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介護情報基盤が2026年4月スタート|介護職が知っておくべき変更点と現場への影響

介護情報基盤が2026年4月スタート|介護職が知っておくべき変更点と現場への影響

2026年4月から段階的に始まる介護情報基盤とは?介護保険被保険者証のペーパーレス化やケアプランのデジタル共有など、介護職が知っておくべき変更点を解説。

ポイント

この記事のポイント

介護情報基盤とは、要介護認定情報・ケアプラン・LIFE情報・請求給付情報・被保険者証情報の5つをデジタルで一元管理・共有する全国統一システムです。2026年4月から準備の整った自治体で段階的に運用が始まり、2028年4月までに全自治体での完了を目指します。介護保険被保険者証はペーパーレス化され、マイナンバーカードでの資格確認に移行します。

介護情報基盤とは

介護情報基盤の概念を表すイラスト。病院・介護施設・在宅をデジタルネットワークでつなぐイメージ

介護情報基盤とは、介護保険に関するさまざまな情報をデジタル化し、利用者・自治体・介護事業所・医療機関などの関係者間でオンライン共有できるようにする全国統一の情報プラットフォームです。厚生労働省が主導し、市町村が実施主体となって、国民健康保険中央会(国保中央会)に運営が委託されます。

制度創設の背景

現在の介護保険制度では、要介護認定の情報やケアプランの内容、サービス利用実績などが、自治体・事業所・医療機関の間でバラバラに管理されています。紙ベースでのやり取りが多く、情報共有に時間がかかることが現場の大きな課題でした。

さらに、介護人材不足が深刻化するなか、事務作業の効率化は喫緊の課題です。厚生労働省の「介護労働実態調査」(2023年度)では、介護事業所の63.0%が人材不足を感じていると回答しています。限られた人材を介護業務に集中させるためにも、デジタル化による事務負担の軽減が求められていました。

介護情報基盤で共有される5つの情報

介護情報基盤では、以下の5つの情報がデジタルで共有されます(厚生労働省 社会保障審議会介護保険部会 資料より)。

  1. 被保険者証関連情報:介護保険の資格情報、負担割合証、限度額認定証などの情報
  2. 要介護認定情報:要介護度、主治医意見書、認定審査の進捗状況など
  3. ケアプラン情報:居宅サービス計画や施設サービス計画の内容
  4. LIFE情報:科学的介護情報システム(LIFE)に登録されたサービス提供記録やADL評価データ
  5. 請求・給付情報:介護報酬の請求データ、住宅改修費・福祉用具購入費の利用情報など

これらの情報は、利用者本人もマイナポータルを通じて自身の介護情報を確認できるようになります。

導入スケジュール

介護情報基盤の導入は、全国一斉ではなく段階的に進められます。

  • 2025年度:希望する自治体で先行実施(パイロット運用)
  • 2026年4月:改正介護保険法施行。介護保険事務システムの標準化対応を完了した自治体から順次運用開始
  • 2026年度中:全市町村の約66%が対応予定
  • 2027年度中:約97%の市町村が対応予定
  • 2028年4月:全自治体でのデータ移行完了・本格運用を目標

このスケジュールは、厚生労働省が実施した自治体向け調査の結果に基づいています。ただし、半数以上の自治体が2025年度末までのシステム稼働を「困難」と回答しているため、実際の進捗は自治体ごとに差が出る見込みです。

何が変わるのか|介護情報基盤で変わる5つのポイント

介護情報基盤による変更点を表すイラスト。タブレットで情報共有する介護職員たち

介護情報基盤の導入により、介護現場では具体的に何が変わるのでしょうか。ここでは、現場に直結する5つの変更点を整理します。

1. 介護保険被保険者証のペーパーレス化

これまで紙で交付されていた介護保険被保険者証、負担割合証、限度額認定証が電子化されます。マイナンバーカードを使って資格確認ができるようになり、紙の保険証を預かってコピーする作業が不要になります。

ただし、マイナンバーカードを持っていない利用者に対しては、当面の間、紙の交付が併用されます。また、65歳到達時に全員に一斉送付していた保険証は、要介護認定の申請時に発行する方式に変更されます。これにより、使われないまま紛失する保険証の問題も減ると期待されています。

2. 要介護認定情報のオンライン共有

要介護認定の結果や主治医意見書の内容、認定審査の進捗状況がオンラインで確認できるようになります。従来は認定結果が届くまで自治体に電話で問い合わせたり、窓口で書類を受け取る必要がありましたが、介護情報基盤を通じてリアルタイムに進捗を確認できるようになります。

特にケアマネジャーにとっては、認定結果を待たずに暫定ケアプランの作成判断ができるなど、業務のスピードアップにつながります。

3. ケアプラン情報のデジタル共有

居宅サービス計画や施設サービス計画の内容が、関係する事業所間でデジタル共有されます。従来はケアプランのコピーを紙やFAXでやり取りしていたものが、システム上で閲覧可能になります。

これにより、サービス担当者会議の準備や、サービス内容の変更時の連絡が効率化されます。多職種連携の場面で、最新のケアプラン内容をリアルタイムに確認できるメリットは大きいでしょう。

4. LIFE情報・請求データの一元管理

科学的介護情報システム(LIFE)に登録されたADL評価やサービス提供記録、介護報酬の請求データが基盤上で一元管理されます。住宅改修費の利用履歴なども共有されるため、これまで自治体に問い合わせていた情報がオンラインで即時確認可能になります。

事業所にとっては、返戻(レセプトの差し戻し)の削減にもつながります。資格情報をオンラインで即時確認できるため、手入力による転記ミスが減少するためです。

5. マイナンバーカードによる本人確認の導入

介護サービスの利用時に、マイナンバーカードを使った本人確認(資格確認)が導入されます。事業所にはマイナンバーカードの読み取り機器(カードリーダー)の設置が求められます。

訪問介護などの訪問系サービスでは、スマートフォンやタブレットでのカード読み取りも想定されています。初回の資格確認を行えば、以降は毎回のカード提示は不要となる運用が検討されています。

ただし、認知症の利用者やマイナンバーカード未保有者への対応として、特例措置(資格確認書の発行や代理申請)も準備されています。

介護職への影響|現場が受ける5つの変化

介護情報基盤の導入は、介護職の日常業務にどのような影響を与えるのでしょうか。メリットと課題の両面から、現場が受ける5つの変化を解説します。

1. 紙の書類管理・事務作業が大幅に削減される

最も大きな変化は、紙ベースの事務作業の削減です。保険証のコピー、認定結果通知の受け取り、ケアプランの郵送・FAX送付、住宅改修費の利用履歴照会など、日常的に発生していた紙の作業がオンラインに置き換わります。

介護労働安定センターの調査(2023年度)によると、介護職員が「負担に感じる業務」として「書類作成等の事務作業」を挙げる割合は高く、事務負担の軽減は介護業務への集中時間を増やす効果が期待されます。

2. 多職種連携がスムーズになる

要介護認定情報、主治医意見書、ケアプラン、LIFE情報が一つのプラットフォームで共有されることで、医療機関・ケアマネジャー・介護事業所間の情報連携がスムーズになります。

特に、入退院時の情報共有や、サービス担当者会議の準備において、「最新情報が手元にない」という問題が解消されます。過去のLIFE情報や主治医意見書を事前に確認できるため、より質の高いケアプランの策定が可能になります。

3. ICT機器の操作スキルが求められるようになる

一方で、介護情報基盤やマイナンバーカードリーダーの操作など、新たなICTスキルが現場に求められます。特に、デジタル機器に不慣れなベテラン職員や、小規模事業所のスタッフにとっては、慣れるまでに一定の負担がかかるでしょう。

事業所としては、導入前の研修実施や操作マニュアルの整備が重要になります。厚生労働省も段階的な移行を推奨しており、まず「資格確認」から始めて徐々に活用範囲を広げるアプローチが現実的です。

4. 利用者対応に新たな配慮が必要になる

マイナンバーカードを持っていない高齢者や、認知症などで本人確認が困難な利用者への対応が新たに必要になります。家族への説明、代理同意の取得、資格確認書(特例証)の発行手続きなど、導入初期には利用者対応の負担が増える可能性があります。

介護事業所では、利用者・家族向けの説明資料を準備し、新規認定申請時や更新時に包括同意を取得する運用フローの整備が求められます。

5. 災害時にも利用者情報にアクセスできるようになる

介護情報基盤は、災害時にも大きな力を発揮します。紙の書類が水害や地震で失われても、クラウド上に保管されたデジタル情報は消失しません。避難先でも利用者の要介護度やケアプラン、服薬情報を確認でき、適切なケアの継続が可能になります。

近年の災害増加を考えると、BCP(業務継続計画)の観点からも、介護情報のデジタル化は現場にとって重要な備えになります。

事業所が今すぐ準備すべきこと

2026年4月の運用開始に向けて、介護事業所が今から取り組むべき準備事項を整理します。段階的に進めることで、導入時の混乱を最小限に抑えられます。

1. マイナンバーカードリーダーの導入

介護情報基盤で利用者の資格確認を行うには、マイナンバーカードの読み取り機器が必要です。訪問系・通所系サービスでは1事業所あたり最大3台まで、国の補助金(1台あたり上限約6.4万円)が活用できます。

カードリーダーはネット通販でも1,300円程度から購入可能ですが、対応機種の確認が必要です。スマートフォンのNFC読み取り機能を活用する方法もあるため、自事業所のサービス形態に合った機器を選びましょう。

2. 介護情報基盤ポータルへの事業所登録

厚生労働省が開設した「介護情報基盤ポータル」(https://www.kaigo-kiban-portal.jp/)にアクセスし、事業所の登録を行いましょう。登録することで、介護保険資格確認WEBサービスの利用や、助成金の申請が可能になります。

ポータルでは、セットアップ手順書やFAQも公開されています。不明点があれば、ポータルの問い合わせ窓口を活用できます。

3. 助成金・補助金の申請

介護情報基盤の導入にあたり、以下の支援制度が用意されています。

  • 介護現場ICT利用促進事業:カードリーダー、PC・タブレット端末、介護ソフトの改修費用などが補助対象
  • 介護情報基盤導入支援補助金:セキュリティ対策(VPN導入、ウイルス対策ソフト)や接続テスト費用も含まれる

申請期間は自治体によって異なりますが、2025年10月から受付が開始されている地域もあります。予算には限りがあるため、早めの申請が推奨されます。

4. 介護ソフト・システムの対応状況を確認する

現在使用している介護ソフト(ケアプラン作成ソフト、請求ソフトなど)が介護情報基盤に対応しているか、ベンダーに確認しましょう。ソフトのバージョンアップや、データ連携機能の追加が必要になる場合があります。

また、インターネット接続環境の確認も重要です。介護情報基盤はクラウドベースのシステムのため、安定したネットワーク回線が必要です。セキュリティ面では、TLS1.3対応やクライアント証明書の導入が求められます。

5. 職員研修と運用フローの整備

新しいシステムの導入には、職員への研修が不可欠です。以下の項目を優先的に研修しましょう。

  • マイナンバーカードリーダーの操作方法
  • 介護情報基盤ポータルの基本操作(資格確認、情報閲覧)
  • 利用者・家族への説明方法(マイナンバーカードの必要性、同意取得の手順)
  • 個人情報保護・セキュリティに関する注意事項

まずは資格確認機能から使い始め、段階的にケアプラン共有やLIFE情報の活用へと範囲を広げていくのが現実的です。

6. 利用者への事前説明と同意取得の準備

介護情報基盤で利用者の情報を共有するには、本人(または代理人)の同意が必要です。新規認定申請時や更新認定時に「包括同意」を取得する仕組みが導入される予定ですが、既存の利用者に対しても順次説明と同意取得を進める必要があります。

マイナンバーカードを持っていない利用者に対しては、カードの取得を勧めつつ、当面は資格確認書(特例証)での対応も可能であることを説明しましょう。

よくある質問

Q. 介護情報基盤は2026年4月から全国一斉に始まるのですか?

A. いいえ、全国一斉ではありません。2026年4月の改正介護保険法施行後、介護保険事務システムの標準化対応を完了した自治体から順次運用が開始されます。厚生労働省の調査では、2026年度中に約66%、2027年度中に約97%の市町村が対応予定で、全自治体での本格運用は2028年4月が目標です。自分の自治体の対応状況は、都道府県や市町村の介護保険担当課に確認しましょう。

Q. マイナンバーカードを持っていない利用者はどうなりますか?

A. マイナンバーカードを持っていない利用者に対しては、当面の間、紙の介護保険被保険者証や資格確認書(特例証)が交付されます。紙が即座に廃止されるわけではありません。ただし、今後はマイナンバーカードでの資格確認が標準となるため、利用者や家族にカード取得を勧めていくことが望ましいでしょう。

Q. 小規模な事業所でもカードリーダーの導入は必須ですか?

A. 現時点では、カードリーダーの導入は「必須」ではなく「推奨」とされています。ただし、介護情報基盤を通じた資格確認が普及すれば、事実上の標準となる可能性が高いです。導入費用には国の補助金が活用できるため、早めの対応が推奨されます。設置が難しい場合は、接続サポート窓口への問い合わせも可能です。

Q. 介護情報基盤の導入にかかる費用はどのくらいですか?

A. 事業所の規模やシステム環境によりますが、主な費用はカードリーダー(1,300円~数万円)、介護ソフトの改修・バージョンアップ費用、セキュリティ対策費用(VPN・ウイルス対策ソフト等)です。これらの費用の多くは、国の「介護現場ICT利用促進事業」等の補助金で賄える可能性があります。補助金の申請は介護情報基盤ポータルから行えます。

Q. 利用者の個人情報が漏洩するリスクはありませんか?

A. 介護情報基盤では、通信の暗号化(TLS1.3)やクライアント証明書による認証など、医療情報システムと同等のセキュリティ対策が講じられています。ただし、端末の管理や職員のセキュリティ意識も重要です。パスワード管理の徹底、不正アクセスの監視、退職者のアカウント削除など、事業所レベルでの情報セキュリティ対策も欠かせません。

Q. ケアプランデータ連携システムとの違いは何ですか?

A. ケアプランデータ連携システムは、居宅介護支援事業所と訪問・通所系事業所の間でケアプラン情報をデータ交換する仕組みで、すでに運用されています(年間利用料21,000円・税込)。一方、介護情報基盤はケアプランに限らず、要介護認定情報やLIFE情報、請求情報など5つの情報を包括的に共有するプラットフォームです。将来的にはケアプランデータ連携システムとの統合・連携も想定されています。

参考文献・出典

  • [1]
    介護情報基盤について(社会保障審議会 介護保険部会 資料)- 厚生労働省

    介護情報基盤の制度設計、共有情報の範囲、導入スケジュール、セキュリティ要件等の詳細

  • [2]
    介護情報基盤の施行に向けた取組について- 厚生労働省 広報誌

    2026年4月施行に向けた介護情報基盤の概要説明と事業所向け準備事項

  • [3]
    介護情報基盤ポータル- 厚生労働省(国保中央会運営)

    事業所登録、助成金申請、セットアップ手順書、FAQ等の公式ポータルサイト

  • [4]
    介護労働実態調査結果(令和5年度)- 介護労働安定センター

    介護事業所の人材不足感や職員の業務負担に関する統計データ

まとめ

2026年4月から段階的に始まる介護情報基盤は、介護保険制度のデジタル化における大きな転換点です。要介護認定情報・ケアプラン・LIFE情報・請求データ・被保険者証情報の5つがオンラインで共有され、紙ベースの事務作業が大幅に削減されます。

介護職にとっての最大のメリットは、事務負担の軽減と多職種連携の円滑化です。保険証のコピーや認定結果の問い合わせ、ケアプランのFAX送付といった作業が不要になり、本来の介護業務に集中できる時間が増えます。

一方で、ICT機器の操作習得、マイナンバーカード未保有者への対応、セキュリティ対策など、準備すべき課題もあります。特に小規模事業所では、導入の負担が相対的に大きくなるため、国の補助金制度を積極的に活用しましょう。

全自治体での本格運用は2028年4月が目標ですが、約66%の自治体が2026年度中に対応予定です。まだ時間に余裕があると思わず、今のうちからカードリーダーの導入、介護ソフトの対応確認、職員研修の実施を進めておくことが、スムーズな移行のカギになります。

介護情報基盤ポータル(https://www.kaigo-kiban-portal.jp/)で最新情報を確認し、自事業所の準備を進めていきましょう。

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公開日: 2026年4月4日最終更新: 2026年4月4日

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

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