
キャリアアップ計画とは
外国人介護人材を訪問系サービスに従事させる際、本人と共同で作成する計画です。記載する5つの目標、署名と本人への交付、評価期間1年と終期から4か月以内という提出期限を通知で確認し、同名のキャリアアップ助成金の計画書との違いも整理します。
この記事のポイント
キャリアアップ計画とは、技能実習や特定技能の外国人介護人材を訪問系サービスに従事させる受入事業者が、外国人介護人材ごとに、本人と共同して作成する計画です。厚生労働省の通知が定める遵守事項の1つで、介護技能修得目標や日本語能力習得目標などを記載し、説明者と本人が署名します。写しを本人に交付し、原本は提出先へ出します。評価期間は1年で、その終期から4か月以内に次の計画を提出する必要があります。
目次
キャリアアップ計画が求められる理由と根拠通知
訪問系サービスは利用者と介護者が1対1で業務を行うことが基本で、施設のように他の職員の目が届きません。そのため外国人介護人材の従事は長く認められていませんでしたが、2025年4月から順次、一定の要件のもとで解禁されました。その際に厚生労働省は「外国人介護人材の訪問系サービス従事における留意点について」(令和7年3月31日付け社援発0331第40号、老発0331第12号)で、受入事業者が守るべき5つの遵守事項を示しています。
5つの遵守事項は、①研修の実施、②同行訪問等による現場指導、③意向確認とキャリアパスの構築、④ハラスメント対策、⑤情報通信技術の活用等による環境整備です。キャリアアップ計画は、このうち③に位置づけられた書面にあたります。
単なる労働力ではないという前提
通知は冒頭で、外国人介護人材について「単なる日本人の穴埋めとしての労働力ととらえることは適当ではなく」、同等程度の日本人と比べて同等額以上の報酬を得ながらキャリアアップしていく仕組みとする必要がある、という考え方を示しています。キャリアアップ計画は、この考え方を事業者に実行させるための具体的な手段として設計されています。
様式と記載要領は別通知
上記通知は具体的な記載内容や様式を「別途通知する」としており、それを受けて「外国人介護人材の訪問系サービス従事に係るキャリアアップ計画等の取扱いについて」(令和7年3月31日付け社援基発0331第4号、第1次改正 令和7年12月1日付け社援基発1201第1号)が発出されています。実務ではこの課長通知が正典です。
キャリアアップ計画に記載する5つの目標と作成のルール
課長通知は、キャリアアップ計画に次の5項目を具体的に記載するよう求めています。
- 介護技能修得目標
- 介護技能修得のための活動計画
- 資格取得・研修受講目標
- キャリア目標
- 日本語能力習得目標
あわせて、本人の意向も計画に含めることとされています。作成手続きについては次のルールが定められています。
- 外国人介護人材ごとに、本人と共同して作成する。事業所単位でまとめて1通、という作り方はできません。
- あらかじめ従事させる業務の内容や注意事項を丁寧に説明し、本人の意向・日本語能力・介護の知識等を踏まえ、十分にコミュニケーションを取ったうえでキャリア目標を定める。
- 受入事業者の説明者の署名と本人の署名を記載する。
- 作成後は計画の写しを本人に交付し、計画を提出先へ提出する。
- 作成にあたっては、対面またはオンラインで本人とコミュニケーションを取ることが望ましい。
- 通知の別紙様式を標準として作成する。すでに事業者で類似の計画を作成している場合でも、あらためて作成する。
- 作成後の振り返りについても、本人と十分にコミュニケーションを取ったうえで作成することが望ましい。提出は原則不要ですが、提出先が求める場合には応じる必要があります。
キャリアアップ計画の評価期間と提出先(在留資格別)
提出時期と提出先は在留資格によって分かれます。作成するタイミングは、いずれも(ア)訪問系サービスに従事させる前と、(イ)定期報告の際の2回です。
評価期間の数え方
- (ア)すでに在留中の人を新たに訪問系サービスに従事させる場合は「就労予定日から1年」が基準。海外から入国して従事する人は「在留資格許可予定日から1年」が基準です。
- (イ)定期報告の際は「前回の評価期間の終期の翌日から1年」です。
提出先
| 技能実習 | 特定技能 | |
|---|---|---|
| 提出先 | 巡回訪問等実施機関 | 特定技能協議会事務局 |
| 初回の提出時期 | 訪問系サービスに従事させる前 | 訪問系サービスに従事させる前(協議会への入会申請と同時に行う場合は当該申請時) |
| 審査を通ると | 受け入れ予定の外国人ごとに適合確認書が発行される | |
| 定期報告の期限 | 前回のキャリアアップ計画の評価期間の終期から4か月以内 | |
技能実習の場合、発行された適合確認書は外国人技能実習機構への技能実習計画認定の申請の際などに必要になります。毎年度の定期報告では、これまでに提出した計画を適宜更新し、本人のキャリアパスがわかるようにすることが求められます。
キャリアアップ助成金の「キャリアアップ計画」との違い
雇用関係の助成金にも同じ名前の書類があります。厚生労働省のキャリアアップ助成金を申請する際に提出する「キャリアアップ計画書」です。名称は同じでも、根拠も単位も提出先もまったく別の制度なので、社内で取り違えないよう注意が必要です。
| 訪問系サービスのキャリアアップ計画 | キャリアアップ助成金のキャリアアップ計画 | |
|---|---|---|
| 目的 | 外国人介護人材を訪問系サービスに従事させるための遵守事項 | 非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを支援する助成金の受給要件 |
| 対象 | 技能実習・特定技能で介護業務に従事する外国人介護人材 | 有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者(国籍は問わない) |
| 作成単位 | 外国人介護人材ごと(個人単位) | 雇用保険適用事業所ごと |
| 期間 | 評価期間は1年 | 計画期間は3年以上5年以内 |
| 提出先 | 巡回訪問等実施機関または特定技能協議会事務局 | 管轄の都道府県労働局 |
| 関係者の関与 | 本人と共同で作成し、説明者と本人が署名 | キャリアアップ管理者を配置し、労働者代表の意見を聴く |
| お金との関係 | 助成金は伴わない | 助成金の支給要件 |
両方に該当する事業所もあります。訪問系サービスに外国人介護人材を従事させながらキャリアアップ助成金も使う場合は、2種類の計画をそれぞれ別に作成し、別の宛先へ提出することになります。
キャリアアップ計画に関するよくある質問
Q. 施設で働く外国人介護人材にも必要ですか
この計画は訪問系サービスに従事させる場合の遵守事項です。訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、介護予防・日常生活支援総合事業(第一号訪問事業)が対象で、施設サービスのみに従事する場合は求められていません。
Q. 事業所ですでに育成計画を作っています。それで代用できますか
できません。通知は、すでに類似の計画等が作成されている場合であっても、あらためて作成することと明記しています。
Q. 本人の署名はいつもらえばよいですか
通知は、雇用契約締結の際に雇用条件書等へ署名を求めることになっている点を踏まえ、雇用契約と同時に計画を策定する場合はその機会を活用して署名を求めるよう示しています。
Q. 振り返り用紙も毎回提出しますか
振り返りの作成は望ましいとされるにとどまり、提出は原則不要で事業所での保管が想定されています。ただし巡回訪問等実施機関が提出を求める場合があり、その際は求めに応じて作成・提出します。
Q. 提出が遅れるとどうなりますか
キャリアアップ計画の提出は適合確認書の発行と定期報告の前提です。遵守事項の適切な履行が確認できない場合は指導の対象となり、指導によっても改善が見込まれない場合は適合確認書の取消しなど受け入れ停止の措置につながります。
キャリアアップ計画に関する参考資料
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- [3]
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キャリアアップ計画のまとめ
キャリアアップ計画は、外国人介護人材を訪問系サービスに従事させるために欠かせない書面です。介護技能修得目標、活動計画、資格取得・研修受講目標、キャリア目標、日本語能力習得目標の5項目を、本人と共同で作成して双方が署名し、写しを本人に渡します。
運用の要は期限管理です。評価期間は1年で、その終期から4か月以内に次の計画を提出します。提出先は技能実習なら巡回訪問等実施機関、特定技能なら特定技能協議会事務局です。名前の似たキャリアアップ助成金の計画書は事業所単位・労働局宛の別物なので、担当者が違えば必ず区別して引き継いでください。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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