介護用オムツ・尿パッドの選び方|テープ式・パンツ式・パッドの組み合わせと自治体給付
ご家族・ご利用者向け

介護用オムツ・尿パッドの選び方|テープ式・パンツ式・パッドの組み合わせと自治体給付

介護用オムツの選び方を、ADL別タイプ選択、吸収量・サイズの目安、尿とりパッドの正しい組み合わせ、夜間使用のコツ、自治体の紙おむつ給付、医療費控除のおむつ使用証明書まで網羅して解説します。

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介護用オムツは「外側のおむつ(アウター)」と「内側のパッド(インナー)」を組み合わせて使うのが基本です。自立度に応じて立てる方はパンツ式、寝て過ごす方はテープ式を選び、内側に専用の尿とりパッドを1枚だけ差し込みます。パッドの重ね使いは防水シートで吸収が阻害されるためメーカー各社が非推奨。多くの自治体で要介護3以上を対象に月5,000〜10,000円相当の紙おむつ給付があり、医師の証明書があれば医療費控除も使えます。

目次

在宅で介護を始めると、最初に直面するのが排泄ケアの問題です。「テープ式とパンツ式は何が違うのか」「尿とりパッドはどう組み合わせるのか」「夜に漏れてしまう」「おむつ代がかさんで家計が苦しい」――こうした悩みは多くのご家族が共通して抱えるものです。

介護用オムツは商品ごとの吸収量・形状の差が大きく、選び方を間違えると漏れや肌トラブル、本人の不快感、介護者の負担増へと直結します。逆に、ADL(日常生活動作の自立度)と排泄パターンに合った組み合わせを見つけられれば、夜間の交換回数を減らし、睡眠と尊厳の両方を守ることができます。

この記事では、メーカー公式情報・厚生労働省の通達・自治体の給付制度を踏まえて、市販の介護用オムツの選び方を体系的に解説します。介護を始めたばかりのご家族が、迷わず最初の一袋を選べることを目標にまとめました。

介護用オムツの基本構造|アウターとインナーを組み合わせる

大人用紙おむつは、子ども用と違って「2層で使う」のが標準設計です。外側に身につけるアウター(紙パンツ・テープ式おむつ・布製おむつカバー)と、内側に挟むインナー(尿とりパッド)を組み合わせることで、漏れを防ぎつつ交換の手間とコストを抑えます。

アウター(外側のおむつ)

身体に直接フィットさせ、漏れの最終防波堤になる部分。大きく3タイプあります。

  • パンツ式:下着のように上げ下げできるタイプ。立位保持や歩行ができる方に向く
  • テープ式:横になったまま当てて、両側のテープで固定するタイプ。寝て過ごす方・体位変換が必要な方に向く
  • 布製おむつカバー+フラットおむつ:洗って使う伝統的な組み合わせ。コストは抑えられるが洗濯負担が大きいため、市販の紙製主流に移行している

インナー(尿とりパッド)

アウターの内側に差し込んで、最初に尿を受け止める消耗品。アウターを汚さずパッドだけ交換できるため、介護負担とコストを大幅に下げる主役です。アウターの種類に合わせて専用品が分かれている点に注意が必要です。

  • 紙パンツ用パッド:パンツ式の内側専用。幅が狭く立体ギャザーに収まる形状
  • テープ式用パッド:テープ式の内側専用。寝姿勢で広く尿を受け止められる大判形状
  • フラットシート(補助用):パッドの下に敷いて、便のはみ出しや尿量過多時の漏れを防ぐ補助的な敷きパッド

アウター単体でも使えますが、ご家族が在宅介護を継続するなら、ほぼ全てのケースで「アウター+パッド1枚」の併用が標準形になります。

ADL(自立度)別の選び方マトリクス

介護用オムツ選びでもっとも大事なのは、ご本人の身体の動かし方に合わせることです。「漏れないこと」より先に、「本人にとって楽で、介護者の負担が増えないこと」を基準にします。下表はADLごとの標準的な組み合わせです。

ご本人の状態推奨アウター推奨パッド1日交換回数の目安
外出できる/自立歩行うす型パンツ式(2回吸収)パッドなし、または紙パンツ用2回吸収3〜4回
介助があれば歩ける/立てるパンツ式(4回吸収)紙パンツ用パッド(2〜4回吸収)パッド3〜5回・パンツ1日1回
介助で座位保持できるパンツ式(長時間用5回吸収)または2WAYタイプ紙パンツ用パッド(4回吸収)パッド4〜6回・パンツ1日1回
ほぼ寝て過ごす/介助で起こせるテープ式(4〜6回吸収)テープ式用パッド(3〜4回吸収・昼用)パッド4〜6回・テープ1日1回
寝たきり/体位変換が必要テープ式(6回吸収以上)テープ式用パッド(夜は6〜10回吸収)パッド5〜7回・テープ1〜2回

※1回の排尿量を150mLとして算出(メーカー共通の標準値)。

判断に迷ったときの考え方

「立てるけれど時々ふらつく」「日中はトイレに行けるが夜は失禁する」など、中間的なケースが実は最多です。その場合は「日中はパンツ式+少なめのパッド」「夜はパンツ式+夜用大容量パッド」あるいは「夜だけテープ式」のように、時間帯で使い分けるのが現実的です。1袋丸ごと買う前にメーカーの無料サンプルや薬局の少量パックで試すと失敗が少なくなります。

福祉用具専門相談員やケアマネジャー、訪問看護師は、家族からの相談に応じて具体的な商品名まで助言してくれます。判断が難しいときは抱え込まずに早めに相談しましょう。

主要タイプ別の特徴|パンツ式・テープ式・尿とりパッド・フラットシート

パンツ式(紙パンツ)

下着のように上げ下げできる紙製のパンツ。立位保持や介助歩行ができる方の標準です。トイレ動作の最後を本人が自分で行えるため、自尊心を守りやすいのが最大のメリット。最近は「うす型」「布のような肌ざわり」をうたう商品が増え、外出着としても違和感が小さくなっています。吸収量は2回・4回・5回・8回など段階があり、夜用は厚手で大容量です。脱ぎ捨て時にはサイドのつなぎ目を破って外せます。

テープ式

横に寝た姿勢で当てて、両側のテープで腹側に固定するタイプ。寝て過ごす方・体位変換が必要な方の標準です。立てなくても交換でき、横モレ・背モレ防止のギャザーが充実しています。寝たきりに近い方の場合、介護者が一人で交換できるテープ式の方が現実的です。男性は前側、女性は後ろ側で漏れやすいなど性差があり、メーカーは寝姿勢を想定した尿の通り道を計算して作っています。

尿とりパッド(インナー)

アウターの内側で最初に尿を受け止め、汚れたらこれだけ交換できる消耗品。「アウター1日1回、パッド数回」のサイクルがコストと手間を最小化する基本パターンです。吸収量は2回・3回・4回・5回・6回・8回・10回・12回まで段階が用意されており、テープ式用は特にバリエーションが豊富です。男性用には性器を包む円錐形のものもあります。

フラットシート(補助)

1枚の長方形の紙おむつ。アウターの中でパッドの下に敷いて補助的に使うか、便のはみ出しを防ぐ目的で使います。単独で使うことは少なく、寝たきりで尿量・便量が多い方のケアで補助役として登場します。

2WAYタイプ

パンツとしても、テープ式としても使える両用タイプ。「立てるけれど不安定」「リハビリ中で日によって状態が変わる」方に便利。商品は少なめですが、状態が動く時期には在庫を切らさずに済むメリットがあります。

軽失禁パッド・布下着用パッドとの違い

50〜250mLの軽い尿モレ向けに、生理用ナプキンのように普通の下着に貼って使うのが軽失禁パッドです。介護用の尿とりパッドとは別カテゴリーで、寝たきりや要介護状態の排泄ケアには吸収量が足りません。混同しないよう注意しましょう。

尿とりパッドの正しい組み合わせ方|重ね使いは原則NG

もっとも誤解が多いのが「吸収量を増やしたいから2枚重ねよう」という発想です。メーカー各社は尿とりパッドの重ね使いを公式に非推奨としています。理由は単純で、ほとんどの尿とりパッドの裏面には防水シートが入っているため、上のパッドが満杯になっても下のパッドには尿が通り抜けず、結局1枚分しか吸収できないからです(出典:ユニ・チャーム「ライフリー 排泄ケア・介護のトラブルQ&A」)。

重ね使いの3つのデメリット

  1. 吸収量は増えない:上下の防水シートで尿が通過せず、合計の吸収量は1枚分にとどまる
  2. 段差から漏れる:2枚分の厚みが股間に集中し、隙間ができて横モレの原因に
  3. ムレ・かぶれが増える:通気性が落ち、皮膚トラブルを招く

正しい組み合わせの基本ルール

  • アウターと同じシリーズの専用パッドを1枚差し込む(パンツ式にはパンツ用、テープ式にはテープ用)
  • パッドのギャザーが立体的に立ち上がるようにセット
  • パンツ式の場合は、パンツが股間まで丸まらないように引き上げてからパッドを底まで挿入し、前後のズレ止めテープでパンツに固定
  • テープ式の場合は、パッドを中央に置き、ギャザーで尿の通り道を作るイメージで装着

例外:男性用パッドの「敷きパッド」

男性の場合、性器を包む円錐形のパッドが外れてしまうことがあります。万が一に備えて、男性用パッドの下にもう1枚パッドを敷くという例外的な使い方は紹介されています(出典:価格.comマガジン)。ただしこれも「上のパッドが外れた場合に備える保険」であって、吸収量を増やす目的ではありません。

異なるメーカーの組み合わせは避ける

形状・幅・吸収体の位置がメーカーごとに微妙に違うため、アウターとパッドは同じメーカー・同じシリーズに揃えるのが基本です。給付制度で別メーカーが現物支給される場合は、ケアマネジャー経由で「自宅の商品に合うパッドに変更できないか」を相談すると調整できることがあります。

吸収量が足りないと感じたら、まずは「1枚で吸収量の多いパッド(6回・8回・10回吸収)に切り替える」のが正解です。重ねるのではなくグレードアップ、と覚えてください。

サイズと吸収量の選び方|腹囲・ヒップを測る

正しいサイズを選べていないと、どれだけ吸収量の多いパッドを使っても漏れます。1度メジャーで採寸して、メーカーのサイズ表と照らし合わせましょう。

パンツ式のサイズ:ウエスト基準

パンツ式はウエストサイズで選びます。ウエストに合わせると脚まわりに隙間ができてしまう体型の場合、脚まわり優先でサイズダウンしロング丈タイプを選ぶのがメーカー推奨です。指1〜2本入る程度の余裕が目安で、苦しすぎず、緩すぎずを目指します。

  • S:50〜70cm
  • M:60〜90cm
  • L:75〜100cm
  • LL:95〜125cm

※サイズ範囲はメーカー・商品ごとに異なるため、パッケージで必ず確認してください。

テープ式のサイズ:ヒップ基準

テープ式はヒップサイズ(おしりの一番幅広い部分)で選びます。テープを止めたときに、ウエストや脚周りに指1本入る程度がジャストフィットです。

  • S:55〜85cm
  • M:80〜120cm
  • L:95〜135cm
  • BIG:120〜160cm

吸収量の目安(ADL別)

1回の排尿量を150mLとして算出した「吸収回数」がパッケージに記載されています。

  • 2回吸収(約300mL):日中こまめに交換できる方、外出時の保険
  • 4回吸収(約600mL):日中の標準、介助歩行レベル
  • 6回吸収(約900mL):長時間交換が難しい昼用、または夜用の入門
  • 8〜10回吸収(約1,200〜1,500mL):夜用の標準、夜間頻尿の方
  • 12回吸収以上:朝まで交換不要を目指す重度向け

男女別の構造の違い

男性は前側、女性は後ろ側で漏れやすいため、メーカーは性別ごとに吸収体の位置・形状を変えています。

  • 男性用:パンツ式は前側の吸収体を厚く、パッドは性器を包む円錐形の選択肢あり
  • 女性用:後ろ側〜お尻周りの吸収体を厚く、ギャザーで横モレ防止
  • 男女共用:標準形状。どちらでも使えるが、性別特有の漏れには性別専用品が有利

「立てるけれど時々失敗する」夫を介護する妻が、家にあった女性用パンツ式を使わせていたら前から漏れた――というのは典型的な失敗例です。性別と漏れる位置を意識して選びましょう。

夜間使用のコツ|朝までもたせる5つのポイント

夜間の漏れは、介護者の睡眠と本人の安眠を直撃する深刻な問題です。「朝まで交換不要」を目指すには、吸収量だけでなく体位と通気性まで含めて設計する必要があります。

1. 夜は1段階上の吸収量を選ぶ

日中4回吸収のパッドで足りていても、夜は6〜10回吸収にグレードアップします。寝ている間は本人がモゾモゾ動かないため、同じ場所に尿が集中して吸収速度が追いつかなくなるからです。テープ式用の「夜1枚安心パッド」「夜用12時間」など、夜専用設計のラインを選びましょう。

2. 寝姿勢で漏れる方向を把握する

仰向けで寝る方は背中側、横向きで寝る方は脇腹側に尿が流れます。仰向け寝には背モレ防止ポケット付き横向き寝には大判パッドを選ぶのがコツです。1度漏れた朝、シーツのどの位置が濡れていたかをチェックすれば、次の改善ポイントが見えます。

3. パッドはアウターの中央にセット

パッドが斜めにずれているとギャザーが立ち上がらず、漏れの主因になります。装着前に必ずパッドの位置と立体ギャザーを確認しましょう。

4. アウターをワンサイズ大きくしない

「夜だから大きめにして余裕を持たせよう」は逆効果です。緩いとギャザーが浮き、隙間から漏れます。ジャストサイズを徹底してください。

5. 防水シーツを併用する

万一漏れても、防水シーツがマットレスを守ります。シーツ全面ではなく腰の下に敷くタイプ(使い捨て・洗濯可)の両方を組み合わせると、洗濯負担を抑えられます。

夜間頻尿が背景にある場合は医療相談

夜に4〜5回以上排尿があり漏れが続く場合は、過活動膀胱や前立腺肥大などの治療可能な疾患が背景にあることがあります。漏れ対策の前に、かかりつけ医または泌尿器科に相談してください。「夜間頻尿」は治療で改善できるケースが少なくありません。

認知症の方への配慮|尊厳を守るオムツケア

認知症の方の排泄ケアは、技術以上に「本人の尊厳をどう守るか」が問われる場面です。介護用オムツの選び方も、認知症の症状段階に合わせて変える必要があります。

「オムツ」と呼ばずに「下着」「リハビリパンツ」と呼ぶ

本人が「オムツ=赤ちゃん扱い」と感じて拒否するケースは少なくありません。商品パッケージにも「リハビリパンツ」「失禁用下着」と書かれた物が増えています。日常会話でも「新しい下着に替えましょうか」と声掛けを変えるだけで、抵抗感が大きく和らぐことがあります。

自分で外してしまう方への対応

パッドが気になって自分で外す、トイレに流してしまう方の場合は、パッドを併用せずに長時間用の紙パンツ単体で使うのが推奨されています(出典:エリエール「アテント」公式)。「いじりたくなる違和感」をなくす設計です。テープ式の場合は背中側でテープを止める「介護者向け装着パターン」を取る商品もあります。

排泄前に声掛けでトイレ誘導

オムツに頼り切るのではなく、「トイレに行きませんか?」と一定間隔で誘導することで、排泄リズムが整いオムツの中で排泄する回数を減らせます。早期の段階では、本人もトイレで排泄できた満足感が認知症の進行抑制と心理的安定につながります。

夜間に騒ぐ・はがす場合

夜間にオムツをはがしたり、排泄を訴えて何度も起こされる場合は、無理におむつだけで対応せず、ポータブルトイレの併用や訪問看護師による排泄リハビリも検討してください。

家族の心の負担にも目を向ける

「親の排泄を世話する」のは精神的に大きな負担です。罪悪感や疲労を抱え込まず、地域包括支援センター・ケアマネジャー・訪問介護に相談し、デイサービスやショートステイで休息日を作ることが、結果的に在宅介護を長持ちさせます。

在宅介護でのオムツ代の目安|月額・年額を試算

大人用紙おむつは介護保険の給付対象外(次節で説明する自治体給付は別制度)のため、原則は全額自己負担になります。みんなの介護の試算によると、介護程度別の年間負担は以下が目安です(出典:みんなの介護「おむつ代の助成制度と医療費控除活用法」)。

介護程度1日の使用枚数の目安1日あたり月額年額
軽度(パンツ+少量パッド)3枚(50円換算)約150円約4,500円約54,000円
中程度(パンツ+パッド頻回交換)4枚(60円換算)約240円約7,200円約86,400円
重度(テープ+夜用大容量)6枚(70円換算)約420円約12,600円約151,200円

介護の平均期間は約4.5年(生命保険文化センター調査)と言われており、重度ケースだと総額は約68万円にのぼります。これに防水シーツ・おしりふき・処方軟膏などを加えるとさらに上振れします。

家計負担を軽くする4つの方法

  1. 自治体の紙おむつ給付制度を申請する(次節)
  2. 医療費控除を活用する(次々節)
  3. ネット通販のまとめ買いでケース単位購入。Amazon・楽天24・カインズなどでは1袋あたりの単価が薬局より2〜3割安くなることもある
  4. サンプル請求で失敗購入を減らす。各メーカー公式サイトで無料サンプル請求が可能(リリーフ、ライフリー、アテント、ネピアテンダー等)

「うちの家計はどれくらい?」を把握するコツ

レシートを1か月分ためて、おむつ・パッド・防水シーツ・スキンケア用品の合計を計算してください。これが「実質的なおむつ関連支出」になり、給付や医療費控除の効果額を判断する基準値になります。

自治体の紙おむつ給付制度|申請手順と全国の実例

大人用紙おむつ自体は介護保険の給付対象外ですが、多くの市区町村が独自の「紙おむつ給付(または購入費助成)」制度を設けています。要介護度や所得などの条件を満たせば、現物支給または購入費の助成を受けられます。

主な対象条件(自治体共通の傾向)

  • 在宅で生活している65歳以上の高齢者(40〜64歳でも特定疾病の若年認知症等で対象拡大される自治体あり)
  • 要介護認定が要介護3以上(軽度の要介護1〜2でも医師が必要と認めれば対象になる自治体もある)
  • 常時紙おむつを必要とする状態
  • 施設入所中・1か月以上の入院中は原則対象外
  • 所得制限あり(住民税非課税世帯のみ等、自治体により異なる)

給付方法の3パターン

  1. 現物支給:自治体が契約する事業者から、毎月決められた額・点数の紙おむつが自宅に届く
  2. 給付券・補助券:指定店舗で利用できるおむつ専用の券が交付される
  3. 償還払い(現金助成):自分で購入し、領収書を提出して後日助成金が振り込まれる

全国の実例

自治体方式対象給付額の目安
東京都江東区現物支給要介護3以上・65歳以上月60点まで無料
東京都北区現金助成要介護3以上(75歳以上)など月額上限6,000円
横浜市現物 or 現金(選択制)要介護3以上等現物:月10,000円相当/現金:月7,000円
川崎市現物支給要介護3〜5の在宅高齢者月額上限6,000円(令和8年4月〜)
宇都宮市宅配または償還払い在宅で紙おむつ使用の要介護認定者月5,500円上限の9〜7割を給付

※2026年5月時点で各自治体公式サイトより。制度内容・金額・対象条件は自治体ごとに大きく異なり、毎年度改定されることもあるため、必ずお住まいの市区町村の高齢福祉窓口で最新情報を確認してください。

申請の一般的な流れ

  1. 市区町村の高齢福祉窓口または地域包括支援センターに相談し、自分が対象になるか確認
  2. 申請書、要介護認定通知のコピー、本人確認書類、所得証明(必要な場合)などを揃えて提出
  3. 審査(数週間)
  4. 承認後、現物支給・給付券・口座振込のいずれかで給付開始

ケアマネジャーがついている場合は、申請手続きを代行・支援してくれます。地域包括支援センターは65歳以上の高齢者と家族の介護相談を無料で受けつけているので、まずはここに電話するのが最短ルートです。

医療費控除の活用|おむつ使用証明書と6か月要件

紙おむつ代は、一定の条件を満たすと医療費控除の対象になります。確定申告で世帯の所得税・住民税が軽減され、家計の負担が下がります。

医療費控除の対象になる条件

国税庁の通達(令和3年4月改正)により、以下を満たす場合に紙おむつ代が医療費控除対象になります。

  1. 傷病によりおおむね6か月以上にわたり寝たきり状態にあると認められる
  2. その寝たきり状態によって紙おむつの使用が必要であると医師が認め、「おむつ使用証明書」を発行している
  3. 申告者本人または生計を一にする親族の医療費として支払った

2年目以降は「主治医意見書」で代用できる場合あり

令和3年の改正で、おむつの医療費控除を受けるのが2年目以降の方は、要介護認定の主治医意見書に一定の記載(寝たきり度・尿失禁の発生可能性)があれば、おむつ使用証明書の代わりに市区町村が発行する「主治医意見書記載内容確認書」を使えます。これにより、毎年医師に証明書を書いてもらう手間と費用を省けます(出典:国税庁、令和6年改正)。

申告で必要なもの

  • 確定申告書(医療費控除欄)
  • 医療費控除の明細書(おむつ購入のレシート集計)
  • おむつ使用証明書(1年目)または主治医意見書記載内容確認書(2年目以降の該当者)
  • 紙おむつ購入の領収書(5年間保管義務あり)

控除額の目安

例えば年間紙おむつ代が10万円、その他医療費が5万円で世帯の医療費合計15万円の場合、10万円を超えた5万円が控除対象になります。所得税率10%・住民税10%の世帯なら節税額は約1万円です。重度の介護で年20万円以上のおむつ代がかかる場合、節税効果はさらに大きくなります。

注意点

  • 自治体の紙おむつ給付で現物支給を受けた分は医療費控除の対象外(自己負担分のみ対象)
  • 申告期間は通常2/16〜3/15。間に合わなくても、過去5年分まで遡って還付申告できる
  • レシートは購入者名・購入日が分かるように保管。家計簿アプリで撮影しておくのが安全

使用済みオムツのゴミ処理と相談先

使用済みオムツのゴミ出し

使用済みの紙おむつは「燃やせるゴミ(可燃ごみ)」として出すのが大多数の自治体のルールです。ただし以下の点に注意してください。

  • 排泄物はトイレに流してから廃棄するのがマナー。便はトイレに、おむつ本体は袋に入れて燃やせるゴミへ
  • においの対策:使用済みおむつ専用の防臭袋(BOS、においバイバイ袋など)の活用や、密閉容器付きの介護用ゴミ箱を使うとリビングのにおいを大幅に抑えられる
  • 自治体のルールを確認:一部の自治体では指定袋・指定回収日があるため、市区町村の家庭ごみ案内を必ず確認
  • 大量に出る場合:要介護高齢者がいる世帯向けに「ゴミ袋無料配布」「個別収集」を実施している自治体もあるので、福祉窓口で相談を

困ったときの相談先

オムツ選び・サイズ・コスト・給付申請、いずれもひとりで抱え込む必要はありません。在宅介護では以下の専門家が無料または介護保険内で相談に応じてくれます。

  • 地域包括支援センター:65歳以上の高齢者と家族が無料で介護全般を相談できる窓口。各中学校区に1か所程度設置
  • ケアマネジャー(介護支援専門員):要介護認定を受けると無料でつく担当者。商品選び・給付申請の支援も可能
  • 福祉用具専門相談員:福祉用具貸与・販売事業者に必ず配置。ベッド・手すりのほか、おむつ選びの相談にも乗ってくれる
  • 訪問看護師:医療的視点から皮膚トラブル・夜間頻尿などを相談できる。医療保険または介護保険で利用可
  • 各メーカーの相談ダイヤル:花王リリーフ、ユニ・チャームライフリー、大王製紙アテント、王子ネピアなど、いずれも無料電話相談を実施

「もっと早く相談しておけばよかった」というのは、在宅介護を経験したご家族から本当によく聞く声です。漏れに悩んでから半年・1年と1人で頑張り続けるより、最初の数か月で専門家とつながっておくほうが、長く家で介護を続けられます。

よくある質問(FAQ)

Q. 介護保険で紙おむつ代は支給されますか?

A. 介護保険制度では、紙おむつは「日常生活用品」とされ原則対象外です。ただし、市区町村が独自に行う紙おむつ給付制度(市町村特別給付・地域支援事業など)は別枠で利用できる場合があります。お住まいの市区町村の高齢福祉窓口に確認してください。

Q. 尿とりパッドを2枚重ねて使ってもよいですか?

A. メーカー各社が重ね使いを非推奨としています。パッド裏面の防水シートにより尿が下のパッドに通らず、吸収量は増えません。代わりに、1枚で吸収量の多いパッド(6回・8回・10回吸収)にグレードアップしてください。

Q. アウターと違うメーカーのパッドを組み合わせても大丈夫ですか?

A. 物理的には可能ですが、形状・幅・ギャザーの設計が違うため、漏れや段差の原因になります。同じメーカー・同じシリーズで揃えるのが基本です。

Q. 自治体の紙おむつ給付はいつから受けられますか?

A. 申請から審査・承認まで、自治体により2〜4週間ほどかかります。要介護認定が出たタイミングで早めに申請するのがおすすめです。

Q. パンツ式とテープ式、どちらを買ったらいいか分かりません

A. ご本人が「立てるか・座位を保てるか」で判断します。介助があれば立てる・歩けるならパンツ式、ほぼ寝て過ごすならテープ式が基本。中間段階では時間帯で使い分けるか、2WAYタイプを検討してください。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談すると具体的な商品まで助言してもらえます。

Q. 男性用と女性用、どう違うのですか?

A. 男性は前側、女性は後ろ側で漏れやすいため、メーカーは吸収体の位置を性別ごとに変えています。男女共用品でも基本機能は満たしますが、漏れが続く場合は性別専用品に変えると改善することがあります。

Q. 医療費控除は1年目から受けられますか?

A. 1年目は、医師に発行してもらう「おむつ使用証明書」が必要です。2年目以降は、要介護認定の主治医意見書の記載が条件を満たせば、市区町村が交付する「主治医意見書記載内容確認書」で代用できる場合があります。

Q. 認知症の母がオムツを嫌がります

A. 「オムツ」という言葉を「下着」「リハビリパンツ」と呼び替える、パッドを併用せず紙パンツ1枚で済ませる、声掛けでトイレ誘導するなどの工夫が効果的です。それでも難しい場合は、地域包括支援センターや訪問看護師に相談してください。

参考文献・出典

まとめ|ご本人の自立度に合わせて、無理なく続けられる組み合わせを

介護用オムツは、ご本人の自立度・体格・尿量・性別を踏まえて「アウター+パッド1枚」を組み合わせるのが基本です。立てる方はパンツ式、寝て過ごす方はテープ式。パッドは絶対に重ねず、必要なら1枚で吸収量の多いものにグレードアップ――この原則さえ押さえれば、漏れの大半は解決します。

サイズはウエストまたはヒップを実測し、夜は1段階上の吸収量に切り替える。認知症の方には「下着」と呼び替えて尊厳を守る。困ったら地域包括支援センター・ケアマネジャー・福祉用具専門相談員・訪問看護師にすぐ相談する。これだけで、ご本人の安心感と介護者の睡眠時間が大きく変わってきます。

家計面では、要介護3以上であれば多くの自治体で月5,000〜10,000円相当の紙おむつ給付が利用できます。さらに6か月以上寝たきりの場合、医師の「おむつ使用証明書」(または2年目以降は市区町村の主治医意見書記載内容確認書)で医療費控除も活用可能です。制度は自治体ごとに違うので、お住まいの市区町村窓口に必ず最新情報を確認してください。

排泄ケアは、24時間365日、家族の生活と直結します。「これでいいのかな」「もっといい商品があるのでは」と迷い続けるより、まずはサンプルを取り寄せて1週間試し、合わなければ次を試す――この小さな試行錯誤こそが、長く続けられる在宅介護への近道です。

監修者

介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム

医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)

看護師介護福祉士ケアマネジャー

訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

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