認知症の食事拒否への対応|介護職が行う原因アセスメントと食支援の工夫
介護職向け

認知症の食事拒否への対応|介護職が行う原因アセスメントと食支援の工夫

認知症の人が食べてくれない・口を開けない・食べ方がわからない。施設の介護職が原因を先行期障害や口腔・薬・覚醒から切り分け、声かけや一口めの工夫、姿勢、食形態で支える食支援の実践と多職種連携を解説します。

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この記事のポイント

認知症の人が食べてくれないとき、介護職がまず行うのは「拒否」と決めつけずに原因を切り分けるアセスメントです。食べ物を認識できない・食べ方がわからないといった先行期(食べ物を認知して口に入れるまでの段階)の障害が中心か、口腔・義歯や嚥下の問題か、薬の眠気や覚醒の低下か、便秘や体調・うつかを観察で確かめます。そのうえで、なじみの食器や一口めの工夫、姿勢、食形態の調整で「食べられる力」を引き出し、無理強いはしません。低栄養・脱水が続くときは管理栄養士・歯科・ST(言語聴覚士)と連携します。

目次

施設で働いていると、「口を開けてくれない」「目の前に食事があるのに手をつけない」「スプーンを口に運んでも吐き出す」「箸やスプーンを持っても食べ方がわからない様子」といった場面に必ず出会います。配膳の時間に追われるなかで、つい「食べたくないだけ」「わがまま」と受け止めてしまいがちですが、認知症の人の「食べない」は、ほとんどの場合に理由があります。その理由を見つけられるかどうかが、食支援の質を分けます。

本記事は、特養・老健・グループホーム・認知症デイなどの施設で介護職が認知症の人の食事拒否にどう向き合うかを、「原因のアセスメント」と「食支援の工夫」の二本柱で整理します。家族向けの対応や、食事介助そのもののスプーン操作の手順ではなく、なぜ食べないのかを切り分け、その人の食べられる力を引き出すための観察と工夫に焦点を当てます。最後に、見落としてはいけない低栄養・脱水のリスクと多職種連携、そして「認知症の進行・終末期で食べられなくなること」との違いまで扱います。

「食事拒否」を「先行期の障害」として捉え直す

食べることは、ただ飲み込む動作ではありません。摂食嚥下は、目の前のものを食べ物だと認識するところから胃に送り込むまでの一連の流れで、5期モデル(先行期・準備期・口腔期・咽頭期・食道期)で考えるのが現場の基本です。このうち最初の先行期は「食べ物を視覚・聴覚・触覚などで認知し、何をどのくらいの一口量・ペースで食べるかを判断して口に運ぶまで」の段階で、覚醒状態・食事への意欲・注意・集中力が大きく影響します。

認知症、とくにアルツハイマー型では、誤嚥や飲み込みそのものよりも、この先行期の障害が前面に出やすいことが知られています。代表的なのが次の3つです。

  • 失認:目の前のものを「食べ物」と認識できない。料理が皿の模様や置物のように見えてしまう。
  • 失行:箸やスプーンの使い方がわからない、口へ運ぶ動作の段取りが組み立てられない。
  • 注意障害:食事に集中できず、周囲の音や人に気を取られて手が止まる。

つまり「食べてくれない」の多くは、本人が「食べたくない」と意思表示しているのではなく、食べ物だと認識できない・どう食べるかわからない・食事に注意を向け続けられないという脳の働きの問題であることが少なくありません。ここを「先行期の障害かもしれない」と捉え直せると、対応は「無理に口へ運ぶ」から「認識を助け、最初の一口につなげる」へと変わります。

一方で、進行とともに準備期・口腔期・咽頭期の障害(咀嚼や送り込み、飲み込みの問題)も加わってきます。だからこそ、「食べない」を一括りにせず、どの段階でつまずいているのかを観察で見極めることが、食支援の出発点になります。

食べない原因を切り分けるアセスメント10視点

「食べない」の背景は一つではありません。配膳前後の数分でできる観察を、次の10の視点で切り分けると、その人に合った工夫が見えてきます。複数が重なっていることも多いので、ひとつに決めつけず「あてはまるものを拾う」つもりで使ってください。

1. 口腔・義歯の問題

口内炎・歯の痛み・義歯の不適合・口の乾燥があると、食べること自体が苦痛になります。食事前に口の中を見て、義歯が合っているか、痛がる様子がないかを確認します。口腔の衛生不良や歯・義歯の治療が必要な状態は、施設高齢者で珍しくありません。

2. 嚥下機能の低下

むせ、飲み込んだ後の声のかすれ(湿性嗄声)、口の中に食べ物がたまる、飲み込みまでに時間がかかる、といったサインは嚥下の問題を示します。「食べない」のではなく「飲み込むのが怖い・つらい」可能性を疑います。

3. 薬の影響

睡眠薬・抗不安薬・抗精神病薬などの影響で、日中の眠気・覚醒の低下・口の渇き・食欲低下が起きることがあります。「最近急に食べなくなった」「薬の変更の直後から」という時系列は、薬剤の影響を疑う手がかりです。看護師・医師に必ず共有します。

4. うつ・気分の落ち込み

老年期のうつや意欲の低下があると、食事への関心そのものが薄れます。表情が乏しい、日中ふさぎ込む、好物にも反応しないといった様子は、心理面のアセスメントが必要なサインです。

5. 体調不良・発熱・感染

発熱、痛み、便秘、脱水、感染症など、体調が悪ければ食欲は落ちます。「いつもと違う」「急に食べなくなった」ときほど、まずバイタルと全身状態を確認し、可逆的な原因(治せる原因)がないかを探ります。

6. 便秘

便秘でお腹が張っていると食欲は出ません。排便状況の記録と照らし合わせ、数日出ていないなら看護師と相談します。見落とされやすいが、整えると食事量が戻ることの多い原因です。

7. 覚醒・タイミング

傾眠状態のまま食事の時間になっていないか。しっかり目が覚めていない時間に配膳すると、当然食べられません。レビー小体型認知症では覚醒や食欲の日内・日差変動が大きく、調子のよい時間帯に食事をずらす工夫が有効です。

8. 環境・食器

テレビの音、隣の人の声、まぶしさや暗さ、急に目の前に出された食事など、環境が落ち着かないと注意がそれます。柄の多い食器や、料理と同系色で見分けにくい器は、失認のある人には「料理が見えない」原因になります。

9. 失行・失認(食事を認識できない)

前章のとおり、食べ物だと認識できない・食べ方がわからない状態です。じっと見つめて手が止まる、食器を持っても口に運ばない、食べ物以外を口に入れようとするなどの様子から推測します。

10. 好み・食習慣

これまで食べてこなかったもの、嫌いな味、慣れない食形態(とろみ・ペースト)を嫌がっているだけのこともあります。生活歴・食歴をたどり、なじみの味や食べ方を確認します。「濃い味でないと食べない」など味覚の変化も考慮します。

この10視点は、KTバランスチャート(口から食べる幸せを守る会が開発した、口から食べ続けるための包括的評価ツール。食べる意欲・全身状態・呼吸状態・口腔状態・認知機能・咀嚼送り込み・嚥下・姿勢耐久性・食事動作・活動・摂食状況レベル・食物形態・栄養の13項目を多職種で評価する)の発想とも重なります。介護職が一人で完結させるものではなく、気づいたサインを多職種で共有するための観察の枠組みとして使うのが現実的です。

認知症のタイプ別に見る「食べない」の特徴と支援

同じ「食べない」でも、認知症のタイプによって背景は異なります。タイプの特徴を知っておくと、観察のあたりがつけやすくなります。ただし、人は診断名だけで動いているわけではないので、タイプの特徴を踏まえつつ、目の前の一人ひとりを見るという姿勢が前提です。

アルツハイマー型(AD)

記憶障害・失認・失行・注意障害が中心で、誤嚥よりも「食べない」「食事に時間がかかる」といった食行動の障害(先行期障害)が主体です。食べたことを忘れる、食べ方がわからない、口を開けない、食事に集中できない、といった様子が出やすくなります。支援は、食事環境をシンプルにする、食具や器を持たせて手を添える、手づかみで食べられるおにぎりやパンに変える、頬や顎の下のマッサージで咀嚼を促す、などが軸になります。

レビー小体型(DLB)

視空間認知障害・幻視・パーキンソン症状が特徴です。食具と口の位置関係がつかめない、料理に虫が入っているように見える(幻視)、食べこぼし・姿勢の傾き・送り込みの障害・誤嚥などが起こります。覚醒や食欲の日内・日差変動、薬の副作用の影響が大きいのもこのタイプの注意点です。支援は、食事場所の照明を明るくして幻視を防ぐ、食べ物が見えやすい食器にする、調子のよい時間帯(オンの時間)に食事を合わせる、などが有効です。

前頭側頭型(FTD)・血管性(VaD)

前頭側頭型では、決まったものばかり食べる・早食い・かきこみといった食行動の変化が見られます。血管性では、脳の損傷部位によって麻痺や送り込みの障害など身体面の症状が前面に出ることがあります。いずれも、性格や生活歴の影響を受けるため、その人の食習慣や得意な動作を活かす個別ケアが基本になります。

大切なのは、認知症の摂食嚥下障害へのアプローチが、機能の回復を目的とするのではなく、今ある機能を最大限に引き出すことを目的とする点です。「治す」のではなく「活かす」発想に立つと、無理な訓練や強引な食形態変更を避け、その人らしく食べられる方法を探せます。

食べられる力を引き出す食支援の工夫

原因のあたりがついたら、その人の「食べられる力」を引き出す工夫に移ります。共通して大切なのは、急がせない・強要しない・本人のペースに合わせることです。

1. 声かけは「しすぎない」

食事中に「食べてください」「もう一口」と頻回に声をかけると、本人にはストレスや「指示・指摘」と受け取られ、かえって手が止まります。声かけは必要なものだけにし、内容も「これはやわらかくて、いい味付けですよ」のように食欲をそそる具体的な言葉にします。配膳しながら脈絡なく食事が出てくると認識が追いつかないため、一呼吸おいて目の前のものが食べ物だと伝わるようにします。

2. 一口めの工夫で食事のスイッチを入れる

最初の一口が入ると、後が続くことがよくあります。汁物から始める、好物・甘いものから始める、本人の手にスプーンや器を持ってもらい手を添えて口元へ運ぶ動作を一緒に行う(食べ方を思い出してもらう)、といった工夫で「食べる」モードに入りやすくなります。食べ方を見せる、介助者も一緒に食卓につくのも有効です。

3. 姿勢を整える

顎が上がった姿勢は誤嚥を招きやすいため、座って・顎を軽く引いた姿勢を作ります。テーブルと椅子の高さ、足が床につくか、体が傾いていないかを確認します。姿勢が安定すると、自分で食べる動作も出やすくなります。

4. 食形態と食器を見直す

うまく噛めない・送り込めないなら食形態を調整しますが、安易なとろみ・ペースト化は本人が嫌がり、かえって食べなくなることもあります。利点と欠点を見極め、必要な人に必要なだけ行います。器は、料理が見えやすい色・深すぎない形を選び、麻痺などで食器が動く人にはゴム付きの滑り止め付き食器も有効です。柄の多い器は失認のある人には避けます。

5. なじみの食器・食べ物・食べ方を使う

長年使ってきた茶碗、慣れた箸、好きだったおかず、家庭の味は、記憶に働きかけて「食べる」につながりやすいものです。利き手側から介助すると、長年慣れた方向からの食事になり口の開きがよくなることもあります。手づかみで食べられるおにぎりやサンドイッチは、食具の失行がある人でも自分で食べられる場合があります。

6. 自分で食べられる工夫を優先する

全介助に切り替える前に、見守りや一部介助で自分で食べられないかを試します。自分で食べる動作が残ると、食事の認識や満足感、セルフケアの力が保たれます。食事動作への部分的な参加(手を添える、肘を支える、スプーンを一緒に持つ)を増やすのがポイントです。

7. 無理強いはしない・1食にこだわらない

口を固く閉じている、顔をそむける、はっきり嫌がるときに無理に口へ運ぶと、不安や恐怖心を強め、食事そのものを嫌いにしてしまいます。1食ごとの量にこだわらず、1日、あるいは2〜3日を通してある程度のカロリーと水分が取れているかという視点で見ます。「食べたいときに食べられる量を」も大切な考え方です。

低栄養・脱水のリスクと多職種連携

「無理強いはしない」と「食べないのを放置する」は別物です。食べない状態が続けば、低栄養・脱水が進み、体調やBPSD(行動・心理症状)の悪化、誤嚥性肺炎、フレイルや褥瘡のリスクが高まります。介護職には、気づいて記録し、つなぐ役割があります。

気づきの目安

  • 体重の変化:栄養状態の評価では、3か月で5%以上の体重減少や、BMI18.5未満が「栄養状態が悪い」目安とされます。月ごとの体重を継続して見ます。
  • 水分量:1食ごとではなく1日の摂取量で見ます。口や舌の乾き、脈が速い、尿が少ないといった脱水のサインに注意します。
  • 食事量の推移:「いつから」「どの食事で」「どのくらい」食べられないかを具体的に記録すると、原因の切り分けと多職種への共有がしやすくなります。

誰につなぐか

  • 看護師・医師:発熱・便秘・薬の影響など医学的な原因の確認、可逆的な原因の治療。
  • 管理栄養士:食形態・量・補助食品の検討、少量で栄養が取れる工夫。低栄養を起点にしたフレイルの悪循環を防ぎます。
  • 歯科・歯科衛生士:義歯の調整、口腔ケア、痛みの除去。口腔の問題は「食べない」の大きな原因です。
  • ST(言語聴覚士):嚥下評価と、安全に食べられる姿勢・食形態の提案。

口から安全においしく食べる支援は、口腔ケアや姿勢調整だけで完結するものではなく、心身の状態・摂食嚥下機能・姿勢や活動・栄養までを多面的に見て、不足を補い強みを伸ばす多職種連携が前提です。介護職の「いつもと違う」「ここでつまずいている」という日々の観察は、その連携の起点になります。

観察を記録・申し送りに残すコツ

食支援は一回の食事で完結せず、チームで積み上げるものです。気づいたことを記録と申し送りに残すと、原因の切り分けが進み、次に介助する職員も同じ工夫を再現できます。記録のときは、解釈と事実を分けて書くのがポイントです。「食欲がない」だけでは次につながりませんが、「主食を二口で中断、汁物は完食。スプーンを持つと自分で口へ運べた。テレビが消えると食が進んだ」のようにいつ・どの食事で・どの段階で・どんな工夫が効いたかを具体的に書くと、有効な手がかりになります。

とくに「いつから変わったか」という時系列は、薬の変更・体調変化・季節要因と結びつけるうえで重要です。レビー小体型のように日差変動が大きい人では、調子のよかった時間帯を記録しておくと、食事時間の調整にそのまま活かせます。こうした観察の積み重ねが、管理栄養士やST、看護師との連携を具体的なものにし、その人に合った食支援を施設全体で共有する土台になります。

食事拒否と「終末期で食べられなくなること」の違い

食支援を考えるうえで、避けて通れないのが「対応で改善する食事拒否」と「認知症の進行・老衰で自然に食べられなくなること」の区別です。この二つを取り違えると、無理な介助で本人を苦しめたり、逆に改善できる原因を見逃したりします。

改善を目指す場面

口腔・義歯の痛み、便秘、薬の影響、体調不良、環境や食形態のミスマッチ、失認・失行による先行期の障害など、原因に手を打てば食べられるようになる状態です。体力がまだあるのに飲み込みの障害だけで食べられないなら、空腹という苦痛が生まれるため、原因の是正や食支援、必要に応じた栄養補給を考えます。

自然な経過として受け止める場面

一方、認知症の終末期や老衰では、体のエネルギー需要が下がり、食欲そのものが自然に薄れていきます。この段階で無理に食べさせようとすると、誤嚥や嘔吐、苦痛を増やすことになりかねません。認知症では、他の病気がない限り体力の低下と嚥下力の低下がほぼ並行して進むとされ、点滴や経管栄養を足しても、むくみ・痰の増加などかえって苦痛を増すことがあります。終末期には「食べさせること」より「苦痛なく穏やかに過ごせること」を優先し、口を潤すケア(濡れガーゼ・保湿ジェル・少量のゼリー)や好きな香りなど、食べること以外の心地よさを届ける関わりが中心になります。

介護職に求められること

この区別は介護職が単独で判断するものではなく、医師・看護師を含めた多職種と家族の話し合い(ACP)で決めていくものです。介護職の役割は、日々の食事の様子や変化をていねいに観察・記録して共有し、「改善できる原因が隠れていないか」を最後まで確認したうえで、その人にとっての穏やかな食を支えることです。可逆的な原因の確認を飛ばして「もう終末期だから」と決めつけないことが、専門職としての責任になります。

よくある質問(FAQ)

Q. 口を固く閉じて開けてくれないときはどうすればいいですか。

まず無理にこじ開けないことが大前提です。覚醒しているか、口腔内に痛みや食べ物の残りがないか、姿勢が苦しくないかを確認します。下唇に軽く触れて合図を送る、汁物や好物の香りで関心を引く、本人の手にスプーンを持ってもらい一緒に口元へ運ぶ、といった工夫を試します。それでも嫌がるなら時間を区切っていったん休み、覚醒や気分のよい時間帯に再度試します。

Q. 食べ物を目の前にしても手をつけません。失認でしょうか。

失認・失行の可能性はありますが、決めつけずに観察します。料理が器の柄や色と紛れて見えていないか(見えやすい器に替える)、食べ方がわからず固まっていないか(手を添えて最初の動作を一緒に行う、手づかみできる形にする)、注意がそれていないか(環境を静かにする)を一つずつ確かめます。改善しなければ多職種で共有します。

Q. とろみやペースト食を嫌がります。やめてもいいですか。

本人の嫌がり方が強く、利点より欠点が勝るようなら、漫然と続けないことも選択肢です。ただし食形態を戻すと誤嚥のリスクが上がる場合があるため、必ずST・看護師・管理栄養士と相談し、変更しないことによる弊害を本人・家族に説明したうえで判断します。とろみ剤を豆腐やねばねばした食品で和えるなど、嫌がりにくくする工夫もあります。

Q. 1食まったく食べなかったら、すぐ心配すべきですか。

1食だけで慌てる必要はありません。1日、あるいは2〜3日を通してカロリーと水分が取れているか、体重が減っていないかという視点で見ます。ただし「急に食べなくなった」「発熱や便秘がある」「薬の変更直後」など、いつもと違う変化を伴うときは、体調や薬の影響を疑い、早めに看護師へ相談します。

Q. 認知症が進んで食べられなくなったのか、対応で改善するのか見分けられません。

介護職が単独で判断するものではありません。体調・口腔・薬・便秘など改善できる原因がないかを確認し、それでも食欲が自然に薄れ、体力と嚥下力が並行して落ちているなら、終末期の自然な経過として医師・看護師・家族と話し合います。可逆的な原因の確認を飛ばさないことが大切です。

参考文献・出典

まとめ

認知症の人の「食べてくれない」は、わがままでも単なる拒否でもなく、ほとんどの場合に理由があります。介護職にまず求められるのは、「食事拒否」と決めつける前に、食べ物を認識できない・食べ方がわからないといった先行期の障害なのか、口腔・嚥下・薬・覚醒・便秘・体調・うつ・環境・好みのどこでつまずいているのかを観察で切り分けることです。

原因のあたりがついたら、声かけをしすぎない、一口めの工夫で食事のスイッチを入れる、姿勢を整える、なじみの食器や食べ物を使う、自分で食べられる工夫を優先する、無理強いはしないといった食支援で、その人の食べられる力を引き出します。1食の量にこだわらず1日〜数日単位で栄養と水分を見守りつつ、低栄養・脱水のサインに気づいたら管理栄養士・歯科・ST・看護師へつなぐことが、介護職の大切な役割です。そして、改善できる原因を最後まで確認したうえで、認知症の進行・終末期で自然に食べられなくなる段階とのちがいを多職種・家族と見極めていく。この一連の関わりが、その人らしい食を最後まで支える食支援になります。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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