
同行訪問とは
訪問系サービスで外国人介護人材が一人で訪問する前に、サービス提供責任者や先輩職員が同行して行う現場指導です。実務経験1年以上は事業者判断、1年未満は利用者ごとに週1回で半年、週3回以上で2か月など、通知が期間を明示しています。
この記事のポイント
同行訪問とは、外国人介護人材が訪問系サービスを一人で適切に提供できるようになるまでの一定期間、サービス提供責任者や利用者を担当している先輩職員が一緒に利用者宅を訪問して行う現場指導です。厚生労働省の通知が定める5つの遵守事項の1つ(②同行訪問等による現場指導)にあたります。実務経験1年以上が原則の場合、回数や期間は受入事業者が個々に判断しますが、実務経験1年未満の人を例外的に従事させる場合は、通知が利用者ごとの最低期間を明示しています。
目次
同行訪問が遵守事項に位置づけられた背景
訪問系サービスは、利用者と介護者が1対1で業務を行うことが基本です。施設と違い、その場に他の職員はいません。また、利用者一人ひとりの身体状況や居宅での生活実態に即した対応が求められ、利用者や家族の生活習慣にも配慮しながら、介護支援専門員などの多職種と連携して支援する必要があります。
こうした特徴から、外国人介護人材の訪問系サービス従事は長く認められていませんでしたが、2025年4月から順次解禁されました。その条件として厚生労働省は「外国人介護人材の訪問系サービス従事における留意点について」(令和7年3月31日付け社援発0331第40号、老発0331第12号)で受入事業者の遵守事項を定め、同行訪問をその1つに置いています。
通知は同行訪問の目的について、研修による知識や技術の習得だけでは足りず、実際に利用者や家族とコミュニケーションを取る中で信頼を醸成し、居住環境などの周辺環境も含めた利用者の特性に応じたサービス提供につなげるためだと説明しています。最初から一人で利用者の居宅に訪問するのではないという点が、この遵守事項の核心です。
対象となるサービス
通知が対象とするのは、介護保険法に規定する訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、および介護予防・日常生活支援総合事業(第一号訪問事業に限る)です。訪問入浴介護と介護予防訪問入浴介護についても従事が認められますが、複数人でのサービス提供が必要なサービスであることなどを踏まえ、受入事業者が適切な指導体制等を確保したうえで、職場内で入浴等の研修を受講させて業務に従事させる扱いになっています。
同行訪問での段階的な指導の進め方
通知は、同行訪問時の指導方法も利用者や外国人介護人材の状況により受入事業者が個々に判断するとしたうえで、段階を踏む進め方の例を示しています。
- 同行訪問の初期:見学を中心とする。
- その後:徐々に対応できる業務を増やしていくよう役割分担のうえで、身体介護等の業務を行う。
- 最終的に:外国人介護人材が中心となってサービス提供を行い、同行者が確認する。
あわせて通知は、事業者に対する配慮事項として、実務経験や能力等に応じて現場指導の期間を通常より長くすること、面談を定期的に行うこと、きめ細かな日本語の学習支援に取り組むことなどを、サービス提供責任者等が特段の配慮として行うよう求めています。従事開始当初は、事業所に戻ってきた後の指導・面談の機会を多く設定することも挙げられています。
訪問先の選定と継続判断もセット
同行訪問は、本人を鍛える期間であると同時に、組み合わせを見極める期間でもあります。通知は、同行訪問の期間中においても、利用者や家族の意向を改めて確認しつつ、当該外国人介護人材が適切な支援を提供できるか、利用者と良好な関係性が構築できるかなども勘案しながら、その利用者へのサービス提供を継続するかを判断することが適当だとしています。訪問先の選定については、判断の記録を適切に残すことも求められています。
実務経験1年未満の場合に通知が定める同行訪問の期間
訪問系サービスに従事するのは、介護事業所等での実務経験が1年以上ある外国人介護人材であることが原則です。この原則にあてはまる場合、同行訪問の回数や期間について一律の規定はなく、受入事業者が個々に判断します。
一方、受入事業所の判断で例外的に実務経験が1年に満たない外国人介護人材を従事させる場合は、次の2つの措置が必要です。
- ア:日本語能力試験N2相当など、在留資格に応じて求められている日本語能力よりも高いレベルの能力を有する場合に限定する。
- イ:同行訪問を、利用者ごとに下表のとおり実施する。
| その利用者へのサービス提供頻度 | 同行訪問の期間 |
|---|---|
| 週1回 | 半年 |
| 週2回 | 3か月 |
| 週3回以上 | 2か月 |
週1回のケースについてのみ、利用者・家族の同意が得られる場合には、同行訪問を3か月行ったうえで、サービス提供時に見守りカメラを活用するなど情報通信技術を用いて常に事業所とやりとりができるようにすることで対応することも可能とされています。
ただし通知は、利用者・家族との信頼醸成や利用者特性に応じたサービス提供を行うために2か月以上の同行訪問を求めるとしたうえで、「それ以上の同行訪問期間の短縮は認めない」と明記しています。人手が足りないという事情で2か月を切ることはできません。
なお、この期間は利用者ごとに数えます。担当する利用者が複数いれば、利用者ごとにそれぞれ所定の期間の同行訪問が必要になります。
同行訪問を運用するときの実務ポイント
同行訪問は5つの遵守事項の1つにすぎない
同行訪問だけを整えても要件は満たせません。通知が求めるのは、①訪問系サービスの基本事項や生活支援技術、利用者・家族・近隣とのコミュニケーション、緊急時対応などの研修、②同行訪問等による現場指導、③意向確認とキャリアアップ計画の作成、④ハラスメント対策、⑤情報通信技術の活用等による環境整備、の5つをすべて履行できる体制です。これらの体制を有することを事前に巡回訪問等実施機関が書類で確認し、適合確認書が交付されて初めて従事が認められます。
利用者・家族への書面説明と署名が別途必要
外国人介護人材が利用者宅を訪問して介護業務を行う可能性がある場合、通知の様式に沿って書面を交付して説明し、利用者または家族に署名を求めることとされています。説明する内容は、外国人介護人材が訪問する場合があること、訪問予定者が実務経験の要件を満たしていること、情報通信技術の機器を使用しながら業務を行う場合があること、不安がある場合の事業所連絡先です。
初任者研修の修了が入口の要件
そもそも訪問系サービスに従事するには、日本人と同様に介護職員初任者研修課程の修了などの要件を満たしていることが前提です。生活援助従事者研修課程のみを修了した場合は対象外とされています。
同行訪問に関するよくある質問
Q. 実務経験1年以上なら同行訪問は不要ですか
不要にはなりません。期間の一律規定がないだけで、同行訪問そのものは遵守事項です。通知は、一人で適切に行うことができるようになるまでの一定期間、サービス提供責任者や担当の先輩職員が同行することが必要だとしています。
Q. 同行するのは誰でもよいですか
通知が挙げているのは、サービス提供責任者や、その利用者を担当している先輩職員です。利用者の特性を把握している職員が同行することが前提になっています。
Q. 週3回以上のケースで2か月経てば必ず単独訪問に移れますか
2か月は短縮が認められない下限であり、自動的に単独訪問へ移れる期限ではありません。通知は、この期間を満たしたうえで、利用者の状況等を勘案しつつ、利用者ごとに必要な期間の同行訪問を行うよう受入事業者が適切に判断する必要があるとしています。
Q. 見守りカメラを入れれば期間を短くできますか
短縮が認められるのは、実務経験1年未満で週1回のサービス提供という組み合わせに限られます。この場合に利用者・家族の同意を得たうえで、半年を3か月に短縮し、情報通信技術で常に事業所とやりとりできるようにする対応が可能とされています。他の頻度のケースには適用されません。
Q. 実務経験1年未満で日本語要件を満たさない場合は従事できますか
できません。例外の適用にはアの日本語能力とイの同行訪問期間の両方の措置が必要です。
同行訪問に関する参考資料
- [1]
- [2]
- [3]
- [4]
同行訪問のまとめ
同行訪問は、外国人介護人材が訪問系サービスを一人で担えるようになるまで、サービス提供責任者や担当の先輩職員が一緒に利用者宅を訪問して指導する仕組みです。見学中心から役割分担を経て本人主体へと段階的に移行させる進め方が示されています。
期間の考え方は実務経験で分かれます。1年以上が原則のケースでは受入事業者の判断に委ねられますが、1年未満で例外的に従事させる場合は、日本語能力を高いレベルに限定したうえで、利用者ごとに週1回なら半年、週2回なら3か月、週3回以上なら2か月の同行訪問が必要です。2か月を下回る短縮は認められません。人員配置を組む前に、担当する利用者の数とサービス頻度から必要な同行訪問の総量を見積もっておくことが、現実的な受け入れ計画の出発点になります。
この用語に関連する記事

外国人介護職員について利用者・家族にどう説明し同意を得るか
訪問系サービスで外国人介護人材が従事する際、利用者・家族への書面交付と署名が厚生労働省の通知で求められます。法定義務のない施設系も含め、説明のタイミング、説明書の記載事項、担当変更を求められたときの線引き、苦情対応の手順を一次資料で整理します。

外国人介護人材の送出国別データ|特定技能1号の国籍別人数と前年比【独自集計】
介護分野の特定技能1号は令和7年12月末で67,871人。入管の公式データを国籍別に独自集計し、ミャンマーとインドネシアの首位争い、ベトナムの伸び鈍化、新興国の急増まで、受け入れ担当者が採用計画を組み直すための構造変化を実数と前年比で示します。

外国人介護職員の日本語教育体制の作り方|N4からN3・N2へ、無料の公的教材と現場での伸ばし方
介護現場の受け入れ課題1位は意思疎通の難しさ(36.5%)。厚労省は「にほんごをまなぼう」と11〜12言語対応の無料テキスト3種を公開しています。N4・N3・N2で何が変わるか、配置基準や資格取得との関係、施設側が整える環境調整までを一次資料で整理します。

登録支援機関の選び方と切り替え|登録取消で在留資格が失われるリスクと契約前の確認点
登録支援機関の登録が取り消されると、1号特定技能外国人の在留資格該当性が失われる可能性があります。支援業務の第三者への再委託は法律で禁止。支援委託費用に法令上の上限はなく、契約時に額と内訳の明示が義務づけられています。入管の登録簿を使った確認方法と切り替え手順を解説。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。