
褥瘡マネジメント加算とは
褥瘡マネジメント加算は、施設で褥瘡リスクを評価しケア計画を作り、LIFEへデータを提出して褥瘡を予防・改善する取り組みを評価する介護報酬加算です。(I)3単位・(II)13単位の算定要件を解説。
この記事のポイント
褥瘡マネジメント加算とは、介護施設で入所者の褥瘡(じょくそう・床ずれ)の発生リスクを定期的に評価し、多職種でケア計画を作成・実施したうえで、その情報を厚生労働省の科学的介護情報システム(LIFE)へ提出し、フィードバックを活用して褥瘡を予防・改善する取り組みを評価する介護報酬の加算です。プロセスを評価する(I)が月3単位、褥瘡が発生しなかったアウトカムを評価する(II)が月13単位で算定されます。
目次
褥瘡マネジメント加算の位置づけ
褥瘡マネジメント加算は、2018(平成30)年度の介護報酬改定で創設され、2021(令和3)年度改定でLIFEへのデータ提出を要件とする現在の形に再編された介護報酬の加算です。施設サービスにおける褥瘡ケアの質を底上げし、PDCAサイクル(評価→計画→実施→見直し)を回すことを目的としています。
褥瘡は寝たきりや低栄養、加齢による皮膚の脆弱化などが重なって生じる皮膚・組織の損傷で、発生すると治療に長期間を要し、入所者のQOLを大きく損ないます。詳しい原因や重症度の分類は褥瘡(じょくそう・床ずれ)とはを、予防の具体策は褥瘡予防とはを参照してください。本用語集では、こうしたケアを介護報酬の面から支える「加算」制度の仕組みに絞って解説します。
この加算は単に褥瘡をケアするだけでなく、評価結果をLIFEへ提出し、国から返ってくるフィードバック情報を施設のケア改善に活用することまでをセットで求める点が特徴です。データに基づく「科学的介護」を推進する国の方針を、現場の褥瘡対策に落とし込んだ加算といえます。
単位数と算定要件(2024年度改定対応)
単位数と算定要件
| 区分 | 単位数 | 評価の性質 | 主な要件 |
|---|---|---|---|
| 褥瘡マネジメント加算(I) | 3単位/月 | プロセス評価 | 入所時等に褥瘡の有無・発生リスクを評価し、少なくとも3か月に1回再評価。結果をLIFEへ提出しフィードバックを活用。リスクがある人に多職種共同で褥瘡ケア計画を作成・実施・見直し。 |
| 褥瘡マネジメント加算(II) | 13単位/月 | アウトカム評価 | (I)の要件をすべて満たし、かつ施設入所時の評価で褥瘡発生リスクありとされた入所者に新たな褥瘡発生がないこと。2024年度改定により、入所時に既に発生していた褥瘡が治癒した場合も評価対象に追加。 |
(I)と(II)は併算定できず、いずれか一方を算定します。リスク評価・再評価の頻度は「少なくとも3か月に1回」で、評価結果その他の情報をLIFEへ提出することが必須要件です。
対象となる主なサービスは、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、看護小規模多機能型居宅介護などの施設・居住系サービスです。なお介護医療院では、本加算ではなく「褥瘡対策指導管理」として同趣旨の評価が行われます。
※単位数に地域区分・サービス別の単価を掛けた額が報酬になります(1単位あたりの単価は地域や職種区分により異なります)。
算定の流れ(PDCAとLIFE提出)
- 入所時の評価:施設入所時または利用開始時に、褥瘡の有無と発生に関連するリスク(栄養状態・自力体位変換の可否・皮膚の状態など)を評価します。
- ケア計画の作成:リスクありと判定された入所者について、医師・看護師・介護職員・管理栄養士・介護支援専門員などの多職種が共同で「褥瘡ケア計画」を作成します。
- 計画に沿った実施・記録:体位変換、体圧分散、スキンケア、栄養管理などを計画に沿って実施し、定期的に記録します。
- LIFEへのデータ提出:評価結果その他の情報を厚生労働省のLIFEへ提出します。2024年度改定で、初回提出時期を他のLIFE関連加算とそろえることが可能になりました。
- 3か月ごとの再評価・見直し:少なくとも3か月に1回、評価と計画の見直しを行い、LIFEからのフィードバックをケア改善に活用します。
(II)を算定するには、この流れに加えて「リスクありと評価された人に新たな褥瘡が発生していない」「入所時にあった褥瘡が治癒した」というアウトカム(結果)を達成する必要があります。
関連する用語・加算との違い
- 褥瘡(床ずれ):皮膚と組織が圧迫などで損傷した「状態」そのもの。加算はこの状態を予防・改善するケアを評価する制度です。→ 褥瘡(じょくそう・床ずれ)とは
- 褥瘡予防:体位変換やリスク評価スケールなど、現場の具体的な予防ケアの手法。加算はこの予防の取り組みを報酬面から後押しします。→ 褥瘡予防とは
- 科学的介護推進体制加算:入所者全体の状態をLIFEへ提出する包括的な加算。褥瘡マネジメント加算は褥瘡に特化した加算で、両者は別物(要件次第で併算定可)です。
- 褥瘡対策指導管理(介護医療院):介護医療院で褥瘡マネジメント加算に相当する評価。施設類型による呼称の違いです。
つまり、褥瘡の「定義」「予防の手法」「報酬上の評価(加算)」はそれぞれ別の概念です。本ページは3つ目の「加算」を扱います。
よくある質問
- 褥瘡マネジメント加算(I)と(II)の違いは?
- (I)は月3単位で、リスク評価・ケア計画作成・LIFE提出などの「プロセス(取り組み)」を評価します。(II)は月13単位で、(I)の要件に加えて「リスクのある人に褥瘡が発生しなかった」「入所時の褥瘡が治癒した」という「アウトカム(結果)」を評価します。両者は併算定できません。
- LIFEへの提出は必須ですか?
- はい。評価結果その他の情報をLIFE(科学的介護情報システム)へ提出し、フィードバックをケアに活用することが算定の必須要件です。提出をやめると算定できなくなります。
- 評価はどのくらいの頻度で行いますか?
- 入所時(利用開始時)に加え、少なくとも3か月に1回、褥瘡の有無とリスクを再評価し、計画を見直します。
- 介護医療院でも算定できますか?
- 介護医療院では褥瘡マネジメント加算ではなく「褥瘡対策指導管理」として同趣旨の評価が行われます。施設類型により呼称が異なります。
- 2024年度(令和6年度)改定での変更点は?
- 入所時に既に発生していた褥瘡が治癒した場合も(II)の評価対象に加わり、初回のLIFEデータ提出時期を他のLIFE関連加算とそろえられるようになりました。あわせて様式の入力項目の明確化・他加算との共通化が図られました。
参考資料(出典)
- [1]
- [2]指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について(老老発0315第4号・令和6年3月15日)- 厚生労働省老健局老人保健課長通知
褥瘡マネジメント加算(I)(II)の算定要件・LIFE提出の留意事項
- [3]
- [4]
まとめ
褥瘡マネジメント加算は、施設での褥瘡リスク評価・多職種ケア計画・LIFEへのデータ提出を一体で評価する介護報酬の加算です。プロセスを評価する(I)が月3単位、褥瘡の発生がない・治癒したというアウトカムを評価する(II)が月13単位で、いずれもLIFE提出が必須です。介護医療院では「褥瘡対策指導管理」が相当します。データに基づく褥瘡対策は、入所者のQOLと施設経営の双方を支える取り組みといえます。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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