
認知症の暴言・暴力・興奮への対応|介護職が引き金を減らし身を守るケアの実務
施設で介護職が認知症の暴言・暴力・興奮(攻撃的BPSD)にどう対応するかを実務目線で解説。不安・痛み・急かし・環境など引き金のアセスメント、興奮時のde-escalation、職員の安全確保、チーム共有と記録、薬の前に環境とケア、職員のメンタルケアまで。
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この記事のポイント
認知症の暴言・暴力・興奮は本人の意地悪ではなく、不安・痛み・急かしすぎ・落ち着かない環境などが引き金になって起こる攻撃的なBPSDです。介護職の対応は、薬や力で抑える前に、第一に引き金をアセスメントして減らすこと、興奮時は距離をとり声のトーンを落として刺激を減らし一度引くこと、職員の安全を確保し、起きたことを記録して上司・看護師・医師とチームで共有すること。一人で抱え込まず組織で対応するのが原則です。
目次
認知症のある利用者から「触るな」「泥棒」と怒鳴られたり、入浴や排泄の介助中に叩かれたり、つかまれたりする。介護の現場では珍しいことではありません。厚生労働省の調査では、利用者からハラスメント(身体的・精神的暴力等)を受けた経験のある職員は、サービス種別により利用者からで4〜7割にのぼり、入所・入居施設では身体的暴力・精神的暴力のいずれも高い傾向にあります(厚生労働省「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」)。けがや病気になった職員は1〜2割、仕事を辞めたいと思ったことのある職員は2〜4割に達します。
ただし、認知症の症状として現れた暴言・暴力は「ハラスメント」として線を引くものではなく、医療的なケアでアプローチすべき対象だと同マニュアルは明記しています。本人の脳の働きや体調、私たちの関わり方が引き金になっていることが多く、関わり方を変えれば減らせる余地があります。この記事では、施設で働く介護職が、認知症の暴言・暴力・興奮にどう向き合うかを「予防(引き金を減らす)」「興奮したそのとき(その場をしのぐ)」「そのあと(記録・共有・自分のケア)」の流れで実務目線でまとめます。
なぜ暴言・暴力・興奮が起きるのか|本人の意地悪ではない
認知症の暴言・暴力・興奮は、BPSD(認知症の行動・心理症状)のうち「過活動・攻撃的行動」と呼ばれるものです。物を投げる、大声を出す、暴れる、叩く・かむ・引っかく、職員をつかんで離さないといった形で現れます。大切な前提は、これらが本人の性格の悪さや意地悪ではなく、感情を抑える前頭葉の働きの低下に、不安・体調・環境などの要因が重なって起こるということです。
主な引き金(背景要因)
認知症介護や老年精神医学の整理では、攻撃性の背景には次のような要因が重なります。
- 不安・混乱:ここがどこか、目の前の人が誰か分からず、強い不安や心細さを抱えている。介助の意味が理解できないまま服を脱がされる、体を動かされると、身を守るために抵抗が出る。
- 自尊心が傷つく:失敗を指摘される、できないことを試すように確認される、子ども扱いされると、プライドが傷つき怒りに変わる。良かれと思った一言が引き金になることも多い。
- 体の不調・痛み:便秘・脱水・発熱・尿路感染・どこかの痛みなど、本人がうまく訴えられない不快が、いらだちや攻撃性として表れる。
- 過剰な介助・急かし:本人のペースを無視して強引に、画一的にケアを進める、嫌がることを必要以上に行う関わりは、安心感や職員への信頼を一度に損ない、ケアをさらに困難にする。
- 環境のストレス:騒音・照明・温度、他の利用者の視線や言動、職員のあわただしい動きなど、適切に処理できない情報が不安をあおり、抗議の手段として興奮・暴言・暴力に発展する。
- 薬剤の影響・せん妄:一部の薬剤が易怒性や活動性の亢進を招くことがある。また、感染・脱水・薬などで起こる「せん妄」は急な混乱として現れ、BPSDとは区別して身体面の確認が必要になる。
つまり攻撃性は「結果」であって、その手前に必ず本人なりの理由や引き金があります。これを探すことが、介護職の対応の出発点になります。
予防が9割|引き金をアセスメントして減らす
暴言・暴力への最善の対応は、起きてから抑えることではなく、起きにくくすることです。認知症介護研究・研修センターの実践指針は、「興奮・暴言・暴力がある場合、その引き金になっている状況をアセスメントすることが基本」とし、「その人の目線や位置から何が見えるのか、何を感じるのかを考えてみる必要がある」と述べています。記録(5W1Hで、いつ・どこで・誰の関わりで・直前に何があって起きたか)を多職種で見直すと、引き金が見えてきます。
1. 体調・身体面をまず疑う
急に攻撃的になったときほど、便秘・脱水・発熱・尿路感染・痛み・薬剤の影響・せん妄を先に確認します。向精神薬使用ガイドライン(第3版)でも、BPSD様症状の前に「感染症・脱水・便秘・疼痛」などの鑑別とせん妄の除外が原則とされています。バイタル測定や排泄状況の確認を看護師と共有しましょう。
2. ケアの仕方を見直す
- 本人のペースに合わせ、ケアのタイミングを調整する。嫌がるときは一度引いて時間をずらす。
- これから何をするか、一つひとつ短い言葉で予告してから行う。いきなり体に触れない。
- 失敗を指摘しない・否定しない。これまで担ってきた役割を尊重し、プライドを保てる関わりにする。
- 声の大きさ・トーン、穏やかなまなざしといった非言語的要素に気を配り、職員自身が不快や興奮の原因にならないようにする。
3. 環境を整える(席の位置の工夫)
同センターの指針が具体的に挙げるのが「居場所・席の位置」の調整です。他の利用者の視線や、職員があわただしく行き来する姿が目に入ると、それが刺激になって暴言・暴力につながることがあります。壁や柱を利用して気に障るものが見えない位置に席を移す、落ち着いて過ごせる専用の席をつくる、相性の良い利用者の近くに席を用意するといった工夫が有効です。騒音・照明・温度も合わせて見直します。
4. チームで対応を統一する
関わるスタッフ全員の対応がバラバラだと、本人の混乱が増します。健康長寿ネットも「関わるスタッフ全員の対応を統一する」ことの重要性を挙げています。うまくいった声かけ・関わり方をケアプランや申し送りで共有し、誰が対応しても同じ安心を返せるようにします。
興奮したそのとき|距離・トーン・刺激を減らして一度引く
予防していても興奮は起こります。実際に暴言・暴力が始まったとき、認知症介護研究・研修センターの指針は、自傷他害の可能性に応じて優先順位を決めて動くことを示しています。
対応の優先順位
- 自傷他害の可能性が高い:安全を第一に考える。本人・他の利用者・職員の身の安全を確保することが最優先。
- 可能性が低い:周囲の安全と本人の自尊心に配慮し、穏やかに解決できるよう支援する。
- 可能性がない:時間をかけ、納得を引き出せるような関わりをもつ。
その場の具体的な動き
- 距離をとる:いらだち始めた段階で物理的・心理的に距離を置く。ヒートアップする前に引けば、暴力に巻き込まれずに済む。正面から至近距離で向き合わず、斜め前から、手の届く範囲の外に立つ。
- 抑制の声かけをしない:「やめましょう」「落ち着いて」といった抑える声かけは、本人にとっては自分の主張を否定されることになり、かえって興奮を強める。まずは相手を肯定する会話から入る。
- 声のトーンを落とす:興奮状態では普通の声かけは耳に届かない。大声で注意したり力づくで押さえたりすると、パニックを悪化させる。低めの穏やかな声で、短く、ゆっくり話す。
- 気持ちを受け止める:「なんで怒っているのですか」と唐突に問い詰めず、話を聴きながら怒っている気持ちを認め、受け止める。そのやりとりの中から興奮の原因が見えることがある。
- 刺激を減らす:周囲の音・人を減らし、静かで落ち着ける場所に移る。複数の職員が一斉に取り囲まない。
- 一度引く(撤退):その場で解決しようとせず、ケアを中断していったん離れる。しばらく時間をおいてから関わると、本人が落ち着いて話しやすくなることが多い。「今はやらない」と決める勇気も対応のうち。
とっさにやりがちなNGと、置きかえ方
- 「ダメ」「やめて」と制止する → まず「そうですね」と気持ちを受け止めてから、ゆっくり別の行動に誘う。
- 正論で説得する・間違いを正す → 事実の訂正より、本人の納得を優先する。今は正さない。
- 急いで介助を続ける → いったん中断し、時間と担当者を変えて出直す。
- 大勢で取り囲む → 対応する職員を一人に絞り、ほかは離れて見守る。
- 自分一人でなだめ続ける → 危険を感じたら早めに応援を呼ぶ。
身体拘束は原則として行いません。生活機能の低下や健康状態の悪化、認知症の進行を早める可能性があり、緊急やむを得ない場合の厳格な3要件(切迫性・非代替性・一時性)を満たさない限り認められません。
起きやすい場面と先回りの工夫
暴言・暴力は、いつでも均等に起きるわけではありません。介護現場で繰り返し報告される「起きやすい場面」を知っておくと、先回りして引き金を外せます。
- 入浴介助:「お風呂に入る」という状況が理解できないまま服を脱がされると、強い不安から抵抗が出やすい。一つずつ予告し、本人の同意を待ち、無理なら時間や担当を変える。
- 排泄介助:羞恥心や自尊心が傷つきやすい場面。手早く済ませようと急ぐほど抵抗が強まる。声のトーンを落とし、プライバシーに配慮する。
- 着替え・整容:体に触れる前に必ず声をかけ、本人にできる動作は任せる。
- 食事の場面:他の利用者の視線や騒がしさが刺激になることがある。席の位置を調整し、落ち着いて食べられる環境にする。
- 夕方(夕暮れ症候群):夕方から夜にかけて不穏・帰宅願望が強まりやすい。スタッフが手薄になる時間帯ほど、事前に関わり方を共有しておく。
- 環境の変化があったとき:入所直後や部屋替えの後は、新しい環境のストレスで興奮しやすい。慣れ親しんだ持ち物を置くなど、安心できる工夫をする。
「この人はこの場面で抵抗が出やすい」という情報をチームで共有しておくだけで、身構えて穏やかに関われ、互いのけがを防げます。
自分の身を守る|介護職の安全確保とけがの防止
本人を尊重することと、自分の身を守ることは矛盾しません。職員が安全でなければ良いケアは続けられません。認知症等に起因する暴言・暴力であっても、職員の安全に配慮する必要があることに変わりはない、と厚生労働省のマニュアルも明記しています。
- 立ち位置と逃げ道:手の届く範囲の外、斜めの位置に立つ。出入り口を背にして、いつでも引ける退路を確保する。壁際に追い詰められる位置に立たない。
- つかまれない・つかまれたら:長い髪や名札のひも, 聴診器などはつかまれやすいので整える。手首をつかまれたら、力で引き抜かず、相手の親指の方向へ円を描くように回して外す。
- 危険物を遠ざける:はさみ・食器・熱い飲み物など、武器や凶器になりうる物を本人の手の届く範囲から下げる。
- 応援を呼ぶ:危険を感じたら一人で対応せず、すぐに応援を要請する。役割を決めて複数で対応する(一人が本人に、一人が周囲の安全確保に)。
- 排泄・入浴介助は要注意場面:抵抗が出やすい密室・近接の場面ほど、無理に進めず、二人介助や時間の変更を検討する。
- けがをしたら必ず報告:かすり傷でも自己判断で済ませず、上司に報告し受診・記録する。あとで腫れる・痛むこともある。心の不調も含めて軽視しない。
「これくらい我慢すべき」「自分の対応が悪かったから」と一人で背負わないことが、安全確保の第一歩です。
一人で抱え込まない|チーム・上司・看護師・医師で対応する
認知症の暴言・暴力は、個人の力量や根性で乗り切る問題ではありません。厚生労働省のマニュアルは、認知症等に起因する暴言・暴力について「職員が一人で問題を抱え込まず、上長や施設・事業所へ適切に報告・共有できるようにすることが大切」とし、施設・事業所としてケアマネジャー・医師・行政等と連携して「組織的に対応する」ことを求めています。報告・共有の場は、責任追及の場ではなく、どうケアするかのノウハウを施設内で共有する機会になります。
誰に・何を共有するか
- 上司・リーダーへ即時報告:起きた事実、けがの有無、その場でとった対応を速やかに伝える。判断を一人で抱えない。
- 看護師・医師へ:体調変化・痛み・薬の影響・せん妄の疑いがあれば相談する。ハラスメントかBPSDかの判断も、主治医(かかりつけ医)やケアマネの意見を確認しながら行う。
- 多職種カンファレンス:記録をもとに引き金を分析し、ケアの方針・席の位置・声かけ・関わる職員を見直してケアプランに反映する。
- 家族との共有:これまでの生活歴・性格・本人の好みは、引き金を読み解く手がかりになる。家族から情報を得て対応に活かす。
緊急性が高いときは専門医へ
他者に危害を加える可能性が非常に高い、自分や他者を危険にさらす攻撃性など、緊急性が高い精神症状が見られる場合は、認知症疾患医療センターを含む認知症専門医のいる医療機関へつなぐことがガイドラインで求められています。現場だけで抱え込まず、医療につなぐ判断もチームで行います。
薬の前に|環境とケアの見直しを優先する
暴言・暴力がつらいと「薬で落ち着かせてほしい」と感じることもあります。しかし、BPSDへの対応は非薬物的介入が最優先です。国立長寿医療研究センターの資料は、BPSDの出現時間・誘因・環境要因などの特徴を探り、非薬物的対応を優先し、改善が認められない・本人や介護者のQOLが低下している・危険が及ぶ・緊急性がある場合に薬物療法を検討する、という順序を示しています。
かかりつけ医のためのBPSD向精神薬使用ガイドライン(第3版)でも、せん妄の除外、感染・脱水・便秘・疼痛など身体要因の鑑別、原因となりうる薬剤の確認を行ったうえで、まず環境調整・ケアの変更・リハビリの活用などの非薬物的介入を優先し、改善しない場合にのみ薬物療法を低用量で検討するとされています。向精神薬を使う場合も、本人・家族との共同意思決定(SDM)を経て、常に減量・中止を念頭に置き長期使用を避けるのが原則です。
介護職にできるのは、薬を出す前段階で「引き金を減らすケアを尽くす」ことと、薬が始まった後に過鎮静(傾眠・ふらつき・転倒・食事量の低下)の兆候を観察して看護師・医師にフィードバックすることです。薬は最後の手段であり、環境とケアの見直しが土台になります。
記録と振り返り|事実を残し、次のケアに活かす
その場をしのいだら終わりではありません。記録と振り返りが、引き金を減らす次の一手につながります。「いつ・どこで・どんな状況で・直前に何があって・どう対応して・どうなったか」を、事実と解釈を分けて記録します。「興奮していた」ではなく「入浴の声かけ後、脱衣所で『触るな』と大声を出し、職員の腕を振り払った」のように、観察した事実をそのまま書くのがポイントです。
- 時間帯・場面のパターンを探す:夕方に強まる, 入浴・排泄介助で起きるなど、繰り返しの傾向が見えると予防に直結する。
- 直前の出来事に注目する:何が引き金だったかは、起きる直前の状況に手がかりがある。
- うまくいった対応も記録する:効いた声かけ・座席・関わる職員を残し、チームで再現できるようにする。
- 職員のけが・ヒヤリも記録:事故報告・ヒヤリハットとして残し、再発防止と労災対応の根拠にする。
記録は本人を責めるためではなく、本人の言動を理解し、ケアを改善するための材料です。多職種でひもとくことで、症状を「分類」するのではなく、その人の「視点」から背景要因を探る見方ができるようになります。
職員自身のメンタルケア|傷ついた心を放置しない
暴言を浴び続けたり、暴力でけがをしたりすると、心も削られます。厚生労働省のマニュアルは、暴力被害でけがや病気になった職員は1〜2割、仕事を辞めたいと思った職員は2〜4割にのぼるとし、被害を受けた職員への「心のケア」や就業上の配慮をしっかり行うことが必要だとしています。我慢して当たり前ではありません。
- 感情を切り分ける:暴言・暴力は症状であって、あなた個人への攻撃ではない。そう理解するだけでも受けるダメージは小さくなる。ただし「症状だから我慢」ではなく、つらさは正当に扱ってよい。
- 話す・吐き出す:一人で抱え込まず、同僚・リーダー・相談窓口に話す。施設の相談窓口や相談シートの仕組みがあれば使う。
- 休む・離れる:強い動揺があるときは、担当を一時的に交代してもらう、休憩を取るなど、その利用者から距離を置く配慮を求めてよい。
- 受診・専門相談:眠れない・気分が落ち込む・現場が怖いといった状態が続くなら、産業医や医療機関に相談する。労災の対象になる場合もある。
- セルフケアの習慣:怒りがこみ上げたときの6秒ルールや深呼吸など、アンガーマネジメントの技術も役立つ。自分を整えることが、本人への穏やかな対応にもつながる。
職員が安心して働ける環境は、結果として認知症のある方への落ち着いたケアにつながります。自分を守ることは、利用者を守ることでもあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 暴力を振るわれたとき、力で止めてもいいですか?
力づくで押さえつけるのは原則として避けます。パニックを悪化させ、本人にも職員にもけがのリスクが高まります。身体拘束は緊急やむを得ない3要件(切迫性・非代替性・一時性)を満たす場合に限られます。基本は距離をとり、刺激を減らし、一度引くことです。自傷他害の危険が高い場合は安全確保を最優先し、すぐに応援を呼んでください。
Q. 何をしても怒鳴られます。私の対応が悪いのでしょうか?
自分を責める必要はありません。攻撃性は前頭葉の働きの低下に体調・不安・環境などが重なって起こる症状で、対応が完璧でも起こることがあります。一人で原因を探すより、記録を持ち寄って多職種で引き金を分析するほうが解決に近づきます。介護にかかわっていない第三者の視点が原因発見に有効です。
Q. すぐ薬で落ち着かせてもらえないのですか?
BPSDへの対応は非薬物的介入が最優先です。薬の前に、便秘・脱水・痛み・せん妄などの身体要因の確認と、環境・ケアの見直しを行います。改善せず本人や周囲に危険が及ぶ場合に、医師が低用量から慎重に検討します。薬が始まったら過鎮静の兆候を観察して医療職に伝えるのが介護職の役割です。
Q. セクハラ的な言動も「症状だから我慢」ですか?
いいえ。胸や尻を触る, 卑猥な言葉を浴びせるといった行為も対応すべき問題です。一人で我慢せず、必ずリーダーやケアマネに相談してください。症状として理解しつつ、職員の安全と尊厳を守る対応(二人介助・担当変更・記録)を組織で講じます。
Q. 警察を呼んでいいのはどんなときですか?
職員や他の利用者の命にかかわる危険があるときは、ためらわず安全確保を優先します。判断は一人でせず上司に報告し、組織として対応します。認知症による行為は責任能力が問われにくいとされますが、緊急時の安全確保とその後の医療・行政連携を組織で進めることが大切です。
Q. 新人や応援職員に何を引き継げばよいですか?
「この利用者はどの場面で抵抗が出やすいか」「効いた声かけ・座席・関わる職員」「避けたほうがよい関わり」をセットで伝えます。対応がバラバラだと本人の混乱が増すため、申し送りやケアプランで関わり方を統一しておくことが、新人のけが防止にも本人の安心にもつながります。
参考文献・出典
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まとめ|抑え込むのではなく、引き金を減らす
認知症の暴言・暴力・興奮は、本人の意地悪ではなく、不安・痛み・急かし・環境などが引き金になって起こる攻撃的なBPSDです。介護職の対応の柱は次の通りです。
- 予防が9割:体調をまず疑い、ケアのペースと声かけを見直し、席の位置など環境を整え、チームで対応を統一して引き金を減らす。
- 興奮時はしのぐ:自傷他害の可能性で優先順位を決め、距離をとり、抑制の声かけを避け、トーンを落とし、刺激を減らして一度引く。
- 自分を守る:立ち位置と退路、危険物の除去、応援要請。けがは必ず報告し受診・記録する。
- 抱え込まない:上司・看護師・医師・ケアマネとチームで共有し、組織的に対応する。緊急時は専門医へつなぐ。
- 薬は最後:身体要因の確認と環境・ケアの見直しを優先し、薬が始まれば過鎮静を観察する。
- 心のケア:傷ついた心を放置せず、話す・休む・相談する。自分を守ることが利用者を守ることにつながる。
攻撃性を力や薬で抑え込むのではなく、その手前にある引き金を一つずつ減らしていく。それが、認知症のある方にも介護職自身にも穏やかな現場をつくる近道です。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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