

独自分析:規模別の収支から見える一人ケアマネの戦略

厚生労働省の調査データを分析すると、利用者40人以下の小規模事業所の平均売上は約406万円で、収支差はマイナス19.2万円の赤字です。一方、利用者151〜200人規模では売上約2,795万円に対し収支差は+241万円の黒字となっています。

このデータは一見、一人ケアマネの経営が厳しいことを示していますが、重要なのは経費構造の違いです。雇用型の小規模事業所は人件費(雇用主の社保負担含む)が重くのしかかりますが、一人ケアマネの自宅開業であれば固定費を月10万円以下に抑えられるため、利用者30人でも十分に生計を立てることが可能です。

特定事業所加算の取得戦略

特定事業所加算は、質の高いケアマネジメントを提供する事業所を評価する加算で、取得できれば利用者1人あたり月323〜519単位(約3,300〜5,300円)の増収になります。一人ケアマネでも加算(III)や加算(A)は取得可能な場合があるため、戦略的に検討しましょう。

2024年改定後の特定事業所加算の単位数

区分単位数(月額/利用者1人)年間増収の目安(35人担当の場合)
特定事業所加算(I)519単位約222万円
特定事業所加算(II)421単位約180万円
特定事業所加算(III)323単位約138万円
特定事業所加算(A)114単位約49万円

各加算の主な算定要件

特定事業所加算(I):最上位の加算で、以下の全てを満たす必要があります。

  • 常勤の主任ケアマネ2名以上+常勤のケアマネ3名以上
  • 24時間連絡体制の確保
  • 多様な主体から紹介された利用者が一定割合以上
  • ヤングケアラー、障害者、生活困窮者等の他制度に関する研修参加(2024年改定で追加)

→ 一人ケアマネでは取得不可(人員要件を満たせない)

特定事業所加算(II):加算(I)より人員要件が緩いものの、常勤ケアマネ3名以上が必要。

→ 一人ケアマネでは取得不可

特定事業所加算(III):以下の要件を満たす事業所が対象。

  • 常勤の主任ケアマネ1名以上+常勤のケアマネ2名以上
  • 24時間連絡体制の確保
  • 計画的な研修の実施
  • 多職種との連携

→ 一人ケアマネでは取得困難(ケアマネ2名以上が必要)。ただし、将来的にケアマネを1名雇用すれば取得可能になるため、事業拡大の目標として視野に入れる価値があります。

特定事業所加算(A):2021年改定で新設された加算。

  • 他の特定事業所加算を取得していない事業所が対象
  • 退院・退所時の連携、看取り期の対応など特定の要件を満たす

→ 一人ケアマネでも取得可能な場合あり。年間約49万円の増収が見込めます。

一人ケアマネの加算取得ロードマップ

  1. 開業初年度:まずは利用者の確保と経営の安定化に注力。加算(A)の要件を確認し、算定を目指す
  2. 2〜3年目:利用者35人以上に達したら、ケアマネの採用を検討。人員が揃えば加算(III)を目指す
  3. 4年目以降:規模拡大に合わせて加算(II)→(I)へのステップアップを視野に入れる

加算(III)を取得できれば、利用者35人で年間約138万円の増収となり、新たに雇用するケアマネの人件費の一部を賄えます。

2024年介護報酬改定の影響と経過措置

2024年4月施行の介護報酬改定は、居宅介護支援事業所にとって複数の重要な変更を含んでいます。独立開業を考える方は、以下のポイントを押さえておきましょう。

基本報酬の引き上げ(+約1%)

居宅介護支援費(I)(i)は、要介護1・2で1,076→1,086単位(+10単位)、要介護3〜5で1,398→1,411単位(+13単位)と小幅ながら引き上げられました。

逓減制の緩和

2024年改定の重要な変更点として、ケアマネ1人あたりの取扱件数の基準が見直されました。

区分改定前改定後
居宅介護支援費(I)の逓減起点40件45件
居宅介護支援費(II)の逓減起点40件50件

つまり、ICT活用+事務職員配置(居宅介護支援費(II))の事業所であれば、ケアマネ1人あたり50件まで満額の報酬を受け取れるようになりました。これは一人ケアマネの収入上限を引き上げる効果があります。

介護予防支援の受託が可能に

2024年4月から、居宅介護支援事業所が市町村から直接指定を受けて介護予防支援(要支援者のケアマネジメント)を実施できるようになりました。従来は地域包括支援センターからの委託のみでしたが、直接指定を受ければ472単位/月(新設)を算定できます。

一人ケアマネにとっては、要支援者のケアマネジメントも直接受けられるため、利用者層の拡大と売上増につながります。

管理者要件の経過措置(2027年3月末まで)

管理者の主任ケアマネ要件に関する経過措置は以下の通りです。

  • 対象:2021年3月31日時点で主任ケアマネでない者が管理者だった既存事業所に限る
  • 期限:2027年3月31日まで猶予
  • 新規開業は対象外:これから開業する場合、主任ケアマネは必須
  • 不測の事態への対応:主任ケアマネの管理者が急に退職した場合など、改善計画書を提出すれば1年間の猶予が認められる

その他の主な改定事項

  • 通院時情報連携加算(50単位/月・新設):利用者の通院に同席し、医師と情報連携を行った場合に算定可能
  • 入院時情報連携加算の見直し:入院当日中の情報提供を評価するよう変更
  • テレビ電話等でのモニタリング:一定要件のもと、2か月に1回は訪問を条件にICTモニタリングが可能に
  • 高齢者虐待防止措置未実施減算(新設):虐待防止措置を講じていない場合の減算

独立開業を成功させる5つのポイント

1. 開業前から営業活動を始める

利用者の獲得は独立ケアマネにとって最大の課題です。地域包括支援センター、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)、訪問看護ステーション、デイサービス事業所などへの挨拶回りは、開業前から計画的に行いましょう。

開業前の在職中から地域のケアマネ連絡会や多職種連携の研修に積極的に参加し、「顔が見える関係」を築いておくことが、開業後の紹介につながります。

2. 前事業所の担当ケースの引き継ぎを検討する

独立開業したケアマネを対象としたアンケートでは、約45%が前事業所の担当ケースを引き継いで開業しています。担当ケースを引き継げるかどうかで、1年目の収入は大きく異なります。前事業所との円満な関係を保ち、可能であれば引き継ぎの交渉を行いましょう。

3. 固定費を徹底的に抑える

居宅介護支援事業の収入には上限があります(ケアマネ1人あたり利用者45〜50人が上限)。そのため、収入を増やすより支出を減らす方が経営安定への近道です。

  • 自宅開業で家賃をゼロに
  • 自身の報酬月額を最低限に設定し、社会保険料を抑える(標準報酬月額の最適化)
  • クラウド型の介護ソフトを活用し、IT費用を最小化
  • 税理士にはクラウド会計ソフト連携で記帳の手間を減らし、顧問料を交渉

4. ICTを積極的に活用する

2024年改定では、ケアプランデータ連携システムの活用+事務職員配置で逓減制が緩和される居宅介護支援費(II)が設けられました。ケアプランデータ連携システムの利用料は年間21,000円(税込)ですが、1人あたりの取扱件数が40件→50件に拡大するため、投資対効果は非常に高いと言えます。

5. 複数の収入源を確保する

介護報酬だけに依存しないための工夫も重要です。

  • 認定調査の受託:市町村からの委託で1件あたり4,400円程度の収入
  • 介護予防支援の直接実施:2024年改定で居宅介護支援事業所も指定取得可能に
  • 研修講師・執筆活動:専門知識を活かした副業
  • ケアプランデータ連携で他事業所との連携を強化し、紹介数を増やす

よくある質問

Q. 主任ケアマネでなくても独立開業できますか?

いいえ。2021年4月以降、居宅介護支援事業所の管理者は主任介護支援専門員であることが必須です。新規開業の場合、経過措置の対象外のため、必ず主任ケアマネの資格を取得してから開業する必要があります。ケアマネとしての実務経験5年以上+主任研修(約70時間)の修了が必要です。

Q. 個人事業主として開業できますか?

できません。介護保険法に基づき、居宅介護支援事業を行うには法人格が必要です。株式会社、合同会社、NPO法人、一般社団法人などのいずれかを設立する必要があります。費用を抑えるなら合同会社(設立費用約6〜10万円)がおすすめです。

Q. 開業してから黒字化までどのくらいかかりますか?

利用者の獲得状況によりますが、一般的に6か月〜2年程度です。前事業所の担当ケースを引き継げる場合は初月から売上が立ちますが、ゼロからのスタートでは半年以上かかることも珍しくありません。介護報酬の入金がサービス提供月の2か月後になることも考慮し、最低3〜6か月分の運転資金を確保しておきましょう。

Q. 自宅でも開業できますか?

設備基準を満たせば可能です。ただし、市町村により条件が異なります。多くの場合、事務室・相談室を居住スペースと明確に区分すること、営業時間中は家族が事業所スペースを使用しないこと、法人との賃貸借契約の締結などが求められます。必ず管轄の市町村に事前相談してください。

Q. 指定申請はどこに出しますか?

居宅介護支援の指定権者は市町村です。2018年4月から都道府県から市町村に移管されています。事業所を設置する市町村の介護保険課(名称は自治体により異なります)に申請します。申請スケジュールや必要書類は市町村によって異なるため、開業の3か月以上前に事前相談することをおすすめします。

Q. 利用者はどうやって獲得するのですか?

主な紹介元は、地域包括支援センター、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)、他の介護サービス事業所です。開業前から地域の多職種連携の場に顔を出し、関係性を構築しておくことが重要です。また、ホームページの開設やチラシの配布も効果的です。介護労働安定センターの調査では、利用者の紹介元として「地域包括支援センター」が最も多い割合を占めています。

Q. 一人ケアマネは何人まで担当できますか?

2024年改定後、居宅介護支援費(I)では45件未満が満額報酬の上限です。ICTツール活用+事務職員配置で居宅介護支援費(II)を算定する場合は50件未満まで拡大されます。ただし、件数が増えるほど業務負担も増すため、心身の健康を考慮した件数管理が重要です。

あなたに合った働き方を見つけよう

独立開業だけがケアマネジャーのキャリアアップの道ではありません。今の職場環境に不満があるなら、まずは自分に合った働き方を整理してみませんか?

無料の介護職向け働き方診断で、あなたの強み・価値観に合った職場や働き方のタイプがわかります。独立を検討している方も、転職を考えている方も、まずは自己分析から始めましょう。

▶ 無料で働き方診断を受ける

診断を始める

参考文献・出典

  • [1]
    令和6年度介護報酬改定について- 厚生労働省

    2024年4月施行の居宅介護支援費の単位数改定、逓減制緩和、特定事業所加算の見直し等

  • [2]
    居宅介護支援の管理者要件に係る経過措置及び地域区分について- 厚生労働省

    主任ケアマネの管理者要件、2027年3月末までの経過措置の詳細

  • [3]
    介護給付費等実態統計- 厚生労働省

    居宅介護支援の請求事業所数・受給者数等の統計データ

  • [4]
    令和5年度介護事業経営概況調査- 厚生労働省

    居宅介護支援事業所の収支差率・事業規模別の経営データ

  • [5]
    介護サービス施設・事業所調査- 厚生労働省

    全国の居宅介護支援事業所数の推移(平成30年〜令和4年)

  • [6]
    高齢社会白書- 内閣府

    日本の高齢化率の推移と将来推計

まとめ

ケアマネジャーの居宅介護支援事業所の独立開業について、要点を整理します。

  • 開業の必須要件:主任ケアマネの資格取得、法人設立、市町村への指定申請の3つが柱
  • 開業資金:100〜300万円が目安。合同会社+自宅開業なら100万円前後に抑えられる
  • 管理者要件:新規開業は主任ケアマネ必須(経過措置の対象外)
  • 指定申請先:2018年4月以降、市町村が指定権者
  • 収支の目安:利用者35人で月商約47〜60万円。自宅開業なら年間手取り350〜400万円が見込める
  • 特定事業所加算:一人ケアマネでも加算(A)(114単位/月)の取得を目指す価値あり
  • 2024年改定:逓減制の緩和(45件→50件)、介護予防支援の直接受託が可能に

独立開業は、自分の理念に基づいたケアマネジメントを実現できる魅力的な選択肢です。一方で、利用者の獲得力と経営管理能力が求められます。事業所数の減少傾向が示す通り、十分な準備と計画なしに成功することは難しいでしょう。

まずは主任ケアマネの資格取得を目指しながら、事業計画の策定と資金準備を並行して進めることをおすすめします。管轄の市町村への事前相談は無料ですので、開業を具体的に検討している方は早めに相談してみましょう。

💡

続けて読む

未経験から介護職を始める完全ガイド|無資格OK・資格取得・キャリアパス【2026年版】

2026/3/27

未経験から介護職を始める完全ガイド|無資格OK・資格取得・キャリアパス【2026年版】

介護職は無資格・未経験・年齢不問で始められ、約3割が未経験スタートです。2024年義務化の認知症基礎研修、初任者研修→実務者研修→介護福祉士の資格取得ステップ、資格別の給料比較、年次別キャリアプラン、未経験者におすすめの施設タイプ、前職スキルの活かし方まで徹底解説する2026年最新版ガイドです。

介護福祉士パート合格制度の活用戦略|2年で確実に合格するスケジュール

2026/3/20

介護福祉士パート合格制度の活用戦略|2年で確実に合格するスケジュール

2026年開始の介護福祉士パート合格制度の活用戦略を解説。A/B/Cパートの科目構成と難易度、1年目全合格狙い→2年目パート受験の具体的スケジュール、外国人介護職員向けの活用法まで。

介護施設の種類を徹底比較|8タイプの仕事内容・給料・働きやすさ【2026年版】

2026/3/20

介護施設の種類を徹底比較|8タイプの仕事内容・給料・働きやすさ【2026年版】

介護施設8タイプ(特養・老健・有料・グループホーム・デイサービス・訪問介護・サ高住・小規模多機能)を仕事内容・給料・夜勤・身体介護・離職率で横断比較。自分に合った施設が見つかる完全ガイド。

終末期ケア専門士とは?資格の取り方・試験内容・合格率・費用を徹底解説

2026/1/5

終末期ケア専門士とは?資格の取り方・試験内容・合格率・費用を徹底解説

終末期ケア専門士の資格の取り方を詳しく解説。臨床経験2年以上の受験資格、Web試験の出題範囲と合格率、受験料1万円の費用内訳、公式テキストを使った勉強法を紹介。上位資格の上級終末期ケア専門士や、介護・医療現場で活躍できる職場も網羅しています。

サービス介助士とは?資格の取り方・試験内容・費用・活躍できる職場を解説

2026/1/5

サービス介助士とは?資格の取り方・試験内容・費用・活躍できる職場を解説

サービス介助士(ケアフィッター)の資格取得方法を解説。費用41,800円、自宅学習+実技教習+検定試験の流れ、合格率80%以上の難易度、有効期限3年の更新制度まで網羅。介護施設だけでなく、駅・空港・ホテルなど幅広い職場で活躍できる注目資格です。

ケアマネジャーの独立開業ガイド|居宅介護支援事業所の立ち上げ手順と収支を徹底解説
  1. ホーム
  2. 記事一覧
  3. ケアマネジャーの独立開業ガイド|居宅介護支援事業所の立ち上げ手順と収支を徹底解説
公開日: 2026年4月16日最終更新: 2026年4月16日

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

📢NEW2026/4/16介護職と他産業の賃金格差が月8.2万円に拡大|全体の賃上げ加速で格差縮まらず【2026年最新】→
📰

最新の介護業界ニュース

すべて見る →
介護職と他産業の賃金格差が月8.2万円に拡大|全体の賃上げ加速で格差縮まらず【2026年最新】

2026/4/16

介護職と他産業の賃金格差が月8.2万円に拡大|全体の賃上げ加速で格差縮まらず【2026年最新】

厚労省「賃金構造基本統計調査」最新データで介護職員の賞与込み給与は月31.4万円、全産業平均39.6万円との格差は8.2万円。2026年6月の臨時改定で処遇改善加算を拡充するも民間賃上げに追いつけるか。転職者が知るべきポイントを解説。

介護関連サービス事業協会が設立1年で会員100社到達|「100年人生サポート認証」16社・2658事業所に交付

2026/4/16

介護関連サービス事業協会が設立1年で会員100社到達|「100年人生サポート認証」16社・2658事業所に交付

介護保険外サービスの業界団体「介護関連サービス事業協会(CSBA)」が発足1年で会員約100法人に到達。認証制度「100年人生サポート認証」を16社・2658事業所に交付し、市場マップ作成やデータベース構築にも着手。転職を考える介護職向けに最新動向を解説。

厚労省「CARISO」介護スタートアップ支援事業、2026年度も三菱総研が受託|aba「ヘルプパッド」がグランプリ

2026/4/16

厚労省「CARISO」介護スタートアップ支援事業、2026年度も三菱総研が受託|aba「ヘルプパッド」がグランプリ

厚生労働省の「介護系スタートアップ支援事業powered by CARISO」を三菱総合研究所が2年連続で受託。2026年度の支援メニューや、第1回CARISO Caretech Startup Awardsでグランプリを受賞したaba「ヘルプパッド」の詳細、2040年の介護人材272万人問題を解説。

2027年度介護報酬改定に向け処遇改善加算の効果検証調査を7月実施|介護事業経営調査委員会

2026/4/16

2027年度介護報酬改定に向け処遇改善加算の効果検証調査を7月実施|介護事業経営調査委員会

2026年4月8日の介護事業経営調査委員会で、2026年度臨時改定による処遇改善加算の効果検証調査方針が決定。7月調査・11月公表のスケジュールで2027年度改定論議に反映。訪問看護・訪問リハも調査対象に追加。

介護予防の基礎知識|フレイル・サルコペニア予防から地域支援事業まで徹底解説

2026/4/13

介護予防の基礎知識|フレイル・サルコペニア予防から地域支援事業まで徹底解説

介護予防の基礎知識を介護職向けにわかりやすく解説。フレイル・サルコペニアの定義と予防法、介護予防事業・地域支援事業の仕組み、通いの場の活用法、現場で役立つ予防の視点まで網羅的に紹介します。

介護施設のBCP(業務継続計画)策定とは?義務化の背景から手順・訓練まで徹底解説

2026/4/13

介護施設のBCP(業務継続計画)策定とは?義務化の背景から手順・訓練まで徹底解説

介護施設のBCP(業務継続計画)策定を分かりやすく解説。2024年義務化の経緯、自然災害編・感染症編の違い、5つの策定手順、訓練方法、未策定時の減算、介護職員が押さえるべきポイントまで網羅。