
リバースモーゲージとは
リバースモーゲージは自宅を担保に老後資金や介護費を借り、亡くなったときに自宅売却で一括返済する不動産活用ローン。公的制度(不動産担保型生活資金)と民間商品の違い、リースバックとの比較、注意点を整理する。
この記事のポイント
リバースモーゲージは、自宅を担保にして金融機関や社会福祉協議会から融資を受け、契約者の死亡時に自宅売却で一括返済する不動産活用ローンです。介護費用や生活費を「自宅に住み続けながら」捻出できるため、年金収入だけで足りない高齢者の選択肢として広がっています。住宅金融支援機構の「リ・バース60」、社会福祉協議会の「不動産担保型生活資金」、メガバンク・信託銀行・信用金庫の独自商品など複数の制度があります。
目次
リバースモーゲージの仕組み|自宅を担保に毎月の生活費を借りる
リバースモーゲージ(Reverse Mortgage)は、自宅などの不動産を担保に金融機関等から融資を受け、契約者本人(または配偶者)の死亡時に担保不動産を売却して一括返済する仕組みです。通常の住宅ローンが「借りて家を買う」のに対し、リバースモーゲージは「住み続けながらお金を借りる」ため「逆住宅ローン」と呼ばれます。
日本では1981年に東京都武蔵野市が高齢者向けに開始したのが嚆矢で、2002年から国の制度として「不動産担保型生活資金」(社会福祉協議会)が始まりました。民間金融機関の本格参入は2010年代後半で、2017年に住宅金融支援機構が「リ・バース60」を提供開始したのを契機に普及が加速しました。
介護費用の捻出手段として注目されており、特に「子に資産を残す必要がない」「介護施設入居費・在宅介護費を確保したい」「年金だけでは生活が苦しい」というケースで選択されます。一方で、不動産価格の変動・長生きリスク・配偶者の居住権など固有のリスクがあるため、利用前のFP相談が推奨されます。
リ・バース60の利用実績(2024年度)
住宅金融支援機構の「リ・バース60」は2024年度の付保申請戸数(累計)が9,403戸、申請金額(累計)が約1,490億円に達し、リバースモーゲージ型住宅ローンの代表的指標として推移を公表しています。
年度別 付保申請戸数の推移(住宅金融支援機構公表)
| 年度 | 付保申請戸数 | 取扱金融機関数(累計) |
|---|---|---|
| 2017 | 511戸 | 38機関 |
| 2018 | 980戸 | 52機関 |
| 2019 | 1,162戸 | 65機関 |
| 2020 | 1,630戸 | 71機関 |
| 2021 | 1,777戸 | 80機関 |
| 2022 | 1,626戸 | 85機関 |
| 2023 | 1,626戸 | 88機関 |
| 2024 | 1,484戸 | 88機関 |
2024年度 申込者の利用実態(変動金利等タイプ)
- 平均年齢: 69.5歳/平均年収: 403万円
- 申込者属性: 年金受給者 53.6%、会社員 23.0%、個人経営 6.1%
- 資金使途: 注文住宅 32.5%、戸建リフォーム 23.9%、新築マンション 17.3%、借換え 15.0%
- 所要額 平均 3,137万円/融資額 平均 1,667万円/毎月支払額(利息のみ)平均 4.2万円
- ノンリコース型 99.7%/リコース型 0.3%
出典: 住宅金融支援機構「【リ・バース60】の利用実績等について」(2025年5月23日公表、2024年度実績)
公的制度「不動産担保型生活資金」の概要
公的制度のリバースモーゲージは、社会福祉協議会(社協)が運営する「不動産担保型生活資金」と、生活保護受給可能性がある世帯向けの「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」の2種類があります。営利目的ではなく、低所得高齢者世帯の生活安定を目的とした制度設計が特徴です。
不動産担保型生活資金(一般型)
- 対象: 単身・夫婦のみ・親同居の高齢者世帯(おおむね65歳以上)
- 担保: 居住用の土地・建物(マンション等の集合住宅は対象外)
- 貸付限度額: 土地評価額の概ね70%
- 月額貸付額: 30万円以内(生活実態に応じて決定)
- 貸付期間: 契約者死亡時、または貸付元利金が限度額に達するまで
- 利子: 年3%または長期プライムレートのいずれか低い利率
- 連帯保証人: 推定相続人から1名(要保護世帯向けは不要)
要保護世帯向け不動産担保型生活資金
- 対象: 原則65歳以上で、制度を利用しなければ生活保護受給が必要と福祉事務所が認めた世帯
- 窓口: 福祉事務所(社協ではなく自治体)
- 貸付限度額: 土地・建物の評価額の70%(マンションは50%)
- 月額貸付額: 生活扶助基準額の1.5倍以内
- 連帯保証人: 不要
注意点: 配偶者は契約承継不可で、貸付限度額到達時または借受人死亡時に原則として契約終了となります。施設入所・入院が長期化すると「自宅に居住」要件を満たさなくなり、貸付停止・解約となる場合があります。
リバースモーゲージのメリット・デメリット
メリット
- 自宅に住み続けながら生活費・介護費を確保できる
- 毎月の返済は不要(利息のみ毎月返済の商品もあり)
- 年金だけでは賄えない介護費用に活用可能
- 子どもに住宅ローンを残さない
デメリット・リスク
- 長生きリスク: 想定より長く生きると融資枠が尽きる可能性
- 金利上昇リスク: 変動金利商品は利息負担が膨らむ
- 不動産価格下落リスク: 評価額が下がると追加担保・返済を求められる
- 配偶者の居住権: 契約者死亡後に配偶者が住み続けられるかは商品次第(要事前確認)
- 対象エリアの制限: 地方圏では取り扱いがない金融機関も多い
リバースモーゲージとリースバックの違い
| 項目 | リバースモーゲージ | リースバック |
|---|---|---|
| 所有権 | 本人のまま(担保提供) | 不動産会社等に売却・移転 |
| 家賃 | 不要(住み続けられる) | 必要(賃借人として家賃支払い) |
| 受け取り方 | 融資(一括または月額) | 売却代金一括 |
| 死亡時の対応 | 自宅を売却して一括返済 | 退去または契約延長交渉 |
| 適するケース | 住み続けながら少しずつ資金が必要 | まとまった資金が今すぐ必要 |
利用前にチェックすべき5項目
- 1. 評価額と融資限度額: 一般に土地評価額の50〜70%が融資上限。郊外物件は低めに評価される
- 2. 配偶者の居住保証: 「配偶者連帯債務型」「配偶者継承型」など、配偶者が住み続けられる商品を選ぶ
- 3. 推定相続人の同意: 死亡時に自宅売却するため、子・親族の事前理解を得ておく
- 4. 不動産価格下落時の対応: 「ノンリコース型(追加返済義務なし)」を選ぶと安心
- 5. 金利タイプの選択: 変動金利か固定金利か、将来の金利上昇リスクをFPと相談
よくある質問
- Q1. 年齢制限はありますか?
- A. 「リ・バース60」は満60歳以上、社会福祉協議会の「不動産担保型生活資金」は65歳以上が一般的です。民間金融機関は55歳〜80歳など商品ごとに異なります。
- Q2. マンションでも利用できますか?
- A. 戸建てが基本ですが、一部の金融機関は都市部のマンションも対象にしています。築年数・耐震性能で審査基準が分かれます。
- Q3. 介護施設入居費に使えますか?
- A. 使えます。一時金タイプの有料老人ホーム入居費を一括で借入する利用例が増えています。ただし入居後は「自宅に住み続ける」前提が崩れるため、空き家扱いになり契約条件が変わる場合があります。
参考資料
- [1]
- [2]
- [3]
- [4]
まとめ
リバースモーゲージは「自宅に住み続けながら介護費を確保する」選択肢として有効ですが、長生きリスク・配偶者居住権・推定相続人の同意など固有の論点があります。住宅金融支援機構・社会福祉協議会・民間金融機関の複数商品を比較し、FPと家族で慎重に検討することが推奨されます。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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