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📑目次

  1. 01長寿社会開発センター調査の概要|2025年10月・3000人ウェブ調査
  2. 02制度認知度のギャップ|「よく知っている」はわずか5%
  3. 03サービス・専門職への認知度も軒並み低水準
  4. 0440歳以上の被保険者でも制度を理解していない構造的要因
  5. 05認知度ギャップが生む「介護初動の遅れ」リスク
  6. 06家族介護が始まる直前に起きる情報収集の壁
  7. 07地域包括支援センターと介護事業所に求められる役割
  8. 08介護業界で働くことを考えるなら|「知らない6割」を支える仕事
  9. 09まとめ|6割超の「知らない」を減らすために今できること
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介護保険制度「知らない」6割超|長寿社会開発センター調査が示す認知度ギャップと家族介護の備え

介護保険制度「知らない」6割超|長寿社会開発センター調査が示す認知度ギャップと家族介護の備え

一般財団法人長寿社会開発センターの2025年調査で、20〜64歳の62%が介護保険制度を「知らない」と回答。40歳以上の被保険者であっても仕組みを理解せず、要介護認定やサービス利用の初動が遅れるリスクが浮き彫りに。制度認知度ギャップの実態、地域包括支援センターの役割、家族介護が始まる前の情報収集の重要性を解説します。

📑目次▾
  1. 01長寿社会開発センター調査の概要|2025年10月・3000人ウェブ調査
  2. 02制度認知度のギャップ|「よく知っている」はわずか5%
  3. 03サービス・専門職への認知度も軒並み低水準
  4. 0440歳以上の被保険者でも制度を理解していない構造的要因
  5. 05認知度ギャップが生む「介護初動の遅れ」リスク
  6. 06家族介護が始まる直前に起きる情報収集の壁
  7. 07地域包括支援センターと介護事業所に求められる役割
  8. 08介護業界で働くことを考えるなら|「知らない6割」を支える仕事
  9. 09まとめ|6割超の「知らない」を減らすために今できること

一般財団法人長寿社会開発センター(髙井康行理事長)が2025年10月に実施した介護保険制度の認知度調査で、20〜64歳の一般市民のうち「ほとんど知らない」「まったく知らない」を合わせた割合が62%に達したことが分かりました。調査結果は2026年4月14日に福祉新聞WEBで報じられ、介護保険料を現役で負担している40歳以上の第2号被保険者であっても、制度の中身をほとんど理解していない実態が改めて浮き彫りになった形です(調査時点の値)。

一方で同じ調査では、介護保険制度が「必要だ」と答えた人は86%にのぼっており、「必要性は感じているのに、中身はよく分からない」というアンビバレントな状態が現役世代に広がっていることが見えてきます。この認知度ギャップは、親の介護が突然始まったときに要介護認定の申請やサービス利用開始が遅れる、いわゆる「介護初動の遅れ」を生む最大の要因です。

この記事では、長寿社会開発センターの調査結果を厚生労働省資料や地域包括支援センター関連の公的情報と突き合わせながら、(1) 認知度ギャップが生じる構造、(2) 家族介護の直前に起きる情報収集の壁、(3) 現役世代・介護事業所・地域包括支援センターそれぞれに求められる対応を整理します。

長寿社会開発センター調査の概要|2025年10月・3000人ウェブ調査

まず今回の調査の全体像を押さえておきましょう。出典は福祉新聞WEB(2026年4月14日配信)で、発表元は一般財団法人長寿社会開発センターです。同センターは厚生労働省の老人保健健康増進等事業の採択団体としても知られ、地域包括支援センター運営マニュアルや介護支援専門員実務研修テキストなど、介護保険制度の実務に直結する書籍・研修を長年にわたり手がけてきた団体です。

調査の基本情報

  • 調査名:介護保険制度に関する認知度調査
  • 実施主体:一般財団法人長寿社会開発センター
  • 実施時期:2025年10月
  • 対象:20〜64歳で、介護保険サービスや障害福祉サービスを利用していない3000人
  • 方法:ウェブ調査
  • 発表:2026年4月14日 福祉新聞WEB報道

対象者の内訳は会社員49%、パート・アルバイト17%、無職12%、専業主婦・主夫9%、自営業6%、公務員4%などです。現役世代のうち、実際に介護サービスを使っていない「これから介護に向き合う可能性がある層」を切り取った調査設計である点が特徴といえます(以上、調査時点の値)。

「サービス未利用者」を対象にしている意味

この調査のポイントは、介護サービスの利用者本人やその家族を外し、「まだ介護と直接接点を持っていない現役世代」だけを抜き出していることです。介護保険制度は、40歳以上が被保険者として保険料を支払い、要介護認定を受けた人がサービスを利用できる仕組みになっています(厚生労働省「介護保険制度の概要」)。つまり、40歳を超えた時点で全員が制度の当事者になっているにもかかわらず、サービスを使うタイミングになるまで知識ゼロに近い層が大多数を占めている、という現役世代のリアルがこの調査から見えてきます。

制度認知度のギャップ|「よく知っている」はわずか5%

もっとも衝撃的だったのは、介護保険制度の認知度に関する内訳です。長寿社会開発センター調査によれば、認知度は次のように分布していました(調査時点の値)。

  • 内容をよく知っている:5%
  • ある程度知っている:33%
  • ほとんど知らない+まったく知らない:62%

「知っている」側が4割に届かない現実

制度の中身を自信を持って説明できる「よく知っている」層は5%にすぎず、「ある程度知っている」を足してようやく38%です。逆に言えば、現役世代の6割超は、親や配偶者の介護が始まっても「何から調べればいいのか」の手がかりすら持っていない可能性があります。

介護保険料は、40歳以上の第2号被保険者・65歳以上の第1号被保険者が負担する仕組みで、厚生労働省「介護保険制度の概要」でも明記されているとおり、日本に住む40歳以上の人は原則として全員が被保険者です。保険料は給与天引きなどで自動的に徴収されるため、「支払っている意識」すら持ちづらい構造になっており、これが認知度の低さの背景にあると考えられます。

「必要性」と「理解度」のねじれ

同じ調査で、介護保険制度は「必要だ」と回答した人は86%に達しました。必要性を感じている理由は次のとおりです(調査時点の値)。

  • 家族の負担が減る:35%
  • 高齢者介護は社会的課題なので必要:27%
  • 専門的なサービスが受けられる:8%

「必要だと思う人が86%」「知らない人が62%」という数字の並びは、現役世代が「社会として必要な制度であることは分かっているが、自分がどう使えるのかは分からない」という状態にあることを示しています。このねじれこそ、いざ介護が始まったときの初動を遅らせる根本原因です。

サービス・専門職への認知度も軒並み低水準

長寿社会開発センターの調査では、制度そのものだけでなく、介護保険事業所のサービス内容や専門職の仕事内容についても認知度が尋ねられています。こちらも全体的に低い水準でした(調査時点の値)。

サービス内容まで「知っている」と回答した割合

  • 有料老人ホーム:33%
  • 通所介護(デイサービス):32%
  • 訪問看護:31%
  • 訪問介護(ホームヘルプ):30%
  • 特別養護老人ホーム・介護老人保健施設:25%
  • 地域包括支援センター:18%

専門職の仕事内容まで「知っている」と回答した割合

  • ホームヘルパー:28%
  • ケアマネジャー:25%
  • 理学療法士:23%
  • 介護福祉士:22%
  • 作業療法士:20%
  • 社会福祉士:15%

地域包括支援センターの認知度18%の重み

特に深刻なのは、地域包括支援センターの認知度が18%にとどまった点です。厚生労働省「地域包括支援センターの概要」では、地域包括支援センターは高齢者の総合相談窓口として位置付けられ、介護保険の申請代行、要介護認定前の相談、介護予防ケアマネジメント、高齢者虐待対応、権利擁護など、介護の初動で最初に頼るべき公的窓口であると整理されています。

地域包括支援センターは全国に約5400か所以上設置されており(厚生労働省資料)、市町村が責任主体となって運営する公的窓口です。しかしその存在が現役世代の8割以上に知られていないとなれば、親の物忘れが心配になったとき、入院先の退院支援で介護の話が出たとき、最初の一歩を踏み出す場所にたどり着けない家族が多数を占めることになります。

特別養護老人ホームや介護老人保健施設といった根幹的な介護保険施設でも認知度25%にとどまっており、「施設の名前は聞いたことがあっても、どう違うのか、誰が利用できるのかは分からない」という状態が現役世代に広がっていると推測できます。

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40歳以上の被保険者でも制度を理解していない構造的要因

介護保険料を毎月負担している40歳以上であっても、なぜここまで制度を理解していないのでしょうか。背景には、制度そのものの複雑さと、情報接触の機会の偏りという2つの要因が重なっています。

要因1:保険料が「自動引き落とし」で意識されにくい

厚生労働省「介護保険制度の概要」によれば、第2号被保険者(40〜64歳)の介護保険料は医療保険料と一体で徴収され、給与明細でも医療保険料と合算で記載されるケースが多くなります。第1号被保険者(65歳以上)は原則として公的年金からの天引きです。自ら振り込む機会がほぼ無いため、「払っている」という当事者感覚が持ちにくく、制度への関心も生まれにくい構造があります。

要因2:利用開始の入口が「要介護認定」という専門プロセス

介護保険サービスを使うためには、市町村に要介護認定を申請し、認定調査と主治医意見書をもとに介護認定審査会で要支援1〜要介護5のいずれか(または非該当)の判定を受ける必要があります(厚生労働省「要介護認定制度について」)。この認定プロセス自体が一般には馴染みがなく、家族が突然直面したときには「どこに申請するのか」「主治医意見書は誰が書くのか」といった基本情報すら手がかりがない状態になりがちです。

要因3:サービス体系が多階層で分かりにくい

介護保険サービスは「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3区分に大別され、さらに訪問系・通所系・短期入所系・特定施設など細かく分かれています。利用者は原則としてケアマネジャーが作成するケアプランに沿って複数サービスを組み合わせて利用しますが、このサービス体系の全体像は、実際に家族が要介護状態になって初めて触れる知識です。結果として、長寿社会開発センター調査が示したように、サービスごとの認知度が軒並み2〜3割台にとどまる構造が生まれます。

要因4:情報発信の主戦場が高齢者本人向けに寄っている

介護保険制度や地域包括支援センターの広報は、どうしても高齢者本人や現に介護を担っている家族向けのチャネル(市町村広報誌、高齢者向けイベント、病院・地域包括支援センターの窓口など)に集中しがちです。一方、40〜50代のサービス未利用層は、こうした高齢者向け情報と接点を持つ機会が乏しく、制度を知るきっかけが生まれにくい、という構造的な発信の偏りも背景にあると考えられます。

認知度ギャップが生む「介護初動の遅れ」リスク

制度認知度が低いことで、家族介護の開始時に次のような遅れが起こり得ます。いずれも実務の現場で頻繁に報告されてきた典型パターンです。

リスク1:要介護認定の申請が遅れる

認定申請から結果通知までは原則30日以内(厚生労働省「要介護認定制度について」)ですが、申請自体が遅れれば当然サービス利用開始も遅れます。「病院を退院する日までにサービスを整えたい」と相談されてから認定申請するのでは間に合わないケースも少なくありません。退院前から地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に相談していれば、暫定ケアプランで退院当日からサービスを入れることも可能ですが、地域包括支援センターの認知度が18%という現状では、この「早期相談」が機能しにくくなっています。

リスク2:家族の離職・休職が先行する

介護保険のサービスを組み合わせれば、在宅介護と就労の両立はかなりの範囲で実現できます。厚生労働省「仕事と介護の両立支援」では、介護休業・介護休暇・短時間勤務などの両立支援制度が整理されていますが、制度を知らない家族は「自分がすべてを背負う」前提で離職を決断しやすく、離職した後でサービス利用に気付いても、一度失ったキャリアや収入は戻ってきません。厚生労働省「雇用動向調査」では、家族の介護・看護を理由とする離職(介護離職)は年間約10万人規模で発生していると報告されています。

リスク3:家族介護者の心身の疲弊と虐待リスク

制度を知らないまま家族介護に突入すると、デイサービス・訪問介護・ショートステイといった「休息を確保するサービス」も使えず、介護者の心身が短期間で限界を迎えます。これは高齢者虐待防止法に基づく厚生労働省の「高齢者虐待対応状況調査」でも、養護者(家族)による虐待の主たる発生要因として、介護疲れ・介護ストレス、介護知識や技術の不足、被虐待者との関係性悪化が挙げられてきた傾向と一致する構図です。制度を知っていれば避けられた家族崩壊が、知らなかったというだけで起きるのが介護の怖さです。

リスク4:お金と資産の判断を誤る

介護保険で利用者負担は原則1割(所得により2〜3割)で、さらに高額介護サービス費や高額医療・高額介護合算療養費といった負担軽減の仕組みがあります。制度を知らずに自費中心のサービスや高額な有料老人ホームを早期に選んでしまうと、使えたはずの公的サービスや軽減措置を活用できず、家計と資産を早く目減りさせることになります。

家族介護が始まる直前に起きる情報収集の壁

介護の初動が遅れる最大の理由は、「必要になった瞬間に初めて調べ始める」ことです。しかし、その瞬間はたいてい緊急性が高く、冷静に比較検討する余裕がありません。

情報収集の壁は「時間」「専門用語」「判断主体」

現役世代が家族介護の直前に直面する情報収集の壁は、主に次の3つです。

  • 時間の壁:親が転倒して入院、退院カンファレンスまで数日、という典型的な流れでは、制度全体を1から学ぶ時間がない
  • 専門用語の壁:「要介護区分」「区分支給限度基準額」「居宅介護支援」「地域密着型」など、初見の用語が一気に押し寄せる
  • 判断主体の壁:本人の意思確認が難しい状態から始まることも多く、誰が何を決めるのかの整理自体がつかない

「介護が必要になる前」に押さえておきたい3つの情報

長寿社会開発センターの調査結果が示すように、6割超の現役世代が制度を知らない状態で放置されている以上、個人の側でも最低限の事前準備が欠かせません。特に優先順位が高いのは次の3点です。

  1. 親の住む市区町村の地域包括支援センターの場所と連絡先を確認しておく(市町村のウェブサイトで一覧が公開されています)
  2. 親の医療情報(かかりつけ医、服薬、既往歴)を家族内で共有しておく。要介護認定申請時の主治医意見書で必要になります
  3. 自社の仕事と介護の両立支援制度(介護休業、介護休暇、短時間勤務)を就業規則で確認しておく。介護が必要になった後に読むのでは遅い

これらは「親が元気なうち」に10分単位で済ませられる準備ですが、実際にやっている現役世代は決して多くありません。認知度62%が「知らない」という数字は、この事前準備の不在とほぼ重なります。

地域包括支援センターと介護事業所に求められる役割

認知度ギャップは、制度の運用側にとっても看過できない課題です。特に地域包括支援センターと介護事業所は、現役世代と接点を持つ入口そのものであり、啓発の最前線に立つ存在でもあります。

地域包括支援センターの役割

厚生労働省「地域包括支援センターの概要」によれば、地域包括支援センターは市町村が設置責任を負い、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員の3職種が配置される総合相談窓口です。主な業務は次のとおりです。

  • 総合相談支援(介護・医療・生活全般)
  • 権利擁護(高齢者虐待対応、成年後見制度の活用支援)
  • 包括的・継続的ケアマネジメント支援
  • 介護予防ケアマネジメント(要支援者向けケアプラン作成)

認知度18%という長寿社会開発センター調査の結果は、この窓口が本来届くべき相談者層にリーチできていないことを意味します。市町村と地域包括支援センターは、現役世代を含む幅広い層への啓発、たとえば職域向けのセミナー、介護が始まる前の家族向けワークショップ、デジタル媒体での情報発信強化などが、これまで以上に求められる局面に入っています。

介護事業所の役割

訪問介護、通所介護、居宅介護支援、介護保険施設などの介護事業所も、地域との接点において啓発機能を担える存在です。具体的には次のようなアプローチが考えられます。

  • 見学会・オープンデイを通じて、地域住民にサービスの中身を知ってもらう
  • 「介護が始まる前」の家族向け相談会を地域包括支援センターと共催する
  • 職員が地域のイベントや職域セミナーに講師として参加し、介護の現実を伝える
  • 入職者向けのオリエンテーションで、制度の全体像を共有する

介護業界で働く人にとって、「社会の大半が制度を知らない」という事実は、仕事の価値そのものを再認識させるものでもあります。日々のケアが結果的に利用者と家族の危機を防いでいる、という視点は、介護職のやりがいにも直結する論点です。

厚生労働省・政府に求められる啓発

厚生労働省は従来から「介護離職ゼロ」「地域包括ケアシステムの構築」を掲げ、介護保険制度の周知を進めてきました。しかし長寿社会開発センター調査の結果は、現役世代への浸透がまだ十分ではないことを示しています。保険者である市町村、都道府県、厚生労働省が連携して、「40歳になったら全員に届く最低限の制度リテラシー」を体系立てて提供する仕組みが、今後いっそう重要になるでしょう。

介護業界で働くことを考えるなら|「知らない6割」を支える仕事

今回の長寿社会開発センター調査は、介護業界の外にいる人にとっては「自分ごととして制度を知るべき」というメッセージですが、介護業界で働くこと・転職することを検討している人にとっては、別の視点を提示する数字でもあります。

「知らない6割」に寄り添える専門職の価値

現役世代の62%が介護保険制度をほとんど知らない、地域包括支援センターの認知度は18%、ケアマネジャーの仕事を理解している人は25%、という状況は、介護の専門職が利用者と家族にとって「未知の領域の案内人」として機能していることを意味します。ホームヘルパー、ケアマネジャー、介護福祉士、社会福祉士、理学療法士、作業療法士——いずれの職種も、単にサービスを提供しているだけではなく、制度・手続き・社会資源の橋渡し役を担っています。

転職先選びの視点が変わる

制度認知度の低さは、介護事業所にとっては「利用者獲得の難しさ」でもあり、逆に「丁寧な説明・地域との関係づくりができる事業所」が強みを発揮できる領域でもあります。転職を考える際には、給与・勤務時間だけでなく、地域包括支援センターとの連携実績、家族説明や退院カンファレンスでの対応、職員向け研修の充実度なども比較ポイントになります。

自分の働き方を見直したい人へ

介護業界で長く働く人ほど、「家族や自分が介護保険の世話になる日」も現実味を帯びてきます。現役介護職自身が制度に詳しくなり、将来の選択肢を持っておくことも、今回の調査結果が間接的に示す論点のひとつです。働き方診断を活用して、いまの職場・働き方が自分のライフステージに合っているかを可視化しておくことは、将来の家族介護の備えとしても有効です。

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まとめ|6割超の「知らない」を減らすために今できること

長寿社会開発センターが2025年10月に実施した認知度調査では、20〜64歳のサービス未利用者3000人のうち、介護保険制度を「ほとんど知らない」「まったく知らない」と回答した人が62%に達しました(調査時点の値)。サービスごと・専門職ごとの認知度も軒並み2〜3割台にとどまり、特に総合相談窓口である地域包括支援センターの認知度は18%という低水準でした。

今日押さえておきたい5つのポイント

  1. 制度は40歳から全員が当事者——介護保険料を負担する第2号被保険者は40歳以上。自動引き落としで意識されにくいが、すでに制度の当事者である。
  2. 「必要だと思う」は86%、「知らない」は62%——必要性と理解度のねじれが、介護初動の遅れを生む最大の要因。
  3. 最初の相談先は地域包括支援センター——市町村に原則設置されている公的窓口。親の住む市区町村の場所と連絡先を今日中に確認しておく。
  4. 要介護認定は原則30日以内で結果通知——申請が遅れればサービス利用も遅れる。退院前から相談を始めるのが鉄則。
  5. 仕事と介護の両立支援制度を知っておく——介護休業・介護休暇・短時間勤務などを就業規則で確認し、離職の前に制度活用を検討する。

業界側の課題と可能性

認知度62%「知らない」という数字は、介護業界と行政にとっても宿題です。地域包括支援センター、介護事業所、厚生労働省、市町村が連携して、現役世代への啓発強化、職域向けセミナー、デジタル発信の強化などを進める必要があります。同時にこれは、丁寧な説明と地域連携ができる介護事業所・専門職の価値がかつてないほど高まる局面であるということでもあります。

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主な出典・参考資料

  • 福祉新聞WEB「介護保険制度『知らない』6割超 長寿社会開発センターが調査」(2026年4月14日配信)
  • 一般財団法人長寿社会開発センター「介護保険制度に関する認知度調査」(2025年10月実施)
  • 厚生労働省「介護保険制度の概要」
  • 厚生労働省「要介護認定制度について」
  • 厚生労働省「地域包括支援センターの概要」
  • 厚生労働省「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果」
  • 厚生労働省「雇用動向調査」(介護・看護を理由とする離職)
  • 厚生労働省「仕事と介護の両立支援」
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公開日: 2026年4月20日最終更新: 2026年4月20日

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

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