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📑目次

  1. 01検討会設置の背景と初会合の概要
  2. 022040年問題が突きつける看護・介護人材の構造的制約
  3. 03第1回で示された需給推計の新しい方法論と論点
  4. 04介護分野への波及|57万人不足の介護現場と看護職員確保の連動
  5. 05養成基盤の揺らぎ|看護師学校の定員割れと教育の質低下
  6. 06介護転職希望者が押さえたい3つのポイント
  7. 07今後のスケジュールと注視すべき論点
厚労省が2040年に向けた看護職員の養成・確保検討会を設置|初会合で浮上した人材難と介護現場への影響

厚労省が2040年に向けた看護職員の養成・確保検討会を設置|初会合で浮上した人材難と介護現場への影響

厚生労働省は2026年4月10日、「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」の初会合を開催。少子高齢化ピークの2040年を見据えた需給推計、介護分野への影響、介護転職希望者が押さえるべきポイントを解説します。

📑目次▾
  1. 01検討会設置の背景と初会合の概要
  2. 022040年問題が突きつける看護・介護人材の構造的制約
  3. 03第1回で示された需給推計の新しい方法論と論点
  4. 04介護分野への波及|57万人不足の介護現場と看護職員確保の連動
  5. 05養成基盤の揺らぎ|看護師学校の定員割れと教育の質低下
  6. 06介護転職希望者が押さえたい3つのポイント
  7. 07今後のスケジュールと注視すべき論点

検討会設置の背景と初会合の概要

厚生労働省は2026年(令和8年)4月10日、「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」の第1回会合を開催しました。少子高齢化がピークを迎える2040年を射程に据え、急速に進む人口減少と生産年齢人口の縮小という構造的な制約の下で、医療提供体制を支える看護職員をどのように養成・確保していくかを集中的に議論する場です。検討会は医政局長が開催する有識者会議で、医政局看護課が庶務を担い、原則として公開の形で運営されます。厚労省の公表資料によれば、第1回の議題は「検討会の進め方について」「看護を取り巻く現状について」「看護職員の需給推計について」の3点で、今後は月1回程度のペースで会合を重ね、2026年秋までに2040年時点の需給推計をまとめ、冬頃には養成・確保対策を含む報告書を取りまとめる計画です。

会合の開催要綱には、検討の背景として「今後の人口減少・高齢化に伴う医療ニーズの質・量の変化や生産年齢人口の減少を見据えた医療提供体制の構築にあたっては、地域医療の支え手である看護職員の需給の状況を見通しつつ、看護職員の資質を高めるとともに、各地域において養成・確保策について検討が進められることが重要である」と明記されています。検討事項は、(1)今後の看護職員に求められる資質、(2)2040年に向けた看護職員の養成・確保への対応、(3)2040年に向けた看護職員の需給見通し、の3つに整理されました。構成員には日本看護協会、日本医師会、日本病院会、全国老人保健施設協会、日本在宅ケアアライアンス、日本訪問看護財団など、医療・介護・在宅の各分野を代表する団体の実務責任者が名を連ねており、急性期から在宅、そして介護保険施設まで幅広い現場の実情を反映した議論が期待されます。

この検討会が注目されるのは、看護職員の需給推計がこれまで8回にわたり策定されてきたものの、多くは5年程度の中期的なスパンで行われてきたのに対し、今回は約17年という長期にわたる推計を目指す点です。新たな地域医療構想との整合を図りつつ、働き方改革の進展、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化、多様な就業形態の広がりなど、これまで推計の精度に影響を与えてきた変数を包括的に織り込む精緻化が課題として挙げられました。介護現場に身を置く読者や、将来的に医療・介護分野への転職を考えている人にとっても、この検討会で示される方向性は、今後の働く場の構造そのものに直結する重要な論点になります。

【出典】厚生労働省「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会 開催要綱」(2026年4月10日、第1回資料)/厚生労働省「第1回 2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会の開催について:開催案内」

2040年問題が突きつける看護・介護人材の構造的制約

2040年は、日本の社会保障制度にとって一つの大きな節目として位置づけられています。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2040年には65歳以上の高齢者が全人口の約35%に達するとされ、団塊ジュニア世代が65歳を超えて高齢期に入ります。とりわけ医療・介護の複合ニーズが高まる85歳以上の人口は大都市部を中心に急激に増加し、一方で支え手となる生産年齢人口(15〜64歳)は2025年時点の推計と比較して大きく減少します。日本看護協会が公表した「看護の将来ビジョン2040」では、2040年には1年で100万人程度の人口減少が想定され、高齢者1人に対して現役世代が1.5人という、いわば「肩車型」に近い人口構造が到来すると指摘されています。

この構造変化は、需要サイドと供給サイドの双方から看護・介護人材の確保を難しくします。需要サイドでは、85歳以上の増加に伴い救急搬送は約75%、在宅医療の需要は約62%増加するとされ、多疾患併存の慢性期患者への長期的で複雑な支援が必要になります。一方、供給サイドでは、就業者全体のパイが縮むなかで、医療・福祉分野の就業者を現在よりも大幅に増やす必要があり、他産業との人材の奪い合いは一層激しくなります。厚生労働省が介護報酬改定資料などで繰り返し示してきた試算では、医療・福祉分野の就業者は2018年から2040年までに数百万人規模の増加が必要とされており、この数字が示す「壁」は、賃上げや処遇改善だけでは乗り越えられないことが明らかになりつつあります。

こうした制約の中で、今回の検討会が打ち出そうとしているのは、単なる「頭数合わせ」の増員策ではありません。開催要綱にも明記されている通り、「限りある人材等で増大する医療・介護ニーズを支えていくため、医療・介護提供体制の最適化・効率化を図っていく」という方針のもとで、看護職員に求められる資質、働き方、活躍の場そのものを再設計するという、より本質的な議論が中心に据えられています。急性期から在宅までの切れ目のない看護、介護施設における医療対応、訪問看護の基盤整備、精神保健医療福祉領域の強化など、従来の病院中心の枠組みを超えた「地域で完結する看護」への転換が、需給の論点と一体で検討されます。

介護現場にとって、看護職の動向は決して他人事ではありません。介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、グループホーム、認知症対応型共同生活介護、訪問看護ステーション、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)といった介護・在宅系サービスは、看護職員なしでは成立しない職域です。検討会の構成員に全国老人保健施設協会や介護老人保健施設の実務者が含まれているのも、介護領域への看護配置が今後の地域医療構想の中で重要な位置を占めるためです。看護職員の養成・確保策は、同時に介護事業所の人員基準、加算、そして介護転職市場における条件面にも波及していきます。

【出典】日本看護協会「看護の将来ビジョン2040〜いのち・暮らし・尊厳をまもり支える看護」/厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(令和6年7月12日)/厚生労働省「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関するとりまとめ」

第1回で示された需給推計の新しい方法論と論点

初会合では、事務局である医政局看護課から「看護職員の需給推計について」の説明が行われ、従来の推計手法を大きく見直すための論点案が示されました。報道によれば、事務局が提示した推計方針の中心には、「推計期間が従来の5年程度から17年程度へと長期化することから、人口動態を反映した推計方法に転換する必要がある」という考え方が置かれています。人口減少のスピードが地域ごとに大きく異なるなかで、全国一律の係数ではなく、都道府県単位で算定する従来の枠組みを維持しつつ、より解像度の高いシミュレーションが求められるという認識です。

事務局が提示した主な論点は次のような項目です。第一に、新規就業者数の推計において、若年人口の減少の進展を正面から考慮すること。看護師等学校養成所の定員充足率は近年低下傾向にあり、地域によっては閉校や募集停止も相次いでいます。直近(令和7年)の新規就業者数は令和4年以前の入学者が大半を占めるため、現在の充足率低下の影響がまだ数字に表れていない点も論点として共有されました。第二に、現在の就業者の約半数を占める45歳以上の看護職員が、2040年には60〜80歳代となり、定年退職や体力的な理由で就業継続が難しくなる層が大量に生じる点を推計に織り込むこと。第三に、高年齢者雇用安定法の施行・定着により60歳代の就業継続が進む効果をどう評価するか、といった論点です。

需給の需要側については、新たな地域医療構想で描かれる医療需要をベースとしつつ、医師の働き方改革(いわゆる医師時間外労働の上限規制)の進展、看護DXや医療DXによる業務効率化、タスクシフト・シェアの普及などの要素を変数として取り込むことが想定されています。急性期機能の集約・再編により、病棟で必要となる看護職員の配置のあり方も変化し、これが需要推計の前提を大きく動かすことになります。会合では委員から「30数年前はかなり実地的な実習をやっていたが、今は完全に見学実習になっている」「対応する患者像が多様化・複雑化しており、現場の看護師に求められる能力はますます高くなっている」といった、教育の質低下や実習の形骸化を懸念する発言が相次ぎました。

就職支援の実態についても厳しい声が上がりました。「就職先が訪問看護という考え方は少ないという印象がある」「有料職業紹介所に登録している人が多く、ハローワークさえ求職者の減少が非常に大きく、来所者がないとさえ言っている」「ナースセンター自体を知らない人たちも大変多い」といった発言からは、需給推計の精緻化と同時に、公的な就業支援チャネル(ナースセンター、ハローワーク、福祉人材センター)の機能強化が不可欠であることが浮き彫りになりました。厚労省は論点として、「ハローワークと一体となった迅速な就職支援」「看護管理者の管理能力向上」「多様で柔軟な働き方に対応した雇用管理(育児・介護との両立支援、夜勤の在り方を含む)」「ICT機器の活用による業務効率化の促進」「カスタマーハラスメントなどハラスメント対策の強化」を挙げています。

これらの論点は、介護現場にも直接的な示唆を与えます。介護老人保健施設や訪問看護ステーション、看多機など介護保険サービスでは、看護職員が医療対応・看取り・多職種連携の中核を担っています。需給推計で介護領域に必要な看護職員数が過小評価されれば、介護報酬や人員配置基準の設計にも影響が及びかねません。今回の検討会では、秋までに推計結果を取りまとめ、その後に養成・確保策の具体案を議論する流れが示されており、介護関係団体も「介護の現場における看護職の役割」をしっかり主張していく構えを見せています。

【出典】薬事日報「【厚労省】2040看護職員の養成・確保検討会初会合」(2026年4月13日)/m3.com「看護師不足や質低下に懸念相次ぐ、厚労省検討会が初会合」(2026年4月13日)/厚生労働省「第1回 2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会:資料」

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介護分野への波及|57万人不足の介護現場と看護職員確保の連動

看護職員の養成・確保を巡る議論は、介護分野の人材確保と切り離しては語れません。厚生労働省が2024年(令和6年)7月に公表した「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」では、2022年度に約215万人だった介護職員数に対し、2026年度には約240万人(+約25万人、年あたり6.3万人)、2040年度には約272万人(+約57万人、年あたり3.2万人)が必要と推計されています。これは、第9期介護保険事業計画に基づいて都道府県が推計した数値を集計したもので、国として公式に示す中長期的な介護人材の目標値に位置づけられます。看護職員の需給見通しと、この介護職員需給の数字を合わせて眺めると、2040年に向けた日本の医療・介護は、二つの大きな人材ギャップを同時に埋めなければならない局面にあることが分かります。

介護分野の人材需給は、すでに極めてタイトな状況にあります。厚労省「職業安定業務統計」によれば、介護関係職種の有効求人倍率は全国平均で約4.02倍に達しており、全職業平均の1.10倍(いずれも令和7年9月時点の値)を大きく上回ります。地域差も顕著で、倍率上位の都府県では5倍を超える職種もあり、都市部の有料老人ホームや特別養護老人ホームでは、看護職員と介護職員の両方が同時に不足する「二重の人手不足」に陥っている事業所も少なくありません。こうした現状のもとで、看護職員の確保が一段と難しくなれば、介護事業所で夜間帯の医療対応ができる体制を維持することが困難になり、結果として施設の受け入れ能力そのものが縮小するリスクがあります。

特に在宅・介護領域における看護ニーズの増大は顕著です。日本看護協会の推計によれば、訪問看護の利用者は多くの二次医療圏で2040年以降にピークを迎えると見込まれています。一方で、常勤換算5人未満の小規模訪問看護ステーションが約半数を占め、人口規模の小さな市町村では事業所そのものが存在しない地域もあります。日本看護協会は厚労省に対し、「訪問看護総合支援センター」の設置推進や、看護DXの活用による夜勤負担軽減、潜在看護職の復職支援、看多機のサービス対象者拡大などを重点要望として提出しています。こうした提言は、検討会の構成員にも日本看護協会会長、日本訪問看護財団常務理事、全国老人保健施設協会副会長などが含まれていることから、検討会の議論に直接反映されることが見込まれます。

介護現場への具体的な影響を整理すると、以下のような連鎖が想定されます。第一に、病院の看護職員が不足し退院支援が追いつかなくなると、介護施設や在宅への「受け皿」としての介護職の負担がさらに増します。第二に、介護老人保健施設や特養での看護配置基準が実質的に充足できない事業所が増えれば、医療ニーズの高い入居者を受け入れられず、行き場のない高齢者が地域にあふれる懸念があります。第三に、看護師の争奪戦により介護施設側の給与水準が引き上げられれば、介護事業の経営を圧迫し、処遇改善加算の配分を巡る施設運営の難しさが増します。第四に、介護ロボットやICTの導入、いわゆる介護助手へのタスクシフト・シェアが急務となり、現場の業務フロー全体の見直しが必要になります。

厚労省の「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会のとりまとめでも、「介護人材確保は最大の課題であり、賃金の実態や経営実態のデータを踏まえつつ、近年の物価高や賃上げに対応し、全産業平均の動向も注視した上で、賃上げや処遇改善の取組を推進していくことが必要」と明記されています。看護と介護の人材政策は連動しており、今回の看護職員検討会で議論される施策は、介護報酬改定や介護保険制度改正とも時間軸をそろえて設計されていくことになります。

【出典】厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(令和6年7月12日)/厚生労働省「介護人材確保の現状について」/厚生労働省「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関するとりまとめ」/日本看護協会「人材確保の強化や専門性の高い看護師の活用を」(厚労省医政局・保険局への要望、2025年3月25日)

養成基盤の揺らぎ|看護師学校の定員割れと教育の質低下

第1回検討会では、看護職員の養成基盤そのものの揺らぎが深刻な論点として取り上げられました。看護師等学校養成所の定員充足率は近年低下を続けており、地域によっては定員の半分程度しか埋まらない養成所や、募集停止・閉校に追い込まれる施設が相次いでいます。少子化の進行で18歳人口が減少する中、看護は進学先として依然として一定の人気を保ちつつも、他の医療系学部や、より「働き方が柔軟」とされる業界との競合により、かつてのような安定した応募者数を確保するのが難しくなっているのが実情です。m3.comの取材によれば、委員からは「入学者の質をどうやって確保していくのか、そちらの方が非常に重要ではないか」といった、定員確保の数字だけでは測れない質的な懸念が表明されました。

教育の質低下、とりわけ臨地実習の形骸化も重い論点です。新型コロナウイルス感染症の流行期以降、患者や実習受け入れ施設の安全確保を最優先する観点から、実習の多くがオンラインや学内でのシミュレーションに置き換えられました。感染症対策そのものは重要ですが、患者への接し方や急変時の判断といった「現場でしか学べない力」が身につきにくくなっている点が問題視されています。会合では「30数年前はかなり実地的な実習をやっていたが、今は完全に見学実習になっている」という現役看護師・看護教育者の声が紹介され、基礎教育から新人看護師の臨床現場への移行期までをどう接続するかが、養成論の重要な柱になりそうです。

日本看護協会が公表している「看護の将来ビジョン2040」では、看護師基礎教育の4年制化が中長期的な方向性として打ち出されています。療養者の多疾患併存化、医療的ケア児・障害児への対応、精神保健医療福祉領域の拡大、デジタル技術の活用、多職種連携など、看護師に求められる能力が急速に広がる中で、現行の3年制カリキュラムでは十分な教育時間を確保できないという問題意識が背景にあります。検討会でも、今後の看護職員に求められる資質の議論が検討事項の一つに位置づけられているため、この4年制化論を含めた教育制度の再設計がどこまで踏み込まれるかが注目されます。

一方、養成の「出口」側、つまり新卒看護師の就業先の偏りも論点です。新卒の多くが大学病院や大規模急性期病院に集中し、訪問看護や介護施設への就職はごく一部にとどまっています。委員からも「就職先が訪問看護という考え方は少ない」との認識が示されましたが、2040年に向けて需要が大きく伸びるのは訪問看護・看多機・介護施設など地域・在宅分野です。教育段階から在宅領域への理解を深める取り組み(地域包括ケアに関する科目や実習)と、卒後のキャリア形成支援(在宅領域への新卒就業モデル、段階的なキャリア移行プログラム)を組み合わせた施策設計が求められます。

さらに、潜在看護師の復職支援も重要なテーマです。全国に数十万人規模で存在するとされる潜在看護師(免許を持ちながら現在は働いていない看護職)の掘り起こしは、短期的に需給ギャップを埋めるうえで有効な手段です。日本看護協会は、復職時のICTスキルへの不安が障壁になっているとして、ITスキルの研修強化を提言しています。森光医政局長も、2025年3月の要望応対で「復職時のIT教育の強化が必要」と述べており、今回の検討会でも具体的な支援メニューが議論される見通しです。

【出典】m3.com「看護師不足や質低下に懸念相次ぐ、厚労省検討会が初会合」(2026年4月13日)/日本看護協会「看護の将来ビジョン2040〜いのち・暮らし・尊厳をまもり支える看護」/日本看護協会「人材確保の強化や専門性の高い看護師の活用を」(厚労省医政局・保険局への要望、2025年3月25日)

介護転職希望者が押さえたい3つのポイント

厚労省の検討会が示した方向性は、介護業界への転職を検討している人にとっても実務的な示唆に富んでいます。ここでは、今回の議論から読み取れる3つのポイントを整理します。

ポイント1|看護職と介護職が連携する職場は市場価値が上がる

2040年に向けた医療・介護の方向性は、「病院完結型医療から地域完結型医療への転換」にあると、厚労省が示した「ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿」で明記されています。介護施設や在宅の現場で医療ニーズの高い高齢者を受け入れるためには、看護職と介護職が密に連携できる体制が不可欠です。看多機、訪問看護ステーションと連携する介護事業所、医療対応力を強化した特別養護老人ホーム・介護老人保健施設などは、今後の制度設計の中でも中核に位置づけられていく可能性が高く、そこで働く介護職は、医療・介護連携の実践経験を積める場として市場価値を高めやすいと言えます。転職を検討する際は、看護職員の配置状況、医療機関との連携体制、看取りや医療的ケアの実施実績などを確認すると、その事業所が2040年に向けてどのような方向に舵を切っているかが見えてきます。

ポイント2|ICT・介護ロボット・生産性向上への投資姿勢は重要指標

検討会の論点として厚労省が明示した項目のひとつに「ICT機器の活用による業務効率化の促進」があります。介護分野でも、厚労省の「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関するとりまとめ」で、テクノロジー活用やタスクシフト・シェアが、職員負担の軽減と直接ケアの時間確保の両面で不可欠とされています。2024年度の介護報酬改定で創設された「生産性向上推進体制加算」など、制度も生産性向上を重視する方向にあります。転職先を選ぶ際には、介護記録の電子化、見守りセンサー、インカムやスマートフォンを用いた情報共有、AIによる記録の自動化、移乗支援機器などへの投資状況を確認しましょう。これらに前向きに取り組んでいる事業所は、将来的な職員の働きやすさや定着率という観点でも優位性があります。

ポイント3|処遇改善加算の配分と夜勤負担軽減の方針を必ず確認

検討会では、看護管理者の管理能力向上、多様で柔軟な働き方、夜勤のあり方、ハラスメント対策などが論点として掲げられました。介護分野でも、処遇改善加算は一本化が進み、施設側に「基本給への反映」「職員への内訳提示」「キャリアパス要件に基づく研修体系の整備」が強く求められています。転職面接では、(1)処遇改善加算の取得区分と、加算が給与のどの項目に反映されているか、(2)夜勤回数の平均と夜勤明けの休日の取り扱い、(3)カスタマーハラスメントを含むハラスメントへの相談窓口・対応フロー、(4)育児・介護との両立支援制度の利用実績、といった点を必ず確認しておきましょう。求人票の額面だけでなく、運用の実態を見極めることが、2040年までの長いキャリアを考えるうえで重要です。

こうした視点を踏まえると、介護転職市場は単純な「人手不足なのでどこでも入れる」という段階から、「将来を見据えた事業所を選べるかどうか」で差がつく段階へと移りつつあります。自分のキャリアの方向性(医療連携を深めたいのか、認知症ケアを極めたいのか、マネジメントに進みたいのか)と、検討会が描く2040年の看護・介護提供体制の姿を重ね合わせることで、より納得感のある転職先選びができるはずです。

【出典】厚生労働省「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関するとりまとめ」/厚生労働省「第1回 2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会:資料」/厚生労働省「介護人材確保の現状について」

今後のスケジュールと注視すべき論点

厚労省は今回の検討会について、月1回程度のペースで会合を開き、2026年秋までに2040年時点の看護職員の需給推計をまとめ、冬頃に「看護職員養成・確保対策等」に関する報告書を取りまとめる方針を示しています。同時期には、新たな地域医療構想に基づく都道府県の医療計画の中間見直し、介護保険制度の次期改正に向けた社会保障審議会介護保険部会での議論、2027年度を見据えた介護報酬改定に向けた議論なども並行して進む予定であり、看護・介護の人材政策が連動しながら動くスケジュールとなります。

今後の検討会で特に注視すべき論点は、次のような項目です。第一に、都道府県別の需給推計の精度がどこまで高まるか。地域差の拡大が不可避な中で、全国平均の数字だけでは実情が見えません。人口構造、医療資源、介護資源、交通・生活圏の範囲などを踏まえた都道府県・二次医療圏別の推計が、具体的な確保策の基礎となります。第二に、訪問看護・看多機・介護施設といった在宅・介護領域への看護職員配置をどう増やすかの具体策。新卒看護師の在宅領域への就業促進、潜在看護師の復職支援、キャリアの途中で在宅領域に移る看護師へのトランジション支援などが論点になります。

第三に、看護師基礎教育の4年制化や、特定行為研修制度の拡大など、看護職の裁量と役割の再設計。医師の働き方改革により、医師から看護師への業務移管(タスクシフト)は今後も進みますが、その前提として看護職の教育・研修体制をどう整備するかが問われます。第四に、看護職員の勤務環境改善、特に夜勤のあり方、育児・介護との両立支援、カスタマーハラスメント対策など、人材定着の観点からの施策の具体化。第五に、外国人看護職員・介護職員の活用と、日本で学び働く多様な人材の受け入れ体制の整備です。

これらの論点は、介護業界で働く人、あるいは介護業界への転職を考えている人にとっても無関係ではありません。自分が働いている(働こうとしている)事業所が、2040年の医療・介護提供体制のなかでどのような役割を担うのか、そのために必要な看護連携・テクノロジー投資・人材育成にどこまで取り組んでいるのかを見極める視点は、長期的なキャリア形成に直結します。検討会の議事録や資料は厚生労働省のホームページで公開されるため、介護業界の関係者も定期的にチェックし、自身の働き方やキャリア選択に反映させることをお勧めします。

少子高齢化のピークとされる2040年まで、残された時間は限られています。国・都道府県・事業者・個々の医療介護従事者が、それぞれの立場で備えと選択を進める必要がある局面であり、今回の検討会はその羅針盤となる重要な議論の場です。kaigonewsでは、検討会の進捗と、そこから生じる介護分野への具体的影響を引き続きフォローしていきます。

【出典】厚生労働省「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」ページ/薬事日報「【厚労省】2040看護職員の養成・確保検討会初会合」(2026年4月13日)/日本在宅ケア学会誌 第29巻第1号「2040年頃を見据えた新たな地域医療構想について」(2025年)

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厚労省が「2040年に向けた看護職員の養成・確保検討会」を設置|初会合で浮上した人材難と介護現場への影響
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公開日: 2026年4月15日最終更新: 2026年4月15日

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介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

📢NEW2026/4/17介護職員の平均給与が31.4万円に上昇|全産業との差が1000円縮小【厚労省2026年4月発表】→
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介護職員の平均給与が31.4万円に上昇|全産業との差が1000円縮小【厚労省2026年4月発表】

2026/4/17

介護職員の平均給与が31.4万円に上昇|全産業との差が1000円縮小【厚労省2026年4月発表】

厚労省が2026年4月10日に発表した介護職員給与の最新データを解説。2025年の賞与込み月給は31.4万円で前年比1.1万円増、全産業平均との差は1000円縮小。処遇改善加算拡充の効果と今後の見通しまで。

介護職と他産業の賃金格差が月8.2万円に拡大|全体の賃上げ加速で格差縮まらず【2026年最新】

2026/4/16

介護職と他産業の賃金格差が月8.2万円に拡大|全体の賃上げ加速で格差縮まらず【2026年最新】

厚労省「賃金構造基本統計調査」最新データで介護職員の賞与込み給与は月31.4万円、全産業平均39.6万円との格差は8.2万円。2026年6月の臨時改定で処遇改善加算を拡充するも民間賃上げに追いつけるか。転職者が知るべきポイントを解説。

介護関連サービス事業協会が設立1年で会員100社到達|「100年人生サポート認証」16社・2658事業所に交付

2026/4/16

介護関連サービス事業協会が設立1年で会員100社到達|「100年人生サポート認証」16社・2658事業所に交付

介護保険外サービスの業界団体「介護関連サービス事業協会(CSBA)」が発足1年で会員約100法人に到達。認証制度「100年人生サポート認証」を16社・2658事業所に交付し、市場マップ作成やデータベース構築にも着手。転職を考える介護職向けに最新動向を解説。

厚労省「CARISO」介護スタートアップ支援事業、2026年度も三菱総研が受託|aba「ヘルプパッド」がグランプリ

2026/4/16

厚労省「CARISO」介護スタートアップ支援事業、2026年度も三菱総研が受託|aba「ヘルプパッド」がグランプリ

厚生労働省の「介護系スタートアップ支援事業powered by CARISO」を三菱総合研究所が2年連続で受託。2026年度の支援メニューや、第1回CARISO Caretech Startup Awardsでグランプリを受賞したaba「ヘルプパッド」の詳細、2040年の介護人材272万人問題を解説。

2027年度介護報酬改定に向け処遇改善加算の効果検証調査を7月実施|介護事業経営調査委員会

2026/4/16

2027年度介護報酬改定に向け処遇改善加算の効果検証調査を7月実施|介護事業経営調査委員会

2026年4月8日の介護事業経営調査委員会で、2026年度臨時改定による処遇改善加算の効果検証調査方針が決定。7月調査・11月公表のスケジュールで2027年度改定論議に反映。訪問看護・訪問リハも調査対象に追加。

介護予防の基礎知識|フレイル・サルコペニア予防から地域支援事業まで徹底解説

2026/4/13

介護予防の基礎知識|フレイル・サルコペニア予防から地域支援事業まで徹底解説

介護予防の基礎知識を介護職向けにわかりやすく解説。フレイル・サルコペニアの定義と予防法、介護予防事業・地域支援事業の仕組み、通いの場の活用法、現場で役立つ予防の視点まで網羅的に紹介します。