
介護施設の事故分析と改善活動|RCA・なぜなぜ分析・PDCAで再発を防ぐ実務
介護施設で起きた転倒・誤薬・誤嚥などの事故を、責任追及ではなくシステムの問題として分析し再発防止につなげる実務記事。令和7年11月の厚労省ガイドラインを踏まえ、RCA・5回のなぜ・PDCA・リスクマネジメント委員会・市町村報告までを現場目線で整理。
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この記事のポイント
介護施設の事故分析とは、転倒・誤薬・誤嚥などのアクシデントを「個人のミス」ではなく「仕組みの弱さ」として扱い、RCA(根本原因分析)・なぜなぜ分析・SHEL分析・PDCAサイクルを使い分けて再発防止策まで落とし込む業務改善活動です。令和7年11月の厚労省ガイドラインでも、責任追及をしないno-blame原則と、リスクマネジメント委員会による組織的対応が改めて明文化されました。
目次
事故報告書を書いて終わり、ヒヤリハットを集計して終わり——そんな運営になっていないでしょうか。介護現場では転倒・誤薬・誤嚥・無断外出など、防ぎきれない事故が日々起きます。重要なのは「起きた事故をどう分析し、次にどう活かすか」。そして、その分析を「あの職員が悪かった」で終わらせない仕組みづくりです。事故報告書がファイルキャビネットに眠るだけでは、利用者の安全も職員の働きやすさも改善しません。
本記事は、介護保険施設で働く介護職・主任・サービス提供責任者・管理者向けに、令和7年11月に厚生労働省老健局が公表した「介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン」を踏まえ、RCA(根本原因分析)・なぜなぜ分析・SHEL分析・PDCAサイクルといった事故分析の手法と、リスクマネジメント委員会の運営、市町村への報告義務までを実務目線で整理します。読み終わる頃には、「次の事故が起きたとき、自施設のどこから動くか」を具体的にイメージできる状態を目指します。
個々の分析手法は医療安全領域から介護領域への移植が進んでおり、特養での実証研究も蓄積されつつあります。本記事では既存の事故報告書記載ノウハウや、ヒヤリハット運用とは別の角度——「集めた情報をどう分析し、どう仕組みに戻すか」——にフォーカスします。
事故分析の目的|「責任追及」ではなく「仕組みの改善」
介護施設の事故分析の目的は、起きてしまった事故から「次に同じ事故を起こさないための仕組み」を取り出すことです。ここで最も大事な原則が、職員個人の責任追及をしないという考え方、いわゆるno-blame culture(非難しない文化)です。
なぜ責任追及型の運営は再発防止につながらないのか
「誰のミスか」を最初に問う運営では、現場の報告が減ります。職員は「自分のせいにされる」と感じた瞬間、ヒヤリハットも軽微な事故も隠すようになります。隠された情報の上には、改善策は立てられません。厚生労働省の事故予防ガイドラインでも、組織として原因を分析し、職員個人を非難しないことが運営の基本姿勢として示されています。
分析対象とすべき4つの事故カテゴリ
介護現場で繰り返し起きる事故は、おおよそ次の4分類で整理できます。
- 転倒・転落:ベッド、車椅子、トイレ、浴室での発生が中心。介護事故の中でも最も件数が多い類型
- 誤薬・服薬事故:他者の薬を渡す、時間違い、飲み忘れの放置、自己管理者の管理破綻など
- 誤嚥・窒息:食事中の誤嚥、おやつの形態不適合、義歯の不具合、口腔機能低下の見逃し
- 無断外出・行方不明:認知症利用者の施設外への離設、徘徊からの帰所遅延
このほか、入浴中のヒートショック、医療処置中のミス、感染症の施設内伝播なども分析対象となります。
「アクシデント」と「インシデント(ヒヤリハット)」の関係
事故分析の世界では、実害が発生した事象をアクシデント、実害が出る前に止まった事象をインシデント(ヒヤリハット)と呼びます。ハインリッヒの法則として知られるように、1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故と300件のヒヤリハットがあるとされ、インシデントを集めて分析することが重大事故予防の起点になります。
事故発生から再発防止までの実務フロー(7ステップ)
厚労省の事故予防ガイドラインを参考に、事故発生から再発防止策の定着までを7ステップに分解します。各ステップで「誰が」「いつまでに」「何を残すか」を決めておくと、後から振り返れる分析になります。
Step 1|発見・救命対応(発生直後〜数分以内)
最優先は利用者の生命と安全の確保です。バイタル確認、出血や意識レベルのチェック、必要に応じて施設看護師・嘱託医・救急への連絡。この時点では「何があったか」を詳細に詰めるより、応急対応を最後までやり切ることが重要です。
Step 2|現場保存と一次情報の確保(発見〜30分以内)
転倒の場合は発見時の体位、ベッド・車椅子・床の状態、周囲の物品配置を写真で記録。誤薬の場合は実際に渡してしまった薬包と本来渡すべきだった薬包の両方を保管します。後でなぜなぜ分析をかける際の一次情報になります。
Step 3|家族・主治医・行政への第一報(当日〜翌日)
家族への連絡は速やかに、状況を脚色せず事実ベースで。骨折・脱臼・意識障害・死亡など重篤な事故は、契約上の保険者(市町村)への報告対象になります。市町村の事故報告様式は令和6年に全国統一化されており、自治体ホームページで確認できます。
Step 4|事故報告書の作成(当日〜3日以内)
5W1Hと時系列、客観的事実と推測の分離が原則。詳細は当サイトの事故報告書の書き方記事を参照してください。この報告書が後続のRCA・なぜなぜ分析の入力情報になります。
Step 5|事故分析(事故発生から1週間以内が目安)
事故報告書をもとに、リスクマネジメント委員会または事故対策チームが分析を実施します。手法はRCA、なぜなぜ分析、SHEL分析などから事故の性質に応じて選びます(次セクションで詳述)。この場では当事者を呼んで詰問するのではなく、関係者から事実関係を聴取することを徹底します。
Step 6|再発防止策の立案と承認
分析で見えた根本原因に対して、複数の対策案を出し、実現可能性・効果・コストで評価して採用案を決めます。「気をつける」「注意喚起する」だけの精神論で終わらせず、手順・設備・記録様式・配置のいずれかを変える具体策に落とし込みます。
Step 7|実施・検証・標準化(PDCA)
立てた対策を実施し、3か月後・6か月後を目安に効果を検証。効果があれば全フロア・全ユニットに横展開し、マニュアル・業務手順書を改訂。効果がなければ別の対策案に切り替えます。これが事故分析におけるPDCAサイクルです。
RCA・なぜなぜ分析・SHEL分析|3つの事故分析手法の使い分け
介護現場でよく使われる事故分析手法は大きく3つあります。それぞれ得意な事故タイプと、必要な工数が違うので、事故の重大度に応じて使い分けます。
1. RCA(Root Cause Analysis:根本原因分析)
医療安全領域で標準化された手法で、近年は特別養護老人ホームでも導入事例が増えています。事象を時系列で並べ、各時点での問題点を抽出し、「人的要因」「環境要因」「組織要因」「教育・訓練」などの層から根本原因を特定します。多職種でチームを組み、半日〜1日かけて行う本格的な分析手法のため、重大事故や類似事故の繰り返し発生時に向きます。
2. なぜなぜ分析(5回のなぜ)
トヨタ生産方式で有名な手法で、現象に対して「なぜ?」を5回繰り返し、表面的な原因より深い構造的原因に到達します。例えば「誤薬が起きた」→「なぜ?利用者を取り違えた」→「なぜ?名前確認をしなかった」→「なぜ?慌てていた」→「なぜ?配薬時間が3人重なる動線になっていた」→「なぜ?配薬手順書が朝食前一斉提供を前提にしていた」。このように「個人が慌てた」で止めず、業務設計の問題まで掘り下げるのが本質です。短時間で実施でき、ヒヤリハットや軽中等度の事故に向きます。
3. SHEL分析
航空業界由来の手法で、事象を中心の人(L:当事者)の周りにある4要素——Software(手順・マニュアル)・Hardware(設備・福祉用具)・Environment(環境・人員配置)・Liveware(他職員・利用者)——に分けて原因を整理します。「マニュアル不備」「ベッドの構造」「夜勤帯の人員」「介護士間の引き継ぎ漏れ」など、漏れなく要因を見渡せるのが強みです。誤嚥や転倒など複合要因の事故に向きます。
使い分けの目安
- 軽微なヒヤリハット:なぜなぜ分析(30分〜1時間、当事者+直属上司)
- 中等度の事故(転倒で打撲、軽い誤薬等):なぜなぜ分析 or SHEL分析(1〜2時間、当該ユニットで実施)
- 重大事故(骨折、入院、死亡につながりうる):RCA(半日以上、多職種チーム+管理者)
- 類似事故の繰り返し:SHEL分析+RCA併用で組織要因まで掘る
どの手法を選んでも、最後に「立てた対策が手順・設備・教育のいずれを変えるのか」を明示することが共通の重要ポイントです。
PDCAサイクルで再発防止策を「使えるルール」に育てる
事故分析で良い対策を立てても、現場に定着しなければ再発を防げません。厚生労働省は介護保険施設の運営基準解釈通知の中で、事故防止に向けたPDCAサイクルの実施を求めており、これが再発防止策を「形だけのルール」で終わらせない仕組みになります。
Plan|対策の設計(事故分析直後)
RCAやなぜなぜ分析で見えた根本原因に対し、対策案を3〜5個出して評価します。評価軸は「効果」「実現可能性」「コスト」「副作用」の4つ。例えば「全利用者にセンサーマット設置」は効果は高いが、コストとアラート疲れの副作用も高いため、リスクの高い10名に絞るなどの妥協案を採用します。
Do|対策の実施と教育
新しいルールは、夕礼・朝礼での口頭周知だけでは2週間で形骸化します。手順書改訂・チェックリストへの組み込み・新人OJTマニュアルへの反映の3点セットで定着させます。実施開始日と責任者を明示し、フロアの掲示板に貼り出すと記憶に残ります。
Check|効果検証(3か月後)
同類事故・ヒヤリハットの発生件数を実施前後で比較します。「対策実施後3か月で同類事故ゼロ」「ヒヤリハット報告は変わらず(=検知力は維持)」が理想形。検証は数字だけでなく、現場職員の「やってみてどうか」のヒアリングも合わせて行います。
Act|標準化または改善
効果が確認できた対策は、施設全体のマニュアルに昇格させ、新規開設フロアや系列施設にも横展開します。効果が薄かった場合は、再度なぜなぜ分析に戻り、対策設計をやり直します。「対策を立てて終わり」にせず、機能しなかった対策を捨てて次に進む勇気がPDCAの本質です。
運営基準で求められる「事故発生防止のための指針」
特養・老健・介護医療院などの介護保険施設では、運営基準により事故発生防止のための指針整備、事故発生防止のための委員会開催、職員研修の実施、事故発生時の対応マニュアル整備が義務付けられています。事故分析とPDCAは、この義務を「文書上の体裁」ではなく「実際に回る仕組み」にするための実務手段です。
リスクマネジメント委員会の運営|形骸化させないための5つのポイント
事故分析と再発防止策の質は、リスクマネジメント委員会(事故防止委員会)の運営力に大きく左右されます。形だけの月例会議で終わらせず、実質的な改善を回すための5つのポイントを整理します。
1. 月1回以上、定例で開催する
多くの自治体ガイドラインや事業者団体の指導では、リスクマネジメント委員会・介護事故防止委員会は月1回以上の定期開催が推奨されています。期間を空けすぎると、起きた事故の記憶が薄れて分析の質が下がります。最低でも月1回、重大事故発生時には臨時開催を行います。
2. 多職種で構成する
介護職、看護職、リハビリ職、相談員、管理者、必要に応じて栄養士・薬剤師を含めた多職種構成にします。介護職だけの分析では「介助方法を変える」結論に偏りがちですが、看護師がいれば医学的視点、リハ職がいれば動作分析、薬剤師がいれば与薬システム視点が加わり、再発防止策が立体的になります。
3. 議題は「事故報告書からの分析」を中心に据える
委員会の議事は、(1)前月のヒヤリハット・事故集計の確認、(2)重要事例のなぜなぜ分析・RCA、(3)前回対策の効果検証、(4)新規対策の承認、の流れが基本です。「報告だけして終わり」「マニュアルを読み合わせて終わり」では委員会の意味がありません。
4. 議事録に「対策・担当・期限」を必ず書く
議事録は決定事項を残すための文書です。「〇〇について議論した」では足りず、「何を」「誰が」「いつまでに」の3点を明記します。次回委員会の冒頭で前回宿題の進捗を確認するルーティンが、決定事項の実行率を大きく上げます。
5. 結果を全職員にフィードバックする
分析結果と新しい対策は、委員だけが知っていても現場は変わりません。委員会レポートを紙やデジタルサイネージで共有し、申し送り・ユニットミーティングで必ず取り上げます。「ヒヤリハットを書いた人が、その後どうなったか知らされない」状態が続くと報告意欲が下がります。
BCP・身体拘束適正化委員会との関係
2024年度から義務化されたBCP(業務継続計画)委員会、身体拘束適正化検討委員会、感染対策委員会など、施設には複数の委員会設置が求められています。負担軽減のため、これらを統合開催する運用も認められていますが、議題ごとに分析の質を落とさないよう議事録は分けて作成するのが安全です。
ヒヤリハットと事故分析の連動|現場で詰まる6つのポイント
事故分析を仕組みとして回そうとすると、多くの施設で同じ場所で詰まります。先回りして対処しておきたい6つのポイントを整理します。
詰まりポイント1|ヒヤリハット報告が出てこない
「書く時間がない」「書いても何も変わらない」「責められる気がする」の3つが代表的な原因です。対策としては、ICT記録ソフトでスマホから3分以内で出せる導線を作る、月例委員会で必ず1件は分析対象として取り上げ「報告したらこう変わった」を見せる、そして書いた職員を責めないno-blame原則を管理者から繰り返し発信する——この3点が効きます。
詰まりポイント2|分析が「個人責め」に流れる
当事者を呼んで「なぜ気づかなかったのか」と問うと、ほぼ確実に「すみませんでした」で終わります。なぜなぜ分析の「なぜ」は人ではなく仕組みに向けるのがコツです。「なぜAさんが取り違えた?」ではなく「なぜこの手順では取り違えが起きうるのか?」と主語を業務側に置きます。ファシリテーターが冒頭で「この場では個人の責任は問いません」と宣言してから始めると、関係者の口が開きます。
詰まりポイント3|対策が「気をつける」「再教育する」だけになる
「全職員に再教育を実施した」は対策ではなく、対策をしたという記録です。再発防止策は手順・設備・記録様式・人員配置のいずれかを変える具体策でなければ機能しません。「配薬時間を分散する」「ベッドを低床型に交換する」「夜勤帯の見守りセンサーを増設する」のように、明日の業務が物理的に変わる対策を立てます。
詰まりポイント4|分析する事案を絞れない
すべてのヒヤリハットをRCAにかけていたら委員会は破綻します。月例集計から重大度・頻度・新規性の3軸で2〜3件に絞り、そこに分析リソースを集中させるのが現実解です。残りは集計と傾向把握にとどめ、四半期に1度の特集テーマでまとめて扱う運用もあります。
詰まりポイント5|過去の分析結果が活用されない
1年前に立てた対策が、人事異動後の現場で形骸化していることはよくあります。年1回、過去分析の効果検証セッションを設け、生き残っている対策・形骸化した対策を仕分けします。形骸化したものは「なぜ続かなかったか」を分析し直し、必要なら対策設計から見直します。
詰まりポイント6|市町村への報告漏れ
骨折・脱臼・意識障害・誤薬による健康被害・死亡など、重篤な事故は介護保険法に基づき市町村への報告義務があります。様式は令和6年度に全国統一様式が示され、各自治体ホームページからダウンロードできます。「軽傷だから報告不要」と自己判断せず、迷ったら市町村介護保険担当課に確認するのが原則です。事故報告書の市町村提出は事業所運営の信頼性に直結し、提出漏れが運営指導・監査で指摘されると、加算返還や指定取消につながるリスクもあります。事故発生から第一報までの日数、第一報から正式報告までの日数を施設内ルールで決めておき、当直者でも迷わず動ける体制にしておきます。
介護施設の事故分析に関するよくある質問
Q. RCAとなぜなぜ分析はどちらが優れていますか?
優劣ではなく、事故の重大度と分析にかけられる時間で使い分けるのが正解です。重大事故や類似事故の繰り返しはRCA、軽中等度の事故やヒヤリハットはなぜなぜ分析が向きます。両方を組み合わせて使う施設も増えています。
Q. 事故報告書は何日以内に書く必要がありますか?
法令で「何日以内」と明示された全国一律のルールはありませんが、市町村への報告対象事故は速やかな第一報(おおむね当日〜翌日)と、その後の正式報告書提出が求められます。施設内の事故報告書は記憶の鮮度を保つため、原則として発生当日〜3日以内の作成が現実的です。
Q. 軽微な事故やヒヤリハットも市町村に報告しますか?
原則として市町村への報告対象は「重篤な事故」です。判断に迷う中等度の事故(軽い打撲・擦過傷など)については、自治体の運用や事業所の管理者判断によります。報告基準は各自治体で微差があるため、所在市町村の介護保険担当課が公開している事故報告様式と運用通知を必ず確認してください。
Q. 事故分析の結果、職員を懲戒処分する必要はありますか?
原則として、事故分析と人事処分は切り離して運用するのが望ましいとされています。職員が分析の場で正直に話せなくなるためです。ただし、故意・重大な過失・繰り返しの注意違反など、人事的対応が必要なケースは別の手続きで扱います。事故分析の場では「仕組みの問題」を扱う、と最初に宣言しておくと運用が安定します。
Q. リスクマネジメント委員会のメンバーは何人くらいが適切ですか?
5〜8名程度が現実的です。少なすぎると視点が偏り、多すぎると議論が深まりません。介護・看護・リハ・相談員・管理者の5職種を基本に、議題に応じてフロアリーダーや栄養士を加える運用が機能しやすい構成です。
Q. 事故分析にどれくらいの時間をかけるべきですか?
ヒヤリハットのなぜなぜ分析なら30分〜1時間、中等度の事故のSHEL分析なら1〜2時間、重大事故のRCAなら半日〜1日が目安です。「業務時間を圧迫する」と感じるかもしれませんが、再発した場合の対応コスト(家族対応、訴訟リスク、職員の離職)を考えると、十分にペイする投資です。
参考文献・出典
- [1]介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン- 厚生労働省老健局(令和7年11月)
事故予防の体制整備、発生時対応、再発防止策の立案、リスクマネジメント委員会の運営、市町村への報告等を体系化した最新ガイドライン
- [2]
- [3]特別養護老人ホームにおける介護事故予防ガイドライン(厚生労働省 老人保健事業推進費等補助金事業)- 三菱総合研究所/厚生労働省老人保健健康増進等事業
特養を対象とした事故予防の体系的ガイドライン。事故分析手法・委員会運営のベース文書
- [4]
まとめ|事故分析は「個人を裁く場」ではなく「仕組みを直す場」
介護施設の事故分析は、転倒・誤薬・誤嚥・無断外出といったアクシデントから、再発を防ぐための仕組みを取り出す活動です。鍵となるのは、令和7年11月の厚労省ガイドラインでも明示されたno-blame原則——個人の責任追及ではなく、業務設計・環境・教育の側に問題を求める姿勢です。この姿勢が定着して初めて、現場からヒヤリハットや軽微な事故の報告が上がってくるようになります。
分析手法は事故の重大度で使い分けます。軽中等度の事故やヒヤリハットにはなぜなぜ分析、複合要因の事故にはSHEL分析、重大事故や繰り返し事故にはRCAが向きます。そして、立てた再発防止策はPDCAサイクルで3〜6か月後に必ず検証し、効果のない対策は捨てて次に進む——この往復が事故分析を「文書上の体裁」ではなく「現場が変わる活動」にします。
運営の主体はリスクマネジメント委員会です。月1回以上の定期開催、多職種構成、議事録に「対策・担当・期限」を明記、結果の全職員フィードバック——この4つを守るだけで、委員会の機能性は大きく変わります。そして、市町村への報告義務がある重大事故は、自己判断せず必ず自治体に確認すること。事故分析を仕組みとして根付かせることは、利用者の安全だけでなく、職員が安心して働ける職場文化を育てる投資でもあります。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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