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📑目次

  1. 01介護人材需給データから見るケアマネ支援の必要性
  2. 02衆院本会議で可決|法案の概要と27項目の附帯決議
  3. 03改正の柱を読み解く|過疎地特例・ケアマネ新類型・更新制廃止
  4. 04参議院審議の見通しと令和8年度介護報酬改定への波及
  5. 05事業所運営と介護現場への示唆|2040年問題を見据えて
  6. 06まとめ
介護の働き方診断
介護保険法改正案、衆院本会議で可決|過疎地サービス基準緩和とケアマネ新類型を含む27項目の附帯決議
介護職向け

介護保険法改正案、衆院本会議で可決|過疎地サービス基準緩和とケアマネ新類型を含む27項目の附帯決議

2026年5月26日、介護保険法・老人福祉法・社会福祉法等の改正案が衆議院本会議で可決。過疎地での運営基準弾力化、住宅型ホーム入居者向けケアマネ新類型『登録施設介護支援』の創設、有料老人ホーム登録制導入など多岐にわたる。原則2027年4月施行で参議院審議へ。

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介護保険法・老人福祉法・社会福祉法等の改正案が2026年5月26日、衆議院本会議で賛成多数により可決された。過疎地での運営基準の弾力化、住宅型有料老人ホーム入居者に特化したケアマネジャー新類型「登録施設介護支援」の創設、住宅型有料老人ホームへの登録制導入など多岐にわたる見直しを含み、5月22日の衆院厚労委では27項目の附帯決議も採択されている。今国会で成立する見通しで、審議は参議院に移った。原則2027年4月1日施行で、現場の運営基準・人員配置・ケアマネ業務に直結する内容を多く含むため、介護職にとっては自分の働き先と職務範囲が変わる「制度転換点」になる。

📑目次▾
  1. 01衆院本会議で可決|法案の概要と27項目の附帯決議
  2. 02改正の柱を読み解く|過疎地特例・ケアマネ新類型・更新制廃止
  3. 03参議院審議の見通しと令和8年度介護報酬改定への波及
  4. 04事業所運営と介護現場への示唆|2040年問題を見据えて
  5. 05介護人材需給データから見るケアマネ支援の必要性
  6. 06まとめ

介護保険制度の根幹に関わる改正案が、いよいよ衆議院を通過した。2026年5月26日、介護保険法・老人福祉法・社会福祉法などの改正案が衆議院本会議で賛成多数により可決され、舞台は参議院での審議へと移った。今国会での成立が確実視されている。

5月22日の衆院厚生労働委員会での可決と同時に採択された附帯決議は27項目に及び、中山間地域でのサービスの質や介護職の負担への影響検証、住宅型有料老人ホームによる「囲い込み」対策の実効性担保など、現場の懸念に踏み込んだ内容が並ぶ。本会議通過によって、これらの論点は法案そのものの賛否だけでなく、施行後の運用課題として政府に重い宿題を残した形だ。

本記事では「本会議通過」という節目が現場にとって何を意味するのかを整理したうえで、残された参議院審議で焦点となる論点、そして令和8年度介護報酬改定議論への波及まで踏み込んで解説する。介護現場で働く一人として、これから1年で何が動き、自分の職場・職務がどう変わり得るのかを把握する手がかりとしてほしい。

衆院本会議で可決|法案の概要と27項目の附帯決議

2026年5月26日、衆議院本会議で賛成多数により可決

2026年5月26日、衆議院本会議で介護保険法、老人福祉法、社会福祉法などの改正案が賛成多数で可決された。法案は4日前の5月22日に衆議院厚生労働委員会で原案通り可決されており、本会議でも与党を中心に賛成が上回り、議事の流れとしては想定通りの通過となった。委員会段階では参考人質疑や対政府質疑を通じて与野党それぞれの論点が出されたが、本会議に至るまでに大きな修正は行われず、原案がそのまま採決にかけられた形だ。

本会議を通過した法案は、その日のうちに参議院に送付される。会期末を6月22日に控える中、参議院での審議入りが急ピッチで進められる見通しで、政府・与党は今国会での成立を見込んでいる。仮に参議院でも原案通り可決されれば、原則として2027年4月1日に施行される。一部の項目は施行までの準備期間を確保するために段階施行とされ、政省令や告示で詳細が示されるスケジュールも同時に動き出す。

本会議での可決は、法律案が「与野党を含む院全体の意思」として承認されたことを意味する。委員会段階での議論は与党と一部野党に限られがちだが、本会議は議員全員に投票機会が開かれているため、政治的なお墨付きの重みが一段と増す。介護保険制度の将来像を方向づける改正法案がここを通過したことは、現場にとって「この方向で確実に動く」という強いシグナルになる。改正の柱として議論されてきた論点は、いよいよ事業所運営の現実問題として向き合うフェーズに入った。

改正の主要項目。過疎地対策、ケアマネ新類型、住宅型ホームへの登録制

本会議を通過した改正案には、現場運営に直接影響する大きな柱が複数含まれている。第一の柱は、中山間・人口減少地域を対象にした「特定地域サービス」の新設だ。事業所の人員配置基準や運営基準の弾力化を認める特例的な仕組みで、人手の集まらない地域でもサービス提供を維持できるよう、市町村が直営でサービス提供できる「特定地域居宅サービス等事業」も併せて措置される。地方部での介護サービスの空白化を防ぐ最終的なセーフティネットの位置づけだ。

第二の柱は、ケアマネジャーをめぐる制度の大幅な見直しである。具体的には、住宅型有料老人ホームの入居者に特化したケアマネジメントの新類型「登録施設介護支援」を創設し、介護付きホーム(特定施設)と同様に原則1割の定率の利用者負担を徴収する仕組みを導入する。また、5年ごとの更新研修要件を廃止し、その代わりに都道府県が実施する研修受講を義務化する。正当な理由なく受講しない場合、都道府県は受講命令を出すことができ、命令に従わない場合は1年以内の業務従事禁止という重い処分も可能となる。更新制廃止は現場の負担軽減と質確保の両立を狙ったもので、ケアマネ業界が長年要望してきた事項だ。

第三の柱は、中重度の要介護者を入居させる住宅型有料老人ホームへの「事前規制」の導入である。これまで届出制だった住宅型ホームについて、要介護者を多く受け入れる施設を対象に都道府県への登録制を新設し、参入時から行政が事業者の質を確認する仕組みに改める。背景には、訪問介護や通所介護を併設して入居者を「囲い込み」、保険給付を過剰に引き出しているとされる事例への問題意識がある。質の高い住宅型ホームの市場での識別性を高めると同時に、不適切事業者の排除を狙う制度設計だ。

5月22日に採択された27項目の附帯決議。宿題はむしろ施行段階に

本会議通過に先立つ5月22日の衆院厚労委では、改正案の可決とともに27項目に及ぶ附帯決議が採択された。附帯決議は法的拘束力を持たないものの、政府に対する強い政治的要請として運用上の方向性を縛る。今回の27項目は、改正の方向性そのものを否定するものではなく、施行後の実効性担保を求める内容が中心である。委員会審議の中で野党や与党内からも出された懸念を、政府が運用面で受け止める形で集約したものといえる。

注目すべき項目としてまず、過疎地特例に関する「中山間・人口減少地域のサービスの質や介護職の負担への影響を十分に検証すること」が挙げられる。基準緩和は人材不足の現実に即した措置である一方、無条件に緩めればケアの質低下と介護職の業務集中を招きかねない。この附帯決議は、緩和の効果と副作用を継続的にモニタリングするよう厚労省に求めるものだ。具体的な検証指標や報告頻度の設計は省令・通知レベルに委ねられる見通しで、ここでも実務的な詰めが必要となる。

もうひとつの大きな論点は、住宅型ホームの「囲い込み」対策の実効性担保である。登録制の導入だけでは囲い込み問題は解決せず、ケアプラン点検や介護給付適正化との連動が不可欠だ。附帯決議はこの点について、登録制が「形骸化しないよう運用面で具体策を講じる」よう求めており、施行後のチェック体制づくりが厚労省の課題として明文化された形だ。残り25項目も、ケアマネ研修体制の質確保、外国人介護人材の処遇、地域包括ケアシステムの財源確保など、現場の関心事を幅広くカバーしている。

改正の柱を読み解く|過疎地特例・ケアマネ新類型・更新制廃止

過疎地での基準緩和。「特定地域サービス」が想定する現場

過疎地対策として新設される「特定地域サービス」は、中山間・人口減少地域における事業所運営の硬直性を解消することを狙いとしている。現行の介護報酬制度では、訪問介護事業所であればサービス提供責任者の常勤配置、特養であれば看護職員・介護職員の人員配置基準など、全国一律の基準が事業所運営の前提となっている。しかし、人口が極端に少ない地域では、こうした基準を満たすだけの人員確保が物理的に困難なケースが増えている。

具体的にどこまで緩和できるかは省令・通知レベルでの設計に委ねられるが、運営基準や評価の特例、市町村による直営運営の容認といった選択肢が用意される。とくに市町村直営は、民間事業者の撤退で「介護サービス空白地帯」が広がる地域での最終的な受け皿として機能することが期待される。介護労働安定センターの令和6年度介護労働実態調査によれば、訪問介護員の不足感を「大いに不足」「不足」と回答した事業所は約83.4%に達しており、地方ほど深刻な状況が明らかになっている。基準緩和は、こうした構造的人材不足への現実的な対応策として位置付けられる。

一方、基準緩和には「最低限のケアの質をどう担保するか」という根本的な課題が残る。配置基準を緩めれば1人あたりの担当利用者数が増え、業務の集中と疲弊が進む。市町村直営は地域性を反映できる利点があるが、自治体間で運営力に差があり、サービス水準にばらつきが生じる懸念もある。「最低基準+特例」という二層構造をどう運用していくかが、施行後の最大の試金石となる。

住宅型ホームのケアマネ新類型。現場のケアマネ業務はどう変わるか

住宅型有料老人ホーム入居者向けの「登録施設介護支援」は、ケアマネ業務のあり方を大きく変える可能性がある。現行では、住宅型ホーム入居者のケアプランは多くの場合、外部の居宅介護支援事業所のケアマネジャーが作成している。新制度では、住宅型ホームと密接に連携する「登録施設介護支援」事業所のケアマネが入居者専属でケアマネジメントを担い、その対価として原則1割の利用者負担を徴収する。

これは介護付きホーム(特定施設)の施設介護支援に近い構造であり、これまで居宅介護支援費(無料)の枠で対応されてきた住宅型ホーム入居者向けケアマネジメントが、有料サービスとして再設計されることを意味する。ケアマネにとっては、居宅と施設の中間にある第3のキャリアパスが新たに開かれる一方、住宅型ホームに所属するケアマネが施設運営側の意向に取り込まれないよう、独立性を担保する仕組みづくりが課題となる。施設外の中立的なケアマネによるケアプランチェックや、利用者本人・家族の意向確認のプロセスをどう組み込むかが具体的な論点だ。

ケアマネ更新制廃止と研修義務化。負担軽減と質確保の両立は可能か

ケアマネジャーの5年ごとの更新研修要件廃止は、現場から長年要望されていた事項だ。日本介護支援専門員協会の調査では、更新研修の負担が「重い」または「やや重い」と回答したケアマネは全体の8割を超える。受講のために業務を中断する必要があり、研修費用も自己負担となるケースが多いことから、ケアマネ離職の一因とも指摘されてきた。とくに小規模居宅介護支援事業所では、研修参加中の業務代替が確保できず、ケアマネ自身の負担がさらに重くなる構造的な問題があった。

新制度では、更新制度に代えて都道府県が実施する研修受講が義務化される。重要なのは、正当な理由なく受講しないケアマネに対し都道府県が受講命令を出せ、命令に従わない場合は1年以内の業務従事禁止という重い処分まで規定される点だ。「更新制廃止=負担軽減」とだけ受け止めると本質を見誤る。学び続ける義務は残るが、それを「資格剥奪リスク」ではなく「行政指導の段階的措置」として整理し直したというのが実態に近い。研修の内容・頻度・受講方法(オンライン・対面の比率)次第で、現場の実感負担は大きく変わる。

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参議院審議の見通しと令和8年度介護報酬改定への波及

参議院審議の見通し。論点は「囲い込み対策の実効性」と「緩和の歯止め」

本会議通過後、舞台は参議院に移った。会期末の6月22日までという限られた時間の中で参議院厚生労働委員会と本会議での審議が行われ、原案通り可決されれば今国会で成立する。参議院は「再考の府」と呼ばれる存在で、衆議院では十分に深掘りされなかった論点が改めて問い直されることが多い。とくに今回の改正案は介護現場・利用者・地方自治体それぞれに大きな影響を及ぼす内容を含むため、参議院での参考人質疑では現場関係者の声がより詳細に取り上げられる可能性がある。

参議院審議で焦点となるとみられるのは、第一に住宅型ホームの「囲い込み」対策の実効性だ。登録制は事前規制を強化するが、それだけで悪質事例を一掃できるわけではない。ケアプラン点検、介護給付適正化事業、保険者機能強化交付金との連動など、複数の仕組みを組み合わせた運用設計が不可欠で、参議院ではこの設計レベルの議論が求められる可能性が高い。第二に、過疎地での基準緩和をどこまで認めるかの「歯止め」だ。緩和が拡大解釈されれば、人材不足を理由とした全国的な質低下を招きかねず、緩和の対象地域・対象基準・モニタリング方法を法律案に明記すべきとの議論が予想される。

令和8年度介護報酬改定議論への波及

本改正は2027年4月施行の制度改正だが、その前段として2026年6月の臨時改定(処遇改善加算等)と、2027年4月の通常改定とは別建てで動く法律改正である。この二重・三重の改革が同時進行することで、現場には大きな影響が及ぶ。とりわけ「登録施設介護支援」の創設は、住宅型ホーム入居者向けケアマネジメント単価の設計を含むため、令和8年度の介護給付費分科会で報酬単価の議論が始まることになる。単価設計次第で住宅型ホーム入居者向けケアマネが事業として成立するかが決まるため、ケアマネ業界にとっては大きな関心事だ。

また、過疎地特例で運営基準を緩和した事業所に対し、報酬上どう扱うか(減算するのか、現行報酬を維持するのか、特例加算を設けるのか)という論点も同分科会で議論される。報酬設計の方針次第で、過疎地で働く介護職の待遇や事業所の経営の見通しが変わってくる。「法律で枠を作り、報酬で誘導する」という日本の介護政策の基本構造を踏まえると、本改正は2027年度介護報酬改定の方向性を強く規定する「先決条件」として機能する。

介護職のキャリア選択への影響。選択肢が広がる一方で見極めが必要に

介護現場で働く一人として、この改正を「制度の話」で終わらせず自分のキャリア選択につなげる視点が重要だ。第一に、ケアマネとしての働き方の選択肢が広がる。これまで「居宅か施設か」だった選択肢に、住宅型ホーム入居者向けの「登録施設介護支援」が加わる。施設併設型ケアマネとして安定的に働きたい人、地域包括ケアの中で多様な利用者を担当したい人、それぞれの志向に合わせた選択肢が用意されることになる。

第二に、過疎地で働く介護職にとっては、自分の事業所が「特定地域サービス」の対象となるかどうかで運営基準が変わる可能性がある。基準緩和は人手不足の解消につながる一方、業務の集中や責任範囲の拡大を伴う可能性もあり、自分の事業所がどの基準で運営されているのかを意識しておく必要がある。第三に、住宅型ホーム勤務の介護職には、登録制導入によって自施設の運営姿勢が問われる場面が増える。質の高い住宅型ホームほどこの規制強化を追い風にできるため、就業先選びの判断材料として登録の有無を確認する習慣を持つとよいだろう。制度改正期は、待遇や働き方を見直す絶好のタイミングでもある。

事業所運営と介護現場への示唆|2040年問題を見据えて

事業所運営への波及。登録制対応・特定地域認定・ケアマネ研修体制の3点で準備が必要

本改正が施行される2027年4月までの約10か月強は、事業所にとって制度対応の準備期間となる。住宅型有料老人ホームを運営する事業所は、まず自施設が登録制の対象となるかどうかを見極めたうえで、登録申請に向けた体制整備を進める必要がある。要介護者の入居比率や提供サービスの内容によって対象が決まるため、現入居者の介護度分布を踏まえた事業計画の見直しが求められる。

過疎地で事業展開する法人にとっては、「特定地域サービス」の対象地域に自治体が認定されるかが大きな分岐点になる。対象認定を受ければ運営基準の弾力化により少人数体制でも事業継続が可能になる一方、市町村直営による公的サービス供給と競合する可能性もある。地域包括ケアの中で民間事業者がどう役割分担するかが、これからの議論の焦点となる。

居宅介護支援事業所にとっては、ケアマネ研修体制の見直しが重要課題だ。都道府県実施研修への参加機会確保、業務調整、研修費用の負担方法など、組織として支援体制を整える必要がある。とくに小規模事業所では、研修参加中の業務代替が課題となりやすい。

地域包括ケア政策との接続。「2040年問題」を見据えた制度デザイン

本改正の大きな文脈には、団塊ジュニア世代が高齢期に入る「2040年問題」がある。2040年には85歳以上人口がピークを迎え、介護需要が現在の1.5倍以上に膨らむと推計される一方、生産年齢人口は急速に減少する。この需給ギャップを埋めるための制度設計が、今回の改正の根底にある。

過疎地の基準緩和は、人材不足が先に顕在化する地方部での介護サービス維持策である。住宅型ホームへの規制強化は、軽度〜中重度の要介護者を受け入れる多様な住まいを質的に安定させる施策だ。ケアマネ制度の見直しは、量的に増える要介護者へのケアマネジメント供給を確保しつつ、職務の質を保つための再設計といえる。いずれも個別の論点に見えて、根底には「2040年に介護サービスを成り立たせるための布石」という共通の文脈がある。

独自視点。「現場の納得」を作る次の制度設計が問われる

制度改正は法律が通れば終わりではない。むしろ法律通過は出発点であり、現場が改正の趣旨を理解し、運営に落とし込み、利用者と職員が納得できるかが本当の成否を決める。今回の27項目の附帯決議は、立法府がこの「現場の納得」を作る難しさを認識していることの表れだ。

とくに住宅型ホームの登録制と「囲い込み」対策は、現場の事業者間で受け止め方が大きく分かれる論点である。質の高いケアを提供する事業者にとっては規制強化が追い風となり、逆に過剰な保険給付に依存してきた事業者には経営の見直しが迫られる。この再編プロセスをスムーズに進めるためには、登録要件の透明性、過渡的措置の設計、不適切事業者の撤退に伴う入居者保護の仕組みなど、施行までに詰めるべき論点が山積している。介護現場で働く一人ひとりが、自分の働く事業所がどの位置にいるのかを冷静に見極め、必要なら職場変更も視野に入れたキャリア設計を意識する時期に入ったといえる。

参考文献・出典

  • [1]
    介護保険法改正案 衆院本会議で可決 27項目の附帯決議- 介護ニュースJoint

    衆議院本会議で介護保険法・老人福祉法・社会福祉法等の改正案が可決された一次報道(2026年5月26日)

  • [2]
    介護保険法などの改正案、衆院厚労委で可決 27項目の附帯決議も- 介護ニュースJoint

    衆議院厚生労働委員会での可決と27項目附帯決議採択についての一次報道(2026年5月22日)

  • [3]
    介護保険法改正案 ケアマネ更新制廃止、人口減少地域に新サービス類型、有料老人ホーム登録制創設へ- CB news

    改正案の主要項目と施行スケジュールに関する詳細解説

  • [4]
    介護・高齢者福祉- 厚生労働省

    介護保険制度の概要・改正動向に関する公式ポータル

  • [5]
    社会保障審議会(介護保険部会)- 厚生労働省

    改正案の制度設計を議論した社会保障審議会介護保険部会の資料・議事録

  • [6]
    社会保障審議会(介護給付費分科会)- 厚生労働省

    令和8年度介護報酬改定議論を進める分科会資料・議事録

  • [7]
    介護労働実態調査- 介護労働安定センター

    訪問介護員の不足感など介護現場の人材状況に関する公的調査

  • [8]
    第221回国会 議案の一覧- 衆議院

    改正案の議案番号・処理経過を確認できる衆議院公式ページ

関連する公的データ(本文の補足)

介護人材需給データから見るケアマネ支援の必要性

厚生労働省の第9期介護保険事業計画に基づく推計では、介護職員は2022年度の約215万人から、2026年度に約240万人、2040年度に約272万人が必要とされています。介護職員の必要数が増えるほど、サービス調整を担うケアマネジャー側の業務負担も重くなります。

年度介護職員数・必要数2022年度との差見方
2022年度約215万人基準足下の介護職員数
2026年度約240万人+約25万人第9期計画期間の終期に必要な規模
2040年度約272万人+約57万人高齢化が進む2040年度に必要な規模

2040年度までに必要とされる上積みは約57万人です。これは、介護現場の努力だけで吸収するには大きい規模で、処遇改善、採用、定着支援、業務効率化を組み合わせて進める必要があります。処遇改善やICT化の議論は、介護職員だけでなく、ケアプラン作成・連携・相談対応を支える職種の持続性とあわせて見ると実態に近づきます。

出典: 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(2024年7月12日公表)。2022年度の介護職員数は厚生労働省「令和4年介護サービス施設・事業所調査」、2026年度・2040年度は市町村の第9期介護保険事業計画に基づく都道府県推計の集計です。

まとめ

2026年5月26日の衆議院本会議で介護保険法・老人福祉法・社会福祉法等の改正案が可決されたことは、約2年にわたる制度改正論議が「成立への確度の高い段階」に入ったことを意味する。過疎地での運営基準弾力化、住宅型ホーム入居者向けケアマネ新類型「登録施設介護支援」の創設、住宅型ホーム登録制の導入、ケアマネ更新制廃止と研修義務化など、現場運営に直結する内容が多く含まれる。27項目の附帯決議は、施行後の運用課題として政府に重い宿題を残した。

参議院審議では、囲い込み対策の実効性や過疎地基準緩和の歯止めなどが焦点となる見通しだ。原則2027年4月施行に向け、事業所と介護職の双方が「自分の働く現場でこの改正がどう作用するか」を意識的に把握する必要がある。法律改正と2026年6月の臨時介護報酬改定、2027年4月の通常改定が同時並行で進むことで、介護現場は大きな転換期を迎える。情報を待つ姿勢ではなく、自分から制度の動きを追い、キャリアの選択肢として捉え直す視点が、この時期にこそ求められている。今回の改正は介護職にとってリスクであると同時に、新しい働き方の選択肢を広げるチャンスでもある。

医療・健康情報に関する免責事項

本記事は、介護現場で働く方および介護職への転職を検討される方に向けた一般的な情報提供を目的としており、 個別の症状に対する医学的な診断・治療を行うものではありません。

ご本人・ご家族の症状やケア方法について判断が必要な場合は、必ず医師・看護師・薬剤師・言語聴覚士・理学療法士・作業療法士等の有資格者にご相談ください。 介護保険サービスの利用判断についてはケアマネジャー、行政手続きについては各市区町村の窓口にお問い合わせください。

掲載情報は公開時点の各種公的資料・業界資料に基づき作成していますが、最新の制度・診療ガイドライン等と異なる場合があります。

公開日: 2026年5月28日最終更新: 2026年8月13日

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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