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介護のハタラクナカマ
記事一覧用語集地域から探すご家族・利用者の方はこちら介護の働き方診断

📑目次

  1. 01ケアマネジャーの給与データから見るポイント
  2. 02ケアマネジャー(介護支援専門員)とは
  3. 03ケアマネジャーの3大業務
  4. 04ケアマネジャーの1日の流れ(居宅・施設)
  5. 05居宅ケアマネ・施設ケアマネ・地域包括支援センターの違い
  6. 06ケアマネジャーの年収・待遇と2026年6月の処遇改善加算
  7. 07ケアマネジャーに向いている人・必要なスキル
  8. 08ケアマネジャーの仕事内容に関するよくある質問
  9. 09参考文献・出典
  10. 10まとめ|ケアマネジャーは介護保険制度の「かなめ」
介護の働き方診断
ケアマネジャー(介護支援専門員)の仕事内容|1日の流れ・年収・居宅vs施設の違い
介護職向け

ケアマネジャー(介護支援専門員)の仕事内容|1日の流れ・年収・居宅vs施設の違い

ケアマネジャー(介護支援専門員)の仕事内容を徹底解説。ケアプラン作成、モニタリング、給付管理の3大業務、1日の流れ、居宅・施設・地域包括の違い、年収、必要な資格まで網羅した完全ガイドです。

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この記事のポイント

ケアマネジャー(介護支援専門員)とは、要介護者・要支援者の相談に応じ、ケアプラン作成・モニタリング・給付管理の3大業務を担う介護保険制度の専門職です。勤務先は「居宅介護支援事業所」「介護施設」「地域包括支援センター」の3分類で、常勤の平均年収は約450万円(厚生労働省 令和6年度介護従事者処遇状況等調査)。2026年6月の介護報酬改定で、居宅介護支援も新たに処遇改善加算の対象となり、ケアマネの待遇改善が進みます。

📑目次▾
  1. 01ケアマネジャー(介護支援専門員)とは
  2. 02ケアマネジャーの3大業務
  3. 03ケアマネジャーの1日の流れ(居宅・施設)
  4. 04居宅ケアマネ・施設ケアマネ・地域包括支援センターの違い
  5. 05ケアマネジャーの年収・待遇と2026年6月の処遇改善加算
  6. 06ケアマネジャーに向いている人・必要なスキル
  7. 07ケアマネジャーの仕事内容に関するよくある質問
  8. 08参考文献・出典
  9. 09ケアマネジャーの給与データから見るポイント
  10. 10まとめ|ケアマネジャーは介護保険制度の「かなめ」

ケアマネジャー(介護支援専門員)とは

ケアマネジャー(正式名称:介護支援専門員)は、2000年の介護保険制度開始に伴い誕生した、介護保険法に定められた国家資格に準ずる公的専門職です。要介護者・要支援者本人とその家族の相談を受け、心身の状況や生活環境に応じたケアプラン(介護サービス計画書)を作成し、サービス事業者・医療機関・行政と連携して、利用者が自立した生活を送れるよう総合的にマネジメントします。

厚生労働省の資料によれば、介護支援専門員の登録者数は全国で約75万人(令和5年度末時点)に達し、介護保険制度の「要(かなめ)」として位置づけられています。医師や看護師のように医療行為を行うわけではありませんが、利用者・家族・多職種チーム・行政・保険者をつなぐ「介護のコーディネーター」として、地域包括ケアシステムの中核を担う存在です。

他の介護職との違い

介護福祉士やヘルパー(初任者研修・実務者研修修了者)が身体介護・生活援助を直接提供する「プレイヤー」だとすれば、ケアマネジャーはそれらの専門職を束ねて利用者の生活を支える「監督・司令塔」の役割です。自分の手で入浴介助やおむつ交換を行うことはほとんどなく、代わりに利用者の困りごとを聞き取り、どの事業所のどのサービスを、どの頻度で使えば課題が解決するかを設計します。生活相談員が「施設内での相談窓口」に業務を限定されるのに対し、ケアマネは医療・介護・福祉・行政をまたいで調整する点で、より広い守備範囲を持つ職種と言えます。

受験資格と資格取得ルート

ケアマネジャーになるには、介護福祉士・看護師・社会福祉士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師・歯科医師・薬剤師・栄養士・精神保健福祉士などの指定国家資格を取得したうえで、当該資格に基づく実務経験5年かつ900日以上を満たすことが必要です。2018年の受験資格改正により、旧来認められていた介護職員初任者研修修了者や無資格ヘルパーでの受験はできなくなり、より専門性の高い職種へと位置づけが変わりました。

そのうえで各都道府県が年1回実施する「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格し、87時間以上の実務研修(前期54時間+実習3日間+後期33時間)を修了することで、初めて介護支援専門員証が交付されます。2024年度試験の合格率は約32.1%と、過去20年で最高水準でしたが、それでも3人に2人は不合格になる難関資格です。

さらに5年ごとの更新研修(実務経験の有無により88時間または56時間)が義務付けられており、取得後も継続的な学習が求められるのがケアマネジャーの特徴です。主任ケアマネを目指す場合は、実務経験5年以上を満たしたうえで主任介護支援専門員研修(70時間)を修了する必要があります。

ケアマネジャーの位置づけ(制度上の役割)

厚生労働省老健局の公式資料では、ケアマネジャーは「要介護者等からの相談に応じ、要介護者等がその心身の状況等に応じ適切な居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス、介護予防サービス等を利用できるよう市町村、サービス事業者、介護保険施設等との連絡調整等を行う者」と定義されています。この「連絡調整」という言葉がケアマネの本質を端的に表しており、単なる書類作成職ではなく、地域の社会資源を束ねる「ソーシャルワーク機能」を担う専門職であることが公的にも位置づけられています。

ケアマネジャーの3大業務

ケアマネジャーの3大業務|ケアプラン・モニタリング・給付管理

ケアマネジャーの仕事は多岐にわたりますが、整理すると以下の3本柱に集約されます。いずれも介護保険法に定められた法定業務であり、この3業務のサイクルを毎月回すことがケアマネの基本的な働き方です。

1. ケアプラン作成(アセスメント〜プラン原案〜サービス担当者会議)

ケアマネジャーの中核業務です。利用者宅(または施設居室)を訪問し、心身機能・ADL・生活歴・家族状況・住環境・本人の希望を丁寧に聞き取るアセスメントを行います。厚生労働省が示す「課題分析標準項目(23項目)」に沿って情報を整理し、自立支援と重度化防止を柱とした目標と必要サービスを導き出します。

次に、訪問介護・通所介護・福祉用具貸与・訪問看護・ショートステイなどを組み合わせたケアプラン原案を作成。サービス提供事業者・主治医・リハビリ職・家族が一堂に会するサービス担当者会議で内容を協議し、本人・家族の同意を得て正式な第1〜3表のケアプランが完成します。ここまでが新規契約から1〜2週間ほどで進む、非常に密度の濃いプロセスです。

2. モニタリング(月1回以上の訪問・状況確認)

ケアプランは「作って終わり」ではありません。居宅ケアマネは月に1回以上、利用者宅を訪問し、プランどおりにサービスが提供されているか、目標の達成状況はどうか、体調や介護環境に変化はないかを確認します(運営基準第13条14号「モニタリング義務」)。

転倒が増えた、認知症の進行で服薬管理ができなくなった、家族の介護負担が限界に近づいた。こうしたサインを早期にキャッチし、必要に応じてケアプランを見直します。モニタリングを怠った月は居宅介護支援費が運営基準減算となり、所定単位数の50%(2か月目以降は100%)カットという重いペナルティがあるため、ケアマネにとって最も神経を使う業務の一つです。

3. 給付管理(介護保険請求・国保連伝送)

介護保険サービスは要介護度ごとに月ごとの区分支給限度基準額が決まっており、ケアマネはその範囲内でサービス量を調整します。月末から月初にかけて、各事業所から届いたサービス実績を突合し、「給付管理票」「サービス利用票・提供票」を作成。毎月10日までに国民健康保険団体連合会(国保連)へ伝送し、介護報酬の請求根拠とします。

この給付管理業務がケアマネの事務負担の大半を占めると言われ、請求エラー(返戻)が発生すると事業所全体の入金遅延につながるため、ミスが許されない重要業務です。近年は「ケアプランデータ連携システム」(国保中央会運営)の普及で、事業所間のやり取りを電子化する動きが加速しています。

ケアマネジャーの1日の流れ(居宅・施設)

ケアマネジャーの1日の流れ|居宅ケアマネと施設ケアマネの具体スケジュール

ケアマネジャーの1日は、勤務先(居宅か施設か)と月内のタイミング(月初の請求期か月中の訪問期か)で大きく変わります。ここでは厚生労働省の業務実態調査および複数事業所の公開資料を参考に、典型的な1日のスケジュールを紹介します。

居宅ケアマネの1日(訪問日の例)

時間業務内容
8:30出勤、メール・FAXチェック、事業所内朝礼、担当利用者の体調変化情報共有
9:00電話対応(家族からの相談、サービス事業所からの連絡)、訪問準備(ケアプラン・アセスメント表・印鑑)
10:001件目の利用者宅を訪問(モニタリング約45分)。バイタル確認、生活状況ヒアリング、支援経過記録
11:302件目の利用者宅を訪問(新規の初回アセスメント)。家族同席でケアプラン方針の説明
13:00昼食・移動
14:00サービス担当者会議(地域包括、訪問看護、デイサービス管理者、家族が参加)を利用者宅で開催
15:30帰所。支援経過記録入力、ケアプラン第2表の修正、サービス事業所への依頼書FAX
17:00新規相談の電話対応、要介護認定申請代行の書類作成、翌日の訪問準備
17:30退勤(月末月初は給付管理のため残業も)

居宅ケアマネは「午前〜午後は訪問・会議、夕方はデスクワーク」が基本パターン。1人あたり35〜44人の利用者を抱え、月に40件近い訪問をこなす必要があるため、スケジュール管理能力と運転(車移動が多い)のスキルも問われます。

施設ケアマネの1日(特養の例)

時間業務内容
8:30出勤、夜勤者からの申し送り参加、入所者の状態確認
9:00施設内ユニット巡回。日勤スタッフから気になる入所者の情報収集
10:00施設サービス計画(ケアプラン)の作成・更新。新規入所者のアセスメント
11:30家族との面談対応(看取り方針の確認など)
12:00昼食休憩(入所者と一緒に食事介助に入ることも)
13:00サービス担当者会議(施設内多職種:相談員・看護師・機能訓練指導員・管理栄養士)
14:30要介護認定更新の書類作成、主治医意見書の依頼
15:30入所希望者の見学対応・入所判定会議の資料準備
17:00介護記録の確認、ケアプランの軽微な変更
17:30退勤

施設ケアマネは1人で最大100名を担当することができ(介護保険法施行規則)、居宅よりも担当人数は多いものの、入所者が目の前にいるため情報収集がしやすく、訪問移動もありません。特養では介護業務との兼務が認められる場合もあり、小規模施設では介護リーダーを兼ねるケースも珍しくありません。

月単位の業務サイクル

  • 月初(1〜10日):国保連への給付管理票伝送、前月サービス実績の集計、請求業務
  • 月中(10〜20日):利用者宅の定期訪問・モニタリング、サービス担当者会議
  • 月末(20日〜月末):翌月のサービス利用票・提供票の作成・交付、ケアプラン見直し

月初の請求期間は特に多忙で、「月初残業」がケアマネの働き方の特徴として知られています。一方、月中は比較的柔軟にスケジュールを組めるため、ライフステージに合わせた働き方がしやすい職種でもあります。

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居宅ケアマネ・施設ケアマネ・地域包括支援センターの違い

ケアマネジャーの勤務先は大きく3つに分かれ、担当する利用者像・業務内容・担当件数・給与体系がそれぞれ異なります。転職・就職先を選ぶ際に最も重要な比較ポイントです。

項目 居宅ケアマネ 施設ケアマネ 地域包括支援センター
勤務先 居宅介護支援事業所(ケアプランセンター) 特養・老健・介護医療院・有料老人ホーム・GH 等 市町村直営または委託法人(社福法人・医療法人)
対象利用者 要介護1〜5(在宅) 要介護1〜5(入所中) 要支援1・2・総合事業対象者
担当件数(上限) 1人あたり44件(うち35件超で逓減) 1人あたり100件 包括職員1人あたり概ね40件
作成するプラン 居宅サービス計画 施設サービス計画 介護予防サービス・支援計画
訪問の有無 月1回以上のモニタリング訪問が必須 訪問なし(居室訪問のみ) 3か月に1回以上のモニタリング
休日 土日祝休みが多い シフト制が多い(介護業務兼務の場合) 土日祝休みが多い
平均年収の目安 約420〜450万円 約430〜460万円(夜勤兼務で+α) 約430〜470万円(公務員準拠)
やりがい 在宅生活支援/多職種連携の中心 看取りまで関与/深い信頼関係 総合相談/地域課題の発見・解決
向いている人 調整力・自律的に動ける人 チームプレー・介護経験豊富な人 制度理解・相談援助に強い人

居宅ケアマネの特徴

最も一般的なケアマネの働き方で、全国の居宅介護支援事業所に約16万人が従事しています。1日数件の訪問、サービス担当者会議の開催、各事業所との綿密な連絡調整など、ケアマネジメント業務に「純粋に」専念できるのが魅力です。担当件数の逓減制(35件超で報酬減、40件以上でさらに減)があるため、事業所経営上は30〜35件が効率的な運営ラインとされています。

施設ケアマネの特徴

特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、地域密着型特定施設などに配置が義務付けられています。入所者が施設内で生活しているため、日々の状態変化を直接観察できるのが最大の強み。看取り期の入所者に対して、最期までプランを見直し続けるという深いやりがいがあります。一方で、介護職員との兼務や夜勤ローテーションに入るケースもあり、事業所によって働き方の幅が大きいです。

地域包括支援センターの特徴

市町村が設置する「高齢者の総合相談窓口」で、ケアマネジャーは主任介護支援専門員または一般ケアマネとして配置されます。要支援1・2の介護予防ケアマネジメントに加えて、高齢者虐待対応、権利擁護、認知症初期集中支援、地域ケア会議の運営など業務範囲が広く、制度理解と相談援助スキルが求められる上級ポジションです。社会福祉士・保健師とチームを組むため、医療・福祉・介護の連携拠点としての役割を担います。

ケアマネジャーの年収・待遇と2026年6月の処遇改善加算

ケアマネジャーの年収・待遇と2026年6月の大改定

最新データ:常勤ケアマネの平均給与

厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、介護職員等ベースアップ等支援加算を取得している事業所における常勤ケアマネジャーの平均月給は37万5,410円、平均基本給は29万0,340円です。賞与2〜3か月分を加味すると、年収はおおむね約450万円が目安となります。

同調査の職種別比較では、介護職員(33万8,200円)、看護職員(38万4,620円)、生活相談員(35万3,950円)に対して、ケアマネは看護職員に次ぐ水準。介護系職種の中では高給職種と位置づけられます。

年齢別の年収カーブ

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」に基づくケアマネの年齢別年収は以下の通りです。

  • 25〜29歳:338万円
  • 30〜34歳:434万円
  • 35〜39歳:423万円
  • 40〜44歳:428万円
  • 45〜49歳:461万円(ピーク)
  • 50〜54歳:445万円
  • 55〜59歳:442万円
  • 60〜64歳:399万円
  • 70歳以上:355万円

注目すべきは、70歳以上でも355万円の水準を維持している点です。身体介護が主業務ではなく、相談援助と事務作業が中心のため、体力的な負担が少なく高齢になっても続けやすいのがケアマネの大きな強みです。実務経験5年+試験合格+87時間研修というハードルの高さから、60代以降も現役で働ける「介護業界の長期キャリア資格」と言えます。

【重要】2026年6月から居宅介護支援も処遇改善加算の対象に

これまで居宅介護支援(ケアマネ事業所)は介護職員等処遇改善加算の対象外とされており、「現場の介護職より昇給幅が小さい」「逆転現象で資格取得のモチベーションが下がる」という構造的問題が続いていました。

厚生労働省は令和8年度介護報酬改定(臨時改定)において、この課題に対応し、令和8年(2026年)6月1日から居宅介護支援・介護予防支援を処遇改善加算の対象サービスに追加することを正式決定しました(厚労省「介護職員等処遇改善加算等に関するQ&A」令和8年3月)。

主なポイントは以下の通りです。

  • 加算率:居宅介護支援の場合、所定単位数×21/1000(2.1%)
  • 施行時期:令和8年6月サービス提供分から(4月・5月は対象外)
  • 賃金改善要件:加算額の全額を介護支援専門員等の賃金改善に充当
  • キャリアパス要件:任用要件・賃金体系・研修体制・昇給仕組みの整備
  • 年収440万円以上の職員の確保(キャリアパス要件Ⅴ)

この改定により、月額数千円〜2万円程度の基本給または手当の上乗せが見込まれ、長年の課題だったケアマネと介護職員の逆転現象が是正される方向です。2026年6月以降の求人では「処遇改善加算Ⅰ取得」「ベースアップ実施済」などの表記が増えていくと予想されます。

手当・福利厚生

ケアマネの手当は事業所により差が大きいものの、一般的には以下が支給されます。

  • 資格手当:月1万〜2万円
  • 主任ケアマネ手当:月1万〜3万円
  • 役職手当(管理者・主任):月1万〜5万円
  • 通勤手当・住宅手当:事業所規定
  • 居宅ケアマネの場合、社用車貸与またはガソリン代支給

主任介護支援専門員(主任ケアマネ)の資格を取得し、居宅介護支援事業所の管理者になると、年収500万〜600万円も十分に狙えるキャリアパスとなります。

ケアマネジャーに向いている人・必要なスキル

ケアマネジャーは「介護福祉士の上位資格」というイメージが先行しがちですが、実際に現場で求められるスキルは身体介護技術とは大きく異なります。介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」の離職理由・定着要因分析を踏まえ、ケアマネに特に求められる6つの資質をまとめました。

1. 傾聴力と共感力

利用者と家族の「本音」を引き出すのがケアマネの仕事です。認知症で自分の希望を言語化できない高齢者、介護を抱え込んで疲弊した家族、プライドから「困っていない」と言い張る本人。それぞれの背景を汲み取り、本当に必要な支援は何かを見極める力が不可欠です。アセスメントの質がケアプランの質を決めると言われるほど、最初のヒアリングが重要視されます。

2. 多職種との調整力・交渉力

1人の利用者に対し、医師・訪問看護師・リハビリ職・ヘルパー・デイサービス・福祉用具専門相談員・行政・家族と、10以上の関係者が関わることも珍しくありません。それぞれの意見が対立することもあり、全員が納得する着地点を見つけ、サービス担当者会議で合意形成する交渉力が求められます。

3. 介護保険制度の深い理解

介護保険法・施行規則・地域支援事業実施要綱・各種加算算定ルール。ケアマネは日本で最も介護保険制度に詳しい職種と言っても過言ではありません。3年ごとの制度改正、1年おきの報酬見直し、保険者ローカルルールも含めてキャッチアップし続ける必要があり、学び続ける姿勢が欠かせません。

4. 事務処理能力とPCスキル

ケアプラン第1〜3表、サービス利用票・提供票、給付管理票、アセスメントシート、支援経過記録、モニタリング記録。ケアマネは1人の利用者に対して月に20〜30枚の書類を作成します。国保中央会「ケアプランデータ連携システム」や各社の居宅介護支援ソフト(ほのぼの、カイポケ、ワイズマン等)を使いこなすPCスキルも必須。タッチタイピングとExcel・Word基礎は最低限求められます。

5. セルフマネジメント力(特に居宅)

居宅ケアマネは1日の大半を1人で動くため、上司の指示を待たずに自分で優先順位を決め、時間管理し、トラブル時にも自律的に対応する力が必要です。介護労働安定センターの調査でも、ケアマネの離職理由上位に「業務量過多」「緊急対応の負担」が挙がっており、オンオフを切り替える自己管理能力が長く働くためのカギになります。

6. ストレス耐性と感情労働への覚悟

家族間の対立、虐待事案、看取り、利用者の急変、クレーム対応。ケアマネは精神的にタフでなければ務まらない場面が少なくありません。一方で、「利用者の最期まで伴走できた」「家族から感謝された」というやりがいは、他の介護職種以上に大きいのも事実です。

ケアマネジャーの仕事内容に関するよくある質問

Q1. ケアマネジャーは身体介護(入浴・排泄介助など)をしますか?

原則として行いません。ケアマネジャーの業務は介護保険法上「居宅介護支援」「介護予防支援」「施設サービス計画の作成」に限定され、直接介護は業務範囲外です。ただし施設ケアマネで介護職員と兼務している場合や、緊急時の対応として例外的に行う場面はあります。

Q2. ケアマネジャーは残業が多い職種ですか?

月初(1〜10日)の給付管理期間は残業が発生しやすい一方、月中は比較的定時で帰れる事業所が多いです。介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査」によれば、介護支援専門員の月平均残業時間は9.4時間で、他の介護職よりやや多い程度にとどまります。事業所によって差が大きいため、面接時に月末月初の勤務実態を確認することが重要です。

Q3. ケアマネジャーは何人まで担当できますか?

居宅ケアマネは常勤1人あたり44件まで、ただし35件を超えると報酬が逓減する「逓減制」が適用されます。施設ケアマネは100件まで担当可能です。地域包括支援センターの介護予防ケアマネジメントは明確な上限はありませんが、1人あたり40件程度が実質的な運用基準となっています。

Q4. ケアマネジャーは夜勤がありますか?

居宅ケアマネと地域包括支援センターのケアマネには原則夜勤はありません。一方、施設ケアマネで介護職員と兼務している場合は、夜勤シフトに入るケースもあります。夜勤を避けたい場合は、求人票で「ケアマネ専従」「兼務なし」の表記を確認しましょう。

Q5. 未経験からいきなりケアマネジャーになれますか?

なれません。介護支援専門員実務研修受講試験を受けるには、介護福祉士などの国家資格を持ち、当該資格に基づいて5年以上かつ900日以上の実務経験が必要です。最短ルートでも「介護福祉士取得→実務経験5年→試験合格→87時間研修修了」となり、介護業界未経験からは最低でも8〜9年かかります。

Q6. 主任ケアマネとの違いは何ですか?

主任介護支援専門員(主任ケアマネ)は、ケアマネとして実務経験5年以上かつ所定の研修(70時間)を修了した上位資格です。居宅介護支援事業所の管理者は2027年4月から主任ケアマネであることが義務付けられており、地域包括支援センターの配置要件にも含まれます。手当は月1〜3万円程度上乗せされるのが一般的です。

Q7. ケアマネジャーの将来性は?AIに代替されませんか?

ケアプラン作成の一部業務はAI化が進んでいますが、本人・家族の心情を汲み取る対人援助業務はAIでは代替不可能です。厚生労働省の将来推計では、2040年には介護保険利用者が現在の1.3倍に増加する一方、ケアマネ試験受験者数は減少傾向で慢性的な人材不足が予想されています。資格の希少性と業務の専門性から、将来性の高い職種と言えます。

参考文献・出典

  • [1]
    令和6年度 介護従事者処遇状況等調査結果の概要- 厚生労働省

    ケアマネジャー・介護職員等の平均月給・基本給・処遇改善加算の算定状況

  • [2]
    令和6年 賃金構造基本統計調査- 厚生労働省

    介護支援専門員の年齢別・勤続年数別の平均賃金データ

  • [3]
    介護職員等処遇改善加算等に関するQ&A(令和8年度改定対応)- 厚生労働省

    令和8年6月から居宅介護支援が処遇改善加算の対象サービスに追加されたことに関する公式通知

  • [4]
    介護支援専門員(ケアマネジャー)の業務- 厚生労働省 老健局

    ケアマネジャーの定義・業務内容・資格要件の公式説明資料

  • [5]
    令和5年度 介護労働実態調査- 介護労働安定センター

    介護支援専門員の労働条件・離職理由・業務負担の実態調査

  • [6]
    介護支援専門員(ケアマネジャー)職業情報- WAM NET(独立行政法人福祉医療機構)

    ケアマネジャーの従業者数・就業先・資格取得ルートの公式解説

関連する公的データ(本文の補足)

ケアマネジャーの給与データから見るポイント

介護支援専門員(月給・常勤)の平均給与は月375,410円です(厚生労働省 令和6年度介護従事者処遇状況等調査、令和6年9月時点)。前年同月から11,650円増えています。介護職員の平均338,200円と比べると約3.7万円高い水準です。賞与等を含まない毎月の平均基本給等は290,340円です。

興味深いのは、ケアマネ資格を保有したまま介護職員として働く人の平均給与が388,080円と、ケアマネ職の平均を上回っている点です(平均勤続14年と長いベテラン層が中心)。資格取得後に専任になるか現場と兼務するかで、給与の構成も水準も変わります。

職種平均月給平均基本給等介護支援専門員との差
看護職員384,620円290,590円+9,210円
介護支援専門員375,410円290,340円基準
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士又は機能訓練指導員362,800円286,820円-12,610円
生活相談員・支援相談員353,950円277,800円-21,460円
介護職員338,200円253,810円-37,210円

現場側の基準線として、介護職員の平均給与は保有資格で分かれます(介護福祉士350,050円、初任者研修324,830円、無資格290,620円)。職種間の比較は、この資格差を踏まえて自分の現在地から測ると正確になります。

複数の資格・研修を比べるときは平均給与の実数差も判断材料になります。初任者研修324,830円、実務者研修327,260円、介護福祉士350,050円という並びは、どこまで取り切るかの費用対効果を示しています。

ケアマネジャーは夜勤が基本的に無く、平均基本給等の比率が高い職種です。夜勤手当込みの介護職平均と額面だけで比べず、基本給と手当を分けて見るのがポイントです。資格取得の価値は、試験や研修の難しさだけでなく、その後にどの施設タイプ・地域で条件を伸ばせるかで変わります。

出典: 厚生労働省 令和6年度介護従事者処遇状況等調査(令和6年9月時点・月給・常勤の者・介護職員等処遇改善加算取得事業所)。平均給与額は基本給・手当・一時金(4〜9月支給額の1/6換算)の合計。「実務者研修」は介護職員基礎研修・ヘルパー1級を、「初任者研修」はヘルパー2級を含む区分です。調査ごとに母集団・集計定義が異なるため、数値は水準の目安として参照してください。

まとめ|ケアマネジャーは介護保険制度の「かなめ」

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、ケアプラン作成・モニタリング・給付管理の3大業務を軸に、利用者・家族・多職種・行政をつなぐ介護保険制度の中核職種です。居宅・施設・地域包括支援センターの3つの勤務先にはそれぞれ異なる魅力があり、担当件数・業務内容・休日・年収体系も大きく異なります。

常勤の平均年収は約450万円と介護系職種の中では高水準で、70歳以上でも355万円を維持できる長期キャリア資格である点は大きな魅力です。さらに2026年6月からは居宅介護支援も処遇改善加算の対象となり、加算率2.1%(月額数千円〜2万円の賃金改善)が見込まれるなど、待遇面での追い風も吹いています。これまで介護職員と比較して昇給幅が小さいと指摘されてきたケアマネの処遇が、ようやく制度面から引き上げられる大きな転換点と言えるでしょう。

一方で、受験資格(実務経験5年・900日)、合格率約32%の試験、87時間の実務研修、5年ごとの更新研修と、取得・維持のハードルは決して低くありません。それでもなお、「現場の介護経験を活かして、もう一段広い視点で高齢者と家族を支えたい」という想いがある方にとって、ケアマネジャーは最適なキャリアステップです。地域包括ケアシステムの推進、2040年に向けた介護需要の拡大、ケアプランデータ連携システムなどのICT化の進展。これらの潮流はいずれもケアマネの役割をより重要なものにしていくと予想されます。

本記事で紹介した居宅・施設・地域包括それぞれの1日の流れと業務特性、3大業務のサイクル、年齢別の年収カーブ、2026年6月の処遇改善加算対応を参考に、自分に合った働き方を見つけてください。ケアマネジャーの取得方法や受験対策、給料を上げる具体的な方法、主任ケアマネへのステップアップについては、関連記事も併せてご覧ください。あなたのキャリアの次の一歩が、より良い介護現場づくりにつながることを願っています。

医療・健康情報に関する免責事項

本記事は、介護現場で働く方および介護職への転職を検討される方に向けた一般的な情報提供を目的としており、 個別の症状に対する医学的な診断・治療を行うものではありません。

ご本人・ご家族の症状やケア方法について判断が必要な場合は、必ず医師・看護師・薬剤師・言語聴覚士・理学療法士・作業療法士等の有資格者にご相談ください。 介護保険サービスの利用判断についてはケアマネジャー、行政手続きについては各市区町村の窓口にお問い合わせください。

掲載情報は公開時点の各種公的資料・業界資料に基づき作成していますが、最新の制度・診療ガイドライン等と異なる場合があります。

公開日: 2026年4月6日最終更新: 2026年6月13日

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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介護現場のTips

  • 区分支給限度基準額を『使い切らない』方が良い3つのケース

    ケアプラン作成で「限度額を上限まで使うべき」は誤解。意図的に余裕を残すべき3つのケースを共有する。

    1. 本人の心身状態が変動期: 状態悪化で急遽サービス追加が必要になる可能性が高いとき。限度額の20%程度は余白を残し、ショート利用などに即対応できる態勢を作る
    2. 家族介護者が燃え尽き気味: 急にレスパイトが必要になる可能性。月1回のショート想定で5〜10万円分を予備に
    3. サービス事業者の人員不足が常態化: 想定通りに訪問が入らないケースが続いているとき。代替事業所手配のための「予備」として残しておく

    2024年改定で区分支給限度基準額は要介護1で167,650円→167,650円のまま(地域区分による加算は変動)。多くのケアマネが「使い切る方が利用者の満足度が高い」と考えがちだが、実は『有事のバッファ』を意識的に残すケアプランこそ、長期的な利用者・家族の安心につながる。担当者会議でも『今後の変動余地』として説明すると合意を得やすい。

  • モニタリング訪問の質を上げる5つの質問

    居宅介護支援のモニタリング訪問は月1回以上が義務だが、形骸化しやすい。経験豊富なケアマネが必ず聞く5つの質問を共有する。

    1. 「最近、新しく困ったことはありますか?」 — 前回プランで想定していなかった生活変化を拾う
    2. 「この1か月で笑った場面は?」 — QOL・社会性の状態をネガティブ質問なしで測る
    3. 「お薬で気になることは?」 — ポリファーマシー・服薬アドヒアランスの問題発見
    4. 「ご家族の体調はいかがですか?」 — 介護者の燃え尽き・体調変化を早期発見、ヤングケアラー・ビジネスケアラーの兆候もここで
    5. 「もし入院することになったら、何が心配ですか?」 — ACP・人生会議の素材になる

    これらは厚労省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスガイドライン」の対話モデルとも整合する。30分の訪問でも5問すべて回せば、サービス担当者会議で出す素材が一気に増える。

  • 居宅介護支援を月途中で変更する3パターンと『日割り計算』の落とし穴

    ケアマネ事業所の変更は月途中でも可能だが、介護報酬の日割り請求ルールを理解しないと利用者・事業所双方が混乱する。

    月途中変更の3パターン:

    1. 同月内変更(推奨されない): 同月内に新旧事業所が並立すると、両事業所が請求できない(1人1月1事業所原則)。新事業所が当月末日に契約→翌月1日から開始の形で進めるのが安全。
    2. 月末→翌月1日切替: 最も一般的。前月末日に旧契約終了、翌月1日新契約開始。情報引き継ぎは利用者同意の元、ケアマネ間で口頭+書面で実施。
    3. 緊急時の中途変更: 旧ケアマネの病気・事業所閉鎖・トラブル等で月途中に変更が必要な場合、市区町村介護保険課に事前相談。日割り計算の特例適用を確認する。

    新ケアマネへの引き継ぎ書類は『最新のケアプラン(第1〜7表)、サービス担当者会議録、モニタリング記録、アセスメントシート、フェイスシート、利用票・提供票』が標準。利用者の同意書(個人情報提供)を必ず取得すること。

    サービス事業所への連絡も同時に必要で、利用者本人・家族への説明、新ケアマネの連絡先共有、緊急時対応の周知を欠かさないこと。

  • ケアマネ試験は『平日1.5h+土日4h=週11時間』が現実線|半年で264時間の時間割

    ケアマネジャー試験は受験要件で実務経験5年が必要なため、ほぼ全員が働きながら勉強します。週末まとめてではなく毎日少しずつ積む方が合格率が高い、というのが受験経験者の共通見解です。

    目安は週11時間×24週=264時間。介護支援分野が苦手な人は+30時間。平日1.5時間の積み方が継続のカギです。

    • 出勤前30分:過去問1単元(前日夜の復習も兼ねる)
    • 昼休み30分:用語暗記カードかスマホアプリ
    • 就寝前30分:間違えた問題のテキスト読み込み
    • 土日は2時間×2回:4時間連続より集中が続く。1回は模試形式

    同僚や家族と1問ずつ出し合うと、ケアマネ独特の制度用語(介護保険給付・予防給付・基本報酬・加算)が早く定着します。仕事帰りのスキマ時間に過去問アプリを開く癖がついた人ほど合格に近づきます。直前1ヶ月は新規分野に手を出さず、既習範囲の精度を上げる方が点数が伸びます。

  • 退院前カンファレンスでケアマネが聞く5つの医療情報|服薬・処置・予後・キーパーソン・緊急連絡

    退院前カンファレンスはケアマネの情報収集の最大機会。30〜60分の限られた時間で、在宅生活の継続性を担保する5項目を必ず聞く。

    1. 服薬リストと変更履歴:入院前後で何が変わったか。一包化の有無、自己管理可否を医師・薬剤師に確認。
    2. 医療処置の継続範囲:吸引・経管栄養・インスリン注射等の手技と頻度。介護職が対応可能な処置か、訪問看護が必要か判断。
    3. 主治医の予後見立て:「3ヶ月でADL改善」「1年以内に再入院の可能性」など、ケアプランの時間軸を決める材料。
    4. キーパーソンの介護力:同居家族の有無、就労状況、夜間対応の可否。これでサービス利用頻度の設計が変わる。
    5. 緊急時連絡先と判断基準:「どんな症状で誰に連絡するか」を退院前に決めておくと夜間トラブルが激減する。

    5項目をテンプレ化して持参すると、聞き漏らしがなくなる。退院後7日以内のサービス開始がスムーズになる。

ケアマネジャー(介護支援専門員)の仕事内容|1日の流れ・年収・居宅vs施設の違い【2026年版】
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