
ケアプラン作成費に1割負担導入へ|2026年閣議決定の改正案と介護職への影響
2026年4月に閣議決定された介護保険法改正案で、住宅型有料老人ホームのケアプラン作成費に1割の利用者負担が導入されます。新サービス類型「登録施設介護支援」の創設背景、囲い込み防止策、ケアマネジャーや介護職への影響を詳しく解説。施行は2027年度の見通しです。
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この記事のポイント
2026年4月3日、政府は介護保険法等の改正案を閣議決定しました。最大の注目点は、住宅型有料老人ホームの入居者を対象に、ケアプラン作成費の利用者負担(原則1割)を導入する新サービス類型「登録施設介護(予防)支援」の創設です。2000年の介護保険制度開始以来、ケアプラン作成は全額公費負担で利用者の自己負担はゼロでしたが、介護費用が2024年度に12兆円を超えるなか、制度の持続可能性を確保するために大きな転換が図られます。本記事では、改正案の具体的な内容、なぜ今このタイミングなのか、そして介護職・ケアマネジャーへの影響をわかりやすく解説します。
目次
ケアプラン有料化とは|25年続いた「無料」が変わる
ケアプランとは、要介護認定を受けた方が介護サービスを利用するために、ケアマネジャー(介護支援専門員)が作成する介護サービス計画書のことです。訪問介護やデイサービスなど、どのサービスをどのくらいの頻度で利用するかを本人・家族と相談しながら決定します。
なぜこれまで無料だったのか
2000年に介護保険制度が創設された際、より多くの利用者がケアマネジメントを活用できるように配慮し、ケアプラン作成費は介護保険から10割給付(全額公費+保険料負担)とされました。つまり、利用者の窓口負担はゼロです。訪問介護やデイサービスでは利用者が1〜3割を負担するのに対し、ケアプラン作成だけが例外的に無料で提供されてきました。
「有料化」とは何が変わるのか
今回の改正案で導入されるのは、住宅型有料老人ホームの入居者を対象とした定率の利用者負担(原則1割)です。これまでゼロだった自己負担が発生するという意味で「有料化」と呼ばれています。
ただし、すべてのケアプラン利用者が対象になるわけではありません。今回の改正で有料化が決まったのは、登録制の住宅型有料老人ホームの入居者に限定されます。自宅で暮らす在宅介護の利用者のケアプラン有料化については、引き続き検討課題として残されました。
| 項目 | 改正前(現行) | 改正後(2027年度〜見込み) |
|---|---|---|
| 利用者負担 | 0円(全額保険給付) | 原則1割(所得に応じ2〜3割) |
| 月額負担の目安 | なし | 約1,000〜4,500円 |
| 対象者 | ─ | 登録制住宅型有料老人ホーム入居者 |
| 在宅介護利用者 | 0円 | 今回は変更なし(継続検討) |
改正案の具体的な内容|3つの柱を詳しく解説
2026年4月3日に閣議決定された介護保険法等の改正案は、介護保険法・老人福祉法・社会福祉法などの複数の法律にまたがる包括的な改正です。住宅型有料老人ホームに関連する主な内容は、大きく3つの柱で構成されています。
柱①:新サービス類型「登録施設介護(予防)支援」の創設
改正案の最大の目玉が、住宅型有料老人ホームの入居者に特化した新しいケアマネジメントサービス「登録施設介護(予防)支援」の創設です。
従来の居宅介護支援とは別のスキームとして設計され、以下の特徴があります。
- 対象:登録制の住宅型有料老人ホーム(特定施設を除く)の入居者
- サービス内容:ケアプラン作成+生活相談+安否確認+緊急時対応の調整を包括的に提供
- 利用者負担:介護付きホーム(特定施設)と同様の定率負担(原則1割、所得に応じ2〜3割)
- 報酬形態:定額の介護報酬を想定(詳細は2027年度の介護報酬改定で決定)
- 施行時期:改正法の公布後2年以内に政令で定める日(2027年度施行の見通し)
つまり、これまでホームの「外付け」で無料提供されていたケアマネジメントが、生活相談等も含めた包括的なサービスに再編され、利用者にも応分の負担を求める仕組みに変わります。
柱②:住宅型有料老人ホームへの「登録制」導入
改正案では、中重度の要介護者を受け入れる住宅型有料老人ホームに対して、事前規制としての登録制が導入されます。
厚生労働省の調査によると、住宅型有料老人ホームの入居者は全国で61万人を超え、特別養護老人ホームの64万人に迫る規模にまで拡大しています(厚生労働省「有料老人ホームの現状と課題」2025年)。入居者のうち要介護3以上の割合は55.9%に達し、10年前の48.87%から約7ポイント上昇。退去理由で最も多いのは「死亡」で55%を占め、事実上「終の住処」として機能しています。
にもかかわらず、制度上は「住まい」の位置づけのままであり、職員配置基準や運営基準が十分に整備されていませんでした。登録制の導入により、以下の基準が求められる見通しです。
- 職員配置基準の設定
- 研修受講の義務化
- 事業計画・契約書における介護対応方針の明記・公表
- 会計の分離と透明化
- 第三者評価の受審
柱③:「囲い込み」防止の法制化
改正案のもう一つの重要なポイントが、いわゆる「囲い込み」の是正を法律レベルで対策したことです。
囲い込みとは、住宅型ホームに併設・隣接する同一法人や関連法人の訪問介護・通所介護などをケアプランに優先的に組み込み、区分支給限度基準額の上限近くまでサービスを詰め込む行為を指します。
今回の改正では、以下の対策が盛り込まれました。
- 入居要件としてのサービス利用強制を禁止:特定の介護サービス事業所の利用を入居の条件とすることを法律で明確に禁止
- ケアマネジャーの独立性確保:登録施設介護支援事業者は施設運営者から独立した立場でケアプランを作成
- 相談担当者の設置義務化:利用者の相談に対応する担当者を配置
- 情報公表の義務化:施設の運営情報やサービス内容の公開を義務づけ
厚生労働省の検討会では、入居契約時にホームと資本・提携関係のある介護サービス事業所の利用を条件とするケースが報告されており、契約段階で利用者の選択の自由が奪われるという、制度の根幹に関わる問題として対処が求められていました(厚生労働省「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」2025年)。
なぜ今このタイミングで有料化なのか|制度持続性の危機
ケアプランの有料化は、2021年・2024年の介護報酬改定のたびに議論の俎上に載りながらも「時期尚早」として先送りされてきました。なぜ今回、ついに実現に向けて動き出したのでしょうか。その背景には、複数の構造的な要因があります。
介護費用が2024年度に12兆円を突破
日本の介護保険給付費は、制度開始の2000年度には約3.6兆円でしたが、2024年度には12兆円を超える規模に膨張しました。約24年で3倍以上に増加したことになります。団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」を通過し、今後も介護費用の増大は避けられない状況です。
政府が閣議決定した「全世代型社会保障構築に関する改革工程」では、2027年度までにケアマネジメントの給付のあり方について結論を出すことが明記されており、今回の閣議決定はこのスケジュールに沿った動きです。
介護付きホームとの不公平の解消
介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)では、ケアプラン作成費がすでに介護報酬に含まれており、利用者は実質的に1割を負担しています。一方、住宅型有料老人ホームでは外部の居宅介護支援事業所がケアプランを作成するため、利用者負担はゼロでした。
同じように高齢者が暮らし、同じように介護サービスを受けているにもかかわらず、施設の類型によって負担に差がある状態は「制度間の均衡」の観点から問題視されてきました。今回の改正は、この不公平を是正する狙いがあります。
住宅型ホームの「施設化」という現実
住宅型有料老人ホームは法的には「住まい」であり、介護サービスは外部から個別に受ける仕組みです。しかし実態は大きく異なります。
- 入居者の55.9%が要介護3以上(2024年時点)
- 退去理由の55%が「死亡」で、事実上の終の住処
- 入居者数は61万人超で特養(64万人)に迫る規模
- 自法人・関連法人の介護サービス事業所と一体的に運営するケースが多数
形式上は「住まい+外付けサービス」でありながら、実質的には施設と変わらない運営が行われている。この構造的なねじれに正面から向き合い、制度と実態の乖離を解消することが、今回の改正の根本的な目的です。
現役世代の保険料負担の限界
介護保険料は制度開始時の全国平均月額2,911円から、2024〜2026年度の第9期では月額6,225円に上昇しています。特に40〜64歳の第2号被保険者(現役世代)の負担増が課題となっており、給付の効率化と適正化が急務とされています。利用者に応分の負担を求めることで、現役世代の保険料上昇を抑制する狙いもあります。
介護職・ケアマネへの影響|現場で変わる5つのこと
今回の改正案は、住宅型有料老人ホームで働く介護職やケアマネジャーの業務に直接的な影響を与えます。2027年度の施行に向けて、今から準備すべきポイントを整理します。
①ケアマネジャーに「集金業務」が発生する
これまで居宅介護支援事業所では、ケアプランが10割給付(利用者負担ゼロ)であるため、利用者からの集金業務は一切ありませんでした。新類型の導入後は、住宅型ホーム入居者に対して利用料の請求・集金・入金確認・督促といった業務が新たに発生します。
特に小規模の居宅介護支援事業所にとっては、口座振替依頼書の取り付けや未収金の管理など、これまで経験のない事務作業が加わることになり、業務負担の増加が懸念されています。
②ケアマネの独立性が法的に担保される
囲い込み防止策の一環として、ケアマネジャーが施設運営者から独立した立場でケアプランを作成する体制が法制化されます。これにより、施設の運営法人からの「このサービスをプランに入れてほしい」という圧力に対して、制度上の根拠をもって拒否できるようになります。
ケアマネの専門性と中立性が法律で守られることは、長年現場が求めてきた改善であり、ケアマネの社会的地位の向上にもつながると期待されています。
③「セルフケアプラン」増加のリスク
利用者負担の導入により、費用を避けるためにケアマネジャーを通さず自分でケアプランを作成する「セルフケアプラン」が増加する可能性が指摘されています。専門的な知識なしに作成されたケアプランでは、必要なサービスが不足したり、逆に過剰なサービスを組み込んでしまうリスクがあります。
さらに深刻なのは、住宅型ホームの運営事業者が保険外サービスとしてケアプラン作成を代行し、形式上はセルフケアプランとして提出するケースが発生する可能性です。このような「名ばかりセルフプラン」は囲い込みの温床となりかねず、今後の運営基準で対策が必要とされています。
④住宅型ホームの介護職の働き方が変わる
登録制の導入により、住宅型有料老人ホームには職員配置基準の設定・研修受講の義務化などが課される見通しです。これは、住宅型ホームで働く介護職にとって、研修機会の拡大やキャリアパスの明確化につながる可能性があります。
一方で、基準を満たせない施設では人員確保のコスト増から経営が厳しくなり、待遇の悪化や事業撤退のリスクも考えられます。介護職としては、自分が勤務する施設が登録制にどう対応するかを注視する必要があります。
⑤ケアマネの処遇改善への期待
利用者負担の導入は「ケアマネジメントにはコストがかかる」という認識を社会に広めるきっかけになります。これまで「タダ」という感覚で軽視されがちだったケアマネジャーの仕事の価値が、利用者にも可視化されることで、報酬の適正化や処遇改善につながることが期待されています。
2027年度の介護報酬改定では、新類型「登録施設介護支援」の報酬単価が決定されます。ケアプラン作成だけでなく生活相談も含めた包括的なサービスとして評価されるため、従来の居宅介護支援費よりも高い報酬設定になる可能性があります。
よくある質問
Q. ケアプラン有料化はいつから始まりますか?
改正案には「公布後2年以内に政令で定める日」と記載されており、2027年度(令和9年度)の施行が見込まれています。第10期介護保険事業計画の開始と連動するスケジュールです。ただし、法案は2026年4月3日に閣議決定された段階であり、今国会での成立後に政令で具体的な日程が決まります。
Q. 自宅で暮らす在宅介護の利用者もケアプランが有料になりますか?
今回の改正で有料化が決まったのは、登録制の住宅型有料老人ホームの入居者に限定されます。自宅で在宅介護を受けている方のケアプラン作成費は、引き続き利用者負担ゼロです。ただし、在宅のケアプラン有料化についても「第10期介護保険事業計画期間の開始(2027年度)までに結論を出す」とされており、今後の議論の行方を注視する必要があります。
Q. 具体的にいくらの負担増になりますか?
報酬単価は2027年度の介護報酬改定で決定されるため、現時点では確定していません。現行の居宅介護支援費を参考にすると、1割負担の方で月額約1,000〜1,500円程度、2割負担の方で約2,000〜3,000円、3割負担の方で約3,000〜4,500円と試算されます。新類型は生活相談も含む包括的サービスのため、従来とは異なる報酬体系になる可能性があります。
Q. サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)も対象ですか?
今回の改正案で直接の対象となるのは住宅型有料老人ホームです。ただし、サ高住のうち実質的に有料老人ホームに該当する施設も多く、これらが登録制の対象に含まれるかどうかは今後の政令・省令で明確にされる見通しです。サ高住に入居している方や入居を検討している方も、動向を注意深く見守る必要があります。
Q. 低所得者への配慮はありますか?
介護保険制度では、所得に応じて利用者負担割合が1割・2割・3割に区分されているほか、高額介護サービス費(月額の自己負担に上限を設ける制度)や補足給付(低所得者の居住費・食費を補填する制度)が設けられています。新類型においても同様の負担軽減措置が適用される見通しです。具体的な基準は今後の議論で決定されます。
Q. 介護付き有料老人ホームや特養への影響はありますか?
介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)や特別養護老人ホームでは、すでにケアプラン作成費が介護報酬に含まれており利用者が負担しています。今回の改正による直接的な影響はありません。むしろ、住宅型ホームとの制度的な均衡が確保されることで、施設間の公平性が向上します。
Q. ケアマネ資格の更新制廃止との関係は?
同じ閣議決定で、ケアマネジャー資格の更新制の廃止も盛り込まれました。これは人材不足への対応として、受験要件の緩和とあわせて導入されるものです。ケアプラン有料化とケアマネ資格制度の見直しは、いずれもケアマネジメントの質の確保と人材確保を両立させるための改革として、一体的に進められています。
参考文献・出典
- 首相官邸「令和8年4月3日 定例閣議案件」(2026年4月3日)
- 厚生労働省 社会保障審議会 介護保険部会「介護保険制度の見直しに関する意見」(令和7年12月25日)
- 厚生労働省「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会 とりまとめ」(2025年11月5日)
- 日本経済新聞「介護のケアプラン作成費1割負担導入 介護保険法改正案を国会提出」(2026年4月3日)
- 介護ニュースJoint「住宅型ホームのケアマネ新類型『登録施設介護支援』を創設 利用者負担は定率の原則1割 政府が閣議決定」(2026年4月3日)
- GemMed「登録制有料老人ホーム入居者への『ケアマネジメント+生活相談』を新サービスとし、利用者負担求め方針を決定」
- SOMPOリスクマネジメント「どうなる?住宅型有料老人ホーム〜介護保険部会『介護保険制度の見直しに関する意見』を読み解く」(2026年1月21日)
まとめ|制度変更を前向きに捉え、今から準備を
2026年4月3日に閣議決定された介護保険法等の改正案は、住宅型有料老人ホームのケアマネジメントに大きな転換をもたらします。本記事のポイントを整理します。
- 新サービス類型「登録施設介護(予防)支援」が創設され、住宅型ホーム入居者のケアプラン作成費に原則1割の利用者負担が導入される
- 住宅型有料老人ホームに登録制が導入され、職員配置基準や運営の透明化が求められる
- 囲い込み防止策が法制化され、特定事業所のサービス利用を入居条件とすることが禁止される
- 施行は2027年度の見通しで、報酬単価や運営基準は今後の介護報酬改定で決定される
- 在宅介護利用者のケアプラン有料化は今回見送られたが、引き続き検討課題として残されている
介護費用が12兆円を超え、制度の持続可能性が問われるなか、今回の改正は「必要な改革」と評価する声がある一方、利用者の負担増や利用控えを懸念する声もあります。
介護職やケアマネジャーにとっては、集金業務の発生などの新たな負担がある一方で、ケアマネの独立性が法的に担保されることや、ケアマネジメントの社会的価値が認知されるきっかけになるというプラスの側面もあります。
2027年度の施行まではまだ時間があります。今後の国会審議や介護報酬改定の議論を注視しながら、制度変更に備えた準備を進めていきましょう。特に住宅型有料老人ホームで働く方や、入居を検討されている方のご家族は、施設がどのように登録制に対応するかを確認しておくことをおすすめします。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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