介護保険申請とは

介護保険申請とは

介護保険申請とは、要介護認定を受けるため市町村に行う申請手続き。65歳以上または16特定疾病該当の40〜64歳が対象。申請書・介護保険被保険者証・主治医情報を市町村窓口や地域包括支援センターに提出し、認定調査・主治医意見書・一次/二次判定を経て原則30日以内に結果通知。申請費用は無料、家族や事業者による代行申請も可能。

ポイント

この記事のポイント

介護保険申請とは、介護や生活支援が必要になった人が介護保険サービスを利用するため、市町村に対して要介護認定を求める手続き。介護保険法第27条等に基づき、65歳以上の第1号被保険者または特定疾病に該当する40〜64歳の第2号被保険者が対象となる。市町村窓口または地域包括支援センターで申請でき、申請費用は無料・本人以外(家族・事業者・成年後見人)の代行も可能。

目次

介護保険申請の概要と法的根拠

介護保険申請は、介護保険サービスを利用するために必須の最初のステップである。介護保険法第27条は「要介護認定を受けようとする被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、申請書に被保険者証を添付して市町村に申請しなければならない」と定めており、申請主義(自分から申し出ない限り認定は始まらない)が原則である。

申請の対象となるのは、(1) 65歳以上の第1号被保険者で要介護・要支援状態にある者、(2) 40〜64歳の第2号被保険者16の特定疾病(末期がん・関節リウマチ・筋萎縮性側索硬化症・脳血管疾患・初老期認知症・パーキンソン病関連疾患など)に起因する要介護・要支援状態にある者である。第2号被保険者は特定疾病以外の原因(事故等)では申請できない。

申請を受けた市町村は、調査員(市町村職員または委託先)による認定調査と主治医による主治医意見書を集め、一次判定(コンピュータ)と二次判定(介護認定審査会)を経て要介護度を決定する。申請から認定通知まで原則30日以内と定められている(介護保険法第27条第11項)。

サービス利用は申請日にさかのぼって認定の効力が及ぶため、入院中・退院前など緊急性のある場合は、認定結果を待たずに暫定ケアプランでサービスを開始することも可能(ただし非該当となれば全額自己負担となるリスク)。

申請に必要な書類と窓口

必要書類

  • 要介護・要支援認定申請書(市町村窓口かホームページからダウンロード)
  • 介護保険被保険者証(65歳以上、または既に交付されている40〜64歳)
  • 医療保険被保険者証(40〜64歳の第2号被保険者)
  • 主治医の情報(医療機関名・医師名・診療科・連絡先)— 診察券のコピーで可
  • マイナンバーがわかるもの(マイナンバーカードまたは通知カード)
  • 本人確認書類(運転免許証・健康保険証・在留カード等)
  • 代行申請の場合の委任状・身分証(家族以外が申請する場合)

申請窓口

  • 市町村の介護保険担当課:「介護保険課」「高齢者支援課」「長寿福祉課」など名称は自治体により異なる
  • 地域包括支援センター:申請代行が可能で、初めての家族には特に頼りになる窓口
  • 居宅介護支援事業所:契約済みの事業所のケアマネジャーが申請代行できる
  • 介護保険施設(特養・老健等):入所予定者の申請を施設職員が代行可能
  • 郵送・オンライン申請:自治体によって対応。マイナポータルから電子申請できる市区町村も増加中

申請から認定までの流れ(標準30日)

  1. 事前相談(任意・推奨):地域包括支援センターで現状を相談し、申請のタイミングや必要書類を確認する。
  2. 申請書提出:市町村窓口で申請。受理後、市町村は7日以内をめどに認定調査と主治医意見書の手配に着手する。
  3. 認定調査(訪問調査):市町村職員または委託調査員が自宅・入院先・施設を訪問し、74項目の基本調査と12項目の概況調査・特記事項を聞き取る(通常1時間程度)。新規申請は市町村職員が行うのが原則。
  4. 主治医意見書の作成:市町村が主治医に依頼し、診断名・治療方針・心身の状態・生活機能等を記載した主治医意見書を作成。費用は市町村負担で本人負担なし。
  5. 一次判定:認定調査結果と主治医意見書を全国共通ロジックでコンピュータ処理し、要介護認定等基準時間を算出。
  6. 二次判定:保健・医療・福祉の専門家5名程度で構成される介護認定審査会が、一次判定・特記事項・主治医意見書を総合的に審議し、最終的な区分(要支援1・2要介護1〜5/非該当)を判定。
  7. 認定通知:市町村が要介護度を決定し、結果を本人に郵送(原則30日以内)。同時に新しい介護保険被保険者証と負担割合証が交付される。
  8. ケアプラン作成・サービス利用:要支援は地域包括支援センター、要介護1以上は居宅介護支援事業所のケアマネジャーがケアプランを作成し、契約後にサービス利用を開始する。

申請が30日を超えそうな場合、市町村は「処理見込期間延期通知」を本人に送付する義務がある。

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新規・更新・区分変更申請の違い

申請の種類対象有効期間(原則)受付タイミング
新規申請初めて要介護認定を受ける人6か月(3〜12か月)必要が生じた時点でいつでも
更新申請既に認定を受けており有効期間が満了する人12か月(3〜48か月)有効期間満了60日前から満了日まで
区分変更申請状態が変化し現在の区分が実態と合わない人6か月(3〜12か月)状態変化があった時点でいつでも
転入時申請他市町村から転入した認定済みの人転入元の有効期間を引き継ぎ転入から14日以内

更新申請のポイント

有効期間が切れるとサービス利用は全額自己負担になる。市町村は満了60日前頃に「更新のお知らせ」を送付するが、ケアマネジャーや地域包括支援センターから案内されることも多い。更新申請も新規同様に認定調査・主治医意見書・審査が行われるが、調査員はケアマネジャーや指定事業者が担当することがある。

区分変更申請のポイント

骨折・脳卒中・退院後の介護量変化・認知症の進行など、状態が大きく変わった場合は更新を待たず区分変更申請を検討する。新規申請と同じ流れで再判定され、結果が現在の区分より重い・軽いどちらにもなり得る。

申請をスムーズに進めるコツ

  • 主治医を事前に決めておく:認定調査と並行して主治医意見書が作成される。普段から通院している医師がいれば、その医師の連絡先を申請書に記載することで遅延を防げる。新規にかかりつけ医を作る場合は介護保険申請の前に1〜2回受診しておく。
  • 普段の様子を記録しておく:認定調査は短時間(1時間程度)で行われるため、調査員の前で頑張ってしまい本来の状態より軽く見えてしまう「取り繕い」が起こりやすい。日常の困りごと・転倒回数・物忘れの具体例・服薬管理状況などを事前にメモし、家族が同席して特記事項として伝える。
  • 地域包括支援センターを活用する:地域包括支援センターは申請代行・申請書記入のサポートを無料で行う。初めての家族にとって最も頼りになる窓口で、認定後のケアプランも引き続き相談できる。
  • 退院前申請を活用する:入院中でも申請可能。退院前にケアマネジャーや地域包括支援センターと連絡を取り、退院日に合わせてサービスを開始できるよう調整する。病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談すると進めやすい。
  • 緊急時は暫定ケアプラン:認定結果を待てない場合、ケアマネジャーが暫定ケアプランを作成し、サービスを先行開始できる。ただし非該当となれば全額自己負担となるリスクがあるため、要介護認定の見込みを慎重に判断する。
  • 結果に納得できなければ審査請求:認定結果に不服がある場合、通知から原則60日以内に都道府県の介護保険審査会に審査請求できる。状態の変化があれば区分変更申請が現実的な選択肢。

よくある質問

Q. 介護保険申請の費用はいくらですか?

申請費用は無料です。認定調査・主治医意見書の費用も全額市町村が負担するため、本人・家族の負担はありません。

Q. 申請してから認定までどのくらいかかりますか?

原則として申請から30日以内です。ただし主治医意見書の到着遅れや認定調査の調整で延びることがあり、その場合は市町村から「処理見込期間延期通知」が届きます。実態としては30〜45日程度かかることが多いです。

Q. 本人が認知症で申請の意思表示ができないときは?

家族や成年後見人が代行で申請できます。同居家族でなくても、書面(委任状)と続柄を確認できる書類があれば代行可能です。地域包括支援センター・居宅介護支援事業所・介護保険施設も代行できます。

Q. 40〜64歳でも申請できますか?

第2号被保険者(40〜64歳の医療保険加入者)は、16の特定疾病(末期がん・関節リウマチ・脳血管疾患・パーキンソン病関連疾患・初老期認知症など)が原因で要介護状態になった場合に限り申請できます。事故・先天性疾患は対象外で、障害者総合支援法のサービスを利用することになります。

Q. 結果が出る前にサービスを使えますか?

緊急時はケアマネジャーが暫定ケアプランを作成し、認定結果を待たずにサービスを利用できます。サービスの効力は申請日にさかのぼるため、認定が下りれば自己負担1〜3割で済みます。ただし非該当となった場合は全額自己負担となります。

Q. 結果に納得できないときは?

通知から原則60日以内に都道府県の介護保険審査会へ審査請求できます。状態が変化していれば区分変更申請が現実的で、新規同様の流れで再判定されます。

参考資料

まとめ

介護保険申請は、介護保険サービス利用の出発点となる手続きであり、申請費用は無料、家族や事業者による代行も可能。申請は市町村窓口・地域包括支援センターで受け付けられ、認定調査と主治医意見書を経て、原則30日以内に要介護度(要支援1〜要介護5・非該当)が判定される。サービスの効力は申請日にさかのぼるため、入院中・退院前など緊急時には早めの申請と暫定ケアプランの活用が有効。状態の変化があれば区分変更申請、有効期間が近づけば更新申請を活用し、必要なサービスを途切れさせないことが大切である。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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