介護のハタラクナカマ
記事一覧地域から探す働き方診断
介護のハタラクナカマ

介護職の転職に役立つ情報をお届けします。

運営:Selfem合同会社

最新記事

  • 介護タクシーの仕事と利用方法|必要資格・福祉タクシーとの違い・独立開業まで
  • 介護休業制度の取り方と使い方|93日・給付金・2025年法改正までわかる実務解説
  • 成年後見制度とは|3類型の違い・任意後見・申立て手順を介護職目線で解説

コンテンツ

  • 記事一覧
  • 地域から探す
  • 働き方診断

サイト情報

  • サイトについて
  • 会社概要

規約・ポリシー

  • 利用規約
  • プライバシーポリシー

© 2026 Selfem合同会社 All rights reserved.

介護現場のチームケア実践法|多職種連携・申し送り・カンファレンスから新人教育まで

介護現場のチームケア実践法|多職種連携・申し送り・カンファレンスから新人教育まで

介護現場のチームケアを体系的に解説。多職種連携の意味、申し送り・カンファレンスの進め方、チームリーダーの役割、役割分担、新人教育OJT、チームワーク強化のコツまで、厚生労働省資料や公的ガイドラインに基づいた実務手順をまとめました。

イントロダクション

介護現場で「チームケア」という言葉を耳にする機会が増えました。夜勤明けの申し送りで疲れた頭を抱えながら情報を伝え、忙しい日勤業務の合間にカンファレンスへ参加し、新人のOJTを任されてどう教えたらいいか悩む。日々の業務のなかで、チームとして動くことの難しさとありがたさを同時に感じている方は少なくないはずです。

厚生労働省が公表している「多職種協働・地域連携」の研修資料では、慢性疾患を抱える高齢者が増えた今、医療中心の「チーム医療」から生活を支える「チームケア」へと支援の形が移行していると整理されています。ひとりの利用者を支えるには、介護職員だけでなく、看護師・医師・リハビリ職・管理栄養士・ケアマネジャー・相談員・薬剤師・歯科衛生士など、多様な専門職が目標を共有し、それぞれの役割を発揮しながら連携する必要があります。

一方で、厚生労働科学研究の調査では「形式的に多職種集団をつくるだけでは、有効な臨床実践につながらないことも頻繁にみられる」と指摘されており、チームをつくること自体がゴールではないと強調されています。大切なのは、共通の目標を明確にし、共通言語で対話し、相互の専門性を尊重し合う「機能するチーム」をどうつくるかという視点です。

この記事では、介護現場で働く職員が明日から実践できるよう、チームケアの意味と必要性、多職種連携の具体像、申し送りとカンファレンスの運営、チームリーダーの役割と役割分担、新人教育としてのOJT、そしてチームワーク強化のコツまでを、公的資料や業界調査の裏づけとともにまとめて解説します。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、訪問介護、通所介護、いずれの現場でも活用できる実務手順に落とし込んでいますので、自分の現場に当てはめながら読み進めてみてください。

チームケアとは何か:チーム医療・多職種連携との違いを整理する

チームケアとは、利用者を中心に、その生活と尊厳を支えるために、さまざまな専門職が目標を共有しながら協働して提供するケアの総称です。厚生労働省の研修資料では、チームケアを「慢性疾患を持つ人々への支援として、生活の場で多様な専門職が関わるケア」と位置づけ、治療中心の「チーム医療」と区別しています。チーム医療が疾患の治癒や症状コントロールを主眼とするのに対し、チームケアは「何がその人らしい生き方なのか」を多職種で共有し、生活と人生を支える点に軸足があります。

「多職種連携」「多職種協働」「チームアプローチ」との関係

現場では似た言葉が飛び交いますが、日本在宅医療連合学会の教材では次のように整理されています。「連携」は互いに連絡を取り協力して物事を行うこと、「協働」は同じ目的のために対等な立場で協力して共に働くこと、を意味します。点と点をつなぐ「連絡」から、線で結んだ「連携」、そして境界を融合させた「協働」へと深まっていくイメージです。英語ではInterprofessional Work(IPW)と呼ばれ、介護保険制度にもその理念が取り入れられています。

チームアプローチは、これらを実践する具体的な方法論を指します。医師・看護師・介護福祉士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士・薬剤師・社会福祉士・ケアマネジャーなどが、アセスメントの共有、目標設定の協働、役割分担の明確化、情報共有システムの活用、定期的な評価と見直しといったプロセスを通じてケアを組み立てます。

なぜ今、チームケアが重要視されるのか

背景には、高齢化と在宅シフトの加速があります。厚生労働省は地域包括ケアシステムの整備を進めており、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する体制を目指しています。慢性疾患、認知症、身体機能低下が重なり合う要介護高齢者のニーズは、単一の職種では満たせません。WHOもヘルスチームを「共通の目的を持ち、各自が能力を発揮し他者の機能と調整しながら寄与するグループ」と定義し、多面的なアセスメントを有機的に束ねる重要性を強調しています。

また、2021年の介護報酬改定以降、科学的介護情報システム(LIFE)の活用やPDCAサイクルを用いたケアの質評価が制度的に促進されています。個々の職員が「頑張る」だけでは成立せず、チームとしてデータを共有し、評価と改善を回す運用が標準になりつつあります。働き方改革や介護人材不足への対応という観点からも、ひとりに業務が集中しない役割分担と相互支援の仕組みづくりが求められているのが現状です。

チームケアが機能するための3つの前提条件

公的資料を横断すると、チームが機能するための前提条件は大きく3つに集約されます。第一に目標の共有です。利用者本人・家族の望む生活像を多職種が共有し、それを具体的なケアプランに落とし込みます。第二に役割の明確化で、誰が何をいつまでに担うのかを可視化し、漏れや重複を防ぎます。第三に相互尊重に基づく対等な対話です。医師や看護師、介護職員、リハビリ職の専門性に優劣はなく、それぞれの視点があってはじめて立体的な支援が可能になります。この3点が崩れると、どれだけ人数をそろえても「集団」にとどまり、チームとしての成果は生まれません。

介護現場の多職種連携:関わる職種と相互理解のポイント

多職種連携を実践する第一歩は、「誰が、どの視点で、何を見ているか」を全員が理解することです。厚生労働科学研究の報告では、同じ事象でも職種ごとに注目するポイントが異なることが指摘されています。例えば「入浴の可否」を判断する場合、体温・体調・入浴時間・お湯の温度・浴室環境・心理的側面など、職種によって見る角度が違います。ここを合わせるには、共通言語と意図的な情報共有が欠かせません。

主な職種とチームケアでの役割

介護施設や在宅ケアで関わる代表的な職種と役割を整理します。

  • 介護職員(介護福祉士・初任者研修修了者ほか):日常生活介助、心身の状態観察、生活場面での微細な変化の発見と記録。ケアの最前線でもっとも情報量が多い職種です。
  • 看護師:健康管理、バイタル測定、服薬管理、医療処置、急変時の判断と医師への報告。生活と医療を橋渡しする要となる役割を担います。
  • 医師(配置医・訪問診療医・かかりつけ医):診断、治療方針の決定、指示書の交付。慢性疾患の管理や看取りの意思決定に関わります。
  • 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士:身体機能評価、リハビリ計画の立案と実施、ADL・IADL維持に関する助言。生活行為の質を左右します。
  • 管理栄養士:栄養アセスメント、食事形態の調整、嚥下状態に応じた食事提案。低栄養や誤嚥性肺炎の予防に直結します。
  • 薬剤師:服薬管理、多剤併用(ポリファーマシー)の確認、副作用モニタリング。
  • ケアマネジャー(介護支援専門員):アセスメント、ケアプラン作成、サービス担当者会議の招集、モニタリング。チーム全体の調整役です。
  • 社会福祉士・生活相談員:経済的支援、家族関係の調整、社会資源の活用、地域連携の窓口。
  • 歯科医師・歯科衛生士:口腔ケア、嚥下評価、義歯調整。経口摂取の継続を支えます。

情報の非対称を埋める「共通言語」と「焦点を絞った伝達」

厚生労働科学研究の指摘でも重要とされているのが、「他職種に伝えるときは、相手が確認できるよう具体的に焦点を絞って表現する」ことです。同職種間の省略語や曖昧な表現は、他職種に伝わらずケアのすれ違いを生みます。例えば「食事量低下」ではなく「昼食で主食2割、副食3割、水分摂取は200mL」と数値で伝える、「元気がない」ではなく「声かけへの反応に5秒以上の遅れ、笑顔なし、自発発語なし」と観察事実で伝える、といった工夫です。

医師や看護師に情報提供する際は、①病状の変化、②日頃の生活状況、③治療コンプライアンス(服薬・食事制限・運動量)、の3点を意識してまとめると伝わりやすくなります。逆に医療職から介護職には、①一般的な疾病の留意点と連絡体制、②個別に注目すべき症状と連絡タイミング、が明示されていることが望まれます。

地域包括ケアを支えるネットワーク

施設内の連携だけでなく、在宅ケアでは地域包括支援センター、訪問看護ステーション、訪問リハビリ事業所、薬局、通所介護、ショートステイ、民生委員、ボランティアなど、地域の多様な資源との連携が必要になります。退院支援では、病院の医師・看護師・ソーシャルワーカーが、地域のケアマネジャー・訪問看護師・ホームヘルパーと連携し、情報共有・サービス調整・家族指導を重ねて在宅復帰をサポートします。ICTを活用した情報共有基盤(地域医療介護連携ネットワーク等)の整備も全国で進んでおり、顔の見える関係づくりと仕組みづくりの両輪が成果を左右します。

申し送りの基本と実践:事実と解釈を分けて伝える技術

申し送りは、24時間体制の介護現場でシフトをまたいでケアを継続するための最重要プロセスです。情報が正確に引き継がれなければ、服薬ミス、転倒、誤嚥、皮膚トラブルなどのリスクが一気に高まります。ここでは、現場で今日から使える申し送りの型と、伝わらない申し送りの典型的な落とし穴を押さえます。

申し送りで必ず押さえる5項目

現場で整理されている定番は次の5項目です。

  1. 利用者の状態変化(バイタル・体調):体温・血圧・脈拍・酸素飽和度、「いつもと違うか」を軸に伝える。
  2. 食事・水分・排泄の状況:摂取量や回数の変化、便の性状、尿量など、体調悪化のサインとなる情報。
  3. 服薬・医療的ケアの実施状況:内服変更、処置の実施有無、拒薬や飲み忘れ。
  4. 事故・ヒヤリハット・注意点:転倒しかけた、ふらつきがあった等の予兆情報。
  5. 家族対応・特記事項:家族からの要望、外出予定、受診同行など。

ハインリッヒの法則でも示されるように、重大事故の背景には29件の軽微な事故と300件のヒヤリハットが存在します。小さな変化ほど確実に共有する文化が事故予防につながります。

「事実」と「解釈」を必ず分ける

申し送りで最も多い失敗は、主観的な解釈を事実として伝えてしまうことです。「今日はすごく不機嫌でした」という報告は、受け手に「今日は機嫌が悪い人」という先入観を植えつけます。実際には義歯が痛くて食事拒否があっただけ、ということもあります。

推奨される伝え方は「事実+解釈+依頼」をワンセットにする方法です。たとえば、「昼食の配膳時、『いらない』と食器を強く押し返され、一口も召し上がりませんでした(事実)。表情が険しく右頬をさする仕草が見られたので、義歯が当たって痛いのかもしれません(解釈)。夕食前に口腔内の確認をお願いできますか(依頼)」。このように分けることで、受け手はフラットな視点で観察を再開でき、別の仮説(口内炎、歯肉炎など)にもたどり着けます。

5W1Hと結論ファーストを意識する

長い説明はかえって要点をぼかします。「結論→理由→補足」の順で、一文を短く区切りながら伝えると、短時間で正確に届きます。また、いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How)を明示することで、伝達ミスと質問の往復を減らせます。例:「17時の排泄介助時、居室ベッド脇で立ち上がり時にふらつきあり。転倒はなし。声かけで着座誘導済み。夜間はセンサーマット使用と介助での移動を徹底してください」。

口頭と記録の役割分担で時間を短縮する

「申し送りが長引いて残業になる」という悩みは、すべてを口頭で伝えようとすることから生じます。バイタル数値や食事摂取量、定型的な処置記録など、読めば分かる情報は記録システムに任せ、対面時間は「ニュアンス」「緊急性」「微妙なコツ」「精神面の変化」「スタッフのフォロー」に集中させるのが理想です。開始前の5分を「各自で記録を読む時間」と決める運用を加えるだけでも、読み合わせ時間を削減できます。

チェックリストで抜け漏れを防ぐ

新人のうちは優先順位が判断しにくいため、チェックリストをルーティン化するのが近道です。①バイタル確認、②食事・水分摂取量、③排泄状況、④服薬実施と変更、⑤ヒヤリハット、⑥家族連絡・予定、⑦次シフトへの依頼事項、という順で確認する運用にすると、伝え漏れが大きく減ります。紙のフォーマットやICTの申し送り機能を活用し、チーム共通の型として定着させましょう。

あなたに合った介護の働き方は?

簡単な質問に答えるだけで、ピッタリの施設タイプがわかります

1分で診断する

ケアカンファレンスの進め方:準備・議論・振り返りの3ステップ

ケアカンファレンスは、多職種が集まり利用者のケア方針を検討する会議です。介護保険制度下ではサービス担当者会議が制度的に義務づけられている一方、任意で開催されるケアカンファレンスもサービスの質向上に不可欠です。厚生労働科学研究でも、効果的に協働するための要点として「カンファレンスの重要性の認識」が明記されています。しかし「話し合いが雑談で終わる」「結論が出ない」という声も多く、運営の型を身につけることが成果に直結します。

カンファレンスの目的は「共通理解」と「役割の明確化」

カンファレンスの存在意義は2つに集約されます。ひとつは「利用者の達成すべき目標を全員が同じ解像度で理解すること」、もうひとつは「目標達成のために誰が何を担うかを明確にすること」です。介護職員がカンファレンスに参加する際は、自分の役割がチームのどこに位置しているかを意識し、「この利用者の目標達成のために、介護職として何をするか」を持ち寄る姿勢が求められます。医師や看護師が参加する場面でも、チーム内に上下関係はなく、生活場面をもっともよく知る介護職の発言には固有の価値があります。

ステップ1:事前準備を丁寧にする

主催者(多くはケアマネジャーやリーダー)は、議題に応じて必要資料をあらかじめ準備します。基本情報、疾患名、服薬状況、ADL、直近のバイタル、食事量、前回カンファレンス以降の変化、家族の意向、職員からの相談事項などを盛り込みます。前回からの変化を数値で可視化したデータを添えると、検討の出発点がそろい議論が早く深まります。資料は事前配布し、全員が目を通してから臨むことで、当日は読み合わせではなく「意見交換」に時間を使えます。

ステップ2:議論は「批判より建設的な提案」で進める

当日の進行は、司会者がアジェンダと時間配分を明示することから始めます。厚生労働科学研究で紹介されているリーダーシップの要点は、①特定の人に偏らず全員に意見を求める、②発言に対してうなずき相槌を打つ、③どんな情報も否定しない、の3点です。心理的安全性が確保されることで、経験の浅い職員や他職種も本音を出しやすくなります。

議論では「事実の確認→課題の抽出→改善案の検討→役割分担の決定」という順で流すと発散しにくく、アサーティブな対話が成立します。意見が対立したときは、「なぜそう考えるに至ったか」のプロセスを言語化し、優先順位を冷静に判断することが重要と指摘されています。

ステップ3:振り返りとPDCAを回す

カンファレンスで決まったことは、速やかに議事録化して関係者に共有します。「誰が・何を・いつまでに」行うかを明確にし、実施後には効果を確認する場を持つことで、PDCA(計画・実行・評価・改善)が回ります。議事録は5W1Hで書き、構成・テンプレートを固定化することで作成負担を減らせます。ExcelやWordのフォーマットを用意し、基本情報・参加者・議題・意見・決定事項・宿題事項・次回予定、といった項目を埋めるだけで記録できるようにしておくと、記載漏れが防げます。

家族参加型カンファレンスの意義

ウェルミーマガジンの解説では、家族参加型のカンファレンスを開催することで、利用者の生活背景や価値観を踏まえた包括的なケアプランを策定できると整理されています。本人が同席できる場合は本人の意思確認を軸に据え、家族からは生活史や価値観、経済面の懸念を共有してもらうことで、専門職目線では見落とされがちな「その人らしさ」が立体化します。オンライン会議ツールを活用すれば、遠方の家族や多忙な医師も参加しやすくなります。

チームリーダーの役割と求められる力:指導力・傾聴力・チーム構築力

チームケアの質は、リーダーの在り方に大きく左右されます。厚生労働省「介護人材の機能とキャリアパス」でも、介護福祉士が介護職チームのリーダーを担うことが期待されており、体系的な知識と現場実践の両輪でリーダーシップを身につけていくことが求められています。

リーダーの基本的な役割

介護現場のチームリーダーが担う役割は、大きく次のように整理できます。

  • 業務管理:シフト調整、業務の洗い出しと切り分け、進捗管理。
  • 品質管理:ケアの標準化、マニュアル整備、ヒヤリハットの分析と再発防止。
  • 人材育成:新人OJTの計画、中堅職員のスキルアップ、面談とキャリア支援。
  • 多職種連携:看護・リハ・栄養・医師との橋渡し、カンファレンス運営。
  • 情報共有:経営層や管理者への報告、現場の声の吸い上げ。
  • 心理的安全性の確保:ミスや困りごとを率直に言い合える風土づくり。

スタッフとリーダーの間にある「認識ギャップ」

株式会社Blanketが2022年に全国の介護・福祉現場で働く219名を対象に実施した調査では、一般職・スタッフのうち「リーダーに就きたくない」と答えた人が38%に上る一方、実際にリーダーに就いている人の83%が「就いてよかった」と回答しています。リーダーは「色んな方面から考えられ視野が広がった」「業務の幅が広がり知識が身についた」といった前向きな声を多く挙げており、スタッフが抱く「大変そう」というイメージと実態との間にギャップがあることがわかります。勤続5年未満の昇進意欲が相対的に高いという結果も示されており、早期から意欲の高い人材を登用していく仕組みが重要です。

求められる3つの力:指導力・傾聴力・チーム構築力

同調査では、スタッフがリーダーに求める力の上位は「指導力」「傾聴力・コミュニケーション力」「チーム構築力」でした。一方、リーダー自身が重視していたのは「チーム構築力」「傾聴力・コミュニケーション力」「ビジョンや目標」であり、スタッフが求める「指導力」への意識は相対的に低いという結果が出ています。このギャップを埋めるには、リーダーが意識的に「教える力」を磨くことが必要です。具体的には、根拠を明確に伝える、プリントや資料を活用して指導内容を統一する、同じ失敗を繰り返さないための振り返りシートを運用する、といった工夫が挙げられます。

リーダーシップの実践的ふるまい

WHOはヘルスチームのリーダーシップ要件として「コミュニティの要求と社会的ニーズを満たす意欲、多様な疾患プロセスへの新たな知見、従来の"cure"からむしろ"care"への変革に対する理解と感性」と定義しています。介護現場に置き換えれば、リーダーは利用者・家族のニーズを捉え続ける学習者であり、職員の強みを引き出すコーチであり、組織の方向性を言語化する翻訳者でもあります。

会議では、全員に発言の機会を配り、意見を否定せず、特定の人に偏らない進行を心がけます。リスク情報を吸い上げるために、自ら「実は私もここでの対応に迷ったんだけど、みんなはどう思う?」と自己開示することで、部下も「実は今日、移乗でヒヤッとしたことがあって…」と報告しやすくなります。ハインリッヒの法則を踏まえれば、ネガティブな情報ほど共有すべき情報であり、リーダーの姿勢が心理的安全性を左右します。

役割分担を可視化する:業務の洗い出しから介護助手活用まで

役割分担は、チームケアが機能するかどうかを左右するもっとも実務的な要素です。NTTデータ経営研究所が受託した厚生労働省事業「介護職チームケア実践力向上の手引き」では、生産性向上に向けた業務システム構築のステップとして、「業務の洗い出し・切り分け」を中核に据え、誰がどのような業務をどれだけ担うかを可視化することの重要性が強調されています。

業務システム構築のステップ

具体的な構築手順は次のとおりです。

  1. 業務システム構築の準備:対象施設・事業所の選定、外部コンサルタントや委員会の組織化。
  2. 現場の課題の見える化:各部署・ユニットの業務上の課題を整理し、解決すべき課題を設定。
  3. 実行計画:課題解決への道筋を設計し、成果を評価する指標を定める。
  4. 中堅職員の教育・育成:リーダー研修や中堅職員研修を実施し、提案・相談しやすい会議体を運営。
  5. 業務の洗い出し・切り分け:チームリーダー中心に業務を棚卸しし、各職員の担当業務を決定。
  6. 振り返り:目標達成状況の確認とアンケートによる評価。
  7. 業務システムの定着:うまくいった点・いかなかった点を分析し、生産性向上施策につなげる。

BCPと役割分担:平時からの取り決めが命を守る

厚生労働省の「介護施設・事業所における業務継続ガイドライン(BCPガイドライン)」では、感染症や災害発生時に対応できるよう、平時から各業務分担を決めておくことが重要と明記されています。新型コロナウイルス感染症の経験を経て、多くの事業所がマニュアルを見直しました。具体的な対応策としては、①手洗い・消毒・マスク着用の徹底、②職員の外出自粛依頼、③出勤制限、④健康観察の徹底、⑤ゾーニングと応援体制の整備、などが挙げられています。介護助手など周辺業務の担当者を含め、全職員が役割を理解して動けるかどうかが、危機時のチーム力を決めます。

介護助手・周辺業務担当者の活用

介護職員が専門性の高い業務に集中できる環境をつくるためには、清掃・配膳・物品補充・シーツ交換などの周辺業務を介護助手が担う仕組みが有効です。厚生労働省も「元気高齢者の活用」として、地域の高齢者に介護助手として参画してもらう取り組みを推進しています。周辺業務の切り分けによって介護職員の負担が減り、利用者と向き合う時間が増え、結果としてケアの質が向上するという好循環が期待できます。

役割分担を運用に落とし込むツール

役割分担を絵に描いた餅にしないためには、可視化ツールの活用が欠かせません。ユニットごとの業務マトリクス、シフト表内に記載する担当表、日々の業務チェックリスト、週間の業務計画表などを組み合わせて運用します。ICTを導入し、介護記録ソフトで職員ごとの実施状況をリアルタイムに共有する仕組みを整えると、業務の偏りやヌケモレにも気づきやすくなります。

属人化を避けるための「3人体制」

一人のベテランに業務が集中すると、その職員の休みや退職でチームが一気に脆弱化します。重要な業務(服薬管理、看取り対応、家族対応、委員会運営など)は、最低3人で回せるようにクロストレーニングを計画的に実施するのがおすすめです。マニュアルの整備、動画マニュアルの作成、ペア勤務での教え合いを組み合わせて、属人化のリスクを下げていきます。

新人教育とOJT:チームで育てる仕組みをつくる

新人が定着し、チームの一員として戦力化するためには、個人任せではなく「チームで育てる」仕組みが必要です。OJT(On the Job Training)は、実際の業務を通して指導する方法で、厚生労働省の介護技術評価チェックシートなどを用いて体系的に進めることができます。

OJTの4ステップ:Show・Tell・Do・Check

OJTは「Show(やってみせる)→Tell(説明する)→Do(実践させる)→Check(評価・指導する)」の4ステップを繰り返します。見本を示し、根拠を言葉で説明し、実際にやってもらい、フィードバックする。このサイクルを丁寧に回すことで、介護技術と考え方の両方が定着していきます。座学や外部研修を組み合わせるOff-JTと併用すると、理論と実践の往復がしやすくなります。

教育プログラム設計の3ステップ

行き当たりばったりの指導から脱却するために、次の3ステップで教育プログラムを設計します。

  1. ゴール(目標)を明確にする:「3ヶ月後には日勤帯の基本業務(食事・排泄・入浴介助)を一人で安全に実施できる」など具体的に設定。
  2. ロードマップを作成する:3ヶ月を月ごと・週ごとに区切り、期間ごとに習得すべきスキルを割り振る。
  3. 指導体制を決める:OJTリーダー(業務知識・技術指導)、メンター(精神的サポート)、主任・リーダー(進捗確認・目標設定)と役割を分担。

チームで育てる:1人の新人に3人の先輩

新人育成を一人の職員に任せきりにすると、担当者がパンクし、新人も「先輩によって言うことが違う」と混乱します。ミッケル研修の現場実践では、1人の新人職員に3名程度の先輩職員が関わり合うことで、早期離職や職場に馴染めないという課題が改善しやすくなると報告されています。新人OJTリーダー共通認識シートを活用し、先輩間で教える内容を統一することも効果的です。

使える教育ツール

  • OJT計画書(教育計画・進捗管理シート):「いつまでに・誰が・何を」教えるかを一覧化。重複や抜け漏れを防ぐ。
  • 介護技術チェックリスト:習熟度を「1:見学/2:指導下で実施/3:独力で実施」などの基準で客観評価。
  • 振り返りシート(日報・週報):新人自身に学んだこと・できたこと・疑問を書き出させ、内省を促す。

新人教育で必ず伝えるべきこと

介護技術の前に伝えるべき土台は「介護の心構え」と「施設の理念・方針」です。尊厳の尊重、自立支援、利用者本位といった価値観を、具体的な業務と関連づけて丁寧に説明します。その上で、接遇マナー、1日の業務の流れと具体的介護技術、認知症ケアの基本、リスクマネジメント(事故防止・緊急時対応)、記録・申し送りの方法、を順に学んでもらいます。

プロセスを共有することで若手が育つ

ベテランと新人の差は、結論に至るまでの「思考プロセス」の深さにあります。「今日は入浴中止にしました」と結論だけ伝えると、新人は「拒否があれば中止していいんだ」と誤解するかもしれません。「なぜ中止と判断したのか」「どんなアプローチを試みたのか」「本人のどんなサインを読み取ったのか」を申し送りやOJTで共有することで、若手は観察眼とアセスメント力を鍛えていきます。

フィードバックと褒める力

フィードバックは「良い点を具体的に伝える」「改善点は本人の振り返りを促す形で伝える」のが基本です。できたことを具体的に褒めることは、新人のモチベーションと学習速度を大きく引き上げます。小さな成功を積み重ねて自信を育て、ミスをしたときは責めるのではなく一緒に改善策を考える姿勢を大切にします。

チームワークを強化する7つの実践コツ

多職種連携、申し送り、カンファレンス、役割分担、新人教育。これらを支える土台がチームワークです。ここでは、複数の現場コラムや研究で共通して挙げられているチームワーク強化のコツを7つに整理します。

1. 雑談ができる雰囲気をつくる

業務の話だけでは関係性は深まりません。利用者の好きなことや生活史など、共通の話題を軸に少しずつ会話を増やすと、お互いの価値観や介護観が見えてきます。話しはじめが苦手な職員には、リーダーが話を振って会話の輪に入れるよう配慮しましょう。雑談できる関係性は、報連相のハードルを下げ、ヒヤリハット情報の共有を加速させます。

2. アサーティブ・コミュニケーションを身につける

アサーティブ・コミュニケーションは「互いを尊重しながら意見を交わす」コミュニケーションです。自分の意見を押しつけず、かつ我慢もせず、事実を伝えて提案する姿勢を意識します。主語を「あなた」から「私」へ変える、否定より提案を意識する、感情ではなく目的で話す、という3つの工夫が効果的です。例:「あなた、またミスしたでしょ?」ではなく「昨日の件で少し気になっていて、一緒に防ぎ方を考えたいです」。

3. 「ありがとう」と「助かった」を日常語にする

感謝の言葉が飛び交う職場は空気が柔らかく、報連相が自然に増えます。小さなサポートにも「助かりました」と返す習慣は、信頼関係の種になり、心理的安全性を高めます。リーダーが率先して感謝を言葉にすることで、チーム全体に波及します。

4. 定期的なミーティングを短く高頻度で

週1回・月1回のミーティングだと共有事項がたまり、問題も先延ばしになります。1日10分の朝礼・終礼や、週1回15分のチームミーティングなど、短い会議を高頻度で回すほうが、情報鮮度が保たれ解決も早まります。話し合う内容・所要時間・ゴールを事前に決めた簡易レジメを用意し、議事録は音声入力やICTで簡略化すると、会議の質が上がります。

5. ICT・デジタルツールを活用する

記録のICT化、スマホ連携ナースコール、インカム、チャットツールなどを導入すると、リアルタイムでの情報共有と業務可視化が進みます。船井総研のレポートでも、「コミュニケーションのムダを減らす」ICT投資と「心理的安全性を高める」対話を同時に進めることが、チームワーク強化の要と整理されています。削減できた時間を傾聴と承認(フィードバック)に充てる発想が鍵です。

6. 長期目標と短期目標を全員で共有する

「ケアを通じて最終的に何を目指すのか」「そのためにどのようなステップを踏むのか」を言語化し、メンバー全員で共有することで、個々の自発的な行動が促されます。例えば「要介護3のAさんが、6ヶ月後にトイレでの排泄を自立して行えるようになる」という長期目標に対し、1ヶ月目は立位保持訓練、2ヶ月目は居室内歩行、3ヶ月目は夜間の見守り移動、という短期目標を区切って設定します。

7. 心理的安全性を守るリーダーの姿勢

ミスをしたら怒られる、変なことを言ったら笑われる、という空気がある職場では、報告は当たり障りのない内容になります。リーダーが率先して自己開示し、ミスや迷いを共有することで、「ここでは本音を出してよい」という文化が広がります。ハインリッヒの法則を踏まえれば、ネガティブな情報ほど価値があり、それを出しやすい土壌づくりがリスクマネジメントの最前線です。

お局問題にどう向き合うか

チーム内に強い影響力を持つ古参職員がいて、他の職員が意見を言いづらい状況は、多くの現場で課題となります。解決の第一歩は、リーダーが個別に話を聴き、その職員の強みと役割を言語化して評価すること。同時に、カンファレンスでは司会者が全員に発言を促し、少数意見も拾う運営を徹底します。一人の声が通りすぎないチーム設計と、一人の貢献を適切に認める評価、この両輪で少しずつ空気を変えていきます。

チームケアがうまくいかない職場の特徴と改善の着眼点

チームケアが機能していない職場には共通のパターンがあります。自分の現場に当てはまるものがないか、チェックしながら読み進めてください。

症状1:業務に関わる報連相が滞っている

申し送りが形骸化し、利用者の状態変化や感染対策の変更、新規利用者の情報などが関係者に行き渡らない状態です。原因としては、①報連相の手段が統一されていない(口頭・メモ・ICTが混在)、②報告しても反応が薄く報告する意欲が下がっている、③そもそも業務の話をしづらい関係性、などが考えられます。改善策は、報告のタイミングと手段を統一し、報告した内容への感謝・確認を徹底することです。

症状2:個人プレーが横行し、ケアが属人化している

「あのベテランがいないとあの利用者の入浴はできない」「記録は毎回あの人が書いているから他の人は書けない」といった状態は、一見頼れる職員がいるように見えて、実はチームが脆弱化しているサインです。マニュアルを整備し、3人以上で同じ業務を回せる体制をつくることで、休みや退職に耐えられるチームになります。

症状3:意見を言えない空気がある

古参職員の存在、リーダーの威圧的な態度、失敗を責める文化。いずれもチーム内の対話を止めます。心理的安全性を高めるためには、リーダーが率先して自己開示し、ミスやヒヤリハットを「学びの素材」として扱う姿勢を示すことが不可欠です。

症状4:多職種との壁が厚い

介護職と看護職の間で「それは医療行為だからできない/介護職に任せるには不安」といった線引きの対立が起きている、医師やリハ職との情報共有が一方通行になっている、といった状態です。厚生労働科学研究は、共通言語をつくるために「カンファレンスや現場でのコミュニケーションを有効に活用し、お互いの専門性や教育的・文化的背景、使う言葉の違いを把握する」ことを推奨しています。合同勉強会や症例検討会を定期開催することで、壁は少しずつ溶けていきます。

症状5:目標が共有されていない

ケアプランはあるが、現場職員が「このプランで何を目指しているのか」を言えない状態です。ケアマネジャーが作成したプランを職員全員が読み込み、自分の業務と結びつけて理解する時間を持つことが必要です。ユニットや棟ごとの朝礼で、その日に関わる利用者の目標を1分ずつ共有するだけでも、意識は変わります。

症状6:記録と実践が乖離している

記録上は丁寧なケアをしているように見えて、現場では省略や手抜きが起きているケースです。これは倫理的な問題であると同時に、チームとしての監督不全のサインでもあります。リーダーは現場での同行観察を行い、記録と実践の整合性を定期的に確認する必要があります。

症状7:離職が続いている

新人が1年以内に辞めてしまう、中堅が疲弊して離脱する、リーダーが燃え尽きる。いずれも組織的な問題であり、個人の資質の問題ではありません。離職率が高い現場こそ、採用のミスマッチ、OJTの不備、業務量の偏り、評価制度の不透明さ、といった構造を点検し、一つずつ手を打っていく必要があります。

これらの症状は、単独で現れることは少なく、複数絡み合って悪循環をつくります。改善は時間がかかりますが、「どこから手をつけるか」をリーダーとチームで話し合い、ひとつずつ可視化していけば、必ず変化は生まれます。

ICT活用と記録の標準化:チームケアを支える情報基盤

チームケアの質は、情報がどれだけ正確・タイムリーに共有されるかに依存します。2021年度から運用が本格化した科学的介護情報システム(LIFE)では、全国の介護事業所からケアの実施状況や利用者の状態に関するデータが集約され、フィードバックを通じてエビデンスに基づいたケアの標準化が進んでいます。現場でもICTを活用し、情報共有の負荷を減らしつつ質を高める取り組みが求められています。

介護記録ICTの活用

介護記録ソフトを導入することで、バイタル・食事量・排泄・睡眠・服薬・ケア内容などがリアルタイムで共有されます。紙の記録に比べ、検索性・再利用性・他職種との連携が格段に向上し、転記ミスや探し物の時間も削減されます。スマートフォン・タブレットでベッドサイド記録ができる環境は、申し送りの短縮にも直結します。

スマートインカム・ナースコール連携

スマートフォンと連携するナースコールシステムや骨伝導インカムを導入すると、コールの通知を対応可能なスタッフに即時に振り分けられます。ハンズフリーで会話できるため、作業を止めずに情報共有が可能です。グループ分け機能を使えば、ユニットやフロアごとに必要な情報だけが届くよう設計できます。

地域連携の情報基盤

退院支援や在宅ケアでは、病院・診療所・訪問看護・薬局・介護事業所をつなぐ地域連携システムが各地で整備されています。患者の診療情報・処方・検査結果などが、同意のもとで関係者間で閲覧できる仕組みです。ICT利用にあたっては、個人情報保護の徹底、閲覧権限の設計、災害時のバックアップ、利用者・家族への丁寧な説明が求められます。

記録を標準化するフォーマット

記録は書き手によって粒度が揺れやすいため、標準化が重要です。SOAP(Subjective・Objective・Assessment・Plan)、フォーカスチャーティング、DARなどのフォーマットを事業所のルールとして決め、新人教育でも繰り返しトレーニングします。記録の質は、カンファレンスでの議論の質と直結するため、時間をかけて磨く価値があります。

ICT導入で生まれる時間を対話に使う

ICT化の最終目的は「業務の機械化」ではなく「人と人の対話の時間を増やす」ことです。読み合わせに使っていた30分を5分に短縮できたら、残りの25分を利用者や職員との対話に充てる。申し送りを「記録で共有できる情報」と「対面で語るべき情報」に切り分け、対面時間はニュアンスや緊急性、精神面の変化、ケアのコツの共有に集中する。この切り替えができる組織が、チームケアの次のステージに進めます。

よくある質問(FAQ)

チームケアに関するよくある質問

Q1. チームケアと多職種連携は同じ意味ですか?

厳密には異なります。多職種連携(IPW)は、異なる専門職が協力してケアに当たるための手段・プロセスを指す言葉です。一方、チームケアは、多職種連携を含みつつ、生活全体を支える統合的なケアの総称として使われます。厚生労働省の整理では、治療中心の「チーム医療」から、生活支援中心の「チームケア」へと介護・医療の現場が移行していると位置づけられています。

Q2. 新人のうちはカンファレンスで発言しづらいのですが、どうすればよいですか?

まずは「自分が直接関わって気づいた事実」を1つ準備して参加しましょう。「昨日の入浴時、Aさんは右肩に手を回す動作に違和感がありました」のような具体的な観察は、他職種にとっても貴重な情報です。発言の型は、①事実、②自分の解釈、③相談したいこと、の3点セットで整理すると伝わりやすくなります。介護職はチームの一員として対等な立場にあり、生活場面の情報量は最多であることを思い出してください。

Q3. 申し送りで優先順位をつけるコツはありますか?

①緊急性(命・安全に関わるか)、②重要性(次のケアに影響するか)、③変化(いつもと違う点か)の順で整理します。「発熱/転倒リスク/呼吸苦」のような緊急度の高い情報を最初に伝え、そのあとに日常的なケアの注意点、最後に連絡事項や予定を伝えるのが基本です。「全部言う」は情報を埋もれさせるため避けましょう。

Q4. リーダー職に就くと給料は上がりますか?

事業所によりますが、多くの施設で役職手当が付きます。一方で、業務量や責任が増えるため「割に合わない」と感じる声もあります。リーダー経験は介護福祉士のキャリアパスや施設長・管理者への道に直結し、長期的には給与水準の底上げにつながります。短期の損得ではなく、スキル・視野・キャリアの広がりで判断することをおすすめします。

Q5. チームワークが悪い職場から抜け出したほうがよいですか?

改善に向けた動きがあるかどうかが判断軸です。リーダーや管理者が問題を認識し、改善策を実行に移しているなら、一緒に変えていく選択肢があります。一方、相談しても取り合われない、ハラスメントが放置されている、離職者が続出しているなど構造的な問題がある場合は、自分の心身を守るために転職を検討する価値があります。面接では「チーム医療・多職種連携の取り組み」「OJT体制」「カンファレンスの頻度」などを質問すると、職場の文化が見えてきます。

まとめ:明日から小さく始めるチームケア改善

介護現場のチームケアは、制度や理念だけで動くものではなく、日々の申し送り、カンファレンス、役割分担、新人への関わり方、そして職員同士の対話の積み重ねによって形づくられます。厚生労働省の資料が示すように、多職種が目標を共有し、それぞれの専門性を発揮しながら協働することで、利用者の生活と尊厳を守るケアが実現します。

大きな改革は一気には進みませんが、今日から小さく始められることは数多くあります。申し送りで事実と解釈を分けて伝える、「ありがとう」を一日3回口にする、カンファレンスで全員に発言を振る、新人に結論だけでなく思考プロセスを伝える、ICTで記録を共有し対面時間を対話に使う。これらの小さな行動の積み重ねが、半年後・一年後のチームを確実に変えていきます。

チームケアの主人公は、利用者本人です。そしてそれを支える職員一人ひとりも、チームの主役です。今の職場でできることから取り組みながら、「ここではチームで支え合えている」という実感が持てる環境を育てていってください。自分のキャリアや働き方を考え直したいと感じたときは、チーム医療・多職種連携への取り組み方が見える職場を探すことで、長く安心して働ける道が開けるはずです。

参考にした公的資料・出典

  • 厚生労働省「多職種協働・地域連携」各論研修資料(医政局)
  • 厚生労働省「介護施設・事業所における業務継続ガイドライン(BCPガイドライン)」
  • 厚生労働省「介護人材の機能とキャリアパスについて」
  • 厚生労働科学研究費補助金(長寿科学政策研究事業)「要介護高齢者の経口摂取支援のための歯科と栄養の連携を推進するための研究」(第4章 多職種連携の要点)
  • NTTデータ経営研究所(厚生労働省老人保健健康増進等事業)「介護職チームケア実践力向上の手引き」
  • 日本在宅医療連合学会 教材「領域3-2:多職種協働・連携(包括的ケア)」
  • 公益社団法人日本介護福祉士会「介護人材の機能分化促進に向けたチームリーダーとなる介護福祉士の養成に関する調査研究事業」報告書

関連記事

介護タクシーの仕事と利用方法|必要資格・福祉タクシーとの違い・独立開業まで

介護タクシーの仕事と利用方法|必要資格・福祉タクシーとの違い・独立開業まで

介護タクシー運転手の仕事内容、福祉タクシーとの違い、普通二種免許と介護職員初任者研修の取得方法、介護保険適用の条件、独立開業の流れまでを公的データに基づき解説します。

介護休業制度の取り方と使い方|93日・給付金・2025年法改正までわかる実務解説

介護休業制度の取り方と使い方|93日・給付金・2025年法改正までわかる実務解説

家族の介護のために最大93日休業でき、賃金の67%が給付される介護休業制度。取得要件、介護休暇との違い、申請手順、2025年4月施行の40歳情報提供義務化まで、厚生労働省の資料に基づき実務目線で解説します。

成年後見制度とは|3類型の違い・任意後見・申立て手順を介護職目線で解説

成年後見制度とは|3類型の違い・任意後見・申立て手順を介護職目線で解説

成年後見制度の3類型(後見・保佐・補助)と任意後見の違い、家庭裁判所への申立て手続き、後見人の選任、市民後見人の役割までを介護職目線でまとめました。認知症高齢者の契約能力や権利擁護に関わる介護職員向けの実務ガイドです。

介護現場のヒヤリハット|報告書の書き方・事例・リスクマネジメントを現場目線で解説

介護現場のヒヤリハット|報告書の書き方・事例・リスクマネジメントを現場目線で解説

介護現場のヒヤリハットについて、ハインリッヒの法則、報告書の書き方、転倒・誤嚥などの事例、5S活動、施設の責任まで、公的資料を踏まえて体系的に解説します。

訪問看護師の仕事内容を徹底解説|医療処置から看取り・介護職との連携まで

訪問看護師の仕事内容を徹底解説|医療処置から看取り・介護職との連携まで

訪問看護師の仕事内容を現場目線で解説。医療処置・健康管理・終末期ケアの実際、訪問看護ステーションの運営、介護職との役割分担、給料、向いている人を公的データとともに紹介します。

介護現場のチームケアとは|多職種連携・申し送り・カンファレンスで質を高める実践法
  1. ホーム
  2. 記事一覧
  3. 介護現場のチームケアとは|多職種連携・申し送り・カンファレンスで質を高める実践法
公開日: 2026年4月14日最終更新: 2026年4月14日

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。