グループホームの費用|月額・入居一時金・地域差と支払えない時の制度をわかりやすく解説
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グループホームの費用|月額・入居一時金・地域差と支払えない時の制度をわかりやすく解説

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の費用を厚労省データで解説。月額12〜18万円の内訳、入居一時金の相場、地域区分による単価差、要介護度別自己負担、減免制度まで網羅。

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グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の費用は、入居一時金0〜数百万円月額12〜18万円程度が中心相場です。月額は家賃・食費・光熱費などの生活費(約9〜13万円)と、介護保険1割負担分の介護サービス費(要介護3で月約2.5万円)で構成されます。地域区分により1単位の単価が10円〜11.40円まで変動し、東京23区などの都市部では1〜2割高くなります。

目次

認知症の家族をグループホームへ入居させる検討にあたって、最も気になるのが費用です。特別養護老人ホームのように国が補足給付(特定入所者介護サービス費)でカバーしてくれる仕組みがなく、家賃や食費は全額自己負担になるため、「結局いくらかかるのか」「都市部と地方でどれだけ違うのか」が見えにくいサービスです。

本記事では厚生労働省「介護サービス情報公表システム」と2024年度介護報酬改定の単位数、地域区分の最新区分(令和6年度〜8年度)をもとに、グループホームの費用を「入居一時金」「月額生活費」「介護保険自己負担」「地域差」「減免制度」の5つの軸で整理します。請求書をイメージしながら読めるよう、東京・地方都市の試算も収録しました。

グループホームの費用全体像と認知症対応型共同生活介護の制度

グループホームは、介護保険制度上「認知症対応型共同生活介護」と呼ばれる地域密着型サービスです。5〜9人を1ユニットとし、認知症と診断された要支援2・要介護1〜5の方が、家庭的な環境で共同生活を送りながら専門ケアを受けます。要支援1の方は利用できません(厚生労働省「介護サービス情報公表システム」)。

地域密着型サービスとしての特徴が費用に与える影響

地域密着型サービスは原則として、施設所在地の市区町村に住民票がある方しか利用できません。そのため「都市部の安い施設を見つけて遠方から入居」という調整は基本的にできず、住んでいる自治体の家賃水準・地域区分がそのまま費用に反映されます。

特別養護老人ホームとの費用構造の決定的な違い

特養(介護老人福祉施設)は介護保険3施設の一つで、低所得者には「特定入所者介護サービス費(補足給付)」によって居住費・食費が大幅に軽減されます。一方、グループホームは補足給付の対象外で、家賃・食費・光熱費は全額自己負担です(学研ココファン解説)。この差が、同じ要介護3でも特養とグループホームで月額に2〜5万円の開きが出る根本原因です。

費用は3つのレイヤーで決まる

  • 初期費用:入居一時金・敷金(0〜数百万円)
  • 月額生活費:家賃・食費・光熱費・日用品費(9〜13万円が目安)
  • 月額介護サービス費:介護保険1〜3割負担分(要介護度・加算・地域区分で変動)

このうち介護保険でカバーされるのは3つ目だけ。「月額12万円」と謳う広告でも、介護サービス費を含めると実質18万円超になることが多く、内訳を分解して見る視点が欠かせません。

月額費用の構成:家賃・食費・水道光熱費・介護保険自己負担

グループホームの月額費用は、大きく分けて生活費(自費負担)介護サービス費(介護保険1〜3割負担)の2系統です。請求書のイメージに沿って分解します。

生活費の内訳と相場(自費)

家賃は施設の立地と居室面積で変動します。学研ココファンの料金例では、賃料5万6,000円・管理費1万2,000円・食費3万8,000円・水道光熱費1万2,000円・その他4,000円で生活費合計12万6,000円。LIFULL介護の東京都内事例では、家賃8万円・食費4万9,500円・その他2万2,000円で生活費だけで15万円を超えます。

  • 家賃:5〜10万円が中心。都市部のワンルーム型・新築は15万円超もあり
  • 食費:3.5〜5万円。1日1,300〜1,650円程度を30日換算した金額
  • 水道光熱費:1〜1.5万円。共用部分は人数割、個室は実費精算が一般的
  • 管理費・共益費:1〜2万円。共用設備の維持費
  • 日用品・おむつ代・理美容代:5,000〜2万円。要介護度が上がるほどおむつ代が増える

介護保険自己負担(介護サービス費)の計算ロジック

介護サービス費は要介護度別の単位数 × 30日 × 1単位の単価 × 自己負担割合(1〜3割)で算出します。2024年度介護報酬改定後、1ユニットの要介護3は1日824単位、2ユニット以上で812単位(厚労省 令和6年度介護報酬改定資料)。これに加えて、夜間支援体制加算(50単位/日)や認知症専門ケア加算(3〜4単位/日)、医療連携体制加算(57単位/日)、処遇改善加算(18.6%上乗せ)などの加算が積み上がります。

1単位の単価は地域区分により10円〜11.40円で変動するため、同じ要介護度でも東京23区と地方では月額に3,000〜5,000円の差が出ます。

入居一時金の相場と返還金ルール

入居一時金は施設ごとに大きな差がある初期費用です。グループホームには公的な基準がないため、0円の施設から数百万円の施設まで存在します。

全国平均と中央値の実態

各種民間調査によると、グループホームの入居一時金(敷金含む)は全国平均8万〜9万5,000円、中央値5万円が代表値です(LIFULL介護・cocofump調べ)。一方で介護付き有料老人ホームのように「数百万円〜数千万円」の前払い家賃方式を採る高額施設もあり、特に都市部の新築・ホテル型施設で高額化する傾向にあります。

入居一時金の主な区分

  • 敷金型(0〜30万円):賃貸住宅と同じく退去時の原状回復費用。退去時に未使用分が返還される
  • 保証金型(10〜50万円):施設運営者への預け金。一部は償却され、残額が返還される
  • 前払い家賃型(数百万円):数年分の家賃を前払い。「初期償却率20%・償却期間5年」などの規定で減額され、規定期間より早く退去すれば残余が返還される

返還金の計算と短期解約特例

2012年4月以降に契約された有料老人ホーム・サ高住・グループホームには、「90日ルール(短期解約特例)」が適用されます。これは、入居後90日以内に契約解除・死亡退去となった場合、入居一時金から実費分を除いた額が返還される制度です(厚生労働省「有料老人ホーム設置運営指導指針」準用)。契約書に必ず明記されているので、見学時に確認しましょう。

「入居一時金0円」の落とし穴

初期費用ゼロを謳う施設の多くは、家賃を高めに設定する「月額型」で総コストを回収します。例えば、入居一時金100万円・家賃6万円の施設と、入居一時金0円・家賃8万円の施設は、入居期間4〜5年で総額がほぼ同じになる計算です。「想定入居年数 × 家賃差額 = 入居一時金差額」を試算して比較するのが鉄則です。

地域区分別の単位数と都市部・地方の費用差

介護保険の1単位は基本10円ですが、人件費の高い都市部では地域区分による上乗せが行われます。グループホームは「人件費割合70%」のサービスに分類され、地域区分による上乗せ幅が最も大きいカテゴリです。

令和6年度〜8年度(2024〜2026年度)の1単位単価

厚生労働省告示による地域区分別の1単位単価(人件費70%サービス)は以下の通りです。

  • 1級地(東京23区):1単位 11.40円(上乗せ20%)
  • 2級地(横浜市・川崎市・大阪市・調布市など):1単位 11.12円(上乗せ16%)
  • 3級地(さいたま市・千葉市・名古屋市など):1単位 11.05円(上乗せ15%)
  • 4級地:1単位 10.84円
  • 5級地(京都市・堺市・福岡市など):1単位 10.70円
  • 6級地:1単位 10.42円
  • 7級地(札幌市・新潟市・岡山市・北九州市など):1単位 10.21円
  • その他地域:1単位 10円

※carenote「令和6年度〜8年度 地域区分一覧」より整理

東京23区と地方の月額試算(要介護3・1ユニット)

要介護3・1ユニットの基本報酬は824単位/日、30日換算で24,720単位。これに夜間支援体制加算(50単位/日×30日=1,500単位)と認知症専門ケア加算Ⅰ(3単位/日×30日=90単位)、処遇改善加算(基本報酬の18.6%上乗せ)を加えて約32,000単位と仮定すると:

  • 東京23区(1級地・11.40円):32,000×11.40×0.1(1割負担)=月約36,500円
  • 地方(その他地域・10円):32,000×10×0.1=月約32,000円

介護サービス費だけで月4,500円の差が発生します。さらに都市部は家賃も2〜3万円高いため、同じ要介護3でも東京23区と地方で月額3〜4万円の差になるのが実態です。

要介護度別の月額自己負担シミュレーション

2024年度介護報酬改定後の単位数(厚労省 令和6年度介護報酬改定資料)を基に、1ユニットのグループホームに30日入居した場合の介護保険自己負担月額を試算します。1単位10円(その他地域)・自己負担1割で計算し、夜間支援体制加算Ⅰ(50単位/日)・認知症専門ケア加算Ⅰ(3単位/日)・処遇改善加算Ⅰ(基本報酬の18.6%上乗せ)を含めた目安です。

1ユニット型・要介護度別の介護サービス費(月額・1割負担・地方)

  • 要支援2:基本761単位/日 → 月約2.5万円(介護予防認知症対応型共同生活介護)
  • 要介護1:基本765単位/日 → 月約2.6万円
  • 要介護2:基本801単位/日 → 月約2.7万円
  • 要介護3:基本824単位/日 → 月約2.8万円
  • 要介護4:基本841単位/日 → 月約2.9万円
  • 要介護5:基本859単位/日 → 月約3.0万円

生活費を合算した月額総額の目安

家賃6万円・食費4万円・水道光熱費1万2,000円・管理費1万円・日用品1万円=生活費合計13万2,000円のモデルに、上記の介護サービス費を加えた目安です。

  • 要介護1:月約15万8,000円
  • 要介護3:月約16万円
  • 要介護5:月約16万2,000円

東京都内の標準的な施設(家賃8万円・食費5万円・1級地)に切り替えると月額は約19〜20万円に上がります。要介護度が上がっても介護サービス費の差は月3,000〜4,000円程度のため、家賃と食費の方が総額への影響が大きいことを覚えておきましょう。

2割・3割負担の方の上乗せ

合計所得160万円以上(単身・年金収入のみなら280万円以上)の方は2割負担、合計所得220万円以上(単身340万円以上)の方は3割負担になります。要介護3の場合、2割負担で介護サービス費が月約5.6万円、3割負担で月約8.4万円となり、生活費と合わせて月20〜25万円超のケースもあります。

ユニット型・少人数体制が費用に与える影響

グループホームは「1ユニット」または「2ユニット以上」で運営され、ユニット数によって基本報酬の単位数が異なります。2024年度改定では1ユニット型がやや高めに設定され、その差は1日あたり12単位(要介護3で812単位→824単位、つまり1ユニット型の方が高い)です(介護経営ドットコム)。

1ユニット型と2ユニット型の構造的な違い

1ユニット型は定員5〜9人で小規模・家庭的な雰囲気が特徴。職員配置は厚く、認知症ケアの専門性も高い傾向にあります。一方、2ユニット型(最大18人)は同じ建物内で2グループを運営することでスケールメリットが働き、家賃や食費がやや抑えめなことが多いです。

ユニット型での実費差

要介護3・地方(その他地域・1単位10円)・1割負担で比較すると:

  • 1ユニット型:基本824単位/日 × 30日 × 10円 × 0.1 = 月24,720円
  • 2ユニット以上:基本812単位/日 × 30日 × 10円 × 0.1 = 月24,360円

介護サービス費の差は月360円程度ですが、生活費(家賃・食費)では2ユニット型が月3,000〜5,000円ほど安くなる傾向があります。家庭的な雰囲気を優先するか、コストを優先するかで選択が分かれます。

夜間支援体制加算と人員配置の違い

夜間支援体制加算Ⅰ(50単位/日)は、夜勤職員に加えて宿直職員を1人以上配置する施設に算定されます。1ユニットで夜勤1人体制の施設は加算なし=介護サービス費が安いものの、夜間の事故対応や見守りが手薄になるリスクがあります。「安いから良い」ではなく、夜間の安全性とコストのバランスを見学時に確認することが重要です。

費用が払えなくなったら:高額介護サービス費・自治体助成・生活保護

グループホームは特養と違って補足給付(特定入所者介護サービス費)が使えないため、低所得世帯ほど家計負担が重くなります。とはいえ、まったく支援がないわけではありません。利用できる主な制度を整理します。

高額介護サービス費(介護保険1割負担分の上限)

1か月の介護サービス費の自己負担額が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。グループホームの介護サービス費部分はこの対象になります(学研ココファン・cocofumpの解説より)。

  • 課税所得690万円以上(年収約1,160万円〜):上限14万0,100円/月(世帯)
  • 課税所得380〜690万円(年収約770〜1,160万円):上限9万3,000円/月(世帯)
  • 市町村民税課税〜課税所得380万円未満:上限4万4,400円/月(世帯)
  • 市町村民税非課税世帯:上限2万4,600円/月(世帯)。年金収入80万円以下は個人上限1万5,000円
  • 生活保護受給者:上限1万5,000円/月(個人)

※申請は市区町村の介護保険担当窓口で。通常は初回申請後、対象月に自動で振り込まれます。

自治体独自の家賃助成・減免制度

市町村民税非課税世帯を対象に、グループホームの家賃を月1〜2万円補助する自治体があります。例えば船橋市は「グループホーム等入居者家賃補助」として、家賃の2分の1(上限月25,000円)を助成しています(船橋市公式サイト)。「お住まいの自治体名 + グループホーム 家賃 助成」で検索するか、地域包括支援センターに相談してみましょう。

生活保護受給者の利用

生活保護受給者もグループホームに入居できます。生活扶助で生活費をまかない、介護扶助で介護サービス費を全額カバー、住宅扶助で家賃の一部を補助する仕組みです。ただし住宅扶助には自治体ごとの上限があり、家賃が上限を超える施設は入居できないため、ケースワーカー・ケアマネジャーに事前確認が必要です。

医療費控除・障害者控除で確定申告

グループホームの介護サービス費の一部は医療費控除の対象になります。施設発行の領収書に「医療費控除対象額」が記載されているので、世帯主・扶養者の確定申告で控除を受けられます。年収によっては年間2〜5万円の還付が見込めます。

参考文献・出典

まとめ:費用シミュレーションは「生活費+介護サービス費+地域区分」で組み立てる

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の費用は、入居一時金0〜数百万円、月額12〜18万円というレンジに収まる施設が多いものの、立地・ユニット数・所得区分・要介護度の組み合わせで月額3〜5万円の差が出ます。

意思決定のチェックリスト

  • 住んでいる市区町村の地域区分を確認(1単位の単価が10〜11.40円で変動)
  • 家賃と食費の内訳を施設見学時に書面で受け取る
  • 入居一時金の返還ルールと償却期間、90日ルールの適用を契約書で確認
  • 夜間支援体制加算の有無と夜勤人員配置を質問
  • 高額介護サービス費の所得区分別上限を自分の世帯で試算
  • 市区町村の家賃助成制度を地域包括支援センターで確認
  • 医療費控除を活用するため領収書を保管

特養と異なり補足給付が使えない代わりに、自治体独自の助成が手厚いケースもあります。「払えないかもしれない」と感じた段階で、ケアマネジャーと地域包括支援センターに早めに相談することが、選択肢を狭めない最大のポイントです。

監修者

介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム

医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)

看護師介護福祉士ケアマネジャー

訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

介護の現場・介護職の視点

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