介護医療院の費用|医療と介護を一体で受ける施設の月額・所得別自己負担
ご家族・ご利用者向け

介護医療院の費用|医療と介護を一体で受ける施設の月額・所得別自己負担

介護医療院の費用を厚労省データで解説。月額の構成、I型・II型の介護報酬差、所得別の負担限度額認定、多床室と個室の居住費、特養・老健との費用比較まで、看取り対応を含む長期療養の費用設計を網羅。

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ポイント

介護医療院の費用は月額10万〜15万円が目安

介護医療院の費用は、要介護度・I型/II型の区分・居室タイプ・所得段階によって決まります。要介護5・多床室の場合、月額のおおよその目安は10万〜13万円前後(介護サービス費1割+食費+居住費+日常生活費)。一定以上所得者は2割または3割負担となり、ユニット型個室では居住費が上乗せされて月15万円前後まで上がります。市町村民税非課税世帯は「負担限度額認定」によって食費・居住費が大幅に軽減され、第1段階では食費・多床室居住費がほぼ0円まで下がる仕組みが用意されています。

本記事では厚生労働省の公表資料をもとに、月額費用の内訳、I型とII型の介護報酬差、2024年8月の居住費引き上げ、2025年8月から導入される多床室室料負担、特養・老健との費用比較までを整理し、医療依存度の高いご家族の長期療養を検討する際の判断材料を提供します。

目次

介護医療院の費用構造を一次資料から整理する

介護医療院は、2018年4月の介護保険法改正で創設された比較的新しい介護保険施設です。長期的な医療管理と生活支援を一体で提供する施設として位置づけられ、2024年3月末に廃止された介護療養型医療施設(介護療養病床)の受け皿としても整備が進められてきました。痰吸引・経管栄養・酸素療法・看取りといった医療依存度の高い高齢者を受け入れる役割を担うため、特養や有料老人ホームに入れないケースの「最後の選択肢」として相談される場面が増えています。

一方で、医療と介護を一体提供する施設という性格上、費用構造は特養や老健よりやや複雑です。基本となる介護サービス費はI型とII型で単位数が異なり、居住費・食費は居室タイプ(多床室/従来型個室/ユニット型個室)ごとに別単価が設定されます。2024年8月には居住費基準費用額が日額60円引き上げられ、2025年8月からはII型・療養型・その他型老健の多床室で月約8,000円の室料負担が新たに導入される予定で、利用者にとっての実質負担は緩やかに増加傾向です。

この記事では、厚生労働省の介護給付費分科会資料・介護報酬改定資料・介護サービス情報公表システムの数値を一次ソースとし、介護医療院に入所したときに「実際にいくら払うのか」「所得が低い場合どれだけ軽減されるか」「特養・老健と比べて高いのか安いのか」を、家族が判断に使える粒度で整理していきます。看取りや長期療養まで見据えた費用設計のヒントとしてご活用ください。

介護医療院の費用の全体像と介護療養病床との違い

介護医療院は、長期的な医学管理と看取り・ターミナルケアを行う医療機能と、生活施設としての機能を併せ持つ介護保険施設です。2018年4月に介護保険法上の新類型として創設され、2024年3月末で廃止された介護療養型医療施設(介護療養病床)の主要な移行先となりました。厚生労働省「介護医療院について」によれば、令和6年4月時点で全国に多数の介護医療院が開設され、医療依存度の高い要介護高齢者の長期療養を担っています。

月額費用は「4つの柱」で構成される

介護医療院に入所した場合、利用者が毎月支払う費用は次の4要素から成り立ちます。

  • 介護サービス費(1割/2割/3割負担):要介護度・I型/II型の区分・居室タイプによって1日あたり単位数が決まり、地域区分の単価(1単位=10円〜11.40円)を掛けたものに自己負担割合を乗じて算出
  • 食費:基準費用額は日額1,445円。負担限度額認定があれば段階別に300円〜650円に軽減
  • 居住費(部屋代):多床室437円〜ユニット型個室2,066円(日額・基準費用額)
  • 日常生活費:理美容代、嗜好品、レクリエーション費、衣類のクリーニング費など実費

このうち介護サービス費・食費・居住費は介護保険の給付対象(食費・居住費は補足給付の対象)で、所得が低い世帯ほど自己負担は小さくなります。一方、日常生活費は全額自己負担で、施設ごとに金額が異なります。

目安レンジ:要介護5・1割負担の月額

厚生労働省「介護サービス情報公表システム」のモデル試算では、介護保険施設に要介護5・多床室で30日入所した場合の月額は約106,930円、ユニット型個室では約143,980円です。これは介護老人福祉施設(特養)のモデルですが、介護医療院でも食費・居住費・日常生活費は同じ基準費用額が適用されるため、介護サービス費の差を除けば近い金額レンジとなります。

介護療養病床との違い:3つの転換ポイント

介護医療院は介護療養病床の機能を引き継ぎつつ、より「生活施設」としての色合いが強い設計です。費用面で押さえておきたい違いは次の3点です。

  1. 長期療養が前提:老健のような在宅復帰目標期間はなく、終身利用や看取りまで対応するため、月額費用は長期間にわたり継続的に発生します
  2. 居住環境の基準が手厚い:療養床面積は1人あたり8.0㎡以上(療養病床は6.4㎡以上)。プライバシー確保のためのカーテン・パーティション設置が義務化され、室料反映の議論が進んでいます
  3. 看取り・ターミナルケアが標準機能:旧介護療養病床と同等の医療体制を維持しつつ、看取り対応・地域貢献・ボランティア交流などの生活機能が強化されており、特養・老健と異なる位置付けの加算(重度療養管理加算、特別療養費)が設定されています

つまり「介護療養病床の費用感を引き継ぎつつ、生活施設としての居住費が加わる」のが介護医療院の費用設計の基本構造です。療養病床から転換した施設に入所する場合、旧療養病床時代より居住費の実質負担が増えるケースがあるため、見学時に料金表の比較を依頼することをおすすめします。

I型・II型の機能差と費用への影響

介護医療院は人員配置と利用者像によってI型II型に大別されます。I型は介護療養型医療施設に相当する重症対応型、II型は介護老人保健施設に相当する比較的安定型と位置づけられ、介護報酬の単位数もI型のほうが高く設定されています。両方を併設する施設もありますが、その場合は人員配置上、同一フロア・同一サービス費区分での運用が求められます。

I型・II型の機能差

区分想定する利用者像主な人員配置
I型介護医療院重篤な身体疾患、身体合併症を有する認知症高齢者など、医療依存度が高い長期療養者医師:入所者48人に1人、看護職員:6人に1人、介護職員:5人に1人
II型介護医療院I型に比べ容体が比較的安定した長期療養者医師:入所者100人に1人、看護職員:6人に1人、介護職員:6人に1人

2024年度改定後の基本報酬(多床室・1日あたり単位数)

2024年度介護報酬改定で介護医療院の基本報酬は引き上げられました。I型介護医療院サービス費(I)(ⅱ)(多床室)とII型介護医療院サービス費(I)(多床室)の主な単位数は以下の通りです。

要介護度I型サービス費(I)(ⅱ)多床室II型サービス費(I)多床室
要介護1833単位786単位+47
要介護2943単位883単位+60
要介護31,182単位1,092単位+90
要介護41,283単位1,181単位+102
要介護51,375単位1,261単位+114

1単位=10円(地域加算なし)で30日入所した場合、要介護5・I型多床室の介護サービス費は月412,500円、II型多床室は月378,300円。1割負担ならI型41,250円/II型37,830円、その差は月約3,420円です。地域区分が高い都市部(1単位11.40円など)ではこの差はさらに広がります。

I型のほうが高い理由:医療体制の手厚さ

I型はもとの介護療養型医療施設で行われていた「重症者対応」「重度療養管理」「ターミナルケア」を継続提供するために、医師配置が48人に1人と手厚く設定されています。II型はこれより緩やかな100人に1人で、老健に近い体制です。実際の運用では、人工呼吸器管理・中心静脈栄養・頻回な吸引などの医療処置が必要な利用者にはI型、経管栄養・酸素療法など比較的安定した医療管理にはII型が割り振られる傾向があります。

個室・ユニット型の場合の単位数

居室タイプによっても単位数は変動します。たとえばI型介護医療院サービス費(I)(i)(従来型個室)はおおむね多床室+80〜100単位/日の水準。ユニット型個室はさらに上乗せされ、要介護5で1,500単位/日前後となります。介護サービス費だけで月額1万〜2万円の差が出るため、居室選びは費用判断の重要ポイントです。

家族視点での判断ポイント

  • 気管切開・人工呼吸器・中心静脈栄養など重度の医療処置がある → I型を優先検討
  • 経管栄養・服薬管理・酸素療法など比較的安定 → II型で十分なケースも多い
  • I型とII型の月額差は約3,000〜5,000円/月。医療体制の手厚さに見合うかどうかを「主治医意見書」「看護必要度」の観点で確認

月額費用の構成:介護費・食費・居住費

介護医療院に1か月入所した場合の費用は、(1)介護サービス費、(2)食費、(3)居住費、(4)日常生活費、(5)各種加算・実費の5要素に分かれます。それぞれの単価と計算ロジックを押さえると、施設から提示される見積もりを正しく読み解けるようになります。

(1) 介護サービス費(要介護5・1割負担の例)

前章で見たとおり、I型多床室・要介護5の基本単位は1日1,375単位。1単位10円・30日入所・1割負担で計算すると月41,250円です。これに後述の加算が乗ります。一定以上所得者は2割または3割負担となり、3割の場合は月123,750円と3倍になります。負担割合は前年の合計所得金額で判定されるため、年金収入が比較的多い世帯は要注意です。

(2) 食費(日額基準費用額1,445円)

食費の基準費用額は2024年8月から日額1,445円。30日換算で月43,350円です。これは朝食・昼食・夕食を合算した1日分の食材費・調理費の標準額で、外泊・入院した日は減算されます。負担限度額認定を持っている人は段階別に300円〜650円/日に軽減され、第1段階なら月9,000円、第2段階なら月11,700円程度まで下がります。

(3) 居住費(部屋タイプ別・日額基準費用額)

2024年8月の基準費用額改定で、多床室を除く居室タイプの居住費が日額60円引き上げられました。介護医療院での1日あたり基準費用額は以下のとおりです。

居室タイプ日額(2024年8月以降)月額(30日換算)
多床室437円13,110円
従来型個室1,728円51,840円
ユニット型個室的多床室1,728円51,840円
ユニット型個室2,066円61,980円

多床室は最も安く、ユニット型個室との差は月48,870円。プライバシーを優先するか費用を優先するかが居室選びの基本軸となります。

(4) 日常生活費

日常生活費は介護保険給付の対象外で、施設ごとに金額が異なります。一般的には月8,000円〜15,000円程度。理美容代、洗濯代、嗜好品(菓子・タバコ等)、テレビカードやレンタル衣類などが含まれます。施設によっては「個別実費」として項目別に請求するケースもあるため、見学時に内訳を確認しましょう。

(5) 加算・実費

介護医療院特有の加算は数多くあり、医療依存度が高い利用者ほど積み上がります。代表的なものは以下です。

  • 重度療養管理加算:常時頻回な医学的管理が必要な利用者に120単位/日
  • 特別療養費:理学療法・作業療法・言語聴覚療法、感染対策、褥瘡管理など
  • 緊急時施設診療料:夜間・休日に施設内で緊急治療を行った場合
  • 看取り連携加算:医師・看護師・介護職が連携して死亡日前30日以内にターミナルケアを提供
  • 初期加算:入所30日まで30単位/日

医療処置の内容によって月3,000〜10,000円程度の上乗せが発生することがあります。請求書には項目別に記載されるため、家族は最初の1〜2か月、内訳を確認しながら平均月額を把握しておくと家計設計しやすくなります。

合算した月額イメージ

要介護5・I型多床室・1割負担・第4段階(基準費用額)で計算すると、介護サービス費41,250円+食費43,350円+居住費13,110円+日常生活費10,000円=月107,710円。要介護4・II型多床室なら月100,000円前後。ユニット型個室を選ぶと居住費が一気に上がり、月155,000円前後となります。

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所得別の負担限度額認定(第1〜4段階)

介護医療院・特養・老健などの介護保険施設では、住民税非課税世帯を対象に食費・居住費を軽減する負担限度額認定が利用できます。市区町村に申請して認定を受けると、食費・居住費の自己負担が段階別に設定された日額上限までとなり、基準費用額との差額は「特定入所者介護サービス費(補足給付)」として保険給付されます。

認定段階の判定基準

段階所得・課税状況預貯金等の上限(単身/夫婦)
第1段階生活保護受給者、または世帯全員が市町村民税非課税で老齢福祉年金受給者1,000万円/2,000万円
第2段階世帯全員非課税、合計所得+年金収入が年間80.9万円以下650万円/1,650万円
第3段階①世帯全員非課税、合計所得+年金収入が80.9万円超〜120万円以下550万円/1,550万円
第3段階②世帯全員非課税、合計所得+年金収入が120万円超500万円/1,500万円
第4段階上記以外(住民税課税世帯または預貯金上限超過)軽減対象外

判定では世帯分離していても配偶者の所得・預貯金が合算されます。また有価証券・タンス預金も預貯金等に含まれるため、預貯金の写しは金融機関の通帳全種類について提出する必要があります。

段階別の食費・居住費上限(日額)

段階食費多床室居住費従来型個室ユニット型個室
第1段階300円0円490円820円
第2段階390円(施設利用時)370円490円820円
第3段階①650円370円1,310円1,310円
第3段階②1,360円370円1,310円1,310円
第4段階1,445円(基準額)437円(基準額)1,728円2,066円

軽減額の具体例(多床室の場合)

第4段階(軽減なし)と第2段階を比較すると:

  • 食費:1,445円→390円(差1,055円/日、月31,650円減)
  • 居住費:437円→370円(差67円/日、月2,010円減)
  • 合計で月33,660円の軽減

第1段階ならさらに大きく、食費1,145円・居住費437円の差(月47,460円減)となります。年収80万円台の高齢者世帯では、認定の有無で介護医療院の支払い可能性が変わるほどのインパクトです。

申請のステップ

  1. 住所地の市区町村介護保険担当課に申請書を提出(郵送可の自治体も多い)
  2. 本人と配偶者の通帳・預金証書・有価証券の写しを添付
  3. 収入を証明する書類(年金振込通知書、確定申告書の写しなど)を提出
  4. 認定証が交付されたら、施設に提示。翌月の請求から軽減が反映
  5. 毎年7月に更新申請が必要(認定証は8月1日〜翌年7月31日が標準)

注意点

  • 第4段階でも高額介護サービス費は使える:負担限度額認定の対象外でも、月額の自己負担合計に対する「高額介護サービス費」の上限(一般所得層で44,400円/月など)が別途設定されているため、超過分は払い戻しを受けられます
  • 更新を忘れると満額負担に:認定証は1年ごとの更新制。期限切れに気づかず満額請求された事例も多いため、施設のソーシャルワーカーと連携しておくと安心です
  • 申請日の前月分までは遡れないことが多い:認定の効力は申請日の属する月の初日からが原則。月をまたぐ前に提出するのが鉄則です

医療連携加算と特養・老健との費用比較

介護医療院・特養・老健はいずれも公的介護保険施設ですが、医療提供体制と費用の出方が異なります。家族の医療依存度・予算・看取り想定に応じて適切な施設を選ぶには、月額の差と医療系加算の構造を理解する必要があります。

3施設の月額比較(要介護4・多床室・1割負担・第4段階)

項目特養老健介護医療院(I型)
介護サービス費約26,000円約30,000円約38,000円
居住費(多床室)13,110円13,110円13,110円
食費43,350円43,350円43,350円
日常生活費約10,000円約10,000円約10,000円
月額合計約92,000円約96,000円約104,000円
医師の体制嘱託医常勤医師常勤医師(I型は48人に1人)
看取り対応体制により差限定的基本機能として整備

居住費・食費・日常生活費は同じ基準費用額が適用されるため、差は介護サービス費の1〜1.2万円に集中します。この差額は「24時間の医師・看護師対応」「重度療養管理」「看取りまで一貫した医療」というサービス水準への対価です。

介護医療院特有の医療系加算

介護医療院では、特養・老健と比べて医療系加算の種類が豊富で、医療依存度に応じて積み上がります。

  • 重度療養管理加算:120単位/日。気管切開、人工呼吸器、頻回吸引、中心静脈栄養などが対象
  • 特別療養費:理学療法・作業療法・言語聴覚療法、感染対策、褥瘡管理など。1日あたり数十〜100単位を積み上げる
  • 緊急時施設診療料:夜間・休日の緊急対応に算定
  • 看取り連携加算:死亡日前30日以内のターミナルケア
  • 初期加算:入所30日まで30単位/日

これらの結果、要介護5・気管切開・経管栄養あり・看取り対応のケースでは、1割負担でも月額110,000〜130,000円程度になることが珍しくありません。一方で医療依存度の低い利用者ではI型に入所しても加算が積みづらく、コストパフォーマンス的にII型や老健のほうが適することもあります。

有料老人ホームとの比較:公的施設の優位性

住宅型有料老人ホームや介護付き有料老人ホームは入居一時金・月額家賃が必要なケースが多く、月額20万〜40万円が一般的な水準。これに対して介護医療院は入居一時金が不要で、月額も公的補助の対象。負担限度額認定を組み合わせれば月5万〜8万円まで圧縮可能なケースもあり、長期療養を続けるほど経済的優位性が高まります。

選び方の整理

  • 在宅復帰を目指す → 老健(リハビリ重視・3〜6か月)
  • 医療依存度が低く、終身利用したい → 特養(月額最安、ただし要介護3以上が原則)
  • 医療処置が常時必要、看取りまで考える → 介護医療院(特にI型)
  • すぐに入りたいが空き待ちが長い → 民間施設と並行検討

厚労省「介護給付費分科会」資料でも、医療療養病床から介護医療院に転換するケースが増加傾向にあると報告されており、地域包括ケアの中で介護医療院は「医療と介護の両方が必要な高齢者の長期療養の受け皿」として明確に位置づけられています。

個室・多床室別の居住費

居住費は介護医療院の月額費用のうち、もっとも家族の選択で動かせる項目です。居室タイプは「多床室」「従来型個室」「ユニット型個室的多床室」「ユニット型個室」の4タイプで、日額・月額の差は数万円規模に及びます。2024年8月の基準費用額改定と2025年8月の多床室室料負担導入で、近年の動向は緩やかに「個室化」を促す方向に進んでいます。

4タイプの基準費用額(2024年8月改定後・日額)

居室タイプ日額月額(30日)特徴
多床室437円13,110円4床室が中心。カーテン・パーティションでプライバシー確保。費用最安。
従来型個室1,728円51,840円1人部屋。共用浴室・リビングを利用。中庸の価格帯。
ユニット型個室的多床室1,728円51,840円10人程度のユニット単位。可動間仕切りで個室相当のプライバシー。
ユニット型個室2,066円61,980円完全個室+共有リビング。プライバシー最優先。

2024年8月の基準費用額改定

厚生労働省「介 護 保 険 最 新 情 報 Vol.1280」によれば、2024年8月から多床室を除く居室タイプの居住費基準費用額が日額60円(月1,800円)引き上げられました。多床室は据え置きですが、後述の「多床室室料負担」の議論はここから始まっています。第1〜3段階の負担限度額認定保有者については、第1段階の多床室を0円のまま維持するなど、低所得者への配慮が組み込まれています。

2025年8月導入:II型多床室の室料負担

2025年8月から、II型介護医療院療養型老健その他型老健の多床室で、1人当たり床面積が8㎡以上の場合に月約8,000円の室料負担が新たに導入されます。GemMedの解説記事によれば、対象人数はII型介護医療院で約4,000人、療養型老健で約2,000人、その他型老健で約2,000人と試算されており、影響は限定的ですが、II型を検討している家族は施設の床面積を必ず確認する必要があります。

なお、補足給付(負担限度額認定)の対象者は段階別に軽減されるため、第1〜3段階の利用者は満額の8,000円を負担するわけではありません。I型介護医療院の多床室・特養の多床室は対象外で、室料負担は導入されません。

負担限度額認定を活用したシミュレーション

認定証段階別に、介護医療院の居室タイプ別月額(食費+居住費・30日換算)を比較すると次のようになります。

段階多床室従来型個室ユニット型個室
第1段階9,000円23,700円33,600円
第2段階22,800円26,400円36,300円
第3段階①30,600円50,400円50,400円
第4段階56,460円97,200円105,180円

第1〜2段階の認定保有者であれば、ユニット型個室を選んでも食費+居住費の合計が月33,000〜36,000円程度に収まります。プライバシーを優先しつつ月額を抑えたいケースでは、自治体での認定取得を最優先に進めるとよいでしょう。

居室選びの判断軸

  • 本人の認知症の状態:BPSD(行動・心理症状)が強い場合、ユニット型個室の刺激の少ない環境が落ち着きやすい
  • 看取り想定:家族の付き添い・宿泊を希望するなら個室/個室的多床室が現実的
  • 所得段階:第4段階で多床室か、第1〜3段階で個室か、トータルコストで比較
  • 施設の空き状況:地域によりユニット型整備率が大きく異なるため、WAM NETの公表情報で確認

看取り対応と長期療養の費用設計

介護医療院の大きな特長は、入所から看取りまでを一施設で完結できる点です。特養や老健では看取り対応に体制差があり、最終的に病院への転院が必要になるケースもありますが、介護医療院は看取り・ターミナルケアを基本機能として整備しているため、家族が「最期はどこで迎えるか」を改めて選び直す負担が小さくなります。一方で、長期療養になるほど累積費用の影響も大きくなるため、入所前に5年・10年スパンの費用設計を立てておくと安心です。

看取り期の費用構造

介護医療院では看取り期に複数の加算が算定されます。代表的なのは以下です。

  • 看取り連携加算:医師・看護師・介護職が連携し、死亡日前30日以内のターミナルケアを行った場合に算定
  • 緊急時施設診療料:夜間・休日に施設内で緊急医療を提供した場合
  • 重度療養管理加算:終末期に医療処置が増えれば算定対象に

これらは1日あたり数十〜数百単位の積み上げで、看取り期の1〜2か月は通常月より月額が5,000〜15,000円程度増えることがあります。一方で病院に転院した場合は別途医療保険の自己負担が発生するため、介護医療院で看取りまで継続する方が累計で安く済むケースが多いです。

長期療養の累積コスト(5年シミュレーション)

要介護4・II型多床室・第4段階・1割負担で月額約100,000円のケースを基準に、5年間(60か月)の累積コストを見ると:

  • 月額:約100,000円
  • 5年合計:約600万円
  • 10年合計:約1,200万円

負担限度額認定(第2段階)保有者の場合:

  • 月額:約66,000円(食費・居住費軽減後)
  • 5年合計:約396万円
  • 10年合計:約792万円

5年スパンで考えると認定の有無が約200万円、10年で約400万円の差になります。預貯金条件の制約があるため、認定を取りたいために計画的に資産を組み替えるのは難しいですが、相続・贈与・配偶者の生活費との関係で「いつ申請するか」「世帯構成をどう整理するか」をケアマネジャー・社会福祉士と相談しておく価値があります。

家族のキャッシュフロー設計

介護医療院の長期入所では、本人の年金で月額をまかなえるかが家計持続性の分岐点になります。

  • 年金月額20万円超:年金で月額をほぼまかなえるケースが多い。負担割合が2〜3割になることもあるため、年金事務所で「介護保険料の所得証明」も確認
  • 年金月額10〜20万円:負担限度額認定の対象になりやすく、第2〜3段階の軽減を活用すれば年金内で収まる可能性が高い
  • 年金月額10万円未満:第1〜2段階の認定で食費・居住費を大幅軽減。場合により生活保護制度との併用も視野に

厚労省「高額介護サービス費の負担限度額」によれば、一般所得世帯の上限は月44,400円。これを超える自己負担は払い戻されるため、認定の有無に関わらず最終的な月額負担は一定額に収束する設計です。一方、現役並み所得者は月93,000円〜140,100円までの上限が設定され、自己負担が大きくなります。世帯の所得構成は早めに整理しておきましょう。

費用面で確認しておきたい3つの質問

  1. 看取り期に追加で発生する加算の見込み額は?:施設のソーシャルワーカーに「過去の入所者の最終月の請求額のレンジ」を確認
  2. 2025年8月以降の多床室室料負担の適用有無は?:II型を選ぶ場合は床面積を必ず確認
  3. 負担限度額認定の更新スケジュールと対応:年1回の更新を施設側でサポートしてもらえるか

まとめ:介護医療院の費用設計、3つの視点

介護医療院の費用は、要介護度・I型/II型・居室タイプ・所得段階の4軸で大きく動きます。月額は要介護5・多床室・1割負担で10万〜13万円、ユニット型個室なら15万円前後が目安。負担限度額認定証を取得すれば、第1〜2段階の利用者は食費・居住費合わせて月2〜4万円台まで圧縮できるケースもあります。長期療養を前提とする施設だからこそ、入所前に次の3視点で費用設計を整理しておくと、入所後の見直しコストを最小化できます。

  1. 医療依存度とI型/II型の整合:気管切開・人工呼吸器・頻回吸引などの重度処置がある場合はI型、比較的安定した医療管理ならII型が現実的
  2. 所得段階と居室タイプの最適解:負担限度額認定の段階を踏まえて、ユニット型個室と多床室のトータルコストを比較
  3. 看取り・長期療養の累積コスト:5〜10年スパンの累積額を試算し、預貯金・年金・家族の支援とのバランスを設計

2024年8月の居住費改定、2025年8月のII型多床室室料負担導入と、ここ数年で制度は段階的に変化しています。情報源は厚生労働省「介護医療院について」と「介護報酬改定」の公式ページが最新かつ正確です。入所候補の施設が決まったら、料金表・加算の見込み・負担限度額認定の対応について施設のソーシャルワーカーに直接確認し、家族で納得できる費用設計を組み立ててください。

監修者

介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム

医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)

看護師介護福祉士ケアマネジャー

訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

介護の現場・介護職の視点

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