認知症の性的逸脱行動・脱抑制への対応|介護職の専門的な理解と職員を守る仕組み
介護職向け

認知症の性的逸脱行動・脱抑制への対応|介護職の専門的な理解と職員を守る仕組み

認知症(特に前頭側頭型)に伴う性的逸脱行動・脱抑制への対応を介護職向けに解説。背景アセスメント、その場の距離の取り方と言い換え、担当交代・複数対応、記録と多職種連携、そして被害を受けた職員を組織で守る仕組みまで。本人の尊厳と職員保護を両立する実務フレーム。

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この記事のポイント

認知症の性的逸脱行動(不適切な接触・露出・卑猥な発言など)は、多くが「脱抑制」というBPSD(行動・心理症状)の一つで、前頭側頭型認知症に特に多く見られます。本人の隠れた性格ではなく脳の障害や不安・孤独の表れとして背景をアセスメントし、その場は毅然と短く距離を取り、担当交代や複数対応・記録・多職種連携で対応します。同時に、厚生労働省のハラスメント対策マニュアルは、こうした言動を受けた職員を一人で抱え込ませず組織で守ることを求めています。本人の尊厳と職員の安全は、どちらか一方ではなく両方を守るものです。

目次

介護の仕事をしていて、利用者から体を触られたり、卑猥な言葉を投げかけられたり、露出を見せられたりして、強い戸惑いや嫌悪感を覚えた経験のある人は少なくありません。とくに経験の浅い職員や女性職員にとっては、「自分が悪いのだろうか」「大げさに騒いではいけないのではないか」と一人で抱え込みやすい場面です。

この記事では、認知症、とりわけ前頭側頭型認知症に伴う性的逸脱行動・脱抑制を、感情的に断罪するのでも、我慢して受け流すだけでもなく、専門職として理解し対応するための考え方と具体的な手順を整理します。前半では「なぜその言動が起きるのか」という背景のアセスメントとその場での関わり方を、後半では被害を受けた職員を組織としてどう守るか、そして本人の尊厳と職員の安全をどう両立させるかを扱います。

大切な前提を一つだけ先に伝えます。認知症の症状としての性的言動であっても、それを受けた職員が傷つく現実は変わりません。厚生労働省のハラスメント対策マニュアルも、症状として理解しつつ職員の安全は別に守ると明記しています。「症状だから仕方ない」で職員の心を置き去りにしないことが、この記事の芯にある考え方です。

性的逸脱行動とは何か|多くは「脱抑制」というBPSDの一つ

認知症の人にみられる性的逸脱行動とは、介護者や他の利用者に対して卑猥な発言を繰り返したり、必要のない場面で体に触れたり、人前で性器を露出したり自慰行為をしたりする言動を指します。看護・介護の専門書では、こうした行動は認知症の人の一定割合にみられると報告されており、決してまれな現象ではありません。

最も重要な理解は、これらの多くが「脱抑制(だつよくせい)」と呼ばれるBPSD(認知症の行動・心理症状)の一つだということです。脱抑制とは、本来なら理性で抑えている欲求や衝動を、その場や相手にふさわしいかどうかを判断できないまま行動に移してしまう状態を指します。日本老年医学会などの整理では、BPSDのうち「易刺激性・焦燥・興奮・脱抑制など活動性の亢進が強くかかわる症状」の一群に位置づけられ、性的逸脱行為はこの脱抑制の症状の一つとされています。

「隠れた性格」ではなく、脳の障害として捉える

性的逸脱行動に直面したとき最も陥りやすい誤りは、「この人はもともとこういう下品な性格だったのだ」「隠していた本性が出た」と解釈してしまうことです。脳の社会性を司る部位(前頭葉など)に器質的な変化が起こると、それまで真面目だった人が万引きをしたり、周囲を困惑させる言動をとったりすることが知られています。つまり、今までそんなことをしなかった人が認知症になって急に性的言動を見せるようになったなら、それは本人の人格ではなく脳の病変の影響を第一に考えるべきです。

心理的な背景も無視できない

一方で、脱抑制だけがすべてではありません。専門家は、認知症の人の性的言動の背景に、不安・孤独感・疎外感がしばしばあると指摘しています。パーソンセンタードケアを提唱したトム・キットウッドは、性的行動を「なぐさめ(comfort)」のニーズの表れ、つまり喪失感に対処するために誰かと親密になって安心を得ようとする欲求としても解釈できると述べました。「自分を認めてほしい」「人の温もりがほしい」「不確かになった自分を確認したい」というメッセージが、性的な形で表出していることがあるのです。だからこそ、触れてきた手を退けても、そのあとに楽しいやりとりが一つあれば場が和むということが起こります。

前頭側頭型認知症で特に目立つ理由|タイプ別の出やすさ

性的逸脱行動・脱抑制がとくに前面に出やすいのが、前頭側頭型認知症(FTD、旧称ピック病)です。前頭葉と側頭葉が萎縮するこのタイプでは、記憶障害よりも先に「社会的に適切なふるまいを保つ力」が失われるため、脱抑制・反社会的行動・常同行動・食行動の異常などが目立ちます。若年(40代〜60代)で発症することもあり、指定難病にも位置づけられています。

アルツハイマー型認知症が「新しいことを覚えられない」記憶障害から始まるのに対し、前頭側頭型では記憶は比較的保たれたまま、我慢や気配りといった抑制の機能が先に崩れます。この違いを知っておくと、「記憶ははっきりしているのに、なぜこんな言動を」という現場の戸惑いを、脳の障害の型として理解しやすくなります。

タイプ別に整理する

認知症のタイプ性的逸脱・脱抑制の出やすさ特徴と関わりの手がかり
前頭側頭型(FTD・ピック病)とくに出やすい抑制が先に崩れる。常同行動(決まった時間・順序の行動)を活かしてルーティン化すると落ち着きやすい
アルツハイマー型中程度見当識障害から相手や状況を取り違える。不安・孤独が背景にあることが多い
レビー小体型比較的少ない幻視・認知の変動が主。性的言動より幻視への対応が中心になりやすい
血管性まだら/変動感情のコントロール低下(感情失禁)と重なることがある

ただしタイプの推定はあくまで手がかりであり、診断は医師の役割です。現場で大切なのは「このタイプだからこう対応する」と決めつけることではなく、脳の障害の型を念頭に置きつつ、目の前の一人ひとりの背景を丁寧にひもとくことです。

背景をアセスメントする|脱抑制・身体・薬剤・環境の5視点

性的逸脱行動は「起きたその瞬間の対応」以上に、「なぜ起きるのか」を先回りしてアセスメントすることで大きく減らせます。厚生労働省のマニュアルや専門書が共通して示すのは、BPSDの程度には脳の病変・身体の健康状態・生活歴・生来の性格・周囲の関わりの五つが影響するという整理です。以下の視点で背景を点検します。

1. 脳の障害(医学的背景)

前頭側頭型など脱抑制が出やすいタイプか、急に始まった変化か。急な発症は脳の病変や、せん妄・薬剤の影響を疑う手がかりになります。

2. 身体的な要因

陰部のかゆみ・湿疹・尿路感染・便秘などの不快感が、陰部を触る・服を脱ぐといった行動に見える形で表れていないか。痛みや不快を言葉で訴えられない代わりの行動であることは珍しくありません。「性的行動」と見えたものが実は身体的サインだったという例は現場に多くあります。

3. 薬剤の影響

一部の薬(例えばパーキンソン病治療に用いるドパミン作動薬など)は、まれに衝動制御障害や性的亢進に関与することが知られています。急な変化があれば、処方内容を医師・薬剤師と確認する価値があります。

4. 心理・環境要因

不安・孤独・退屈・欲求不満、入院や入所などの環境変化、日中の活動量の不足。これらが背景にあるとき、性的言動は「かまってほしい」「安心したい」というニーズの表れであることがあります。日中の運動量を増やし、趣味や役割に没頭できる時間をつくると、エネルギーが別の方向に向かい落ち着くことがあります。

5. 生活歴・世代背景

若い頃から異性への働きかけを当たり前としてきた世代であること、その人にとって性的言動が「親しみを示すツール」だった時代を生きてきたことも考慮します。人格を責めるのではなく、その人の歴史の延長として理解する視点です。

これらを一つずつ確認し、原因についての仮説を立ててケアプランに反映していく。これが、その場しのぎではない専門的な対応の出発点です。

その場での対応|距離・トーン・言い換えで安全に切り抜ける

背景の理解は大切ですが、実際に触られたり卑猥な言葉をかけられたりしたその瞬間には、まず自分の安全と落ち着きを確保する必要があります。次の順序を目安にします。

1. 一度、物理的に距離を取る

触れてきた手をそっと取って戻す、半歩下がる、体の向きを変える。密室で一対一の状況なら、いったんその場を離れて呼吸を整えることも立派な対応です。無理をして受け続ける必要はありません。専門書も「直面して嫌悪感を覚えたら無理をせず場を外す」ことを勧めています。

2. 短く、毅然と、しかし責めずに伝える

長い説教や叱責は逆効果です。認知症の人は言われた内容は忘れても「怒られた」という嫌な感情だけが残り、次の関わりを難しくします。「その手は握手にしましょうね」「用があるときは名前で呼んでください」のように、短く穏やかに、してほしい行動のほうを伝えます。一呼吸おいて「そういうことをされると、お世話を続けにくくなります」と静かに伝えるのも一つの方法です。

3. 言い換えて、別の関わりに置き換える

否定して終わるのではなく、その人が求めている「つながり」を安全な形に置き換えます。触れてきた手を取って「どうされましたか」と用件を尋ねる、昔の思い出話に耳を傾ける、お茶に誘う、役割をお願いする。性的行動は拒否しても、その人自身は拒否しない。この姿勢が、本人の尊厳を守りながら行動を減らすことにつながります。

4. 話題と注意をそらす

前頭側頭型など切り替えの難しい人でも、別の刺激に注意を向けると行動が止まることがあります。プライドを傷つけない範囲で話題を変える、好きな作業や場所に誘導する、といった穏やかな注意転換が有効です。

やってはいけない対応

  • 強く叱る・大声で咎める(「怒られた」感情だけが残り関係が悪化)
  • 笑ってあいまいに受け流し続ける(本人には容認と伝わり、職員の負担も蓄積する)
  • 「あなたの気のせい」と本人・職員の感覚を否定する
  • 一人で我慢して報告しない(後述のとおり、最もしてはいけない対応)

場面別・責めずに距離を取る言い換え早見表

その場での言葉選びは、慣れないうちほど固まってしまいます。よくある場面ごとに、責めずに距離を取る言い換えの例を用意しておくと、とっさのときに動けます。

場面避けたい反応言い換え・対応の例
体に触れてくる「やめてください!」と強く叱る/固まって受け続ける手をそっと取り戻し「握手にしましょうね。どうされましたか」と用件へ向ける
卑猥な発言を繰り返す言い返す・議論する「そのお話はここまでにしましょう」と短く区切り、好きな話題や作業へ切り替える
入浴・排泄介助中の言動その場で一人で対応し続けるあらかじめ同性介助や複数対応を設定。手早く終える段取りにしておく
特定の職員に付きまとうその職員が我慢して抱える担当を交代し、複数名で関わる体制に変える
露出・自慰行為人前で強く注意して辱めるさりげなく個室・落ち着ける場所へ誘導し、衣服やタオルで整える。かゆみ等の身体要因も確認

共通するのは、行動そのものは受け入れずに区切りをつけつつ、その人の存在は否定しないという線引きです。言い換えの引き出しをチームで共有しておくと、経験の浅い職員も一人で立ち尽くさずにすみます。

職員を一人で抱え込ませない|厚労省マニュアルが示す組織の責任

ここからが、この記事で最も伝えたい部分です。認知症の症状としての性的言動であっても、それを受けた職員が傷つく事実は消えません。厚生労働省の「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」は、この点をはっきりと整理しています。

「症状だから我慢」ではない|厚労省マニュアルの整理

マニュアルは、認知症のBPSDによる言動は「ハラスメント」ではなく医療的なケアでアプローチすべきものと位置づけつつ、同時に次のように明記しています。「BPSDとしての暴言・暴力であっても、職員の安全に配慮する必要があることには変わりがない」「ハラスメント対策とは別に、対応を検討する必要がある」。つまり、原因が症状か迷惑行為かを分けることと、職員を守ることは別の話であり、症状であることを理由に職員の傷つきを置き去りにしてはいけない、という立場です。

そしてマニュアルは、暴言・暴力・性的言動を受けたとき「職員が一人で問題を抱え込まず、上長や施設・事業所へ適切に報告・共有できるようにすることが大切」と繰り返し述べています。報告・共有の場は、責任追及の場ではなく、どうケアするかのノウハウを共有する機会でもあります。

一人で抱え込ませない仕組みをつくる

  • 報告のハードルを下げる:「これくらいで報告していいのか」と迷わせないため、性的言動は必ず記録・共有する対象だと事前に周知する。相談したことでプライバシーが守られると明示する。
  • 担当交代・複数対応を制度にする:特定の職員に向かう場合は担当を替え、二名以上で関わる。密室での一対一を避ける。専門書も、対象が異性に向かうときは介助者を替える・同性が介助することで負担が減り、本人も落ち着くことがあると述べています。
  • シフトへの配慮:被害を受けた職員をその利用者から一時的に外す、夜勤や単独訪問の組み合わせを見直すなど、シフトで守る。
  • 上司も一人で抱えない:報告を受けた上長がさらに一人で抱え込まないよう、施設・事業所として組織的に対応する。

ハラスメントとしての整理と法的視点

令和3年度の介護報酬改定で、すべての介護事業者にハラスメント防止のための必要な措置が求められるようになりました。利用者やその家族からのセクシュアルハラスメントも、事業主が雇用管理上の措置を講じるべき対象に含まれます。認知症の症状か否かの判断は施設だけで抱えず、主治医(かかりつけ医)やケアマネジャーの意見も確認しながら組織として行う、というのがマニュアルの示す手順です。「症状としてケアする」ことと「職員を守る措置を講じる」ことは、両立させるべき二本の柱です。

記録の取り方と多職種連携|事実と解釈を分けて残す

性的逸脱行動への対応では、記録が二つの役割を果たします。一つはケアの質を高める手がかりとして、もう一つは職員を守る客観的な事実として。感情的な描写や解釈を避け、事実と解釈を分けて残すのが基本です。

事実と解釈を分けて書く

  • いつ・どこで・どんな場面で:時刻、場所、直前に何をしていたか(入浴介助中、夕方の手持ち無沙汰な時間帯 など)。
  • 何が起きたか(事実):「右手で職員の腕に触れた」「〜という発言があった」と、見たまま聞いたままを書く。「わざと」「いやらしく」などの評価語は避ける。
  • どう対応し、どうなったか:職員がとった対応と、その後の本人の様子。
  • 考えられる背景(解釈):事実とは分けて、仮説として記す(例:入浴で不安が高まった可能性、退屈な時間帯に集中しやすい など)。

こうした記録が積み重なると、「夕方に多い」「特定の介助場面で起きやすい」といったパターンが見え、先回りの環境調整につながります。同時に、担当交代やシフト配慮、必要な場合の契約上の対応を組織が判断するための根拠にもなります。

多職種・医療につなぐ

急な変化、身体的要因の疑い、薬剤変更後の出現などがあれば、看護師・主治医・薬剤師・ケアマネジャーへ共有します。認知症疾患医療センターやもの忘れ外来など専門外来を相談先として活用することもできます。薬物療法はあくまで環境とケアの見直しを尽くしたうえでの選択肢であり、「困ったからまず薬」ではなく、非薬物的な対応を先に検討するのが原則です。

対応した職員自身の心のケア|あなたの嫌悪は正当な感覚

最後に、対応した職員自身の心のケアについてです。性的な言動を向けられた経験は、たとえ「症状だ」と頭で理解していても、嫌悪感・恐怖・自己嫌悪として残ることがあります。とくに若手や女性職員は「自分の対応が悪かったのでは」と自分を責めがちです。

  • あなたの感じた嫌悪や不安は正当です。専門書も、性にかかわる感じ方は一人ひとり異なり、その人の気持ちを尊重して一緒に対処法を考える姿勢が必要だと述べています。「平気な顔をしなければ」と我慢する必要はありません。
  • まず話す。抱え込まない。同僚・先輩・上司に事実と気持ちを共有するだけでも負担は軽くなります。相談は弱さではなく、専門職として正しい手順です。
  • 組織に守られる権利がある。担当交代やシフト配慮を求めてよい。それは「わがまま」ではなく、事業者の措置義務にもとづく当然の配慮です。
  • 相談先を知っておく。事業所内の相談窓口のほか、都道府県の労働相談窓口や、UAゼンセン日本介護クラフトユニオンなどの労働組合の相談窓口も利用できます。

本人の尊厳を守ることと、あなた自身が守られることは、どちらかを我慢して成り立つものではありません。両方を守れる職場をつくることが、結果として利用者への安定したケアにもつながります。

よくある質問(FAQ)

Q. 認知症の性的言動は「セクハラ」として扱ってよいのですか?

厚生労働省のマニュアルは、認知症のBPSDによる言動は「ハラスメント」ではなく医療的なケアでアプローチすべきものと整理しています。ただし、それは「職員が我慢すべき」という意味ではありません。同マニュアルは、症状であっても職員の安全配慮は別に必要であり、ハラスメント対策とは別に対応を検討すると明記しています。症状か迷惑行為かの判断は、主治医やケアマネジャーの意見も踏まえて組織として行います。

Q. 笑って受け流すのが「大人の対応」ではないのですか?

あいまいに受け流し続けることは、本人には容認と伝わって行動を強化し、職員の負担も蓄積させます。行動そのものは短く毅然と区切りつつ、その人自身は否定しない。この線引きが専門的な対応です。

Q. 強く叱ってやめさせてはいけないのですか?

強い叱責は逆効果になりやすいです。認知症の人は言われた内容は忘れても「怒られた」という不快な感情は残り、次の関わりを難しくします。短く穏やかに、してほしい行動のほうを伝えるのが基本です。

Q. 特定の職員にばかり向かう場合はどうすればよいですか?

担当を交代し、複数名で関わる体制に変えるのが基本です。専門書も、対象が異性に向かうときは介助者を替える・同性が介助することで負担が減り、本人も落ち着くことがあると述べています。一人で抱え続けさせないことが組織の役割です。

Q. 急に性的言動が出るようになりました。何を疑うべきですか?

急な変化は、脳の病変の進行だけでなく、せん妄、身体的不快(陰部のかゆみ・尿路感染・便秘など)、薬剤の影響が背景にあることがあります。看護師や主治医・薬剤師に共有し、身体面と処方を確認する価値があります。

Q. 家族に伝えるべきでしょうか?

背景の理解や医療との連携のために家族・ケアマネジャーと共有することは有効です。ただし本人を責める形での告げ口にならないよう、事実と対応・今後の方針を落ち着いて共有する姿勢が大切です。

参考文献・出典

まとめ|本人の尊厳と職員の安全は、両方を守るもの

認知症の性的逸脱行動・脱抑制は、本人の隠れた人格ではなく、多くが脳の障害と不安・孤独の表れとしてのBPSDです。だからこそ、感情的に断罪しても、我慢して受け流しても、根本の対応にはなりません。専門職としてできるのは、背景(脱抑制・身体・薬剤・環境・生活歴)をアセスメントし、その場は短く毅然と距離を取り、言い換えで安全なつながりに置き換え、記録と多職種連携で先回りしていくことです。

そしてもう一つの柱が、対応する職員を組織で守ることです。厚生労働省のマニュアルが示すとおり、症状であることと職員の安全を守ることは両立させるべき別の話です。一人で抱え込ませない、担当交代や複数対応・シフトで配慮する、報告と相談を当たり前にする。本人の尊厳と職員の安全は、どちらか一方を犠牲にするものではなく、両方を守ってはじめて、利用者にも安定したケアが届きます。もし今、一人で抱えているなら、それを声に出すことが最初の一歩です。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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