在宅医療と訪問診療の違いと使い分け|往診・訪問看護・訪問薬剤を組み合わせる家族視点ガイド
ご家族・ご利用者向け

在宅医療と訪問診療の違いと使い分け|往診・訪問看護・訪問薬剤を組み合わせる家族視点ガイド

在宅医療とは何か、訪問診療・往診との違い、訪問看護・訪問薬剤・訪問歯科・訪問リハの組み合わせ、24時間対応、医療保険と介護保険の使い分け、月額費用、看取り対応までを家族視点で解説。厚労省・日本訪問診療機構の公的データに基づく在宅医療の総合ガイド。

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この記事のポイント

在宅医療とは、通院が困難な方の自宅や施設に医師・看護師・薬剤師などが訪問して行う医療の総称で、その中の計画的・定期的な医師の訪問が「訪問診療」、急変時の臨時訪問が「往診」です。訪問診療は原則月2回(看取り期は週1回以上)、医療保険1割負担で月額8,000円前後が目安。訪問看護・訪問薬剤管理指導・訪問歯科・訪問リハ・訪問栄養食事指導を組み合わせることで、自宅で病院に近い医療と療養が継続できます。在宅療養支援診療所は24時間連絡体制と緊急往診体制を備え、看取りまで対応します。

目次

「親が退院することになったけれど、自宅で医療が続けられるか不安」「最近よく聞く在宅医療訪問診療って何が違うの?」「往診は救急車を呼ぶのとどう使い分ければいいの?」——通院が難しくなった家族を支える立場になると、こうした疑問が次々と湧いてきます。

厚生労働省の調査では、自宅で最期を迎えたいと希望する高齢者は約4割に上りますが、実際の在宅死亡率は2割前後にとどまります。在宅医療の仕組みを家族が理解しているかどうかが、希望どおりの療養を実現できるかの分かれ道になります。

本ガイドは、介護を担うご家族・本人の視点から、(1)在宅医療と訪問診療と往診の関係、(2)訪問看護・訪問薬剤・訪問歯科・訪問リハ・訪問栄養食事指導という6つの構成要素、(3)24時間対応と看取りまで含めた支援体制、(4)費用と保険の使い分け、(5)実際の始め方と緊急時の判断、を厚生労働省・日本訪問診療機構などの一次資料に基づいて整理しました。医療判断は必ず主治医・在宅医・看護師にご相談ください。

在宅医療とは|「自宅で受ける医療」の総称

在宅医療とは、病気や加齢で通院が困難となった方に対し、医師・看護師・薬剤師・歯科医師・リハビリ専門職・管理栄養士などが患者の自宅や入居施設に訪問して提供する医療の総称です。厚生労働省は在宅医療を「住み慣れた生活の場で療養し、自分らしい生活を続けるための医療」と定義しており、病院完結型の医療から地域完結型へ移行する地域包括ケアシステムの中核に位置付けられています。

「在宅医療」は広い概念、「訪問診療」はその一部

多くの家族が混乱するポイントですが、「在宅医療」と「訪問診療」は同じ意味ではありません。両者の関係は以下のとおりです。

  • 在宅医療(広い概念)=通院困難な患者への医療サービス全体。医師の訪問だけでなく、看護師・薬剤師・歯科医師・リハ職・管理栄養士の訪問もすべて含む
  • 訪問診療(狭い概念)=在宅医療の中で、医師が定期的・計画的に自宅へ訪問して行う診療
  • 往診=同じく医師の自宅訪問だが、急変時など患者・家族の要請に基づく臨時の訪問

つまり、訪問診療と往診はどちらも「医師の自宅訪問」ですが、計画的か臨時かで区別されます。そしてこの2つを土台として、訪問看護・訪問薬剤・訪問歯科・訪問リハ・訪問栄養食事指導が組み合わさったものが、家族視点で見る「在宅医療」の全体像です。

在宅医療を受けられる人(対象)

厚生労働省の指針では、在宅医療の対象は「通院が困難な方」と整理されています。具体的には以下のような状態の方が利用しています。

  • 要介護認定を受け、外出に介助が必要な高齢者
  • 難病(パーキンソン病、ALSなど)で通院が負担になっている方
  • 末期がんで自宅療養を希望される方
  • 認知症の進行で待合室での待機が難しい方
  • 退院後すぐで体力的に通院が難しい方
  • 人工呼吸器・在宅酸素・経管栄養・在宅中心静脈栄養などを使用している方

特定の病名や要介護度の制限はなく、「主治医が通院困難と判断し、本人または家族が在宅医療に同意していること」が条件になります。

在宅医療・訪問診療・往診の違い|目的・頻度・費用の比較表

家族が最も混乱するのが「在宅医療」「訪問診療」「往診」の使い分けです。3つの違いを目的・頻度・費用の観点で整理します。

項目在宅医療訪問診療往診
意味通院困難者への医療全体(医師・看護師・薬剤師・歯科・リハ・栄養)医師が計画的・定期的に自宅訪問医師が急変時に臨時で自宅訪問
位置づけ広い概念(訪問診療・往診を含む)在宅医療の中核(計画的)在宅医療の補完(臨時)
訪問頻度サービスにより異なる原則月2回(看取り期は週1回以上)状態急変時のみ
事前計画個別に契約・指示書診療計画書を事前に作成計画なし・要請ベース
費用目安(1割負担)サービス合計で月1万〜3万円月8,000円前後1回あたり1,500〜3,000円程度
24時間対応在宅療養支援診療所と連携在宅療養支援診療所は24時間対応夜間・休日も可
家族の利用シーン退院後の継続療養全般慢性疾患の継続管理発熱・痛み・呼吸苦などの急変

覚え方としては、「在宅医療=家で受ける医療すべて」「訪問診療=医師の定期便」「往診=医師の緊急便」と整理すると家族間でも共有しやすくなります。多くの在宅医療では訪問診療と往診を同じクリニックが担当するため、契約時に「往診も対応可能か」「夜間連絡先はどこか」を必ず確認してください。

在宅医療を構成する6つの訪問サービス

在宅医療は医師の訪問診療だけで成り立つものではありません。複数の専門職がチームで関わることで、病院に近い医療水準を自宅で実現します。家族が「誰に何を頼めるのか」を理解しておくことが、安心して在宅療養を続けるための第一歩です。

1. 訪問診療|医師による定期的な診療

主治医が月2回(看取り期は週1回以上)自宅を訪れ、診察・処方・療養相談を行います。慢性疾患の管理、医療機器の調整、家族への病状説明が中心。診療計画書を本人・家族に交付するため、次回訪問日や治療方針が明確になります。

2. 訪問看護|看護師による医療・療養ケア

訪問看護ステーションの看護師が、医師の指示書に基づいて週1〜数回訪問。バイタル測定、点滴・注射、褥瘡(じょくそう)処置、カテーテル管理、服薬管理、家族への介護指導まで担います。医療保険・介護保険のどちらでも利用可能で、24時間対応の訪問看護ステーションも増えています。

3. 訪問薬剤管理指導|薬剤師による服薬管理

かかりつけ薬局の薬剤師が自宅を訪問し、薬の整理・服用支援・残薬調整・副作用モニタリングを行います。高齢者は平均6種類以上の薬を併用していると言われ、飲み忘れ・重複・相互作用のリスクが高いため、薬剤師の訪問は安全性確保に不可欠です。

4. 訪問歯科診療|歯科医師・歯科衛生士による口腔ケア

義歯調整、虫歯治療、口腔ケア、嚥下(えんげ)評価を自宅で行います。口腔ケアの徹底は誤嚥性肺炎の予防に直結し、終末期の生活の質を大きく左右します。歯科衛生士の訪問だけでも介護保険の対象になります。

5. 訪問リハビリテーション|理学・作業・言語聴覚士による機能維持

退院直後の機能訓練、関節拘縮の予防、立ち上がり・移乗動作の練習、嚥下訓練、家族への介助指導までを行います。週1〜3回程度の訪問で、寝たきりを防ぎ生活範囲を維持することが目的です。

6. 訪問栄養食事指導|管理栄養士による食事支援

嚥下機能や疾患に応じた食事形態(きざみ食・ミキサー食・とろみ調整)の提案、低栄養予防、家族への調理指導を行います。在宅療養者の3〜4割が低栄養リスクにあるとされ、栄養指導は予後改善の鍵となります。

この6つに加え、ケアマネジャー(介護支援専門員)が全体を調整し、ホームヘルパーが生活援助を担います。家族は「全部自分で抱え込まない」ことが何より大切です。

在宅医療を始める流れ|退院前から訪問開始まで7ステップ

在宅医療は「思い立ったらすぐ来てくれる」ものではなく、契約・指示書作成・初回訪問までに概ね1〜2週間かかります。退院前から段取りを進めることがスムーズな移行の鍵です。

ステップ1:相談先を決める(退院2〜4週間前)

入院中であれば病院の地域連携室・退院支援看護師に、在宅療養中であればケアマネジャーまたは地域包括支援センターに相談します。「自宅で療養を続けたい」と明確に伝えることが出発点です。

ステップ2:在宅医療を提供するクリニックを選ぶ

地域連携室・ケアマネ・地域包括支援センターから候補となる在宅療養支援診療所(在支診)の紹介を受けます。24時間対応の有無、看取り実績、対応エリアを確認します。

ステップ3:事前面談・契約(訪問開始の1〜2週間前)

クリニックの医師または医療ソーシャルワーカーと面談し、療養方針・費用・緊急時対応を確認したうえで在宅医療契約書を交わします。

ステップ4:診療情報提供書の入手

これまでの主治医(病院)から在宅医に向けて診療情報提供書を発行してもらいます。退院時カンファレンスで在宅医と病院主治医が直接情報共有するケースが理想的です。

ステップ5:訪問看護・薬局・歯科の手配

必要に応じて訪問看護ステーション・かかりつけ薬局・訪問歯科・訪問リハ事業所と契約します。それぞれ別契約ですが、在宅医が指示書を発行することで連携します。

ステップ6:ケアプランへの統合

介護保険を利用している場合、ケアマネジャーが医療系サービスを含めたケアプランを作成します。区分支給限度額を超えないように調整します。

ステップ7:初回訪問・診療計画書交付

在宅医が初回訪問し、診察と療養計画を立て、診療計画書を本人・家族に交付。以降は原則月2回の定期訪問が始まります。

退院後すぐに在宅医療を始めたい場合、退院日の1〜2週間前から準備を始めることをおすすめします。

24時間対応体制と緊急時連絡|在宅療養支援診療所の役割

在宅医療を選ぶうえで家族が最も気にするのが「夜中に容体が急変したらどうするか」です。この不安に応えるのが在宅療養支援診療所(在支診)在宅療養支援病院(在支病)という厚生労働省の届出制度です。

  • 24時間連絡可能な体制:医師または看護師が24時間連絡を受けられる電話窓口を設置。深夜・休日も家族からの相談に応じます
  • 24時間往診体制:必要に応じて夜間・休日でも医師が往診できる体制を整備。一人医師での運用が難しい場合は複数医師での輪番体制を構築
  • 24時間訪問看護体制:連携する訪問看護ステーションと協力し、急変時に看護師が駆けつけられる体制
  • 緊急時の入院病床確保:在宅では対応困難な場合に備え、後方支援病院との連携で入院ベッドを確保
  • 看取り実績の届出:機能強化型在支診は年間の在宅看取り実績の報告が必要
  • 多職種カンファレンス:定期的に訪問看護師・薬剤師・ケアマネと情報共有

緊急時の判断フロー

家族が「これは119番か、在宅医に電話か」で迷う場面は必ず訪れます。一般的な目安は以下のとおりです。

  • 意識がない・呼吸が止まっている・大量出血→ 救急車(119番)を即時要請
  • 発熱・呼吸苦・痛みの増強・嘔吐→ まず在宅医のオンコール窓口に連絡し指示を仰ぐ
  • 看取り期の呼吸停止→ 救急車ではなく在宅医に連絡(看取りの方針が事前に共有されているため)

看取りを希望している場合、救急車を呼ぶと延命治療や蘇生処置が前提となるため、本人・家族の意思に反するケースが多くあります。在宅医療開始時に「急変・看取り時の連絡先」を冷蔵庫など見える場所に貼っておくと、深夜のパニックを避けられます。

費用の目安|医療保険1〜3割負担と月額のリアル

在宅医療の費用は医療保険が適用されるため、自己負担は年齢・所得に応じて1〜3割です。多くの後期高齢者は1割負担で、訪問診療単独であれば月8,000〜10,000円程度が目安となります。

訪問診療単独の月額目安(医療保険1割負担)

  • 在宅時医学総合管理料:月2回訪問で2,000〜5,000円程度(在宅療養支援診療所か否か、機能強化型か否かで変動)
  • 訪問診療料:1回866円×2回=1,732円程度
  • その他処方箋料・検査料:状態により1,000〜3,000円
  • 合計:月8,000〜10,000円前後

サービスを組み合わせた場合の月額目安(1割負担)

  • 訪問診療+訪問看護:月12,000〜18,000円
  • 訪問診療+訪問看護+訪問薬剤:月15,000〜22,000円
  • 訪問診療+訪問看護+訪問リハ+訪問歯科:月20,000〜30,000円

高額療養費制度・高額医療高額介護合算制度の活用

住民税非課税世帯であれば、医療費の自己負担上限は月8,000円(外来)または15,000円(世帯)に抑えられます。介護サービスと合算した上限を超えた分は高額医療・高額介護合算制度で還付されるため、必ず市区町村窓口で申請してください。所得や世帯構成によって還付額が大きく変わるため、ケアマネジャーやMSW(医療ソーシャルワーカー)に相談することを推奨します。

交通費・自費分の確認

クリニックによっては、対応エリア外の場合に交通費(実費)が請求されます。また、診断書・死亡診断書の発行費用、医療材料の一部は自費負担となるため、契約時に「保険適用外の項目と金額」を一覧で提示してもらいましょう。

医療保険と介護保険の使い分け|サービスごとの保険区分早見表

在宅医療で家族が混乱しやすいのが「このサービスはどっちの保険を使うのか」です。原則として、医師・歯科医師・薬剤師の訪問は医療保険、ケアマネジャー・ヘルパー・福祉用具は介護保険ですが、訪問看護や訪問リハは状態により切り替わります。

サービス医療保険介護保険切り替えの目安
訪問診療・往診○ 原則こちら×常に医療保険
訪問看護○(末期がん・難病・週4回以上の指示など)○(要介護認定者)厚労省が定める「特掲疾病」「特別訪問看護指示書」では医療保険
訪問リハビリ△(医療機関からの場合)○ 原則こちら要介護認定があれば介護保険優先
訪問薬剤管理指導○ 医療保険○ 居宅療養管理指導として介護保険でも可要介護認定の有無で振り分け
訪問歯科診療○ 治療部分○ 口腔ケア・指導は介護保険(居宅療養管理指導)治療か指導かで区分
訪問栄養食事指導○ 医療機関からの場合○ 居宅療養管理指導要介護認定の有無
ヘルパー(生活援助・身体介護)×常に介護保険
福祉用具レンタル・住宅改修×常に介護保険

原則「介護保険優先」ですが、末期がん・神経難病(パーキンソン病、ALS、多系統萎縮症など)・気管切開・人工呼吸器装着など、厚労省が定める特掲疾病に該当する場合は訪問看護が医療保険に切り替わり、週4日以上・1日複数回の訪問も可能になります。判断はケアマネジャーと訪問看護ステーションが行うため、家族が暗記する必要はありませんが、「保険区分が切り替わると自己負担額も変わる」点は知っておきましょう。

在宅医療チームの選び方|家族が確認すべき7つのポイント

在宅医療を担うクリニック・訪問看護ステーション選びは、自宅療養の質を大きく左右します。「近いから」「紹介されたから」だけで決めず、最低限以下の項目を家族が確認することをおすすめします。

1. 在宅療養支援診療所の届出があるか

厚労省の届出により、24時間対応・看取り体制が整備されている目安になります。さらに「機能強化型」の届出があるクリニックは、複数医師・年間看取り実績などの要件を満たしています。

2. 24時間対応の実態を確認

「24時間対応」と看板に書いてあっても、深夜は留守番電話のみ、往診は当直医ではなく主治医個人の携帯転送のみ、というケースもあります。家族として「夜間に発熱したら誰が出るか」を具体的に確認してください。

3. 看取り実績の開示

看取りを希望する場合、過去1年の在宅看取り件数を聞きましょう。少なくとも年10件以上の実績があるクリニックが安心の目安です。

4. 専門領域・対応可能な医療処置

がん性疼痛の麻薬使用、在宅酸素、在宅人工呼吸器、経管栄養、中心静脈栄養、腹膜透析など、必要な医療処置に対応できるかを事前確認します。

5. 訪問看護ステーションとの連携

同じ法人の訪問看護があるか、外部の訪問看護とどう連携するかを聞きましょう。多職種連携の良し悪しが家族の負担を大きく変えます。

6. 緊急時の入院ベッド確保

在宅では対応困難な場合の入院先(後方支援病院)が決まっているかは重要です。地元の大病院との連携実績を確認します。

7. 家族とのコミュニケーション

「説明が丁寧か」「家族の不安を聞いてくれるか」は、長期療養の安心感に直結します。初回面談時に、医師・スタッフの応対を必ず家族の目で確認してください。

看取り期の在宅医療|最期を自宅で迎えるための準備

看取りを自宅で行う場合、在宅医療は通常期とは異なる対応が必要になります。家族は不安や混乱の中で多くの判断を迫られるため、事前に流れを把握しておくことが心構えにつながります。

  • 事前の意思確認(ACP:人生会議):本人の意思が明確なうちに、延命治療の希望・蘇生処置の有無・最期に立ち会いたい人などを書面化(事前指示書・リビングウィル)しておきます
  • 看取り期の訪問頻度の増加:状態に応じて訪問診療が週1回以上、訪問看護が連日となります。家族の介護負担も増えるため、レスパイト(介護者の休息)を確保します
  • 痛み・苦痛緩和の最優先:医療用麻薬(モルヒネ等)の自宅使用が可能。痛みのコントロールは在宅でも病院並みに行えます
  • 家族へのお別れの時間の確保:在宅では時間に追われず、家族・親族が落ち着いて本人と向き合えるのが最大の利点です
  • 呼吸停止時の対応:救急車を呼ばず、在宅医に連絡。死亡確認は在宅医が訪問して行い、死亡診断書を発行します
  • グリーフケア(遺族の心のケア):看取り後の家族の心のケアに対応するクリニック・訪問看護ステーションも増えています

「家で看取る=家族が全部やる」ではありません。在宅医・訪問看護師・薬剤師・ケアマネのチームが支えるため、家族は本人と「ありがとう」「ごめんね」「ありがとう」「さようなら」の4つの言葉を交わす時間に集中できます。看取り後、「家で最期を迎えられてよかった」と感じる家族は8割以上というデータもあります。

在宅医療と訪問診療に関するよくある質問

Q1. 在宅医療を希望すれば、誰でも受けられますか?

原則として「通院が困難」と主治医が判断すれば、年齢・疾患を問わず受けられます。要介護認定がなくても受けられます。ただし対応エリアが限られているため、まずは地域包括支援センターまたは病院の地域連携室に相談してください。

Q2. 訪問診療は毎週来てくれますか?

原則として月2回(隔週)の訪問が基本です。状態が安定していれば月1回、看取り期や急性増悪期には週1〜数回に増えます。さらに状態急変時には往診(臨時訪問)で対応します。

Q3. 在宅医療と入院、どちらが費用が安いですか?

1か月の自己負担額だけで比較すると、医療保険1割の場合、入院(月8万〜15万円)より在宅医療(月1万〜3万円)の方が安く済むことが多いです。ただし家族介護のコスト(時間・心身負担)が加わるため、金銭面だけで判断しないことが重要です。

Q4. 認知症が進行しても在宅医療は続けられますか?

続けられます。むしろ、住み慣れた環境を維持することで認知症の進行抑制に良い影響があるとされています。BPSD(行動・心理症状)が強く家族が疲弊する場合は、在宅医・ケアマネと相談しショートステイや薬剤調整で家族を支えます。

Q5. 自宅マンションでも在宅医療は受けられますか?

受けられます。集合住宅・サ高住・グループホーム・特養(一部)・有料老人ホームでも訪問診療は可能です。施設で在宅医療が受けられるかは入居前に確認してください。

Q6. 医療機器を使っていますが在宅医療は対応できますか?

在宅酸素・人工呼吸器・経管栄養・在宅中心静脈栄養・在宅腹膜透析・尿道カテーテル・ストーマなど、多くの医療機器に対応可能です。ただしクリニックによって対応範囲が異なるため、契約前に必要な処置に対応できるかを確認してください。

Q7. 在宅医療を始めたら、入院はもうできないのですか?

そんなことはありません。在宅で対応困難な急変・治療が必要な場合は、後方支援病院に一時入院できます。状態が落ち着けば再び自宅に戻り、在宅医療を再開できる「行ったり来たり」が可能です。

参考文献・公的データ

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まとめ|在宅医療を「家族の選択肢」にするために

在宅医療は「医師がたまに家に来てくれる仕組み」ではなく、訪問診療を核に訪問看護・訪問薬剤・訪問歯科・訪問リハ・訪問栄養食事指導を組み合わせた、チームで支える地域完結型医療です。家族として押さえておきたいポイントは次の通りです。

  • 用語の整理:在宅医療=家で受ける医療全般、訪問診療=医師の定期便、往診=医師の緊急便
  • 6つの構成要素を理解し、必要なサービスを組み合わせる
  • 在宅療養支援診療所を選ぶことで24時間対応・看取り体制が確保される
  • 医療保険1割で月8,000〜30,000円が費用目安。高額療養費・合算制度を必ず活用
  • 退院2〜4週間前から準備を始めるとスムーズに移行できる
  • 看取り期は救急車ではなく在宅医に連絡。事前に意思を共有しておく

「自宅で最期まで」という本人の希望をかなえられるかは、家族が在宅医療の仕組みを知っているかどうかに大きく依存します。まずは地域包括支援センター・病院の地域連携室に「在宅医療を検討している」と声をかけることから始めてください。一人で抱え込まず、ケアマネジャー・在宅医・訪問看護師・薬剤師に「相談する」ことが、家族にとって最良の第一歩です。

監修者

介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム

医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)

看護師介護福祉士ケアマネジャー

訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

介護の現場・介護職の視点

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