補装具とは

補装具とは

補装具とは障害者総合支援法に基づき支給される、義肢・装具・車椅子・補聴器・歩行器など身体機能を補う用具。種目・支給の流れ・自己負担1割と上限・介護保険の福祉用具との違いを解説。

ポイント

補装具とは(直接回答)

補装具とは、障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に基づき支給される、身体の欠損または損なわれた身体機能を補完・代替する用具です。義肢・装具・車椅子・補聴器・歩行器などが対象で、市町村への申請と更生相談所等の判定を経て、原則1割の自己負担で購入費(補装具費)が支給されます。

目次

補装具の概要と法的位置づけ

補装具の定義と制度の位置づけ

補装具は、障害者総合支援法の補装具費支給制度によって給付される用具です。厚生労働省は補装具を「身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完・代替する用具」と定義しており、(1)身体機能を補完・代替し、その身体への適合を図るよう製作されたもの、(2)身体に装着して日常生活や就労・就学に用いるもの、(3)同一製品を継続して使用するもの、という性格を持つ用具を指します。

かつては身体障害者福祉法に基づく現物給付(補装具の交付・修理)でしたが、2006年の障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)施行により、利用者がいったん購入し費用の支給を受ける「補装具費支給制度」へと再編されました。給付の対象は身体障害者手帳の所持者や難病患者等で、日常生活上の移動の確保、就労や就学の能率向上を図ることを目的としています。

注意したいのは、補装具は介護保険の「福祉用具」とは別制度だという点です。補装具は障害者総合支援法に基づき市町村が支給するのに対し、福祉用具は介護保険法に基づきレンタル(貸与)・購入費支給の形で給付されます。後述のとおり、車椅子や歩行器のように両制度で重なる種目では、原則として介護保険が優先されます。

補装具の主な種目一覧

補装具の主な種目

補装具費支給制度の対象種目は、厚生労働省告示で定められています。身体障害者・障害児に共通する主な種目は次のとおりです。

  • 義肢:義手・義足など、欠損した手足を補う用具
  • 装具:上肢・下肢・体幹を支え機能を補助する用具(下肢装具・靴型装具など)
  • 座位保持装置・姿勢保持装置:座位や姿勢を保持する用具
  • 車椅子・電動車椅子:移動を確保する用具とその付属品
  • 歩行器・歩行補助つえ:歩行を補助する用具(松葉づえ・カナディアン・ロフストランド等)
  • 補聴器・人工内耳(音声信号処理装置の修理等):聴覚を補う用具
  • 視覚障害者安全つえ(白杖)・義眼・眼鏡:視覚を補う用具
  • 重度障害者用意思伝達装置:発話が困難な人のコミュニケーション支援機器

このほか障害児のみを対象とする起立保持具・排便補助具などもあります。種目ごとに基準額(上限となる標準的価格)が定められ、特例として基準額を超える製作が認められる場合もあります。

補装具と介護保険の福祉用具の違い

補装具と介護保険「福祉用具」の違い

補装具と福祉用具は混同されやすいですが、根拠となる法律・給付の形・対象が異なります。

項目補装具(障害者総合支援法)福祉用具(介護保険法)
根拠法障害者総合支援法介護保険法
給付の形購入費の支給(補装具費)原則レンタル(貸与)+特定福祉用具は購入費支給
主な対象身体障害者手帳所持者・難病患者等要支援・要介護認定を受けた人
目的個々の身体への適合(オーダーメイド性が高い)日常生活の自立支援・介護負担の軽減
自己負担原則1割(所得に応じた月額上限あり)所得に応じ1〜3割

給付調整(どちらが優先されるか):車椅子・電動車椅子およびその付属品・歩行器・歩行補助つえなど、両制度で重なる種目については、それが標準的な既製品で対応できる場合、介護保険による福祉用具貸与が優先されます。一方、医師や更生相談所が「身体状況に応じた個別の製作(オーダーメイド)が必要」と判断した場合は、介護保険の対象者であっても補装具費支給の対象となります。要介護認定を受けている人は、まずは介護保険の福祉用具レンタルを検討するのが基本です。

補装具費支給の申請から支給までの流れ

補装具費支給の流れ

補装具費の支給は、利用者がいったん費用を負担して購入し、後から市町村が補装具費を支給する仕組みが基本です。おおまかな流れは次のとおりです。

  1. 市町村に申請:障害者本人または障害児の保護者が、お住まいの市町村(障害福祉担当窓口)に補装具費支給を申請します。
  2. 判定・意見:身体障害者更生相談所等が、医学的・専門的な観点から支給の要否や種目・基準額を判定します(種目によっては医師の意見書で代える場合あり)。
  3. 支給決定:判定・意見に基づき、市町村長が支給の可否と補装具費の額を決定し、補装具費支給券等を交付します。
  4. 製作・購入:利用者が事業者に補装具の製作・購入を依頼します。
  5. 費用の支払いと補装具費の受給:原則は基準額から利用者負担(1割)を除いた額が支給されます。多くの自治体では、利用者が事業者に自己負担分のみを支払い、残りを市町村が事業者へ支払う「代理受領方式」が採られています。

このように、補装具は医学的判定を伴う点が大きな特徴で、介護保険の福祉用具のようにケアマネジャーのケアプランに基づいて利用するものとは手続きが異なります。

補装具費の自己負担と上限額

自己負担は原則1割・所得に応じた月額上限

補装具費の利用者負担は原則1割です。ただし負担が重くなりすぎないよう、世帯の所得に応じた月額負担上限額が設けられており、補装具費の1割と上限額のいずれか低い方が自己負担となります。

  • 生活保護世帯:負担上限額 0円
  • 市町村民税非課税世帯:負担上限額 0円
  • 市町村民税課税世帯:負担上限額 37,200円(月額)

また所得制限があり、世帯の中で市町村民税所得割の最多納税者の納税額が46万円以上の場合は、原則として補装具費の支給対象外となります。なお、同じ月に障害福祉サービスも利用して負担額の合計が上限を超えた場合は、超えた分が高額障害福祉サービス費等として支給される仕組みもあります。具体的な区分や運用は自治体により異なるため、申請前に市町村窓口で確認してください。

補装具のよくある質問

補装具に関するよくある質問

Q. 補装具と日常生活用具の違いは何ですか?

A. 補装具は身体機能を補完・代替し身体に適合させる用具(義肢・装具・車椅子等)で、補装具費支給制度の対象です。一方「日常生活用具」は、特殊寝台や入浴補助用具など日常生活を容易にする用具で、市町村の地域生活支援事業として給付される別の制度です。

Q. 介護保険を使っている人は補装具を利用できませんか?

A. 車椅子や歩行器など両制度で重なる種目は、標準的な既製品で対応できる場合は介護保険の福祉用具貸与が優先されます。ただし更生相談所等が個別の製作(オーダーメイド)が必要と判断した場合は、要介護者でも補装具費の対象となります。

Q. 自己負担はいくらですか?

A. 原則1割ですが、市町村民税課税世帯で月額37,200円、非課税世帯・生活保護世帯は0円という負担上限が設けられています。市町村民税所得割の最多納税者の納税額が46万円以上の世帯は支給対象外です。

Q. どこに申請すればよいですか?

A. お住まいの市町村の障害福祉担当窓口に申請します。身体障害者更生相談所等の判定・意見を経て、市町村長が支給を決定します。

補装具の参考資料・出典

補装具のまとめ

まとめ

補装具は障害者総合支援法に基づき支給される、義肢・装具・車椅子・補聴器・歩行器などの身体機能を補う用具です。市町村への申請と更生相談所等の判定を経て、原則1割(課税世帯は月額37,200円が上限、非課税・生保は0円)の自己負担で補装具費が支給されます。介護保険の福祉用具と重なる種目では原則として介護保険が優先されるため、要介護認定を受けている人は、まず福祉用具レンタルを検討したうえで、個別の製作が必要な場合に補装具の利用を相談するとよいでしょう。介護・福祉の現場で利用者を支える際は、この制度の違いを正しく理解しておくことが大切です。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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