介護職を辞めて良かった人の傾向と理由|公的データから読み解く転職判断【最新データ】
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介護職を辞めて良かった人の傾向と理由|公的データから読み解く転職判断【最新データ】

介護職を辞めて良かったと感じる人の傾向を、介護労働安定センター令和5年度調査の離職理由・満足度データから分析。後悔する人との違い、辞める前に確認したい3つのポイント、転職コツを公的データのみで構成。

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介護労働安定センター令和5年度調査では、転職後に「仕事の内容・やりがい」の満足度D.I.は+38.0ポイントと高い一方、「賃金」は▲18.0ポイントと最も低く、辞めて良かったと感じる人の多くは「人間関係・労働条件の改善」と「やりがいの維持」を同時に満たした人です。逆に賃金だけを目的に異業種へ転職した人は後悔しやすい傾向があります。

目次

「介護職を辞めて良かった」という声がある一方、「辞めて後悔した」という声も少なくありません。両者の違いはどこから来るのでしょうか。

本記事はネット上の体験談ではなく、介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査」(労働者調査・有効回答20,699人)、厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」、賃金構造基本統計調査など公的データを横断的に分析し、「辞めて良かった」と感じる人の典型パターンと、「後悔した」人の特徴を客観的に整理しました。

2023年度の介護職の離職率は13.1%と過去最低を更新し、全産業平均(15.0%)を下回っています。離職者全員が後悔しているわけではなく、辞めて満足している人と後悔している人がはっきり分かれます。あなたが「辞めて良かった」側に立つために、データから読み解ける判断材料を提示します。なお、疲労や「もう無理」という限界感が動機になっているなら、介護に疲れた時の転職タイミングの見分け方「もう無理・つらい」と感じた時の対処と転職判断もあわせて確認してください。

介護労働実態調査が示す「辞めて良かった」と感じる人の構造

「辞めて良かった」と感じるかどうかは、もともと感じていた不満の種類と、転職後にそれが解消されたかどうかで決まります。介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査」の労働者調査(有効回答20,699人)には、その手がかりとなる重要なデータが含まれています。

離職理由トップ4(令和5年度・直前の介護関係の仕事を辞めた理由・複数回答)

  • 職場の人間関係に問題があったため:34.3%(対前年度比+6.8ポイントで最多)
  • 法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため:26.3%
  • 他に良い仕事・職場があったため:19.9%
  • 収入が少なかったため:16.6%

注目すべきは、人間関係を理由に辞めた人の具体的内訳です。「上司の思いやりのない言動・きつい指導・パワハラなどがあった」が49.3%と約半数を占め、「上司の管理能力が低い」が43.2%、「同僚の言動でストレスがあった」が38.8%となっています。つまり「人間関係」と一括りにされる悩みの実体は、多くが上司・管理者側に起因する問題です。

満足度ギャップ — どこに不満を感じているか

同調査では現職の満足度D.I.(「満足」と「やや満足」の合計から「不満足」と「やや不満足」の合計を差し引いた値)も公表されています。

  • 仕事の内容・やりがい:+38.0ポイント(最高)
  • 職場の人間関係・コミュニケーション:+28.7ポイント
  • 雇用の安定性:+21.0ポイント
  • 教育訓練・能力開発のあり方:▲5.5ポイント
  • 賃金:▲18.0ポイント(最低)

「仕事内容・やりがい」と「賃金」の差は実に56ポイント。介護職員の多くは「仕事自体は好きだが、待遇に不満」という構造的な葛藤を抱えています。

労働条件の悩みトップ3

  • 人手が足りない:49.9%
  • 仕事内容のわりに賃金が低い:37.5%
  • 身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安):29.3%

これらのデータから読み取れるのは、「辞めて良かった」と感じやすい人は人間関係(特に上司問題)・人員不足・身体負担という退職理由の上位を実際に解消できた人で、「後悔した」と感じやすい人は賃金不満だけを動機にやりがいを失う転職先を選んだ人だという構造です。本記事では以下、この対比を軸にパターンを分析していきます。

「辞めて良かった」と感じる人の7つの典型パターン

離職理由データと満足度ギャップを掛け合わせると、「辞めて良かった」と感じる人には以下7つの典型パターンが見えてきます。いずれも調査データ上の上位悩みを解消できたケースに対応します。

パターン1:パワハラ上司から離れたケース

離職した人間関係要因の49.3%を占める「上司の思いやりのない言動・きつい指導・パワハラ」。これは個人努力では改善困難で、上司の異動・退職を待つより自分が離れた方が早く解決します。同調査では現在の職場の「職場の人間関係・コミュニケーション」満足度は+28.7ポイントとプラスが大きく、人間関係が良い職場は実在することがデータで裏付けられています。

パターン2:管理体制が崩壊した事業所から移ったケース

「上司の管理能力が低い、業務指示が不明確、リーダーシップがなく信頼できなかった」(43.2%)も人間関係問題の主因。介護労働実態調査の事業所調査では、雇用管理責任者を選任している事業所のほうがキャリアパス整備や能力評価の取り組みが2〜3倍進んでいる結果が示されています。管理能力のあるリーダーがいる職場へ移ることは離職後満足の確実な要因です。

パターン3:人手不足が極端な事業所を抜けたケース

労働条件の悩み1位は「人手が足りない」49.9%。事業所調査では訪問介護員の不足感が「大いに不足」「不足」の合計で59.7%に達する一方、不足感が低い(充足)事業所も2割存在します。慢性的な欠員で1日のシフトが回らない事業所から、人員配置に余裕のある特養や法人運営の大規模デイへ移った人は労働時間とストレスが大幅に減ります。

パターン4:理念とのズレを解消したケース

離職理由2位「法人や施設の理念・運営への不満」26.3%の具体的内訳は「経営の効率性やリスクを過度に重視し、介護の質の向上が二の次になっていた」30.9%、「介護の質の向上の手法・方向性が自分の理想と異なっていた」30.6%。自分の介護観に合う法人へ移ることで、やりがい(+38.0ポイントの最高満足度項目)を保ったまま不満を解消できます。

パターン5:夜勤負担から日勤専従・通所系へ移ったケース

身体的負担29.3%、生活リズムの乱れも上位の悩み。通所介護(デイサービス)・訪問介護日中シフト・サ高住の日勤専従などへ移ることで夜勤がなくなり、睡眠と生活リズムが安定します。デイサービスの離職率は施設入所系よりも低い水準で推移しており、定着しやすい職場として知られています。

パターン6:処遇改善加算の高い法人へ移ったケース

厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」によると、介護職員等処遇改善加算(Ⅰ〜Ⅳ)取得事業所の介護職員(月給・常勤)の基本給等(基本給+毎月決まって支払われる手当)は令和6年9月時点で252,110円と前年比+6,130円。加算Ⅰ(最上位)を取得している法人と未取得の法人では月収差が数万円に及ぶケースもあり、賃金不満を介護業界内転職で解消できた人は「業界を辞めずに済んだ」満足感も得られます。

パターン7:介護スキルを評価する関連職種(相談員・ケアマネ・サ責)へ移ったケース

同じ介護労働実態調査では、サービス提供責任者の離職率は7.1%と7職種中最低、介護支援専門員(ケアマネ)も14.3%と平均並みで安定。介護現場経験は相談員・ケアマネ・サ責・福祉用具専門相談員などで強みになるため、やりがいと役割の幅を広げられる「業界内キャリアアップ」型は満足度が高くなりやすい傾向があります。年齢を理由に転職をためらっている人は、50代で介護職を辞めたい人の現実的選択肢もあわせて検討してください。

これら7パターンに共通するのは、「やりがい(+38.0ポイント)を失わず、人間関係・人員配置・労働条件のいずれかを確実に解消した」という点です。次のセクションでは逆に「後悔した」人の特徴を見ていきます。

逆に「後悔した」と感じる人の5つの特徴

離職後に後悔する人にも、データから読み取れるパターンがあります。介護労働実態調査の満足度D.I.(仕事内容・やりがい+38.0/賃金▲18.0)を踏まえると、「やりがい」を失うリスクを過小評価した転職に共通点が見られます。

特徴1:賃金不満だけを動機に異業種転職したケース

介護労働実態調査では「収入が少なかったため」を離職理由に挙げた人は16.6%にとどまり、人間関係(34.3%)や運営方針(26.3%)より少数派です。それでも賃金だけを動機に異業種に移ると、「直接感謝される機会」「人の成長に関わる充実感」を失います。事務職・データ入力業務では「成果が数値でしか評価されない」「顧客の顔が見えない」ことに違和感を覚え、賃金は若干上がっても満足度D.I.が下がるパターンです。

特徴2:介護スキルが評価されない仕事を選んだケース

介護福祉士・実務者研修・サ責経験などの資格・実績は介護業界内では資格手当や役職昇格に直結しますが、業界外では原則ゼロ評価です。介護労働実態調査の事業所調査でも、能力評価・賃金体系の整備状況は雇用管理責任者の有無で大きく差があり、介護業界内には「介護スキルを評価する」体制が整いつつあります。資格・経験を活かせない仕事に移ると、未経験者と同じスタートラインに立たされて年収が下がるリスクがあります。

特徴3:「介護の仕事自体が嫌い」ではなかったのに辞めたケース

満足度D.I.で「仕事の内容・やりがい」が+38.0ポイントと最高であるという事実は、介護の仕事そのものを好きな人が多いことを示します。「職場が嫌いだったのに介護の仕事ごと辞めた」場合、新しい職種でやりがいを再構築するのに時間がかかり、転職後にやりがい喪失を感じるリスクが高くなります。

特徴4:労働条件を十分に確認せず転職したケース

令和5年度同調査の事業所調査では、有給休暇取得率は53.7%まで上昇し、残業削減や有給取得促進に取り組む事業所は44.8%。一方で対応していない事業所も多数あります。求人票だけで判断して入職した結果、前職と労働条件がほぼ同じだった、あるいは悪化した、というケースは「後悔」の典型です。

特徴5:年齢による転職難易度を見誤ったケース

介護労働実態調査では介護職員の平均年齢は約48歳と中高年層が主力。逆に異業種に転職する場合、40代以降は未経験職種への就職難易度が上がります。介護業界内なら「ブランクOK」「未経験歓迎」が多いですが、業界外では年齢が壁になる職種が多数。準備不足のまま勢いで辞めると、長期失業や条件の悪い職場に流れるリスクが顕在化します。

後悔の核心はいずれも「やりがいの過小評価」と「介護経験の市場価値の見誤り」です。これを避けるための具体的な比較軸を、次のセクションで整理します。

「辞めて良かった」ケース vs「後悔した」ケースの比較分析

2つのケースを5つの軸で比較すると、転職判断時に確認すべきポイントが明確になります。すべて公的データから帰納できる比較です。

退職理由の根本構造で比較

比較軸辞めて良かった人後悔した人
主な離職理由人間関係(特に上司)・運営方針・身体負担など 個人努力で解決困難な構造問題賃金不満が単独で動機。環境を変えずに収入だけ上げたい願望
転職先選びの主軸退職理由を解消できるか(人手・人間関係・夜勤)を最優先給与額・休日数だけで決定
介護スキル評価業界内、または介護経験を評価する関連職種(相談員・ケアマネ)を選択介護経験が活きない業界・職種を選択(事務・データ入力など)
やりがい維持「人の役に立つ」やりがい(満足度+38.0)を維持できる職種やりがいの源泉が失われ、賃金向上幅以上に満足度が下がる
事前準備3社以上見学、口コミ・離職率を確認、退職金・有給を満額取得勢いで退職、貯蓄なし、転職先未決定で失業

転職後の客観的指標で比較

項目辞めて良かった人の傾向後悔した人の傾向
年収変化横ばい〜+50万円(業界内転職/関連職種)▲30〜▲80万円(資格手当・役職手当を失う異業種転職)
夜勤回数0回〜減少(通所・サ高住・関連職種へ)異業種転職で夜勤はゼロだが、シフト不規則さで生活リズムが崩れる例も
有給取得率令和5年度平均53.7%を上回る職場を選択有給取得率の確認をせず入職、前職とほぼ同じ条件
キャリア継続性5〜10年先のキャリアパス(リーダー・サ責・ケアマネ)が見える未経験職種で再びゼロから積み上げ、年齢的に昇進ルートが厳しい
身体負担夜勤・腰痛が改善長時間デスクワーク等で別種の身体不調(肩こり・眼精疲労)が発生

この比較から導ける結論は明確です。「辞めて良かった」結果を得たいなら、退職理由を正確に特定し(人間関係なのか・賃金なのか・身体負担なのか)、それを最も確実に解消できる転職先を選ぶこと。賃金が問題なら処遇改善加算の高い大規模法人(同じ介護業界内)、人間関係が問題なら管理体制が整った法人(雇用管理責任者の有無で判別可能)、身体負担が問題なら通所・訪問日勤系、という具合に問題と解決策を一対一で対応させる発想が重要です。

介護→介護転職 vs 介護→異業種転職の客観比較

「辞めて良かった/後悔した」を分ける最大の選択は、業界内転職か異業種転職かです。介護労働実態調査と賃金構造基本統計調査のデータを並べると、明確な傾向が見えます。

給与水準の比較

厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」(令和6年9月時点・基本給等=基本給+毎月決まって支払われる手当、月給常勤)によると、職種別の基本給等は以下のとおりです。

  • 介護職員(処遇改善加算Ⅰ〜Ⅳ取得事業所・月給常勤)の基本給等:252,110円(前年比+6,130円。基本給に毎月の手当を含む額)
  • 看護職員(同事業所)の基本給:290,590円
  • 生活相談員・支援相談員(同)の基本給:277,800円
  • 介護支援専門員(ケアマネ/同)の基本給:290,340円

注意したいのは、相談員へ移れば必ず給与が上がるわけではないという点です。基本給で見ると最も低いのは生活相談員(277,800円)で、看護職員・ケアマネ(いずれも29万円台)を下回ります。職種による基本給の差は数万円規模にとどまり、相談員・ケアマネへの異動は「給与アップ」よりも、夜勤・身体介助からマネジメントや調整業務へと役割や負荷の質が変わることが主眼です。賃金そのものを引き上げたい場合は、職種を変えるより処遇改善加算Ⅰ取得・規模の大きい法人を選ぶ方が効果は大きくなります。

異業種転職の現実

賃金構造基本統計調査では介護職員と他業種の比較が示されていますが、平均年齢と勤続年数の違いを考慮しても、未経験で異業種に転職した場合は新卒〜2年目相当の給与からスタートすることが多くなります。特に40代以降では、年齢相応の管理職枠を狙うのが難しく、年収が下がるリスクが顕著です。

離職率で見た「定着しやすさ」の比較

介護労働実態調査の事業所調査による7職種別離職率(令和5年度):

  • サービス提供責任者:7.1%(最低)
  • 介護支援専門員:14.3%
  • 介護職員(施設系):13.1%
  • 看護職員(介護分野):15.3%
  • 訪問介護員:14.0%

サ責の離職率が際立って低いのは、業務がチームマネジメント中心で身体負担が少ないため。介護→サ責、介護→ケアマネへの業界内キャリアアップは、データ上「定着しやすい」転職パターンです。

処遇改善加算の取得状況

厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」では、介護職員等処遇改善加算(Ⅰ〜Ⅳ)の取得状況は事業所種別ごとに差があり、介護老人福祉施設(特養)や介護老人保健施設では加算Ⅰ取得率が高い傾向。一方、訪問介護では小規模事業所を中心に加算Ⅲ・Ⅳどまりの所も多く、同じ「介護職」でも事業所選びで月額数万円の差が生まれます。

結論として、賃金・キャリア・定着のいずれの指標でも、業界内で「良い法人を選び直す」転職は、異業種転職より満足度が高くなる確率が高いといえます。介護業界を完全に離れる前に、まず処遇改善加算Ⅰ取得・雇用管理責任者選任・離職率10%未満の法人への業界内転職を検討することが、「辞めて良かった」への最短ルートです。

「辞めて良かった」転職を実現する5つのコツ

「後悔したくない」を実現するために、データから導ける具体的アクションを5つにまとめました。いずれも介護労働実態調査や厚労省統計に基づく根拠があります。

コツ1:退職理由を「上位3つ」に絞って文章化する

離職理由が複合的(人間関係+賃金+夜勤)になっているまま転職すると、転職先で何を最優先で確認すべきか曖昧になります。介護労働実態調査の上位悩み(人手不足49.9%、賃金37.5%、身体負担29.3%)を参考に、自分の不満を3つに絞って優先順位を付けることが第一歩。「上司のパワハラを避ける」「夜勤を減らす」「年収を30万円上げる」のように具体的・測定可能な形にします。

コツ2:処遇改善加算Ⅰ取得・雇用管理責任者あり・離職率10%未満の3条件で求人を絞る

令和5年度介護労働実態調査では、離職率10%未満の事業所が50.7%と約半数を占める一方、離職率50%以上の事業所も5.6%あります。介護サービス情報公表システム(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)で各事業所の離職率・職員配置・加算取得状況を無料閲覧できるため、応募前に必ずチェック。求人広告だけで判断しないこと。

コツ3:3社以上の見学・面接で「人間関係」と「管理体制」を見る

離職理由1位の「人間関係」は職員数人と話せばある程度察知できます。見学時に確認すべきは、(1)スタッフ同士が挨拶・声掛けをしているか、(2)リーダー・主任クラスの人柄、(3)有給取得率と残業時間(事業所が答えられない場合は要注意)、(4)入職後のOJTの仕組み、の4点。雇用管理責任者の有無は厚労省様式で書面確認できます。

コツ4:在職中に転職活動を進め、貯蓄3か月分を確保してから退職

退職してから転職活動を始めると、自己都合退職の場合は失業給付の給付制限期間(2か月)があり、生活費の不安から条件の悪い職場に妥協しがちです。介護労働実態調査でも「他に良い仕事・職場があったため」(19.9%)と能動的理由で離職した人は次の職場の満足度が高い傾向があります。在職中に内定を得てから退職するのが鉄則です。

コツ5:介護経験を活かす関連職種(相談員・ケアマネ・サ責)への横展開を検討

介護福祉士実務経験5年で受験可能なケアマネ、実務経験3年で目指せるサ責、生活相談員(社会福祉主事任用資格があれば即可能)など、現場経験を活かして転身できる職種は複数あります。データ上、サ責の離職率は7.1%と業界最低水準で定着しやすい職種です。基本給そのものは職種による差が小さい(ケアマネ290,340円・生活相談員277,800円・看護290,590円)ため、給与アップより夜勤・身体負担からの解放や役割の変化を狙う発想が、結果的に「辞めて良かった」の確率を高めます。

辞める前に必ず確認したい3つのこと

退職を決断する前に最低限確認すべき3点。これを飛ばすと「後悔した」側に流れやすくなります。

確認1:不満の原因が「介護の仕事自体」か「今の職場」かを切り分ける

介護労働実態調査の満足度D.I.で「仕事の内容・やりがい」は+38.0ポイントと最高。つまり多くの介護職は仕事自体に満足しているのです。あなたの不満が(A)介護業務そのものへの嫌悪なのか、(B)今の職場固有の問題(パワハラ上司・人員不足・運営方針)なのかをノートに書き出して整理しましょう。(B)であれば異業種転職ではなく業界内転職で解決できる可能性が高い。

確認2:退職金・有給・賞与の取りこぼしがないか計算する

退職タイミングを間違えると数十万円の損失になります。最低限以下を確認:

  • 退職金支給対象の勤続年数を満たしているか(多くの法人で3年以上)
  • 未消化の有給休暇日数(令和5年度の介護職平均取得率は53.7%で残日数が多い人が多い)
  • 賞与の支給日と支給対象期間(支給日に在籍していないと不支給)
  • 失業給付の自己都合退職と会社都合退職の違い(給付制限2か月の有無)

賞与支給後・有給消化後・退職金算定の節目を見極めることで、転職活動期の生活費を厚くできます。

確認3:3か月分の生活費貯蓄ができているか

自己都合退職の場合、失業給付の給付制限期間は2か月、加えて手続きから初回支給までさらに1か月程度かかります。つまり最低3か月分の生活費がなければ、転職先の妥協圧力が強くなり、結果的に「後悔した」転職に陥りやすくなります。介護労働実態調査でも「他に良い仕事・職場があったため」と能動的に辞めた人は19.9%にとどまり、多くは追い詰められて辞めている現実があります。経済的余裕は判断力の余裕に直結します。

よくある質問

Q1. 介護職を辞めて良かったと感じる人の割合はどれくらいですか?

介護労働安定センター令和5年度調査では「辞めて良かった/後悔した」を直接示すデータは公表されていません。ただし現職の満足度D.I.(「仕事の内容・やりがい」+38.0、「職場の人間関係」+28.7、「賃金」▲18.0)から推定すると、人間関係・やりがいを改善できた転職は満足度が高く、賃金だけを目的にした転職は満足度が下がる傾向が読み取れます。

Q2. 介護を辞めて異業種に転職した人が多い職種は?

一般情報では事務職・営業職・接客業・看護助手・保育士などが挙げられますが、介護労働実態調査によると介護経験者の市場価値が最も高いのは介護関連職種(サ責・ケアマネ・相談員)です。サ責の離職率は7.1%と業界最低で、定着しやすい職種です。なお基本給は職種による差が小さく(令和6年度処遇状況等調査でケアマネ290,340円・生活相談員277,800円)、相談員・ケアマネへの異動は給与アップより役割・負荷の変化が主眼となります。

Q3. 介護職を辞めたいと思う一番多い理由は何ですか?

令和5年度介護労働実態調査では「職場の人間関係に問題があったため」が34.3%で最多。その具体的内訳は「上司の思いやりのない言動・きつい指導・パワハラ」49.3%、「上司の管理能力が低い」43.2%で、いずれも上司側に起因する問題が中心です。

Q4. 介護職の離職率は実際どれくらいですか?

令和5年度介護労働実態調査の事業所調査では、訪問介護員・介護職員2職種計の離職率は13.1%。これは厚労省「雇用動向調査」が示す全産業平均(15.0%)を下回る水準で、2012年度(17.0%)以来の減少傾向が続いています。「介護=離職率が高い」というイメージは実態と異なります。

Q5. 40代・50代でも介護職を辞めて転職できますか?

介護労働実態調査では介護職員の平均年齢は約48歳と中高年層が主力。業界内転職や関連職種(ケアマネ・サ責)への横展開は40代・50代でも実例が多くあります。ただし異業種の事務・営業職への未経験転職は年齢の壁があるため、業界内・関連職種を第一候補に検討するのが現実的です。50代の具体的な選択肢は50代で介護職を辞めたい人の現実的選択肢で詳しく解説しています。

Q6. 賃金不満で辞めたい場合、転職で本当に上がりますか?

厚労省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」では、介護職員等処遇改善加算(Ⅰ〜Ⅳ)取得事業所の介護職員の基本給等(基本給+毎月決まって支払われる手当)は252,110円(令和6年9月時点)で前年比+6,130円。加算Ⅰ取得の大規模法人と未取得の小規模事業所では月額数万円の差があり、業界内転職でも賃金は改善可能です。異業種転職での賃金上昇は職種・年齢次第で、必ずしも上がるとは限りません。

Q7. 介護職を辞めたいけど次の仕事が決まらないのが不安です。どうすればいいですか?

介護労働実態調査では介護分野の不足感は事業所全体で64.7%、訪問介護員に至っては約8割(81.4%)が不足を訴えています。つまり介護経験者の売り手市場です。在職中に転職エージェントへ登録し、3社以上の見学・面接を経てから退職するのが王道。失業給付の給付制限2か月分の生活費があれば焦らず選べます。

参考文献・出典

まとめ

「介護職を辞めて良かった」と感じるかどうかは、ネット上の体験談ではなく、退職理由の構造と転職先選びの精度で決まります。介護労働安定センター令和5年度調査・厚労省処遇状況等調査の公的データを総合すると、以下の判断軸が浮かび上がります。

  • 離職理由の上位は人間関係(34.3%・うち上司起因49.3%)、運営方針への不満(26.3%)、賃金不満(16.6%)の順
  • 満足度ギャップは「やりがい+38.0」vs「賃金▲18.0」の56ポイント差。仕事自体は好きだが待遇に不満、という構造
  • 業界全体の離職率は13.1%と全産業平均15.0%を下回り、定着しやすい職場は実在する
  • 業界内転職(処遇改善加算Ⅰ取得・雇用管理責任者あり・離職率10%未満の法人)は満足度を上げやすい
  • 関連職種への横展開(サ責離職率7.1%・ケアマネ・相談員)は給与・キャリア・定着のいずれでも有利
  • 異業種転職は賃金だけが動機だと、やりがい喪失・資格手当ゼロ評価・年齢の壁という3つのリスクで後悔しやすい

もし今あなたが「辞めたい」と感じているなら、まず退職理由を上位3つに絞って文章化し、業界内転職で解消可能かを検討してください。介護業界は人手不足の売り手市場で、経験者の選択肢は豊富です。「辞めて良かった」と思える転職は、勢いではなくデータに基づく準備の先にあります。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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