厚労省「CARISO」介護スタートアップ支援事業、2026年度も三菱総研が2年連続受託
介護職向け

厚労省「CARISO」介護スタートアップ支援事業、2026年度も三菱総研が2年連続受託

厚生労働省の「介護系スタートアップ支援事業powered by CARISO」を三菱総合研究所が2年連続で受託。2026年度の支援メニューや、第1回CARISO Caretech Startup Awardsでグランプリを受賞したaba「ヘルプパッド」の詳細、2040年の介護人材272万人問題を解説。

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株式会社三菱総合研究所(MRI)は2026年4月15日、厚生労働省から「介護系スタートアップ支援事業powered by CARISO」の2026年度事業を受託したと発表しました。2025年度の事業開始から2年連続の受託です。CARISOは「CARe Innovation Support Office(キャリソ)」の略称で、AI・ロボットなど介護テクノロジーのスタートアップを開発から実用化まで一気通貫で支援します。初年度には「第1回CARISO Caretech Startup Awards」が開催され、排泄検知センサー「ヘルプパッド」を手がけるaba株式会社がグランプリを受賞しました。

目次

2040年問題──介護サービス需要654万人に対し人材は減少局面へ

高齢化の急速な進行に伴い、介護サービスの需要は2040年にピークを迎えると見込まれています。厚生労働省の推計によると、2040年の介護サービス利用者数は654万人に達する見通しです。これは2023年度と比較して121万人・23%増という大幅な増加です。

一方、2040年時点で必要とされる介護職員数は272万人と推計されています。しかし、介護職員数はすでに2023年度から減少局面に入っており、人材確保は深刻な課題となっています。

この需給ギャップは、従来の人材確保策だけでは埋められない規模です。三菱総合研究所のプレスリリースでは「AIやロボットなど新しいテクノロジーを活用して介護現場の生産性の向上を加速することが不可欠」と指摘されています。介護現場における業務効率化とケアの質の両立が、国の重要政策課題として位置づけられているのです。

介護人材の需給ギャップ(2040年推計)

項目数値出典
介護サービス利用者数(2040年)654万人厚労省推計
2023年度比の増加+121万人(+23%)厚労省推計
必要な介護職員数(2040年)272万人厚労省「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会
介護職員数の減少開始2023年度から厚労省「介護職員数の推移の更新(令和6年分)」

CARISOとは何か──厚労省が2025年度に新設した介護スタートアップ支援事業

CARISO(キャリソ)は「CARe Innovation Support Office」の略称です。正式な事業名は「介護系スタートアップ支援事業powered by CARISO」で、厚生労働省が所管しています。

CARISOは、介護テクノロジーの実用化を目指すスタートアップ、アカデミア(大学・研究機関)、起業前の個人、介護領域に新規参入する企業を支援対象としています。介護系スタートアップが持つスピード感や柔軟性に着目し、イノベーションを生み出す機会や環境を整える目的で2025年度に新設されました。

CARISOの支援対象と支援内容

支援対象は「介護テクノロジー利用の重点分野」に該当する領域で活動する事業者です。具体的には以下のような分野が含まれます。

  • 移乗支援・移動支援
  • 排泄支援・入浴支援
  • 見守り・コミュニケーション
  • 介護業務支援・機能訓練支援
  • 食事・栄養管理支援
  • 認知症生活支援・認知症ケア支援

支援内容は、事業アイディアの具体化から知財戦略・販売戦略・海外展開の検討まで多岐にわたります。相談・支援はすべて無料で、法規制対応、マーケティング、事業計画、資金調達、経営戦略、知財戦略、国際展開など各分野の専門家(サポーター)がマッチングされ、伴走支援が受けられます。

CARISOの総合ポータルサイト(cariso-su.mhlw.go.jp)では、支援メニューの詳細やサポーターの紹介、イベント情報などが公開されています。

2026年度の事業概要──三菱総研が2年連続で事務局を担当

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三菱総合研究所(MRI)は、CARISOの初年度(2025年度)から受託事業者として事務局を運営し、介護系スタートアップに対する多様な支援メニューを立ち上げて事業基盤を整備してきました。2026年4月15日の発表により、2年連続で事務局を担うことが正式に決定しました。

MRIの代表取締役社長執行役員は籔田健二氏。MRI内では創薬・健康エコシステム本部がCARISO事務局を担当しています。

2026年度に予定されている5つの支援メニュー

2年目となる2026年度は、以下の支援メニューが予定されています。

  1. 相談窓口の運営・伴走支援:介護系スタートアップ、大学・研究機関等を対象に「いつでも、何度でも、無料で」相談を受け付けるよろず相談窓口を運営。開発から実用化に向けた出口戦略の検討までを一気通貫で支援
  2. 販路開拓支援:介護テクノロジーサミットでの介護系スタートアップのブース出展を支援
  3. CARISO Caretech Startup Awards:有望スタートアップの発掘・評価を通じた投資家等とのマッチング機会を創出
  4. 各種セミナーの開催:スタートアップ、支援人材・専門家、研究機関、投資家、介護事業者等を結ぶネットワーキングイベントを実施
  5. CARISOスタートアップ共創プラットフォーム:介護テクノロジーに関係するステークホルダーのコミュニティを形成

また、本事業は政府の日本成長戦略会議が分野横断で取り組むスタートアップ支援と軌を一にするものであり、介護テクノロジーは戦略分野のAI技術等の活用が期待される領域として位置づけられています。

第1回CARISO Caretech Startup Awards──aba「ヘルプパッド」がグランプリ受賞

CARISOの初年度事業の目玉として、2026年3月2日に東京都千代田区のイイノホール(飯野ビルディング4階)で「第1回CARISO Caretech Startup Awards」が開催されました。厚生労働省が主催し、介護現場における生産性とケアの質の両立を実現する革新的な製品・サービスに挑戦するスタートアップを表彰するアワードです。

ファイナリスト6社と審査結果

書類審査を通過したファイナリスト6社が最終プレゼンテーション(ピッチ)に臨みました。

  • aba株式会社(千葉県八千代市)──グランプリ受賞
  • イントロン・スペース株式会社(東京都)──審査員特別賞受賞
  • 株式会社ジョシュ
  • 株式会社LYNXS
  • BS Code株式会社
  • Rehabilitation3.0株式会社

グランプリ:aba「ヘルプパッド」とは

グランプリを受賞したaba株式会社(代表取締役CEO:宇井吉美氏、2011年設立)は、医療・介護・福祉分野のロボティクス技術を研究開発するスタートアップです。主力製品の「Helppad(ヘルプパッド)2」は、排泄のにおいに反応して便と尿をそれぞれ検知するシート型排泄センサーです。

「おむつを開けずに中が見たい」という介護現場の切実な願いに応える製品で、おむつ交換のタイミングを最適化し、介護職員の身体的・精神的負担を大幅に軽減します。現在は世界数カ国への展開も開始しており、日本発の介護テクノロジーとして海外からも高い評価を得ています。

宇井CEO は受賞コメントで「日本の介護を日本の技術で世界に発信することも当社のミッションのひとつ」と述べ、今後も日本の先進的な介護テクノロジーの国内外での普及に尽力する意向を示しました。

審査員特別賞:イントロン・スペース「タイムシフト」

審査員特別賞を受賞したイントロン・スペース株式会社(東京工業大学発ベンチャー)は、男性用尿ケア製品「TIMESHIFT(タイムシフト)」を開発。超軟伸性素材を用いた革新的な尿ケア製品で、尿を本体に保持し肌に触れさせない仕組みにより、オムツやパッドに代わる新しい選択肢を提供しています。

介護現場で働く人への影響──テクノロジーが変える働き方

CARISOのような国の支援事業によって介護テクノロジーの社会実装が加速すると、介護現場で働く人の日常業務にも変化が訪れます。

身体的負担の軽減

排泄センサーのような見守り系テクノロジーが普及すれば、夜間の定時巡回回数を削減できます。ヘルプパッドのようにおむつを開けずに排泄状況が分かる製品は、不要なおむつ交換作業を減らし、腰痛など身体的負担の軽減につながります。

ケアの質の向上

テクノロジーの導入は単なる業務削減ではなく、ケアの質の向上にもつながります。排泄データの蓄積・分析により入居者一人ひとりの排泄パターンを把握できるため、個別ケアの最適化が可能になります。AIによる転倒リスク予測(Rehabilitation3.0の「Reha3.0」など)は、事故の未然防止と不要なアラートの削減を両立します。

キャリアの可能性の拡大

介護テクノロジーの普及は、介護職員に求められるスキルセットも変えていきます。テクノロジーを使いこなし、データに基づくケアプランを立案できる「デジタル中核人材」の育成が各地で進められており、厚生労働省も研修プログラムを推進中です。介護職のキャリアパスとして、テクノロジー活用の専門人材という新しい選択肢が広がっています。

介護業界でのキャリアに興味がある方は、働き方診断で自分に合った介護の働き方をチェックしてみてください。

出典・参考情報

まとめ──介護テクノロジーの社会実装が加速する2026年度

厚生労働省の「介護系スタートアップ支援事業powered by CARISO」が2026年度も三菱総合研究所の運営で継続されることは、介護テクノロジー分野のスタートアップ支援が一過性ではなく、国の中長期的な政策として定着しつつあることを示しています。

2040年には介護サービス利用者が654万人に達し、必要な介護職員数は272万人と推計される中、すでに介護職員数は減少局面に入っています。この深刻な需給ギャップを埋めるために、AI・ロボットなど介護テクノロジーの社会実装は不可欠です。

第1回CARISO Caretech Startup Awardsでaba「ヘルプパッド」がグランプリを受賞したことは、排泄ケアという介護現場の大きな負担領域でテクノロジーによる革新が進んでいることを象徴しています。2026年度はよろず相談窓口の運営に加え、介護テクノロジーサミットでの出展支援やスタートアップ共創プラットフォームの活用など、支援メニューがさらに充実します。

介護テクノロジーの発展は、介護現場の働き方を大きく変えていく可能性を秘めています。これから介護業界で働くことを検討している方にとっても、テクノロジーを活用した新しい介護の形を知ることは重要です。自分に合った働き方を見つけるために、まずは働き方診断を試してみてはいかがでしょうか。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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