
介護事業所への運営指導が5万件超|指定取消158件の実態と転職時に確認すべきポイント
2024年度の介護事業所への運営指導は5万424件でコロナ後最多。指定取消・効力停止は158件、返還額11.5億円。処分理由の内訳、不正事業所の見分け方、転職前に確認すべきチェックポイントを解説。
この記事のポイント
2024年度の介護事業所への運営指導(旧・実地指導)は全国で5万424件と5万件を超え、コロナ禍以降で最多を更新しました。指定取消・効力停止の行政処分は158件(前年度比19件増)で、返還請求額は11億5,000万円にのぼります。処分理由の最多は介護報酬の不正請求(82件)です。転職先の事業所選びでは、情報公表システムでの処分歴確認や人員配置の実態チェックが重要になります。
運営指導(旧・実地指導)とは?基本のしくみを解説
運営指導とは、都道府県や市区町村の担当者が介護サービス事業所を訪問し、介護保険法に基づく適正な事業運営が行われているかを確認する行政指導の手続きです。以前は「実地指導」と呼ばれていましたが、令和4年度(2022年度)からオンライン指導が可能になったことに伴い「運営指導」に名称が変更されました。
運営指導で確認される3つの柱
厚生労働省の「介護保険施設等運営指導マニュアル」によると、運営指導は以下の3つの観点から行われます。
- 介護サービスの実施状況指導:利用者に対するサービスの質が適切かを確認。ケアプランの作成状況、サービス提供記録、身体拘束・虐待防止の取り組みなどが対象です。
- 最低基準等運営体制指導:人員基準(職種ごとの必要人数)、設備基準(部屋の広さ・備品)、運営基準(運営規程・重要事項説明書の整備)を満たしているかを確認します。
- 報酬請求指導:介護報酬が正しく請求されているかを確認。基本報酬の算定根拠や各種加算の要件充足状況がチェックされます。
運営指導と「監査」の違い
運営指導はすべての事業所を対象にランダムまたは計画的に実施されるもので、原則として事前通知があります(通常1〜3か月前)。一方、「監査」は不正や違反の疑いがある場合に行われ、事前通知なしの抜き打ちで実施されることが一般的です。
運営指導の過程で不正の疑いが発見された場合は、その場で「監査」に切り替わることがあります。監査の結果、違反が認定されれば、改善勧告・改善命令・指定の効力停止・指定取消といった行政処分に至ります。
「指定取消」は最も重い処分
介護事業所に対する行政処分には段階があります。
- 改善勧告:違反事項の改善を求める行政指導
- 改善命令:勧告に従わない場合の強制力のある命令
- 指定の一部効力停止:新規利用者の受入停止や報酬の一部減額など
- 指定の全部効力停止:一定期間、事業運営そのものが停止
- 指定取消:介護保険サービス事業者としての資格を剥奪。取消日から5年間は再指定不可
指定取消を受けた法人の役員や管理者も、5年間は新たな事業所の指定を受けることができません(介護保険法第70条第2項)。
【2024年度】運営指導5万424件・行政処分158件の詳細データ
厚生労働省が2026年3月11日に公表した「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料」から、2024年度(令和6年度)の指導・監査の実態を詳しく見ていきます。
運営指導の実施件数:5万424件(コロナ後最多)
全国の自治体が実施した運営指導の件数は5万424件でした。各自治体が所管する事業所・施設の総数に対する実施率は全国平均16.2%です。つまり、約6事業所に1事業所の割合で運営指導が入っている計算になります。
コロナ禍では感染拡大防止のため訪問による指導が大幅に制限され、オンラインでの集団指導に代替されていました。その結果、運営指導の件数は一時的に大幅に減少しましたが、2024年度はコロナ禍以前の水準に戻りつつあり、コロナ禍以降では最多となりました。
行政処分の内訳:158件(前年度比+19件)
2024年度に指定取消や効力停止などの行政処分を受けた事業所・施設は158件でした。前年度の139件から19件増加しています。
| 処分の種類 | 件数 |
|---|---|
| 指定取消 | 59件 |
| 指定の一部効力停止 | 86件 |
| 指定の全部効力停止 | 13件 |
| 合計 | 158件 |
処分理由ランキング:不正請求が最多の82件
処分に至った理由(複数該当あり)は以下のとおりです。
| 順位 | 処分理由 | 件数 |
|---|---|---|
| 1位 | 介護報酬の不正請求 | 82件 |
| 2位 | 法令違反 | 44件 |
| 3位 | 人格尊重義務違反(高齢者虐待等) | 41件 |
| 4位 | 虚偽答弁・虚偽報告 | 25件 |
| 5位 | 人員基準違反 | 21件 |
不正請求が全体の半数以上を占めており、架空のサービス提供記録を作成して報酬を請求する「架空請求」や、実際のサービス時間より長い時間で報酬を請求する「付増請求」が含まれます。
事業所種別ごとの処分件数
福祉新聞の報道によると、事業所別では以下の結果でした。
| 事業所種別 | 処分件数 | うち指定取消 |
|---|---|---|
| 訪問介護事業所 | 30件(最多) | 18件 |
| 介護老人福祉施設(特養) | 9件 | 0件(全て一部停止) |
| 通所介護事業所(デイサービス) | 8件 | 3件 |
訪問介護事業所が最多となった背景には、サービス提供が利用者の自宅で行われるため第三者の目が届きにくく、記録の改ざんが発覚しにくいという構造的な要因が指摘されています。
返還請求額:11億5,000万円
2024年度の処分に伴い、自治体が事業者に対して返還を求めた金額は11億5,000万円にのぼりました(福祉新聞報道)。不正に請求された介護報酬は公的な保険料と税金で賄われているため、その影響は制度全体に及びます。
なぜ処分が増えているのか?3つの構造的要因
行政処分件数が前年度から19件増加した背景には、単に不正が増えたというだけではない構造的な要因があります。当サイトが複数の情報源を分析したところ、主に3つの要因が浮かび上がりました。
要因1:コロナ後の指導・監査体制の本格再開
コロナ禍では自治体職員の訪問指導が大幅に制限されていました。現在は通常の監査体制に戻りつつあり、運営指導の実施件数もコロナ前の水準に回復しています。指導の「目」が行き届かなかった期間に蓄積された不正や違反が、運営指導の再開によって一気に顕在化している可能性があります。
実際、運営指導の実施率は全国平均16.2%で、「概ね3年に1回」の指導を達成するための目標値(約33%)にはまだ遠い状況です。今後さらに指導件数が増加すれば、処分件数も増える可能性があります。
要因2:慢性的な人材不足による運営の不安定化
介護業界では深刻な人材不足が続いています。介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査」によれば、介護事業所の人材不足感は依然として高い水準にあります。人手が足りない中で運営を続けることで、以下のような問題が生じやすくなります。
- 人員基準を満たせないまま運営を続けてしまう
- 記録やケアプランの作成が後回しになり、書類不備が発生する
- 管理者が現場業務に追われ、コンプライアンス管理が手薄になる
- 結果として、人員基準違反を隠すための虚偽報告につながるケースもある
要因3:小規模事業所における管理体制の脆弱さ
訪問介護事業所が処分件数で最多(30件)となった事実は、小規模事業所の管理体制の課題を示しています。訪問介護は比較的少ない資本で開業できるため事業所数が多い一方、管理者がサービス提供責任者を兼務し、さらに現場でのサービス提供も行っているケースが少なくありません。
こうした「一人何役」の状態では、組織内部でのチェック機能が働きにくく、不正が見過ごされやすい環境が生まれます。厚労省の資料でも、処分事例には「虚偽のタイムカードや出勤簿、業務日誌を作成していた」といった組織的な不正が含まれています。
当サイト独自の分析:処分件数と運営指導実施率の関係
注目すべきは、運営指導の実施率がまだ16.2%にとどまっている段階で158件の処分が出ているという事実です。仮に実施率が「3年に1回」の目標値である33%まで引き上げられた場合、処分件数はさらに大幅に増加する可能性があります。つまり、現在の158件という数字は「氷山の一角」である可能性を考慮すべきです。
転職を考えている介護職員にとって、このデータは「どの事業所を選ぶか」が従来以上に重要になっていることを意味します。次のセクションでは、指定取消が職員に与える具体的な影響を解説します。
指定取消で介護職員はどうなる?知っておくべき3つの現実
勤務先の事業所が指定取消を受けた場合、そこで働く介護職員にはどのような影響があるのでしょうか。法的な側面と実務的な側面から整理します。
現実1:原則として全員が職を失う
指定取消は介護保険サービスを提供する事業者としての資格を剥奪される最も重い行政処分です。事業所は介護報酬の請求ができなくなり、事実上の運営停止・閉鎖となるため、正社員・パートの区別なく、ほぼ全員が雇用契約を継続できなくなります。
ただし、法人が複数の事業所を運営している場合は、処分を受けていない別事業所への異動という選択肢が残ることがあります。しかし、指定取消処分を受けた法人は利用者や地域からの信頼を大きく損なうため、法人全体の経営に影響が出るケースも少なくありません。
現実2:再就職活動への影響はあるが、過度な心配は不要
面接の場で「前職を辞めた理由」を聞かれた際に、指定取消の事実を説明する必要が出てきます。採用側によっては「コンプライアンス意識の低い職場で働いていた」という印象を持つ可能性はゼロではありません。
しかし、介護業界には職員個人の「ブラックリスト」は存在しません。不正に関与していなかった一般職員には法的な欠格事由も生じません。介護業界は深刻な人材不足が続いており、経験と資格を持つ職員への需要は高い状態です。混乱期に利用者の引き継ぎ業務を誠実にやり遂げたことを伝えれば、むしろプラス評価になるケースもあります。
現実3:給料未払いが発生するリスクがある
報酬請求ができなくなることで事業所の収入が途絶え、給与の支払いが滞るケースが発生します。事業所が事実上倒産した場合は、未払い賃金が問題になります。
この場合の対処法としては以下があります。
- 事業所に直接請求:雇用契約書・給与明細を根拠に内容証明郵便で督促
- 労働基準監督署に相談:是正指導を依頼
- 未払賃金立替払制度の利用:事業所が倒産した場合、独立行政法人労働者健康安全機構が未払い賃金の一部を立替払いする制度があります(厚生労働省所管)
万が一に備え、勤務中から給与明細や雇用契約書、タイムカードの写しなどを保管しておくことが重要です。
管理者・役員には追加の制限がある
一般職員と異なり、指定取消を受けた法人の役員や事業所管理者であった者は、取消日から5年間、新たな介護事業所の指定を受けることができません(介護保険法第70条第2項)。転職先で管理者やサービス提供責任者に就任する際に影響が出る可能性があるため、事前に確認が必要です。
不正事業所を見分ける7つの危険サイン
転職先を検討する際、不正や法令違反を行っている事業所を避けることは、自分のキャリアを守る上で非常に重要です。厚労省が公表している処分事例や運営指導マニュアルの内容をもとに、注意すべき「危険サイン」を整理しました。
サイン1:人員配置が常にギリギリ、または基準を下回っている
人員基準違反は処分理由の上位に入っています。面接や見学時に「シフトが埋まらない」「一人で何人もの利用者を担当している」といった状況が見られる場合は注意が必要です。実際には配置基準を満たしていないのに、書類上は満たしているように装っているケースもあります。
サイン2:サービス提供記録の作成が杜撰
訪問介護でのサービス提供記録、デイサービスでの利用実績記録などが、実際のサービス内容と一致していない場合は不正請求の温床になります。「記録はあとでまとめて書けばいい」という風土がある事業所は要注意です。
サイン3:処遇改善加算の使途が不透明
処遇改善加算は職員の賃金改善に充てることが要件です。処分事例の中には、処遇改善加算を受領しながら実際には対象外の使途に流用していたケースがあります。加算の算定状況と自分の給与明細を照らし合わせて確認しましょう。
サイン4:研修や委員会活動が形骸化している
虐待防止委員会、感染症対策委員会、事故防止委員会の開催は運営基準で義務づけられています。これらが開催されていない、または「書類だけ作って実際にはやっていない」状態は、運営指導で指摘される典型的な項目であり、事業所のコンプライアンス意識の低さを示しています。
サイン5:重要事項説明書や運営規程が実態と乖離している
運営規程に記載された営業時間、サービス内容、利用料金などが実態と一致していない場合は問題です。面接時に重要事項説明書を見せてもらい、記載内容と説明内容に矛盾がないか確認しましょう。
サイン6:管理者が不在がち、または兼務が多すぎる
管理者が常勤専従でなく、サービス提供責任者や他の事業所の管理者を兼務しているケースは、管理体制の脆弱さを示す指標です。特に訪問介護事業所で管理者がヘルパーとして現場に出っぱなしの状態は、組織のチェック機能が働いていない可能性があります。
サイン7:過去の行政処分歴がある
過去に改善勧告や効力停止処分を受けた事業所は、再び問題を起こすリスクが相対的に高いです。処分歴は厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」や各自治体のウェブサイトで確認できます。
これらのサインを複数確認した場合は、その事業所への転職は慎重に再検討することをお勧めします。
転職前に確認すべき5つのチェックポイント
運営指導の強化により、法令遵守の意識が低い事業所は今後ますす淘汰される時代になります。転職先を選ぶ際に、以下の5つのポイントを事前に確認することで、不正事業所に入職するリスクを大幅に減らすことができます。
チェック1:介護サービス情報公表システムで事業所情報を確認する
厚生労働省が運営する「介護サービス情報公表システム」(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)では、全国の介護事業所の基本情報が公開されています。確認すべき項目は以下のとおりです。
- 職員の人数・資格保有状況
- 利用者数とサービス提供体制
- 運営方針
- 第三者評価の実施状況
- 過去の行政処分歴
特に、従業員数と利用者数のバランスは重要です。利用者に対して職員が極端に少ない場合は、人員基準違反のリスクがあります。
チェック2:都道府県・市区町村の処分情報を確認する
各都道府県のウェブサイトでは、指定取消や効力停止処分を受けた事業所の名称、所在地、処分理由、処分日が公表されています。転職を検討している事業所の法人名で検索し、過去の処分歴がないか確認しましょう。
同一法人が運営する他の事業所で処分を受けている場合も、法人全体のコンプライアンス体制に問題がある可能性があります。
チェック3:面接時に職場見学を申し出る
面接の際に事業所内の見学を依頼しましょう。見学時に確認すべきポイントは以下です。
- 利用者に対する職員の接し方(尊厳を持った対応か)
- 施設内の清潔さや設備の状態
- 掲示物の内容(運営規程、苦情窓口の連絡先、重要事項説明書が掲示されているか)
- 職員の表情や雰囲気(過度に疲弊していないか)
見学を断られた場合は、見せたくない理由がある可能性を疑いましょう。
チェック4:処遇改善加算の算定状況と給与内訳を確認する
求人票や面接時に、処遇改善加算の取得区分と、加算がどのように給与に反映されているかを確認します。「処遇改善加算を取得している」と言いながら、具体的な金額や配分方法を説明できない事業所は、加算の適正運用に問題がある可能性があります。
2024年度の介護報酬改定で処遇改善加算が一本化され、最大加算率は14.0%となっています。この加算が適正に職員の給与に反映されているかは、転職先の待遇を判断する重要な指標です。
チェック5:離職率と職員の定着状況を確認する
介護サービス情報公表システムでは、職員の経験年数の分布も確認できます。経験1年未満の職員ばかりで中堅・ベテランがいない事業所は、何らかの理由で職員が定着していない可能性があります。
面接時に「平均勤続年数」「直近1年の退職者数」を質問することも有効です。明確な回答を避ける事業所には注意が必要です。
よくある質問
Q1. 運営指導は全ての事業所に来るのですか?
原則として全ての介護事業所が運営指導の対象です。ただし、自治体の人員体制の制約から、実施率は全国平均で16.2%にとどまっています。概ね3年に1回を目標としていますが、実態はそれより低い頻度です。不正の通報があった場合や、過去に指摘事項があった事業所は優先的に指導対象となります。
Q2. 指定取消を受けた事業所に勤めていたことは履歴書に書かなければいけませんか?
履歴書には勤務先の名称と在籍期間を記載しますが、指定取消の事実そのものを記載する義務はありません。ただし、面接で退職理由を聞かれた際には、事実を正直に説明することが望ましいです。「事業所の行政処分により閉鎖となった」と説明した上で、自分自身は不正に関与していなかったこと、利用者の引き継ぎに誠実に対応したことを伝えましょう。
Q3. 不正を行っている事業所に勤めている場合、内部告発できますか?
はい。公益通報者保護法により、事業所の違法行為を通報した従業員は、解雇や不利益な取扱いから保護されます。通報先は自治体(都道府県または市区町村の介護保険担当課)です。匿名での通報も可能です。不正請求や虐待などを発見した場合は、自分自身が不正の共犯と見なされないためにも、早期の通報が重要です。
Q4. 転職先の事業所が過去に行政処分を受けていたことを入社後に知りました。どうすべきですか?
まず、処分の内容と時期を確認しましょう。処分後に改善措置が適切に実施され、現在は問題なく運営されているのであれば、過度に心配する必要はありません。一方、改善が不十分と感じる場合や、現在も同様の問題が続いていると感じる場合は、転職を検討することも選択肢の一つです。
Q5. 介護報酬の不正請求とは具体的にどのような行為ですか?
主な不正請求のパターンには以下があります。
- 架空請求:実際にはサービスを提供していないのに、提供したとして報酬を請求する
- 付増請求:実際のサービス時間より長い時間で報酬を請求する
- 加算の不正算定:要件を満たしていない加算を算定して請求する(処遇改善加算の流用など)
- 人員基準違反の隠蔽:基準を満たしていないにもかかわらず満額の報酬を請求する
これらの行為は刑法上の詐欺罪に問われる可能性もあり、関与した個人にも法的責任が及ぶことがあります。
Q6. 運営指導で指摘を受けやすい項目は何ですか?
厚労省の運営指導マニュアルや自治体の公表資料によると、以下が特に指摘されやすい項目です。
- ケアプラン(個別支援計画)の作成・更新の不備
- サービス提供記録の記載漏れ・不整合
- 勤務表と実際の勤務状況の不一致
- 研修や委員会の未実施(虐待防止、感染症対策、BCP等)
- 重要事項説明書の内容と実態の乖離
- 署名・捺印漏れや日付の不整合
参考文献・出典
- [1]介護サービス事業所等に対する指導・監査結果の状況及び介護保険施設等に対する指導監督の実施状況(令和6年度・全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料)- 厚生労働省
2024年度の運営指導実施件数(5万424件)、行政処分件数(158件)、処分理由の内訳等の一次データ
- [2]
- [3]
- [4]
- [5]
まとめ:運営指導強化の時代、転職先選びはこれまで以上に重要
2024年度の運営指導5万424件、行政処分158件というデータは、介護業界の「コンプライアンス元年」ともいえる転換点を示しています。コロナ禍で一時的に緩んでいた行政の監督体制が本格的に再開し、不正や法令違反を行っている事業所は確実に処分されるようになりました。
介護職員として転職を考える際に押さえておくべきポイントを改めて整理します。
- 運営指導の実施率はまだ16.2%。今後さらに増加すれば、処分件数も増える可能性がある
- 不正請求が処分理由の最多(82件)。訪問介護事業所が最も処分を受けやすい
- 指定取消を受けると全職員が失業のリスク。給料未払いの可能性もある
- 転職前には情報公表システム・自治体サイトで処分歴を必ず確認
- 面接時の職場見学で、運営実態を自分の目で確かめる
運営指導の強化は、裏を返せば「きちんと運営している事業所」が正当に評価される時代の到来を意味します。法令遵守意識が高く、職員を大切にする事業所を見極めることが、長期的なキャリア形成の第一歩です。
転職先選びに迷ったら、まずは厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」で候補事業所の情報を確認することから始めてみてください。
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