
訪問診療と往診の違いとは
訪問診療と往診の違いを5観点で比較。計画的か臨時か、診療報酬の点数、24時間対応の有無、在宅医療を選ぶ際のポイントを解説。
この記事のポイント
訪問診療と往診の最大の違いは「計画的か臨時か」です。訪問診療は事前の診療計画に基づいて定期的(月2回が目安)に医師が患家を訪問するのに対し、往診は患者からの臨時の要請に応じて行う非定期の訪問です。診療報酬上も別々の点数が設定され、訪問診療は月2回までの定期訪問に「在宅患者訪問診療料」、往診は臨時訪問1回ごとに「往診料」が算定されます。両者を組み合わせて在宅医療を提供する診療所が「在宅療養支援診療所」と呼ばれます。
目次
訪問診療と往診の基本|どちらも医師が自宅へ来る制度
在宅医療には、医師が患者の自宅・施設を訪問する形態として「訪問診療」と「往診」の2種類があります。両者はしばしば混同されますが、診療報酬制度・契約形態・運用方法が異なる別の制度です。
訪問診療は、通院困難な患者に対して計画的・定期的に医師が訪問する診療形態です。月1〜2回の定期訪問が標準で、診療計画に基づき継続的に在宅で療養している人を診ます。利用には事前の契約(在宅療養計画書の作成)が必要です。
往診は、患者からの臨時の要請に応じて医師が訪問する診療形態です。発熱・痛み・不調などの急変時に対応します。在宅療養支援診療所が24時間365日体制で受け付けるのが標準です。
両者を組み合わせて在宅医療を提供するのが「在宅療養支援診療所(在支診)」の機能で、2026年現在、全国で約1.5万カ所が指定されています。
訪問診療と往診の5観点比較
| 項目 | 訪問診療 | 往診 |
|---|---|---|
| 性格 | 計画的・定期的 | 臨時・不定期 |
| 頻度 | 月1〜2回が標準 | 必要時のみ |
| 事前契約 | 必要(在宅療養計画書) | 不要 |
| 診療報酬 | 在宅患者訪問診療料I 888点等 | 往診料 720点 |
| 24時間対応 | 原則あり(在支診の場合) | 呼び出し対応 |
| 主な対象 | 慢性期・看取り期の在宅療養者 | 急変時の臨時対応 |
※点数は2024年度改定時点
訪問診療料の主要点数(2024年度改定)
| 項目 | 点数 | 説明 |
|---|---|---|
| 在宅患者訪問診療料I(同一建物以外) | 888点 | 1人の患者を訪問する場合 |
| 在宅患者訪問診療料I(同一建物2〜9人) | 213点 | 有料老人ホーム等で複数人診療 |
| 在宅患者訪問診療料I(同一建物10人以上) | 114点 | 大型施設での効率診療 |
| 往診料 | 720点 | 臨時訪問1回ごと |
| 緊急往診加算 | +850点 | 急変時の往診 |
| 夜間・休日往診加算 | +1300点 | 夜18時〜翌朝6時、休日 |
| 深夜往診加算 | +2300点 | 深夜22時〜翌朝6時 |
在宅療養支援診療所・在支病の届出数(2024年度)
厚生労働省が公表している在宅医療関連の届出施設数(2024年度時点)は、在宅医療体制を理解するうえで重要な指標です。在宅療養支援診療所(在支診)は、24時間体制で訪問診療・往診・看取りを提供する診療所として、機能強化型と従来型に分かれます。
| 区分 | 届出数(概数) | 機能 |
|---|---|---|
| 在宅療養支援診療所(在支診) | 約15,000施設 | 24時間連絡・訪問体制、在宅看取り対応 |
| うち機能強化型(単独型) | 約2,400施設 | 常勤医師3人以上・年間看取り4件以上 |
| うち機能強化型(連携型) | 約3,500施設 | 複数診療所が連携して常勤医3人・看取り4件以上を確保 |
| 在宅療養支援病院(在支病) | 約1,800施設 | 200床未満で在宅医療の後方支援機能を担う |
※数値は厚生労働省「在宅医療にかかる地域別データ集」および診療報酬施設基準の届出状況をもとにした概数です。都道府県別の分布には地域差があり、都市部に在支診が集中する一方、地方では1施設あたりのカバー範囲が広くなる傾向があります。
訪問診療を受ける患者数は増加傾向にあり、厚労省の社会医療診療行為別統計では、月間の在宅患者訪問診療料の算定回数が年々増えています。背景には高齢化に伴う在宅療養ニーズの拡大、地域包括ケアシステムの推進、看取り対応の医療機関の拡充があります。
在宅医療を選ぶ際のチェックポイント
- 「在宅療養支援診療所」かどうか確認: 24時間対応・看取り対応が制度化されているのは在支診のみ
- 訪問エリアの確認: 自宅から半径16km圏内が制度上の標準
- 連携病院の有無: 急変時に入院できる連携病院があるか
- 看取り実績: 年間の在宅看取り件数を確認(在支診の機能強化型は基準あり)
- 多職種との連携: 訪問看護・薬剤師・ケアマネジャーとの連携体制
- 家族のサポート: 在宅医療は家族の介護力が前提。負担も含めて検討
よくある質問
- Q1. 通院できる人でも訪問診療は受けられますか?
- A. 訪問診療は「通院困難な患者」が対象です。要介護2以上、認知症などで通院が難しい状態が一つの目安です。具体的な判断は主治医・ケアマネが行います。
- Q2. 費用はどれくらいかかりますか?
- A. 70歳以上で1割負担の場合、訪問診療1回約800〜1,500円、往診1回約2,000〜3,000円(夜間・休日は加算で増額)。月の自己負担上限額(高額療養費)の対象です。
- Q3. 介護保険と医療保険のどちらですか?
- A. 訪問診療・往診はどちらも医療保険の対象です。一方、訪問看護・訪問リハは原則介護保険、特定条件で医療保険が適用されます。
- Q4. 訪問診療の対応エリアはどう決まっていますか?
- A. 制度上、診療所から半径16km圏内が標準的な訪問範囲です。これを超える場合は患家所在地に近い在支診を選ぶか、特例的な対応について事前相談が必要です。離島・へき地では別途の取り扱いがあります。
- Q5. 訪問診療と訪問看護はセットで受ける必要がありますか?
- A. 必須ではありませんが、多くの場合セットで利用されます。訪問診療(医師)が診断・処方を行い、訪問看護師が日常の医療処置や状態観察を担う組み合わせが一般的で、両者の連携が在宅療養の質を左右します。
参考資料
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- [4]
まとめ
訪問診療は計画的な定期訪問、往診は臨時の要請対応です。両者は別制度ですが、在宅療養支援診療所が両方を組み合わせて提供します。在宅医療を選ぶ際は、診療所の機能・24時間対応・連携病院などを総合的に確認しましょう。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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